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【最終章】ダイヤモンドの消失。
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「わあ!?」
お父様の話を聞いている最中、不意に人混みを縫いこちらへと走って来て、勢いのままわたしにぶつかりそうになった少年を、リヒトがそれより早く捕獲する。
あの父が認めるだけあり、さすがの身のこなしだ。正直全く目で追えなかった。
誰かに追われて居たのだろうか、地べたに押さえつけられた少年は、暴れて今にも逃げ出しそうな雰囲気だ。
しかし良く見ると、見覚えのある服装に、聞き覚えのある声。
ハッとしてその少年の帽子を外すと、やはりその正体はフレイア様だった。
そして彼女もわたしの姿を確認して、暴れるのをやめた。
「フレイア様?」
「え……ミア様!?」
後から追い掛けて来た皇室の護衛騎士達に、リヒトは感謝されていた。どうやら護衛を撒いて逃げて来たようだ。見た目によらずお転婆な皇女に驚きつつも、つい笑ってしまった。
しかし皇女殿下をいつまでも地べたに押さえ付けておく訳にもいかず、リヒトに彼女を解放するよう促す。
「どうして逃げてきたんですか?」
「……ちょっと鬼ごっこがしたい気分だっただけですわ」
「ふふ、お転婆なんですね」
「あら、如何に捕まらず逃げ切るか……スリルがあって楽しいものですのよ?」
服についた土埃を手で払いながら、フレイア様は悪戯に笑みを浮かべた。
しかしふと、彼女は追い掛けて来た護衛の数を確認して表情を曇らせる。
「あなた達、全員で追って来ましたの?」
「え……? あ……」
「……大変。聖女様が今お一人ですわ」
フレイア様の言葉に、嫌な予感がした。ただでさえステラは目立つのだ。護衛も付けずに居たら、変な輩に絡まれているに違いない。
「僕達は先に行く、ミア達は後からゆっくりついておいで!」
誰よりも早く、先程まで上の空だったお父様が駆け出した。それに続いて騎士達が道案内がてら駆けて行く。
ゆっくりと言われたもののわたしもすぐ駆け出そうとして、ふわりと身体が宙に浮いた。リヒトに抱き上げられたのだ。
「わ!?」
「お嬢様、しっかりお掴まり下さい」
「ちょっとあなた、わたくしを置いていくつもり!?」
リヒトが駆け出そうとした所で、フレイア様が慌てて制止した。彼女を置いて行っては意味がない。
「……先程の走りを見る分に、俺の手助けは必要ないと思いますが……」
「だ、だめだよ! フレイア様も一緒!」
やれやれと言った様子で、リヒトはわたしを片腕で丁寧に抱き直し、もう片手でフレイア様を小脇に抱えた。
「扱いの差……!」
仮にも皇女殿下にこの扱い。正直首が飛んでもおかしくないのだが、今は緊急時なので仕方ない。
リヒトはそのまま二人の少女を抱えて、騎士達を追い掛けた。
*******
お父様の話を聞いている最中、不意に人混みを縫いこちらへと走って来て、勢いのままわたしにぶつかりそうになった少年を、リヒトがそれより早く捕獲する。
あの父が認めるだけあり、さすがの身のこなしだ。正直全く目で追えなかった。
誰かに追われて居たのだろうか、地べたに押さえつけられた少年は、暴れて今にも逃げ出しそうな雰囲気だ。
しかし良く見ると、見覚えのある服装に、聞き覚えのある声。
ハッとしてその少年の帽子を外すと、やはりその正体はフレイア様だった。
そして彼女もわたしの姿を確認して、暴れるのをやめた。
「フレイア様?」
「え……ミア様!?」
後から追い掛けて来た皇室の護衛騎士達に、リヒトは感謝されていた。どうやら護衛を撒いて逃げて来たようだ。見た目によらずお転婆な皇女に驚きつつも、つい笑ってしまった。
しかし皇女殿下をいつまでも地べたに押さえ付けておく訳にもいかず、リヒトに彼女を解放するよう促す。
「どうして逃げてきたんですか?」
「……ちょっと鬼ごっこがしたい気分だっただけですわ」
「ふふ、お転婆なんですね」
「あら、如何に捕まらず逃げ切るか……スリルがあって楽しいものですのよ?」
服についた土埃を手で払いながら、フレイア様は悪戯に笑みを浮かべた。
しかしふと、彼女は追い掛けて来た護衛の数を確認して表情を曇らせる。
「あなた達、全員で追って来ましたの?」
「え……? あ……」
「……大変。聖女様が今お一人ですわ」
フレイア様の言葉に、嫌な予感がした。ただでさえステラは目立つのだ。護衛も付けずに居たら、変な輩に絡まれているに違いない。
「僕達は先に行く、ミア達は後からゆっくりついておいで!」
誰よりも早く、先程まで上の空だったお父様が駆け出した。それに続いて騎士達が道案内がてら駆けて行く。
ゆっくりと言われたもののわたしもすぐ駆け出そうとして、ふわりと身体が宙に浮いた。リヒトに抱き上げられたのだ。
「わ!?」
「お嬢様、しっかりお掴まり下さい」
「ちょっとあなた、わたくしを置いていくつもり!?」
リヒトが駆け出そうとした所で、フレイア様が慌てて制止した。彼女を置いて行っては意味がない。
「……先程の走りを見る分に、俺の手助けは必要ないと思いますが……」
「だ、だめだよ! フレイア様も一緒!」
やれやれと言った様子で、リヒトはわたしを片腕で丁寧に抱き直し、もう片手でフレイア様を小脇に抱えた。
「扱いの差……!」
仮にも皇女殿下にこの扱い。正直首が飛んでもおかしくないのだが、今は緊急時なので仕方ない。
リヒトはそのまま二人の少女を抱えて、騎士達を追い掛けた。
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