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【最終章】ダイヤモンドの消失。

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(sideレオンハルト)

 リオがミアを呼び出すのを見て、背を押された気持ちになった俺も、意を決してステラに声を掛ける。
 昨日の夜見掛けた光景が気になって、あの後上手く寝付けなかった。

「なあ、ステラ……ちょっといいか?」
「はい、何かご用ですか?」
「……その、昨日の夜さ、モルガナイト公爵の部屋に行ってたよな?」
「……覗き見だなんて、悪趣味ですわ」
「の、覗いてなんてない! 偶々だ!」
「……」
「……疑いの目がすごい」

 ステラはじとりと俺を見詰めた後、やがて諦めたように肩を竦めて一息吐いた。

「公爵様のお部屋にお邪魔したからといって、レオ様に何か関係がありますの?」
「関係……は、ないかもしれないけど! でも、未婚の男女が夜に密会なんて……その」
「心配しなくても、レオ様の考えているような如何わしいことはしていませんわ」
「いっ、如何わしいことなんて、そんな……想像してないからな!?」

 慌てる俺を他所に、ステラはどこか落ち込んでいるような様子だった。
 その顔は、もしかして……

「公爵にフラれた、とか?」
「フラれてません! ……ただ、事件解決まで、答えを保留にされただけです!」
「答えを、保留……? やっぱり、ステラは公爵のこと……」

 胸がずきずきと痛む感覚。
 ステラが想いを告げたなら、結果がどうであれ失恋確定に思わずこちらが泣きそうになりつつも、次がれた一言に思わず出かけた涙が引っ込んだ。

「私は、ただミアのお母さんになりたいだけなのに……」
「……へ?」

 ステラの行動原理は、どうやら恋だとか言うのとは、まったく別のものらしい。


*******


「ねえ、ミア様も、わたくしのペアの聖女も、お兄様達も見当たらないのですけど。どこに居ますの?」
「……申し訳ありません、皇女殿下。ミアお嬢様はそちらの部屋に入られましたが……他は存じ上げません」
「ふうん? あなた、ミア様の護衛騎士だったかしら。ミア様ことしか見てないのね」
「ええ……お嬢様が、今の俺の生きる意味です」
「生きる意味……戦争で死した者達にも、有ったはずなのよね」
「……、そうですね」

 かくしてそれぞれの葛藤を抱えながら『消失事件』解決のため、再び調査へと繰り出したのだった。


*******

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