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【最終章】ダイヤモンドの消失。

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 翌朝朝目が覚めると、フレイア様は既に起きており、身支度を済ませると皇太子達の元へ会いに行ったと聞かされた。

 殿下達はとても優しい。きっと皇宮では肩身の狭いフレイア様にとっても、腹違いだなんて関係無く頼れるお兄さん達のはずだ。兄弟が居たことのないわたしにとっては、少し羨ましい。

 皇女の身支度なんて大役を果たしたアメリアは朝だと言うのに徹夜明けのようにぐったりとしており、わたしの身支度はシンシアにお願いすることにした。 彼女はわたしの髪をとかしながら、ぽつりと呟く。

「お嬢様……あの、私、ずっと考えてたんです、お嬢様が仰っていた『五人目のメイド』について」
「何か心当たりはあった?」
「いえ、何も……ですが、何と無く、私と同じ境遇の……下級貴族の出のメイドが居たような……」
「えっ、それは、どんな子? 思い出せる!?」
「いえ、名前とかは、全く……本当に居たのかすら、朧気で。でも……同じ悩みを持って、一緒に頑張る彼女が居たから、これまでやってこられたような……そんな気がするんです」
「そっか……うん、やっぱり、きっと『五人目』は居たんだよ。この異変を解決して、その子を取り戻そう!」
「……はい!」

 支度を済ませ、今日はフレイア様を交えての二日目の調査。今日は人数が増えた分、組み合わせを変えて調査にあたることになったのだが……まあ決まらない。

「俺はお嬢様の護衛なので離れることはありません」
「では僕もミア嬢と……」
「あら、リオ様は昨日組まれていたでしょう? 本日は私にお譲りください」
「わたくしもミア様とがいいですわ」
「お、何だ、フレイアはミアと仲良くなったのか? ステラとフレイアとリオが居るなら俺もそのチームに……」
「いや、組分けの意味……!」

 これでは全員での集団行動である。
 この面子集合なんて目立ち過ぎて、聞き込みや調査に不向きな事この上無い。
 思わず頭を抱えていると、不意に普段なら率先してわたしに付き纏いそうなお父様が何も発言していないのに気付いた。
 どこか上の空と言うか、ぼんやりとしている。

「お父様……?」
「……え、あ……何だい、ミア? お腹でも空いたのかい?」
「ご飯はもう終わったよ。……何かあった?」
「……いや、何でもないよ。すまないね、心配をかけた」

 どうにも覇気がない。珍しい様子に心配になったので、わたしはお父様とのペアを申し出た。

 結果、わたしとお父様とリヒト、ステラとフレイア様(+皇室騎士)、レオンハルト殿下とオリオン殿下(+皇室騎士)という組み合わせとなったのだが……ステラとフレイア様は、何と無くギスギスしている気がする。
 闇属性の皇女と光属性の聖女は、相性が悪いのだろうか。

「ミア嬢、出発前に少し宜しいですか?」

 オリオン殿下の組は既に出発だろうに。何かあったのだろうか。隣室からこっそりと手招きされて、不思議に思い近付く。

 この旅のために仕立てた少年風の服は変装用にとフレイア様に貸してしまったので、たった一日ぶりだというのに歩く度揺れるドレスのスカートのひらみの重さが懐かしく感じる。

 皆に置いて行かれぬよう会議室や廊下に他の人が居るのを確認してから殿下の居る部屋に入ると、すぐにドアを閉められた。

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