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【幕間】わたしがシャーロットになった日。
ある冬の朝の話。
しおりを挟むこれはまだ、わたしがモルガナイト公爵家メイド『シャーロット・ローズクォーツ』ではなく、ルビー侯爵家の汚点である私生児『シャルロッテ・ルビー』だった頃の話。
わたしの父であるルビー侯爵は、剣や盾、その他武器に関する事業をしていて、先の大戦で財を成したらしい。
戦争でお金儲けだなんて、ちょっと嫌な感じはするけれど、時代が時代なのでしかたない。
そんな父は婚約者が居るにも関わらず、父の統治する領土に疎開してきた難民の一人だったわたしの母、ローズクォーツ令嬢に一目惚れする。
彼女はわたしに似たクリーム色のふわふわとした髪の毛に、ピンクの瞳をした少女だったらしい。
戦時中の混乱、武器を売る侯爵様と、帰る家を無くした田舎の貴族の娘。見初められた母は、侯爵様の庇護下で生きることを選んだ。
そうして、周りからは望まれない子供として生まれたわたしは、終戦後母の元でひっそりと育てられた。
物心ついた頃には、度々会いに来る父には正式な奥方様が居て、わたし達の存在はより世間から許されないものとなっていた。
それでも、両親からの愛はたっぷり与えられていたのでやさぐれもせず、わたしは陰鬱とした貴族社会からは外れ、田舎の片隅でのびのびすくすくと、のんびりマイペースに育っていく。
しかし、父からの財政支援もあり、何不自由なく暮らしていたのも束の間、母は流行り病に呆気なく命を落としてしまう。
魔法ですぐに町は復興してきたとはいえ、皇宮のある首都から優先的にである。戦後の汚染された土壌は、田舎の村に病を流行らせるには十分だった。
身寄りをなくしたわたしは、六歳で父の元に引き取られた。ただし、ルビー侯爵の私生児としてではなく、親を亡くした哀れな孤児を引き取るという名目で。
当時子供の居なかったルビー侯爵家で、わたしは養子の娘として育てられた。
父はわたしに母の面影を見て、時折泣いていた。ルビー侯爵夫人はわたしをどう思っていたのかわからないけれど、その時はまだ、可哀想な子として表向き優しくしてくれた。
しかし引き取られて一年した頃には、ルビー侯爵夫人が身籠ったのだ。
長年不妊だった侯爵夫人にとって、念願の妊娠だった。喜ばしい出来事のはずなのに、わたしは素直に祝えなかった。
彼女の子が生まれればわたしはどうなるのだろう。正式な家の跡取りは、その子供だ。
わたしは、無かったもののようにどこかに捨てられてしまうのだろうか。
不安に押し潰されそうになりながらも表向き変わりなく日々を過ごし、そもそも拾われたことが幸運だったのだと、妹が生まれる頃にはすでに諦めの境地だった。
しかし妹のリーゼロッテが生まれてからも、わたしは変わりなくルビー家に住まわせて貰っていた。
腹違いとはいえ姉である、妹の遊び相手やら情操教育には役立つと思われたのだろう。特に迫害されることもなく、されど跡取りではないため過度な教育もされず、気楽な令嬢ライフを満喫した。
それでも、いつ追い出されても生きられるように、メイドからこっそり仕事を教わったりもした。
後々これが本当に役に立つので、人生わからないものだ。
*******
居場所のないわたしと、望まれて生まれたリーゼロッテとは、正直父譲りの瞳の色以外は似ていなかったが、年の離れた仲睦まじい姉妹となった。
そうしてリーゼロッテは両親から愛され甘やかされ健やかに育ち、実子と私生児の間柄ではあったものの、幼い彼女はそんなことは知らず、わたしを姉として慕ってくれた。
しかし、リーゼロッテがわたしの引き取られた年と同じ六歳になった頃。
十歳を迎えられ、属性と魔力を発現されたレオンハルト皇太子とオリオン皇子に婚約者をという話が持ち上がった。
そうして、双子の皇子達と歳が近い貴族の娘であることと、戦時中のルビー侯爵家の功績もあり、紆余曲折の結果リーゼロッテがオリオン皇子の婚約者に内定した。
勿論、皇太子ではなく皇子。幼い子供同士の婚約だ、その後の情勢次第で幾らでも覆る。
それでも、両親はリーゼロッテに妃となるべく教育を始め、忙しくなった彼女と会う時間も次第に減っていった。
何の責務も苦労もなく成長し、夫がかつて愛した女に似てきたわたしに、ルビー侯爵夫人が向ける目も次第に厳しいものとなり、父もわたしをどう扱うか考えあぐねている様子だった。
もう、侯爵夫人どころか、屋敷の人達は皆、わたしの正体にとっくに気付いていた。
リーゼロッテの妃教育が本格化した頃、わたしは将来皇室入りするであろう妹のために、自ら家を出ることにした。
きっと、私生児が居ると家門に傷も付く。社交界は些細な噂も広まるものだと、父達の愚痴をよく聞いていたから知っている。
わたしは十四歳で、まだ社交界デビューもしていなかったが、縁を切るにはその方が好都合だった。
これが、わたしがこれまで育ててくれた家族のために出来る、唯一のことだった。
*******
ある雪の降る冬の日に、わたしは妹に何も告げず、トランク一つ持って家を出た。
父からせめてもの餞別にと受け取った路銀は十分にあったから、東部のルビー侯爵領から離れ、仕事を求めて首都へやって来た。都会に出れば何かしらあると思ったのだ。今にして思えば、何の伝手もなく出て来るなんて、何とも無謀である。
首都に着いて馬車を降りてから、ルビー家で良く見かけた赤毛の騎士が御者としてここまで護衛してくれていたと知った。騎士や兵士は皆優しかったけれど、彼は特に昔から、良くわたしを気に掛けてくれていた。
何も知らせず置いてきたわたしが言えることではなかったけれど、最後まで姉として慕ってくれた可愛い妹、リーゼロッテをよろしくと彼に託し、わたしは一人見知らぬ町を歩き始める。
石畳を薄く彩る雪に残る足跡は無数にあるのに、わたしには行く宛もなかった。
歩き疲れて道の真ん中で呆然と立ち尽くし、雪のちらつく灰色の空を見上げていると、不意に足元に何かが突っ込んできた。
倒れなかっただけ褒めて欲しい。結構な勢いに驚いて見下ろすと、真ん丸の小さな頭が目に入る。
「なまえ……なあに?」
「……はい?」
「なまえ!」
「あ、わたしの? シャルロッテ・ル……、……ローズクォーツです」
「シャ……ロッ……ト……? ……シャーロット」
「シャルロッテ……まだ難しいです? と言うか、地域によって発音が違うんでしたっけ……? まあいっか。ふふ、シャーロットですよ~」
「シャーロット……!」
「はぁい。……さて、何処の子でしょう……迷子ですかねぇ」
年の離れた妹の相手をして来た成果か、わたしはその小さな女の子にすっかり懐かれたようで、足元に纏わりつかれる。
しかし周りを見ても保護者らしき人物は見当たらず、屈みながら手を繋いで歩くことにした。幸い行き先はまだ決まっていないのだ、時間だけはたっぷりある。
まずは、この寒空の下で彼女を探し回っているであろう保護者を見付けなくては。
「シャーロット、あったかい」
「ふふ、なら良かったです」
よく見れば彼女は片方の手袋が脱げており、すっかり冷えてしまっている小さな手を握り熱を与えながら、その慣れない小さな足取りを追う。
彼女の一挙一動に意識を向けていたせいか、いつの間にか、これからの不安なんて感じなくなっていた。
まだ拙い言葉で会話をする、歩き始めたばかりにも思える小さな女の子。幼い頃のリーゼロッテを思い出し懐かしさを感じつつ、しばらく歩いて行くと大通りへと出た。
その先に、髪を振り乱し大声を上げ半狂乱になった女性と、数人の騎士らしき集団を見つける。
何やら面倒くさそうなので関わり合いにならないでおこうかと思ったが、赤茶の髪をしたその身なりのいい女性は、こちらを見るなり勢い良く駆け寄ってきた。
「お……お嬢様ぁあ!」
「えっ」
お嬢様、と呼ばれてつい反応してしまう。知り合いだったかと不思議に思ったが、その女性の手に握られた小さな片方の手袋と、雪で濡れるのも気にせず膝を付いてわたしの隣の女の子に抱き付くのを見て、彼女がこの子の保護者なのだろうと納得した。
「ああ、お嬢様、ひとりにさせて申し訳ありません!」
「アメリア、シャーロットいたからひとりじゃない」
「シャーロットさん、ですか……? あなたも、何とお礼を申し上げたら良いか……!」
「いえいえ~、お気になさらず」
「そんな訳には参りません、お嬢様を見失うなんて、侍女失格です……。あなたが居なければ、この可愛らしい天使がどうなっていたか……!」
「あはは、手を繋いでても手袋が脱げちゃったなら仕方ないですよ~。小さい子って、抜け出したり走り回るの得意ですし」
保護者に会えたにも関わらず、特に気にした素振りのない少女に、思わず肩を竦める。
今にもまた、どこかに行ってしまいそう。ふわふわとした白いコートを纏った少女は、浮き雲の如くとても自由だ。
「うう……お嬢様の恩人をこのまま寒空の下お帰しする訳には参りません、どうぞ屋敷までいらして下さい。すぐそこに馬車が控えておりますので! さあ!」
「いや、でも……」
「お嬢様の恩人に何も出来ずみすみすお帰しする等、このアメリア、亡き奥様に何とお詫びすれば良いのでしょう!?」
「……はあ……じゃあ、少しだけ……」
とんでもなく押しが強い。町中で土下座しかねない勢いのアメリアという女性を宥めつつ、ちらりとお嬢様と呼ばれた女の子を見下ろす。
この子も、母親を亡くしたのか。まだ二歳か三歳頃だろうか、こんなにも小さいのに。自分の過去と重ねては、思わず眉を下げる。
しかしまだ幼く、親代わりの彼女に心配をかけたことすらも分かっていないのだろう。今にもまた走り出したそうにうずうずしており、天使のような見た目に似合わず随分とお転婆なようだ。
また逃げられてはかなわないと抱き上げると、冬の寒さを忘れさせてくれるような柔らかな春色の髪をしたその小さな天使は、久しく見ていない澄んだ空色の瞳をこちらへと向ける。
その小さな春の日溜まりのような温もりはとても心地よく、心も身体も芯まで冷えていたわたしは、彼女の邸宅までその熱を離すまいと抱き続けた。
*******
案内されたお屋敷は予想より遥かに大きく、抱えている間に眠ってしまったこの小さな子が、わたしでも知っている『戦争の英雄モルガナイト公爵』のご令嬢だと知り驚いた。
通された立派な応接室で出された紅茶はとても美味しく、身体もすっかりぽかぽかになる。
首都の公爵家の邸宅。本来なら誰もが緊張するであろうこの場所で、わたしは寛ぎながらのんびりと家主を待った。
しばらくして、仕事を終えて飛んで来た様子の男性、この屋敷の当主であるモルガナイト公爵にも散々礼を言われ、幼い令嬢が本当に大切にされているのだと実感した。
わたしも幼い頃は、父と母にこんな風に真っ直ぐに愛されていたのだろうか。今となっては、田舎の村で過ごした時間よりもルビー侯爵邸で過ごした時間の方が長くなってしまったから、少し朧気だ。そのことが、少し寂しかった。
そのまま晩餐にも招かれ、美味しいご飯に僅かに残っていた緊張もすっかり解けた結果、ついつい身の上話や仕事を探していることを話してしまい、それならと屋敷でメイドとして雇って貰えることが決まった。
モルガナイト公爵は戦争で功績を上げた騎士だ、剣や盾も扱うルビー侯爵家とも何度か交流があったらしく、わたしの身元を引き受けるときちんと手紙も書いてくれるそうだ。
まさに至れり尽くせりだった。そのままその夜は客間をお借りして泊まり、メイドの制服が出来次第早速仕事にありつける。
寒空の下で途方に暮れ一夜を明かさずに済んだのは、あの時突っ込んできてくれたお転婆お嬢様のお陰である。
アメリアさんからすれば死ぬほど心配だっただろうけれど、わたしからすれば、幸運を運ぶ天使のようだった。
*******
「ああ、そうだ。きみを屋敷で雇うにあたって……名前はどうする? シャルロッテ・ルビーの名は伏せた方がいいかい?」
「そうですねぇ……ルビー侯爵家とは縁を切りましたし……」
渡された路銀はつまり、手切れ金だろう。元より他の貴族の前でルビーの名を名乗るつもりもない。
わたしは届いたばかりの真新しいメイド服に身を包み、新しい雇い主の前に立つ。
足元には、すっかり懐いたこれからお仕えする小さなお嬢様。
満面の笑みを浮かべこちらを見上げる様子に、思わずつられて笑みを浮かべる。
「シャーロット! あそぼ!」
「ふふ。また後で遊びましょうねぇ。まずはお仕事を覚えないと」
「シャーロット、おしごと?」
「はい。シャーロットは……『シャーロット・ローズクォーツ』は、今日からお嬢様の専属メイドですから」
これが、ある冬の朝。わたしが春色をしたお嬢様のメイド『シャーロット・ローズクォーツ』になった日。
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