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第二話 聖魔導師ディアナを巡る恋の予感
11 レヴァンとレオン 恋する男達
しおりを挟む木々の間から現れたのは、金色の髪の所々に緑の葉をつけているレオンだった。
恐らく生い茂る樹の後ろに隠れていたからこそだったのだろう。
何ともお間抜けな姿である。
だがそんなお間抜けな姿なのは表面だけ。
レオン自身そして彼の目の前にいるレヴァンもその内に秘めた熱い想いを抱いている女性は同一人物であり、また恐らくどちらもお互いに譲る気は毛頭ない!!
そう、彼らにとってディアナと言う女性は、女神にも等しい存在なのだから……。
「あんたは一体何者なんだっ、そして何故何時もディアナをつけ狙うっっ」
「そう言うお前は何故――――そう何故なんだ、この三年以上もの間俺と彼女の後をつけている!!」
レオンからしてみればレヴァンのそれは絶対に認めたくはないがっ、如何……百歩譲ってやったとして、レヴァンの行為は多少感情駄々漏れだが明らかにディアナを護っているとしか見えない。
そしてレヴァンから見てもレオンの行為こそ褒められたものではないが、千歩譲ったとしてもレオンのその行動もやはり感情は駄々漏れ……然もレオンの方はこの時だけでなく、彼女が医療所にいる間ずっとなのだっっ。
ディアナが、彼女がこの上なく大切で、そして何者からも護りたいと、何時如何なる所でも彼女が安心していられる様に、彼女を心から慕う男達は傍目から見て愚かしいと思える行動でも何かをせずにはいられなかっただけ故の事。
ただお互いに何となく傷口を舐め会う様な気分になるのは、愛おしい女性が彼らの想いに全くと言って気がついていない所為なのかもしれない。
まぁそれは今に始まったものではない。
何故ならレオンは三年半前に出逢った時からであったし、一方レヴァンに至ってはそれこそ……。
だがそれが一体何だと言うのだろう。
こうしてお互い相みまえるまでもなく、少なくとも三年半前よりお互いの存在を認知していた。
ディアナに恋情を抱くと同時に、その彼女の傍にいるお互いの存在に対して激しい嫉妬と言う業火で自分達の胸の奥にある秘めたる部分を消える事無く、またこうして相まみえている間も燃やし続けている。
レヴァンから見たレオンと言う存在はディアナがこの国で聖魔導師として、彼女に許された僅かな自由な時を満喫する為には欠く事の出来ない存在である事。
そしてそんなレヴァンは自身が現時点でレオンより劣っている事等十分過ぎる程理解している。
でもだからと言って『はいそうですか』と簡単に諦め切れる想いではないのだ。
諦められない――――彼女を諦められないからこそ、今レヴァンは足掻きに足掻いている。
公に口に出して想いを告げる事は許されない。
そんなレヴァンにしてみれば、レオンと言う男は何とも羨ましい存在なのだ。
誰に憚る事もなく光り輝く太陽の下、自身の口と態度で以って愛しい女性へ胸の内で燃え盛る熱い想いを堂々と伝える事が出来る。
同性としてどれ程に羨ましい事だろう。
譬え恋する女性に気付いて貰えないと言うオチがあるにせよ、レヴァンの魔力監視下に置いて少なくともレオンはディアナへ三度告白をしている。
ただ全て彼女に気付いて貰える事はなかった。
その度にレヴァンは酷く安堵したと共に、同性として何とも同情の念を抱いた事は秘密である。
しかしレヴァンにはその行動すら今は許されない。
どの様な理由と秘密があるにせよ、今のレヴァンに許されるのは外出する彼女の往復路……ほんの僅かな距離だがそれも彼女や周りに知られない様に姿を変え、気持ちを抑えてガードするだけなのだ。
たったそれだけがレヴァンに許された彼女との逢瀬。
それは何時も何処か一線を引いている彼女ではなく、身分も障害も何もなく素の彼女と触れ合える至上の喜びの一時。
その何物にも代え難い喜びの時をっ、何故にストーカー宜しく監視されなければいけないのかっっ。
レヴァンにとって目の前のレオンは邪魔者以外何者でもないがしかし――――愛する女性にとっては必要な者。
それはレオンにとってもそうなのだ。
レヴァンの背景までは彼は知らない。
だが同じ愛する女性を想う気持ちは理解出来る。
レヴァンがディアナを護ろうとしている事を……。
そう理解は出来るがしかし――――っっ!?
「「なんであんた(何故お前)が彼女の傍にいるんだっっ!!」」
二人同時に同じ台詞を声高に叫ぶ。
*後日加筆するかもです。
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