3 / 75
第一章 回想
2 美琴Side Ⅱ
しおりを挟む私が物心つく前……ううん、きっと生まれるまえからパパはお仕事が忙し過ぎて余り家にいない。
忙しい私のパパのお仕事はお医者さんだったりする。
パパの病院とはほんの目と鼻の先に我が家がある。
因みに玄関からでも十分見る事が出来るくらいにその距離は近い。
そしてママも看護部長としてパパの病院で勤務し、パパを公私共に支えている仲良し夫婦である。
年中仕事が忙しく中々自由は利かないパパとママだけれども、それでも家族がめっちゃ大切で、やっとの事で家族揃って時間を過ごせるんだ―って時に限って必ずと言っていい程私は柾兄と一緒にいた。
だってパパよりもママよりも何時も私の傍にいて、私の相手をしてくれているのは柾兄なんだもん。
懐かない方が可笑しいでしょ。
でもパパはそんな私達を見て子供みたいに焼きもちをぷくぅ~っと膨らませるのはわからないでもないけれど、私の中では何時の頃からか柾兄はめっちゃ大切な人。
それにね、普通3歳くらいの女の子達は『大きくなったらパパのお嫁さんになるぅー』って言うのが定番だけれど、私の場合は『大きくなったら柾兄のお嫁さんになる』って誰彼なしに言っていた……らしい。
あはは、今思えばめっちゃ恥ずかしい事してるやんって、自分自身で穴があったら入りたいくらいやわ。
だけどめっちゃお子様でおませな私へ柾兄は何時も『いいよ』って、優しげに笑って答えてくれたの。
こう言う所は流石に英国人のお祖母ちゃんの血を引いているなぁって思ってしまう。
それに周りもと言うか私の両親や柾兄のお母さんの美咲伯母さん共に、パパの経営する病院を何時か柾兄が継いでくれるだろうと、何と言うか暗黙の了解的な結婚OKオーラが自然と漂っていたのかもしれない。
そうして時は流れ私が6歳になった頃柾兄は国立の医大へ見事現役合格した。
国内トップクラスのK大合格だけれど6歳の子供に言ってもね、ただ周りが喜んでいたし柾兄もれ嬉しそうにしていたから私も当然嬉しかった。
ただこの頃から柾兄はお勉強も忙しいくなり、また将来の跡取りとしてパパと一緒にいる時間が多かったけれども、それでも時間が出来ると『美琴の事は忘れてはいないよ』って言う言う様に、私が寂しくないよう時間を作っては相手をしてくれていた。
家にはちゃんとママもいるって言うのにおまけに隣には柾兄のお家だし、然も奥では往き来できる様に繋がっているんだから美咲伯母さんとも何時も一緒。
ただし皆が家にいれば……ね。
美咲伯母さんもママと同じ看護師だもん。
でも6歳にもなればそんな忙しい環境にも慣れてくる訳で、そんな忙しい日々の中でも家族皆が常に幼い私へ気を遣ってはくれているんだよ。
だから少し寂しいと感じても私は何時も笑って『大丈夫、寂しくないよ』と言ってお気に入りの大きなクマのぬいぐるみを抱き締めて寂しさを紛らわせていたよ。
だってこの子は柾兄が4歳の誕生日にプレゼントしてくれた、青い大きなリボンをしたくまさんのぬいぐるみなんだよ。
きいちゃんと命名したぬいぐるみと一緒ならば何も寂しいとは感じない。
夕方遅くにはママか美咲伯母さんが必ず保育園へ迎えに来てくれるもん。
ごく偶にパパのお迎えだってあるんだもんね。
だからそれまでの辛抱。
でもね、パパやママそれに美咲伯母さんが傍にいてくれてても、私にとって柾兄がいるのといないのとでは月とスッポン程に違うのだっっ。
小学生になって変わった事はそれまで家と保育園と柾兄が全てだった私に、眞凛という親友が出来た事。
そして保育園とは違い学校では沢山のお友達も出来た。
更には数えきれないくらいめっちゃ新しい発見をしていく中で私の身体も幼児から小児、そして女性としての身体が、そして心も少しずつ変わっていくお年頃。
それと同時に柾兄も大学生から卒業してとうとうパパと一緒のお医者さんになっていた。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
君と命の呼吸
碧野葉菜
青春
ほっこりじんわり大賞にて、奨励賞を受賞しました!ありがとうございます♪
肺に重大な疾患を抱える高校二年生の吉川陽波(ひなみ)は、療養のため自然溢れる空気の美しい島を訪れる。 過保護なほど陽波の側から離れないいとこの理人と医師の姉、涼風に見守られながら生活する中、陽波は一つ年下で漁師の貝塚海斗(うみと)に出会う。 海に憧れを持つ陽波は、自身の病を隠し、海斗に泳ぎを教えてほしいとお願いするが——。 普通の女の子が普通の男の子に恋をし、上手に息ができるようになる、そんなお話。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
後宮の偽物~冷遇妃は皇宮の秘密を暴く~
山咲黒
キャラ文芸
偽物妃×偽物皇帝
大切な人のため、最強の二人が後宮で華麗に暗躍する!
「娘娘(でんか)! どうかお許しください!」
今日もまた、苑祺宮(えんきぐう)で女官の懇願の声が響いた。
苑祺宮の主人の名は、貴妃・高良嫣。皇帝の寵愛を失いながらも皇宮から畏れられる彼女には、何に代えても守りたい存在と一つの秘密があった。
守りたい存在は、息子である第二皇子啓轅だ。
そして秘密とは、本物の貴妃は既に亡くなっている、ということ。
ある時彼女は、忘れ去られた宮で一人の男に遭遇する。目を見張るほど美しい顔立ちを持ったその男は、傲慢なまでの強引さで、後宮に渦巻く陰謀の中に貴妃を引き摺り込もうとする——。
「この二年間、私は啓轅を守る盾でした」
「お前という剣を、俺が、折れて砕けて鉄屑になるまで使い倒してやろう」
3月4日まで随時に3章まで更新、それ以降は毎日8時と18時に更新します。
マキノのカフェ開業奮闘記 ~Café Le Repos~
Repos
ライト文芸
カフェ開業を夢見たマキノが、田舎の古民家を改装して開業する物語。
おいしいご飯がたくさん出てきます。
いろんな人に出会って、気づきがあったり、迷ったり、泣いたり。
助けられたり、恋をしたり。
愛とやさしさののあふれるお話です。
なろうにも投降中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
思い出のムーンライト 〜遠き過去の3年間〜
ゼムス侯爵🌉
恋愛
内航船船員28歳のZは満たされない日々にやりきれなさを感じていた。そんなとき交通事故に。
そして自宅療養の期間中。街なかのコンビニで中学時代片想いだったYと13年ぶりに再会。
婚約中のYだったが、Zとメール交換が続いた。
果たして片想いだったのか?両想いだったのか?
48歳の著者自身の古い記憶の視点で語る、過去20年前の生まれ変わりのきっかけとなった実話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる