行き遅れの王女様は年下イケメン公爵と恋に落ちる？

第一章 出会い？

告白

「何故私が他の女性と逢うと思われたのですか？」



　そう言って公爵は目の前で立ち去ろうとする私の腰へするりと、そして手早く腕を絡からめてきた。



「な…な…公爵っっ!?」



　吃驚びっくりしたのは私の方だっっ!!




　幾ら年下とはいえ…公爵は立派な成人男性。




　私の抵抗など皆無かいむに等しいのだっっ!!




　公爵はパニックに陥おちいっている私を嫣然えんぜんたる笑みで見つめて、そのまま自分の方へと抱きよせ…あろう事か、自身の身体を屈かがめて私の首の付け根にその美しい顔を静かに埋うずめる。



「な…何をなさっているのですっっ、ぶ…無礼にも程がありますっっ!!　さぁ早くお放しになって!!」



　私は無駄だとわかっていながらも、必死で抵抗を試みる…だけどあまり騒いでしまったらそれこそ――――一巻いっかんの終わりだ。



　ところが公爵は一向いっこうに私を放そうとはしてくれない。



　一体この青年は何を考えているのだろう…？



　そんなに年増女をからかいたいのだろうか…だとすれば、この行為はとても許す事等出来ないっっ!!



「公爵…お願いですからお放しになってっっ」



　それでも放さないどころか――――っっ!?




「ひゃんっっ!!」



　私の首筋を公爵の生温かな舌がぺロリ…とゆっくり舐めあげた。




　その瞬間、背筋がゾクゾクするものが一瞬にして走る。



「あぁ…なんて素晴らしい…可愛い女性ひとだ。これも貴女の魅力の1つなのですね…私の王女」



　はあぁぁ―――――っっ!?



　なに？



　何が何故…？



　どうして私が貴方のモノなのっっ!!



　いやいやいやいや私…年下興味ないので…。



　年上過ぎても問題なのだけど…、そもそも結婚は殆ほとんど諦めていますから。




「お願い…ですから、お放しくださ…きゃんっっ!!」



　そう懇願し…身じろいでいると、今度は耳朶みみだぶを食はんできた。



　思わず上がる声に私はまたも吃驚するのと、首筋を舐められたり…耳朶を食まれたりそれを舐められたりされる事で、そこから次第にじんわりと熱が伝わって来てしまう。



「可愛い方だ…夕方の貴女の行動にも惹かれましたが、貴女のこの白く雪の様な…それでいて吸いついてしまう肌がなんと心地よい事か…」



「そんな…お遊びならどうか…余所よそでやって下さいませ。私はその様な事に…慣れてはおりません」


　公爵の身体はその見かけと大きく違い…胸や腕は鋼はがねかと思うくらいに硬くて逞しい…とさえ思うけど、こんな…何時人が来ても可笑しくない様な所で…いえ、例え人が来ない所であっても…私には王族としての矜持きょうじがある。



　こんな風に弄もてあそばれるくらいならいっそ…舌を噛み千切ってでも…っっ!!



　どうにもならない力の差が悔しくて、泣きたくないのに涙が一筋流れてしまう…。



「あぁ…可愛い女性ひとよ、私は遊びで貴女とこうしている訳ではありません。私は正式に陛下へ貴女の夫となりたいと願い出るつもりです…が、その前にどうしても貴女へ私のこの想いを知って欲しかったのですよ。泣かないで…愛しいアン」




　結婚――――っっ!?



　私がこの女ったらしと有名で且かつ年下の公爵とっっ!!



　嘘…。



　有り得ないでしょう。





　でも…今告白されたわよね。



　何故私を？




　わからない…何がなんだか、わからない事ばかりだわ。



　だけどただわかっているのはそう言いつつ私の身体から一向に離れてくれないって事。



　兎とに角かくこの場は離れて貰わなければ…本当に誰かに見られ―――――っっ!?



「――――――――――っっ!!!!」




「やぁ…悪いね、今取り込み中みたいだね…では…失礼」



　み…見られた～～～～～～っっ!!!



　まさに私の首筋をまたもやペロンと舐められている所を…そして私がはしたない悲鳴を上げた所を…よりにもよって口の軽いローデン伯爵に見られてしまった。



　あ゛あ゛～～～～～～～もう終わりだ…。



　如何どうしよう…そしてどうしたらいいのっっ!!



　ねぇ…誰か教えてっっ、そしてこの状況を何とかしてっっ!!!