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第一章  出会い?

約束

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「ねぇ…アン…アン叔母様ってば聞いていらっしゃいますの?」



「――――っ、御免なさいルーレシア」



 少し考え事をしていたものだから…とアンフィリアンは愛しいめいへ謝罪する。



「何を…今夜の舞踏会のコトでも考えていらっしゃったの?」



 ふぅ…と溜息ためいき1ついてから、にこりとルーレシアへ微笑む。



「そう…ね、今夜も出席する様にお父様から命令れされているものだから…つい…ね」


「アンが夜会を嫌がってらっしゃるのはよくわかってます…でも今夜だけはどうしても来て欲しいのっっ」



 そう…今夜は可愛いルーレシアの社交界デビューの舞踏会…肉親として喜ばしい事なの…だけど、自身の身の上を置き換えるれば諸手もろてを挙げて喜んでもいられない。



 だけどもう…慣れている、行き遅れの王女なんてささやかれる事には…。



 可愛い姪の為に今夜は何としても出席しなければならない事も…。



「大丈夫よ、じゃあ夜会で会いましょう。ほら…早く支度をしなければ…今夜は貴女が主役なのよ。今から完璧に準備をして…広間で美しい貴女を見せて頂戴な。でも…気をつけるのよ、ろくでもない狼達が貴女を狙っているのだから…何かあれば私の傍へいらっしゃいな」


「ええ…きっとアンの傍を離れたりしないわ、私…如何どうしてアンが男性にモテないのかわかりません。いいえ…そうアンは私達だけの大切な存在なのですもの。世の男性方にアンを取られたく等ありませわっっ」



 そう言ってルーレシアはアンの胸に顔をうずめてきた。



 アンの豊満な胸はとても気持ち良く…胸に限らず彼女の持つ肌は触れると吸いつくような心地の良いもので、同性達でさえ彼女の肌に憧れる者は数知れず。



 そしてこっそりと彼女の知らない所ではファンクラブも作られているとか…?



 暫くして十分彼女を堪能たんのうしたルーレシアは侍女達に促され、部屋を後にした。



「ルーレシア様は益々ますますお美しくおなりになられましたね…アン様」


「ええ…本当に。だけど今夜はそのルーレシアを品定めに来る狼達がはっきり言ってウザいわ。王族だから仕方ないのかもしれない…だけど、あのにはどうか幸せになって欲しいもの」



 自分は結婚出来なかったけど…でも、だからと言って今が不幸ではない。

 

 まぁ…今でも結婚結婚と五月蠅うるさい両親と兄がイヤなだけで、後は公務もきちんとこなし…お友達とも交流を深めたり…何より夫に束縛されない自由がある。



 そう…なにも結婚こそが女性の幸せではない…筈。



 う~んでも…少しは憧れ…というモノはあるけれど、今は深くは考えていない。



 どんなものにも幸せはある筈なのだから…。



 そう考えて彼女はソファーから立ち上がり衣裳部屋へと移動する。



「どちらへお出かけになられるのですか?」


 これから夜会の準備がありますのに…と、侍女のクレアが吃驚びっくりしている。



「ちょっと走ってくるわ…気分転換してからでないと、どうも…ね」



 それに今夜も主役ではないのだから…、顔を出すだけならば少しくらい遅くても問題はないでしょう…と乗馬服へと着替えて部屋を後にした。



 残されたクレアは仕方ないとばかりに、主人が帰って直ぐ仕度が整えられる様に準備をする事にした。




「アイザック」


 そう呼ばれて振り返ったのは王室付き馬房ばぼう係のやや白髪交じりの男性だった。



「アン様…シェーラザードですか?」


「ええ…少し気分転換にね、最近公務も忙しかったから彼女の相手もしてられなかったし…ね」



 シェーラザードは彼女の愛馬だ。



 真っ白な身体に金色の美しいたてがみをしている。



「シェーラ…久しぶり元気にしていたかしら? 御免なさいね…忙しくて中々一緒にいてられなくて…」


 それでもシェーラザードは怒る訳でもなく、アンに甘える様自身の身体をこすりつけてくる。

 

 アンもそんな彼女が愛しかった。



「じゃあ行ってくるわね」


 
 そう言ってシェーラへと慣れた手付きでまたがる。



「誰か供の者は…っっ」



 仮にも彼女は1国の王女なのだから…と、アイザックは心配するけどもアンはそんな者必要ない…と勢いよく掛けて行った。






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