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第二部 第一章 新しい出会いと新たな嵐の予感
18 静かに忍び寄る嵐 Ⅱ
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「だって、二人を見ていたらそんな感じに思えて……」
「エヴァ様っ、お願いで御座いますからその様な事は冗談でも仰らないで下さいませっっ」
おまけに何をどう見るとそうなるのか……アナベルにとっては最早皆目見当がつかない状態であったのだが、兎に角目の前にいる愛すべき主の誤解を逸早く解かねばいけないと、またこれ以上の爆弾投下には我が身が持たないと、彼女は即判断したがしかしエヴァはまだまだ納得出来ていないらしい。
またもじもじと小動物の様に可愛く上目遣いのエヴァは、彼女にとってとんでもない破壊力満点なのだ。
そんな破壊力満点のエヴァを見て、少しでも気が緩めば鼻息が荒くなってしまいそうになるのだっ、そこはなんとしても己を律し綻び掛けた理性を掻き集め、冷静な侍女……と言う仮面を着けなければいけないと笑いを堪え?
いやいやもう完全に失笑しているだろうアイザックに、これ以上弱みを見られたくない――――というのもアナベルの本心でもある。
そして愛すべきエヴァは何かしら答えが欲しいと、先程より何度もちらちらとアナベルを何度も見つめていたりするのだ。
「え、でも……」
はあぁぁぁ……どうしてこんな事になったのだろうか。
それにしても一体何の公開処刑なのだろうかとアナベルは思いつつも、自分にとっての一番は当然エヴァある事は今も昔も……そしてこれより先も間違いはない。
エヴァこそがアナベルにとって一番大切な存在なのだと、今一度はっきり告げる必要があるのだと、彼女はそう決意し公開処刑上等っ、とばかりに口を開く。
「あの、エヴァ様、私がお慕いしておりますのは……」
「お慕いしているのは?」
アナベルの発する言葉にキラキラと瞳を輝かせ、小首ををこてんと傾げ鸚鵡返しに呟くエヴァの姿に、アナベルは脳内で『超絶悶絶可愛過ぎますっっ』と思いっきり悶えている所為なのか、興奮して上手く二の句が発せられないでいた。
「お、お慕い……してっっ」
そんな緊張満載なアナベルを見て察したエヴァは自分なりに考察する。
「んーもしかして……」
「お、お、おお慕いして……」
恋うる想いを相手へ告げると言う行為は、途轍もなく緊張してしまうものであるのかとエヴァは納得すると共に大きく頷いてみせた。
そして中々カミングアウトの出来ないアナベルへ、安心して行える様に優しく声を掛ける。
「うん大丈夫よアナベル、落ち着いて頂戴。それに私ちゃんとわかっていてよ」
「はい? あ、あぁ本当で御座います……か?」
「ええ、本当に、アナベルってば年上なのにそういう所が本当に可愛いのね」
エヴァ様がわかっていらっしゃるって、私がもう十三年前よりお慕いしている事をちゃんと気付いていらっしゃっていたのですか?
流石はエヴァ様っ、それにっ、可愛いと、私を可愛いと仰って頂けただけでもう譬え今死んでも絶対に後悔なんてしませんわっっ!!
「え、あ、その……」
あ、あまりの感激と溢れる想いでアナベルは自然と声が上擦ってしまいます。
「大丈夫よ、私に任せて、決して悪い様にしないわ」
「あ、え、エヴァ様ほん……とうに?」
悪い様にしない……とはエヴァ様、では私を一生エヴァ様のお傍に置いて頂けるのでしょうか?
「ええ、でもまさか、いえあり得ない事ではないわね。この様なに近しい間柄ですもの。そう、これは自然の成り行きなのよっっ」
「はあ……」
そうに御座いますわね。
この十三年間私達はほぼほぼ二人きりでしたものっっ。
そうですよねっ、これは仰る通り自然の成り行きに相違御座いませんわっっ。
「まさかアナベルの恋のお相手がアイザックではなく――――マックスだったのねっっ」
「は? へ……あ、その……え、えええええええぇぇぇぇぇぇ――――っっ!?」
「うふ、照れちゃって可愛いアナベル」
遂にエヴァは爆弾だけで飽き足らず原爆までも投下してしまった。
それに驚きの声を上げたのは先程まで彼女の言葉にうんうんと感慨深く頷いていたアナベル。
「い、いえ、いえいえこれは照れて等っっ!?」
「私は何時でも恋する乙女の味方よ、アナベル」
「い、いえ違い……」
「丁度今日はマックスがエスコートって事は……もしかしなくてもアイザックは最初からわかっていたの?」
「え、エヴァ様〰〰〰〰!!」
必死の形相でアナベルが全否定するも、当のエヴァは一向に理解していない様子どころか、エメラルドグリーンの瞳をウルウルと潤ませ、恋する乙女なるモノを今迄読み漁った小説と被せてうっとり想像していた。
今エヴァの中ではアナベルを求めてやまないアイザックとマックスとの恋模様。
「ぷふっ、ははは……もう許して下さい、これ以上はお腹が捩れそうですよエヴァ様」
「え? 何? どうしたの。まぁヨルムまで……」
そんな二人の遣り取りを見るに耐えかねたアイザックは身体を二つに折ってこれ以上ないくらいに笑っているし、一方ヨルムも一応平静を装いつつも失笑が隠し切れてはいない。
また誰よりも悲愴な表情をしているアナベルに、エヴァは何か可笑しな事を言ったかしら……と首を傾げていた。
そんな状態の中馬車は一路王宮を目指し走っている。
そもそもどうしてエヴァとアナベルがアイザック達と馬車に乗り王宮へ向かっているのかというと、あれはそう、今から一ヶ月程前へと遡る。
「エヴァ様っ、お願いで御座いますからその様な事は冗談でも仰らないで下さいませっっ」
おまけに何をどう見るとそうなるのか……アナベルにとっては最早皆目見当がつかない状態であったのだが、兎に角目の前にいる愛すべき主の誤解を逸早く解かねばいけないと、またこれ以上の爆弾投下には我が身が持たないと、彼女は即判断したがしかしエヴァはまだまだ納得出来ていないらしい。
またもじもじと小動物の様に可愛く上目遣いのエヴァは、彼女にとってとんでもない破壊力満点なのだ。
そんな破壊力満点のエヴァを見て、少しでも気が緩めば鼻息が荒くなってしまいそうになるのだっ、そこはなんとしても己を律し綻び掛けた理性を掻き集め、冷静な侍女……と言う仮面を着けなければいけないと笑いを堪え?
いやいやもう完全に失笑しているだろうアイザックに、これ以上弱みを見られたくない――――というのもアナベルの本心でもある。
そして愛すべきエヴァは何かしら答えが欲しいと、先程より何度もちらちらとアナベルを何度も見つめていたりするのだ。
「え、でも……」
はあぁぁぁ……どうしてこんな事になったのだろうか。
それにしても一体何の公開処刑なのだろうかとアナベルは思いつつも、自分にとっての一番は当然エヴァある事は今も昔も……そしてこれより先も間違いはない。
エヴァこそがアナベルにとって一番大切な存在なのだと、今一度はっきり告げる必要があるのだと、彼女はそう決意し公開処刑上等っ、とばかりに口を開く。
「あの、エヴァ様、私がお慕いしておりますのは……」
「お慕いしているのは?」
アナベルの発する言葉にキラキラと瞳を輝かせ、小首ををこてんと傾げ鸚鵡返しに呟くエヴァの姿に、アナベルは脳内で『超絶悶絶可愛過ぎますっっ』と思いっきり悶えている所為なのか、興奮して上手く二の句が発せられないでいた。
「お、お慕い……してっっ」
そんな緊張満載なアナベルを見て察したエヴァは自分なりに考察する。
「んーもしかして……」
「お、お、おお慕いして……」
恋うる想いを相手へ告げると言う行為は、途轍もなく緊張してしまうものであるのかとエヴァは納得すると共に大きく頷いてみせた。
そして中々カミングアウトの出来ないアナベルへ、安心して行える様に優しく声を掛ける。
「うん大丈夫よアナベル、落ち着いて頂戴。それに私ちゃんとわかっていてよ」
「はい? あ、あぁ本当で御座います……か?」
「ええ、本当に、アナベルってば年上なのにそういう所が本当に可愛いのね」
エヴァ様がわかっていらっしゃるって、私がもう十三年前よりお慕いしている事をちゃんと気付いていらっしゃっていたのですか?
流石はエヴァ様っ、それにっ、可愛いと、私を可愛いと仰って頂けただけでもう譬え今死んでも絶対に後悔なんてしませんわっっ!!
「え、あ、その……」
あ、あまりの感激と溢れる想いでアナベルは自然と声が上擦ってしまいます。
「大丈夫よ、私に任せて、決して悪い様にしないわ」
「あ、え、エヴァ様ほん……とうに?」
悪い様にしない……とはエヴァ様、では私を一生エヴァ様のお傍に置いて頂けるのでしょうか?
「ええ、でもまさか、いえあり得ない事ではないわね。この様なに近しい間柄ですもの。そう、これは自然の成り行きなのよっっ」
「はあ……」
そうに御座いますわね。
この十三年間私達はほぼほぼ二人きりでしたものっっ。
そうですよねっ、これは仰る通り自然の成り行きに相違御座いませんわっっ。
「まさかアナベルの恋のお相手がアイザックではなく――――マックスだったのねっっ」
「は? へ……あ、その……え、えええええええぇぇぇぇぇぇ――――っっ!?」
「うふ、照れちゃって可愛いアナベル」
遂にエヴァは爆弾だけで飽き足らず原爆までも投下してしまった。
それに驚きの声を上げたのは先程まで彼女の言葉にうんうんと感慨深く頷いていたアナベル。
「い、いえ、いえいえこれは照れて等っっ!?」
「私は何時でも恋する乙女の味方よ、アナベル」
「い、いえ違い……」
「丁度今日はマックスがエスコートって事は……もしかしなくてもアイザックは最初からわかっていたの?」
「え、エヴァ様〰〰〰〰!!」
必死の形相でアナベルが全否定するも、当のエヴァは一向に理解していない様子どころか、エメラルドグリーンの瞳をウルウルと潤ませ、恋する乙女なるモノを今迄読み漁った小説と被せてうっとり想像していた。
今エヴァの中ではアナベルを求めてやまないアイザックとマックスとの恋模様。
「ぷふっ、ははは……もう許して下さい、これ以上はお腹が捩れそうですよエヴァ様」
「え? 何? どうしたの。まぁヨルムまで……」
そんな二人の遣り取りを見るに耐えかねたアイザックは身体を二つに折ってこれ以上ないくらいに笑っているし、一方ヨルムも一応平静を装いつつも失笑が隠し切れてはいない。
また誰よりも悲愴な表情をしているアナベルに、エヴァは何か可笑しな事を言ったかしら……と首を傾げていた。
そんな状態の中馬車は一路王宮を目指し走っている。
そもそもどうしてエヴァとアナベルがアイザック達と馬車に乗り王宮へ向かっているのかというと、あれはそう、今から一ヶ月程前へと遡る。
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