32 / 33
第三章 お城からのお触れと今更ながらに気づく諸事情
5 今更的な世界背景やその他諸々昔話もよ 天音Side Ⅴ
しおりを挟む
魔族だから魔法も自由に遣える。
今更ながらに私――――ドリゼラは魔法を行使する事が出来ていた。
そうあの瞬間まで……。
うんまあ今更ながらと人間だと言う天音の強い思い込みによって、この瞬間まで一時的に胎内で内包されているだろう魔力すらも感じなかったわ。
本当に思い込みとは恐ろしいものだと、我が身を以って知ってしまった感が否めない。
そうしてエラが入浴している間に私自身の魔力量とその力について完全に思い出し――――現在に至るのだっっ。
私自身の魔力量は下位の貴族令嬢にしてみればどうやら随分と多い。
それから魔法属性は当然私は純粋魔族だからして闇――――ではなく、何故か無属性と言いますか若干の闇属性の魔法を行使する事も可能だけれどどちらかと言えば癒し系魔法が、そして魔族には到底あり得ない事に聖属性の魔法の方が実にしっくりとくるのだ。
ただし本当にこれは純粋魔族にとって絶対にあり得ない事!!
また許されざる事なのだとっ、父方のお祖父様であるトレメール侯爵とお祖母様のトレメール侯爵夫人の両名は元より亡きお父様とお母様、そして亡きお父様の姉君であるオードラン伯爵夫人を含む五名より私は物心のつく頃からずっと何度も安易に魔法を遣うなと、特に癒し系でも聖属性は絶対に遣ってはいけないと、まだまだ稚い幼児を掴まえ何度も昏々と注意を受けたっけ。
最初は本当に何故こんなに私ばかり注意されるのだろうと毎日泣き暮らしていた。
また泣く事により当然感情が高ぶり魔力も暴走しがちになるわで暫くの間妹のアナとも引き離され、祖父母のいるトレメール侯爵領で半ば……あーアレはもしかしなくとも軟禁?
いやいや監禁に近かったと思う。
何故なら碌に屋敷の外さえも出して貰えなかったのだ。
そうしてただ只管祖父母達によって一日も早く精神的な成長と魔力制御する事を学ばされた。
でも今ならば……いいえ今だからちゃんと理解出来るわ。
あの異常なまでの祖父母達の監禁紛いな行いが、実は私を思っての行動であったのだと……。
何故なら聖なる者は我々魔族を治める王達を討つ事の出来得る力を持つとされているらしい。
また癒す力は闇属性の者でも行使は出来るのだけれどもだっ、それはあくまでも闇属性の魔力で以って行う魔法。
でも私の癒しの力は闇ではなく聖属性であるのは疑いようもないらしい。
何と言っても漆黒の真っ暗闇の中、一条の光すらない空間でさえも私が一度聖属性の魔法を行使すればそこは見る間に慈愛に満ちた光の空間と化してしまうからである。
現在では天上界に住まうだろう穢れを知らぬ者の存在等記録上ではこの数千年の間確認はされてはいない。
だから現在進行形で聖属性の魔法を行使出来るのは恐らく私一人――――と言う事らしい。
本来ならば魔王様に仕える魔族として、また魔王様にとって不穏分子にしかなりえない私の存在は彼の忠実な臣下でもあるお祖父様により差し出されなければいけない。
先の魔王様より忠実な僕として仕えていらしたお祖父様なのだもの。
寧ろ魔族として当たり前の行動であり、そこに私の意思も存在すらも関係はなかった筈。
だがしかし結果我がトレメール一族は魔王様よりも孫娘の命を護る決意をした。
それがどのように許されざる行為なのかも幼かった頃の私頃には今一理解は出来ていなかった。
護られていると思うどころかあ、これ絶対に虐められているのだと、きっとお祖父様達のご不興を何処かで買ってしまったのかもしれないと、幼心に血の繋がった祖父母に可愛がられてはいないのだと言う事実に、また迎えにも来ない両親へ不信感だけを募らせていたものよね。
そうして私=ドリゼラは心を閉ざしていったのよ。
愛する家族達によって隠され、いなかったかの様に……違う事はわかっているっっ。
愛故の行いだと今だからわかっているけれどもっ、幼いドリゼラには拒絶としか思えなかったの。
だからドリゼラは何としても皆に認めてもらいたいっ、そして将来より良い相手と結婚する事で幼かった頃の悲しみや悔しさ、寂しさ等諸々の負の感情を糧に歯を食い縛って誰よりも立派な淑女へ、そうして誰よりも尊い魔族であれと願い育ってきたんだったわ。
本当は人一倍寂しがり屋な女の子だっただけなのにね。
両親の愛情を一身に受けて大らかに育ったアナを目の敵にしたのも全ては愛情の裏返し。
まあ元はと言えば口下手なお祖父様と感情表現の下手なお祖母様が事態を余計ややこしくしたのが始まりっちゃそうなのだけれども……ね。
そんな両名共亡きお父様のお陰で今は関係も良好だ。
あちゃ〰〰〰〰っ、結局またまた昔話で何も進んでないんじゃね。
今更ながらに私――――ドリゼラは魔法を行使する事が出来ていた。
そうあの瞬間まで……。
うんまあ今更ながらと人間だと言う天音の強い思い込みによって、この瞬間まで一時的に胎内で内包されているだろう魔力すらも感じなかったわ。
本当に思い込みとは恐ろしいものだと、我が身を以って知ってしまった感が否めない。
そうしてエラが入浴している間に私自身の魔力量とその力について完全に思い出し――――現在に至るのだっっ。
私自身の魔力量は下位の貴族令嬢にしてみればどうやら随分と多い。
それから魔法属性は当然私は純粋魔族だからして闇――――ではなく、何故か無属性と言いますか若干の闇属性の魔法を行使する事も可能だけれどどちらかと言えば癒し系魔法が、そして魔族には到底あり得ない事に聖属性の魔法の方が実にしっくりとくるのだ。
ただし本当にこれは純粋魔族にとって絶対にあり得ない事!!
また許されざる事なのだとっ、父方のお祖父様であるトレメール侯爵とお祖母様のトレメール侯爵夫人の両名は元より亡きお父様とお母様、そして亡きお父様の姉君であるオードラン伯爵夫人を含む五名より私は物心のつく頃からずっと何度も安易に魔法を遣うなと、特に癒し系でも聖属性は絶対に遣ってはいけないと、まだまだ稚い幼児を掴まえ何度も昏々と注意を受けたっけ。
最初は本当に何故こんなに私ばかり注意されるのだろうと毎日泣き暮らしていた。
また泣く事により当然感情が高ぶり魔力も暴走しがちになるわで暫くの間妹のアナとも引き離され、祖父母のいるトレメール侯爵領で半ば……あーアレはもしかしなくとも軟禁?
いやいや監禁に近かったと思う。
何故なら碌に屋敷の外さえも出して貰えなかったのだ。
そうしてただ只管祖父母達によって一日も早く精神的な成長と魔力制御する事を学ばされた。
でも今ならば……いいえ今だからちゃんと理解出来るわ。
あの異常なまでの祖父母達の監禁紛いな行いが、実は私を思っての行動であったのだと……。
何故なら聖なる者は我々魔族を治める王達を討つ事の出来得る力を持つとされているらしい。
また癒す力は闇属性の者でも行使は出来るのだけれどもだっ、それはあくまでも闇属性の魔力で以って行う魔法。
でも私の癒しの力は闇ではなく聖属性であるのは疑いようもないらしい。
何と言っても漆黒の真っ暗闇の中、一条の光すらない空間でさえも私が一度聖属性の魔法を行使すればそこは見る間に慈愛に満ちた光の空間と化してしまうからである。
現在では天上界に住まうだろう穢れを知らぬ者の存在等記録上ではこの数千年の間確認はされてはいない。
だから現在進行形で聖属性の魔法を行使出来るのは恐らく私一人――――と言う事らしい。
本来ならば魔王様に仕える魔族として、また魔王様にとって不穏分子にしかなりえない私の存在は彼の忠実な臣下でもあるお祖父様により差し出されなければいけない。
先の魔王様より忠実な僕として仕えていらしたお祖父様なのだもの。
寧ろ魔族として当たり前の行動であり、そこに私の意思も存在すらも関係はなかった筈。
だがしかし結果我がトレメール一族は魔王様よりも孫娘の命を護る決意をした。
それがどのように許されざる行為なのかも幼かった頃の私頃には今一理解は出来ていなかった。
護られていると思うどころかあ、これ絶対に虐められているのだと、きっとお祖父様達のご不興を何処かで買ってしまったのかもしれないと、幼心に血の繋がった祖父母に可愛がられてはいないのだと言う事実に、また迎えにも来ない両親へ不信感だけを募らせていたものよね。
そうして私=ドリゼラは心を閉ざしていったのよ。
愛する家族達によって隠され、いなかったかの様に……違う事はわかっているっっ。
愛故の行いだと今だからわかっているけれどもっ、幼いドリゼラには拒絶としか思えなかったの。
だからドリゼラは何としても皆に認めてもらいたいっ、そして将来より良い相手と結婚する事で幼かった頃の悲しみや悔しさ、寂しさ等諸々の負の感情を糧に歯を食い縛って誰よりも立派な淑女へ、そうして誰よりも尊い魔族であれと願い育ってきたんだったわ。
本当は人一倍寂しがり屋な女の子だっただけなのにね。
両親の愛情を一身に受けて大らかに育ったアナを目の敵にしたのも全ては愛情の裏返し。
まあ元はと言えば口下手なお祖父様と感情表現の下手なお祖母様が事態を余計ややこしくしたのが始まりっちゃそうなのだけれども……ね。
そんな両名共亡きお父様のお陰で今は関係も良好だ。
あちゃ〰〰〰〰っ、結局またまた昔話で何も進んでないんじゃね。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
元虐げられ料理人は、帝都の大学食堂で謎を解く
あきゅう
キャラ文芸
両親がおらず貧乏暮らしを余儀なくされている少女ココ。しかも弟妹はまだ幼く、ココは家計を支えるため、町の料理店で朝から晩まで必死に働いていた。
そんなある日、ココは、偶然町に来ていた医者に能力を見出され、その医者の紹介で帝都にある大学食堂で働くことになる。
大学では、一癖も二癖もある学生たちの悩みを解決し、食堂の収益を上げ、大学の一大イベント、ハロウィーンパーティでは一躍注目を集めることに。
そして気づけば、大学を揺るがす大きな事件に巻き込まれていたのだった。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
【完結】ゲーム転生、死んだ彼女がそこにいた〜死亡フラグから救えるのは俺しかいない〜
たけのこ
ファンタジー
恋人だったミナエが死んでしまった。葬式から部屋に戻ると、俺はすぐにシミュレーションRPG「ハッピーロード」の電源を入れた。このゲーム、なぜかヒロインのローラ姫が絶対に死ぬストーリーになっている。世界中のゲーマーがローラ姫の死なない道を見つけようとしているが、未だそれを達成したものはいない。そんなゲームに、気がつけば俺は転生していた。しかも、生まれ変わった俺の姿は、盗賊団の下っ端ゴブリンだった。俺は、ゲームの運命に抗いながら、なんとかこの世界で生き延び、死の運命にあるローラ姫を救おうとする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる