転生先はシンデレラの義姉その一だった件 ~アラサー転生者はバッドエンドのフラグを片っ端からぶっ潰す!!

雪乃

文字の大きさ
上 下
27 / 33
第二章  こうして物語はこうしてゆっくりとでも確実に動いていく?

12 ゾンビが部屋へとやってきました?  エラSide  Ⅲ

しおりを挟む
「本当になんて役立たずなのよっっ!! 馬鹿、アホ グズ、鈍間のろまっっ!!」

 あの後約一時間後にエドモンは一人で戻って来た。

 まあエドモンにしてみればそのままお義母様の補佐へ回るよりも、私の最初の命令でもあるアナスタシアへ薬を飲ませ損なったの事に対して一刻も早く報告をする方がいいと思ったのだろう。
 確かに幾ら私の操り人形と化したとは言っても、そこは執事であった記憶と言うか習慣が少しは残っていたらしい。

 うん、何処の世界に居ようともは大事だもんね。

 そうして私の前で項垂れたままエドモンは一つのいい訳も何もしない。

 ただ何が遭ったのかを覚束おぼつかない口調でポツリポツリと報告するだけ。
 多分嘘偽りなく――――ね。

 あ゛あ゛〰〰〰〰でもよりにもよってあの女の部屋で事を起こさなくても良かったんじゃない。
 本当にあの間の抜けているアナスタシアだからこそっ、妖精の誘惑も難なく飲ませられると思ったと言うのにっっ。

 しかもだっ、今まであれだけジャンジャカ昼夜を問わずお菓子を大量に食べ漁っていたアナスタシアがよっ、よりにもよってどうして今夜に限ってお菓子を食べないなんて本当に運の悪い事ったらありゃしない。
 

 でもどうしよう。
 今回の事であの女が変に不審を抱かないかな。
 あーもういっその事あの女へ魔女の眠り薬を盛って一思いに犯ってしまった方が……いやいやあの女は物語を上手く進行させる為には絶対に必要だわっっ。

 うん、今はまだあの親子を殺す事は出来ないし殺せない。
 ふふん、でもまあそれも後もう少しだけれどね。
 そうそうそうそう目障りなあんた達が死ぬのは、この私が無事王子様と結ばれてから――――よ。


 だからこそここは何としても上手く切り抜けないといけないわね。
 そして、それに関しての証拠もちゃあんと消さなければいけない。
 
「エドモン、アナスタシアの事はもういいわ。じゃあ改めて命じるわ。あんたは今からトレメイン夫人を手伝ってくるの。いい、少しでもここへ残りたいと渋る使用人には少々手荒な事をしてもいいわ。だから今夜中に何としても全ての使用人をこの屋敷より追い出しなさい。これは絶対命令よ!!」
「命……令」
「そう、命令。それから全てが終わればお前もこの屋敷より出て行きなさい。そうしてうんと遠くへ行ってからこの包み紙の中身を飲むの。これはね、誰よりも幸せになれる大切なもの。私はお前だからこれをあげるのよ、感謝しなさい」
「は、い……エラ……様」
 
 エドモンは魔女の眠り薬を胸の内ポケットへと大切にしまい込むと、静かにこの部屋から出て行ったわ。
 暫くの間何やら階下や天井の方で騒がしいと感じたけれど、あの女やアナスタシアは何も気付かなかったみたい。

 ほんと、根性と言うか心臓が図太いからこんなに物音がしても少しも起きる事無く熟睡していられるんだわっっ。

 それからどのくらい経ったのかな、随分と夜遅くに屋敷を出て行く使用人達を、私はさも寂しげな様子でカーテンの隙間よりじっと見つめていた。
 本当は小躍りしたくなるくらい笑っていたかったのだけれど、それこそ誰が見ているかなんてわからないでしょ。
 ふふん、用心をするに越した事はないわ。


 さぁこれからが本当のシン〇レラの始まりね。

 掃除や洗濯に料理なんてめっちゃかったるいし前世でも余りと言うかほぼほぼやった事ないのだけれど、まあこれも全ては未来の幸せの為だ。
 本来ならばこの為にも是が非ともアナスタシアを懐柔したかったと言うのに、でも懐柔したとしても実際あのどんくさい女がどれだけ役に立つかなんてはっきり言って余り宛には出来ないと思ってしまう自分もいたりする。

 いざともなればトレメイン夫人でも夜中に遣うしかないか……な?

 うん、一応義理とは言え母親だしね。
 それにこの屋敷内でたった一人の大人だし、このくらいの家事なんてどうにか出来るでしょ。
 ――――と言う事で私は明日に備えてさっさと寝るとしよう。

 だって夜更かしするとこのつるんつるんのお肌が荒れてしまうものね。
 まだ見ぬ王子様の為にもこれからより一層美しさに磨きを掛けないと……ね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

糸と蜘蛛

犬若丸
ファンタジー
瑠璃が見る夢はいつも同じ。地獄の風景であった。それを除けば彼女は一般的な女子高生だった。 止まない雨が続くある日のこと、誤って階段から落ちた瑠璃。目が覚めると夢で見ていた地獄に立っていた。 男は独り地獄を彷徨っていた。その男に記憶はなく、名前も自分が誰なのかさえ覚えていなかった。鬼から逃げる日々を繰り返すある日のこと、男は地獄に落ちた瑠璃と出会う。 地獄に落ちた女子高生と地獄に住む男、生と死の境界線が交差し、止まっていた時間が再び動き出す。 「カクヨム」にも投稿してます。

悪役令嬢の中身が私になった。

iBuKi
恋愛
目覚めたら綺麗な女性が見つめていた。 白い空間に白い衣装を着た女性。 重たい体をベッドに横たえていた私は、彼女を医者だと思った。 会話するうち医者ではなく女神様で。 女神様のお気に入りの魂を持つ私は、特別な転生をさせて貰えるようだ。 神様だというのに、ちょっと思考が過激な女神様。 「ヒロインがヒロインの扱いを受けなかったらどうなるのかしら?」 妙な実験を私の転生先でしないで欲しいんですけど…… 私を愛し子と呼ぶ女神様は、加護の他に色んな能力を授けてくれるらしい。 護衛は聖獣様。 白いモフモフ一体の予定が、いつの間にか二体授けてくれることになる。 転生先ではモフモフパラダイスかしら!? 前世でペットが飼いたくても飼えなかった私は、その事だけでも大満足だ。 魂をゆっくり休めなさいと女神様の言葉に目を閉じると――― 七歳になったその当日に、やっと記憶が蘇る。 どんな能力が私に授けられたんでしょう? 怖いもの見たさでステータスを調べると・・・? 「女神様、これはやり過ぎです!」 女神様に思わず強めに注意してしまった。 女神様は「愛しい子が学園に行くのが今から楽しみなの。ヒロインは学園で出会う事になるわ。」 傍観者の立場にすると仰った言葉に二言はありませんよね? 女神様までがヤバイという性格のヒロインは、私に関わり合いにならないようお願いします。 悪役令嬢らしいけど、一切悪役令嬢しない私の物語。 ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨ 恋愛モードには年齢的にすぐ始まら無さそうです。 なので、ファンタジー色強めの恋愛小説として読んで頂ければ(*- -)(*_ _)ペコリ 幼い時期がかなり長くなっています、恋愛になるまで果てしない… カクヨム様、なろう様にも連載しています。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

彼女の野球と彼のプール

廣瀬純一
ファンタジー
水泳部の女子と野球部の男子の体が入れ替わる話

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

処理中です...