8 / 33
第一章 転生先は物語と酷似している世界の中二人の転生者は……。
4 微妙な関係と平和な日常
しおりを挟むエラ、もといシンデレラとのファースト・コンタクトを終えてから早くも数ヶ月。
ただ今絶賛平和を満喫しています――――って、何を呑気な事をしているのだ私は……。
別に私は何もせずただ呑気に毎日を過ごしている訳ではない。
それにあれからも毎日エラとのコミュニケーションを円滑に図ろうと努力はしていますよ。
ただね、そうただ何かが変なの。
いやいやお互い他人同士が行き成り家族になったのだからね。
それは貴族であれ平民であっても最初から上手くいきっこないとは思っていたし当然だと思う。
お互いを想い合うお義父様とお母様は善しとしてもね。
まあ再婚とは言っても新婚なのは変わらないでしょ。
大体さ、何処の世界でも子供同士ってのは同士ちょっと微妙なモノじゃない。
まあ私にはアナがいるからいいけれど、エラは今迄一人っ子だったでしょ。
それを行き成り両親の関係で姉妹だと言われても、エラ自身少し戸惑っていると思っていたの。
うん、最初はね。
だから一番年上の私と致しましても、そしてこれからの長い人生を無事に全うする為にもっ、是が非ともここはじっくりと時間をかけて友好を深めようと思いつく限り色々画策したわ。
でも結果、やっぱり微妙……なのよね。
何が微妙と言われてもはっきり言えなくて困るんだけれど、その何かが微妙だったりする。
例えば午後のお茶の時間の遣り取りや夕食後の家族の団欒。
その事ある毎にエラの微妙な受け答えが可笑しい。
上手くは言えない。
ただ何となく……そうね、敢えて言うならば私達親子に対して?
いいえお義父様にも……かな?
よくわからないけれどエラと私達の間にめっちゃ薄~い膜の様な壁が存在している。
そうしてこの数ヶ月の間に数ヶ月エラをそれとな~く観察した結果、もしかして彼女はこの再婚に反対だったのかな。
いやいや物語では賛成していた……よね?
うーんでもここは物語の中ではなくて物語と酷似した異世界だから若干中身と言うか、物語の登場人物は同じでも性格までは違う……とか?
お母様とアナの性格が違うのと同じで、エラも物語と瓜二つと言う訳ではないのかな。
だとすれば私達の前に立ち塞がる様に立てられている恐ろしいバッドエンドの回避は、無事に現実のものとする事も可能よねっっ。
ふふ、だとしたらめっちゃ嬉しいのに……。
あぁそれから勿論我が家も一応男爵家なものですから、お義父様とお母様はそれなりに社交界のお付き合いというものがあるし、毎日家族全員一緒という訳ではないわ。
特に今は社交シーズン真っ盛りだから、はっきり言っていない方が多いわね。
お義父様の商会も繁盛しているから忙しそうだし、お母様も最近になって漸く婦人会の集まりにも積極的に出掛けられる様になったもの。
今のお義父様と結婚するまではずーっと亡くなられたお父様を忍んで、いやいやあれは既に屋敷中カビやキノコが生えまくるくらい泣き暮らしていたわね。
絵面的には某有名過ぎるアニメの〇海状態だった。
〇海の住人と化していたお母さまは勿論外出等出来よう筈もなく、その間の社交界や婦人会が催すお茶会へは、私が代理として参加していたらしいって、これもドリゼラの記憶が教えてくれている。
まあ実際娘として客観的に見ても今のお母様は再婚してから物凄く幸せそうだよ。
ほんと、これがあの童話の中の意地悪で冷酷なお母様なのかって俄かには信じられない。
妹のアナにしてもだ。
最近街にある一番人気のあるカフェに嵌ったらしく、私達と午後のお茶を済ませた後直ぐに馬車へ乗り込み、侍女と一緒にそのカフェへ日参しているらしい。
道理で最近ますますぽっちゃりに磨きが掛かった――――とは、流石に言いたくても言えない。
何故ならアナは今絶賛片思い中らしい。
何でもアナの専従侍女のキティからの情報によれば――――。
アナの恋する相手はカフェ・ルーロワの店長兼シェフパティシエ。
彼の作りだすカフェご飯とスイーツは、この小国ルフェのみならず近隣の国々までも有名だとか。
ファンになる女性の多い事と言ったら……って、その中に我が妹も混じっているんだったわ。
お蔭さまで毎日日参している所為、勿論そうだと思う。
それによって店長に目出度く顔を覚えられ、新作を誰よりも一番に食べさせて貰えているらしい。
私からすれば男爵家の令嬢なのにそれでいいのかって思うけれど、アナにしてみればめっちゃ幸せなのだとか。
ほら、夕食を食べる時のあの幸せそのものって表情が物語っているじゃない――――って、アナっ、あんたは一体毎日どれだけ食べるんだっっ。
普通は恋をすれば食欲はなくなる筈でしょう???
なのに、あぁ牛肉の赤ワイン煮をあんなに美味しそうに食べちゃってさ。
はあ、まあ今が幸せならばそれも有りなのだろうね。
それよりもよっ、今日も夜がやってくる。
私にとって何よりも恐怖でしかない夜っっ。
一体何時まで私は闇に拘束されればいいの?
はっきり言って何時までなのかはわからないけれども一生涯続くのは絶対にイヤ!!
出来ればもう拘束されたくはない。
ねぇ誰か、私を……より開放される方法を教えてくれない。
お願い。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
私はオタクに囲まれて逃げられない!
椿蛍
恋愛
私、新織鈴子(にいおりすずこ)、大手製菓会社に勤める28歳OL身。
職場では美人で頼れる先輩なんて言われている。
それは仮の姿。
真の姿はBL作家の新藤鈴々(しんどうりり)!
私の推しは営業部部長の一野瀬貴仁(いちのせたかひと)さん。
海外支店帰りの社長のお気に入り。
若くして部長になったイケメンエリート男。
そして、もう一人。
営業部のエース葉山晴葵(はやまはるき)君。
私の心のツートップ。
彼らをモデルにBL小説を書く日々。
二人を陰から見守りながら、毎日楽しく過ごしている。
そんな私に一野瀬部長が『付き合わないか?』なんて言ってきた。
なぜ私?
こんな私がハイスぺ部長となんか付き合えるわけない!
けれど、一野瀬部長にもなにやら秘密があるらしく―――?
【初出2021.10.15 改稿2023.6.27】
★気持ちは全年齢のつもり。念のためのR-15です。
★今回、話の特性上、BL表現含みます。ご了承ください。BL表現に苦手な方はススッーとスクロールしてください。
★また今作はラブコメに振り切っているので、お遊び要素が多いです。ご注意ください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる