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第一章  転生先は物語と酷似している世界の中二人の転生者は……。

4  微妙な関係と平和な日常

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 エラ、もといシンデレラとのファースト・コンタクトを終えてから早くも数ヶ月。

 ただ今絶賛平和を満喫しています――――って、何を呑気な事をしているのだ私は……。
 
 別に私は何もせずただ呑気に毎日を過ごしている訳ではない。
 それにあれからも毎日エラとのコミュニケーションを円滑に図ろうと努力はしていますよ。

 ただね、そうただ何かが変なの。
 いやいやお互い他人同士が行き成り家族になったのだからね。
 それは貴族であれ平民であっても最初から上手くいきっこないとは思っていたし当然だと思う。

 お互いを想い合うお義父様とお母様は善しとしてもね。
 まあ再婚とは言っても新婚なのは変わらないでしょ。

 大体さ、何処の世界でも子供同士ってのは同士ちょっと微妙なモノじゃない。
 まあ私にはアナがいるからいいけれど、エラは今迄一人っ子だったでしょ。
 それを行き成り両親の関係で姉妹だと言われても、エラ自身少し戸惑っていると思っていたの。

 うん、最初はね。

 だから一番年上の私と致しましても、そしてこれからの長い人生を無事に全うする為にもっ、是が非ともここはじっくりと時間をかけて友好を深めようと思いつく限り色々画策したわ。

 でも結果、やっぱり……なのよね。

 何が微妙と言われてもはっきり言えなくて困るんだけれど、その何かが微妙だったりする。

 例えば午後のお茶の時間の遣り取りや夕食後の家族の団欒だんらん
 その事ある毎にエラの微妙な受け答えが可笑しい。

 上手くは言えない。

 ただ何となく……そうね、敢えて言うならば私達親子に対して?

 いいえお義父様にも……かな?

 よくわからないけれどエラと私達の間にめっちゃ薄~い膜の様な壁が存在している。

 そうしてこの数ヶ月の間に数ヶ月エラをそれとな~く観察した結果、もしかして彼女はこの再婚に反対だったのかな。

 いやいや物語では賛成していた……よね?
 うーんでもここは物語の中ではなくて物語と酷似した異世界だから若干中身と言うか、物語の登場人物は同じでも性格までは違う……とか?
 
 お母様とアナの性格が違うのと同じで、エラも物語と瓜二つと言う訳ではないのかな。
 だとすれば私達の前に立ち塞がる様に立てられている恐ろしいバッドエンドの回避は、無事に現実のものとする事も可能よねっっ。
 ふふ、だとしたらめっちゃ嬉しいのに……。

 あぁそれから勿論我が家も一応男爵家なものですから、お義父様とお母様はそれなりに社交界のお付き合いというものがあるし、毎日家族全員一緒という訳ではないわ。

 特に今は社交シーズン真っ盛りだから、はっきり言っていない方が多いわね。

 お義父様の商会も繁盛しているから忙しそうだし、お母様も最近になってようやく婦人会の集まりにも積極的に出掛けられる様になったもの。

 今のお義父様と結婚するまではずーっと亡くなられたお父様を忍んで、いやいやあれは既に屋敷中カビやキノコが生えまくるくらい泣き暮らしていたわね。

 絵面的には某有名過ぎるアニメの〇海状態だった。

 〇海の住人と化していたお母さまは勿論外出等出来よう筈もなく、その間の社交界や婦人会が催すお茶会へは、私が代理として参加していたらしいって、これもドリゼラの記憶が教えてくれている。
 まあ実際娘として客観的に見ても今のお母様は再婚してから物凄く幸せそうだよ。
 ほんと、これがあの童話の中の意地悪で冷酷なお母様なのかって俄かには信じられない。
 
 妹のアナにしてもだ。
 最近街にある一番人気のあるカフェに嵌ったらしく、私達と午後のお茶を済ませた後直ぐに馬車へ乗り込み、侍女と一緒にそのカフェへ日参しているらしい。

 道理で最近ますますぽっちゃりに磨きが掛かった――――とは、流石に言いたくても言えない。

 何故ならアナは今絶賛片思い中らしい。
 何でもアナの専従侍女のキティからの情報によれば――――。

 アナの恋する相手はカフェ・ルーロワの店長兼シェフパティシエ。
 彼の作りだすカフェご飯とスイーツは、この小国ルフェのみならず近隣の国々までも有名だとか。

 ファンになる女性の多い事と言ったら……って、その中に我が妹も混じっているんだったわ。

 お蔭さまで毎日日参している所為せい、勿論そうだと思う。
 それによって店長に目出度く顔を覚えられ、新作を誰よりも一番に食べさせて貰えているらしい。

 私からすれば男爵家の令嬢なのにそれでいいのかって思うけれど、アナにしてみればめっちゃ幸せなのだとか。
 ほら、夕食を食べる時のあの幸せそのものって表情が物語っているじゃない――――って、アナっ、あんたは一体毎日どれだけ食べるんだっっ。

 普通は恋をすれば食欲はなくなる筈でしょう???
 なのに、あぁ牛肉の赤ワイン煮をあんなに美味しそうに食べちゃってさ。
 はあ、まあ今が幸せならばそれも有りなのだろうね。

 それよりもよっ、今日も夜がやってくる。

 私にとって何よりも恐怖でしかない夜っっ。

 一体何時まで私は闇に拘束されればいいの?

 はっきり言って何時までなのかはわからないけれども一生涯続くのは絶対にイヤ!!

 出来ればもう拘束されたくはない。 
 ねぇ誰か、私を……より開放される方法を教えてくれない。
 お願い。
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