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第二章 どうやら成人する前に色々と人生を詰んでいるみたいです
19 閑話 深窓の侍女エリーサベルト・ファンヌ・クランツは見たっ、いいえ見せられているのです!! Ⅱ
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「貴様……俺のモノにちょっかいを出すと言う事は今更だと思うが、お前はその命をこの俺へ差し出す覚悟があるのだろうな」
「ひぃっ、も、もう許してくれぇぇっっ!!」
はあ……私はこの五年もの間に何度この様な光景を見て――――いえ見せつけられているのでしょうか。
私エリーサベルト・ファンヌ・クランツはその日何度目になるかもわからない溜息を吐いていました。
そもそも私は五年前よりこのアールグレン王国の至宝であるエヴェリーナ王女……リーナ様の専従侍女兼話し相手として恐れ多くも王宮へ伺候する身。
そう断じてです!!
断じてっ、この様な光景をっ、魔人を統べる恐ろしいお魔王ならぬ……今ではあの御方が魔王そのものではないのかと思えて仕方がないのです。
美しい人の皮を被った恐ろしい様相の魔王……それがこの大陸一強大な力と領地を持つラングハイム帝国の第二皇子殿下――――エドゥアルド・ハインリヒ・ディリバルト・ランゲンバッハ様の裏のお顔を知る数少ない人間の中に、何故私の様な凡庸なただの子爵令嬢がメンバーに入っているのでしょう。
そして今眼前に行われている光景は最早地獄絵図。
過去に何度も繰り返し、最初の頃こそは余りの恐ろしさに夜ともなればその恐怖は甦り熟睡する事も叶わず、何故かリーナ様がそんな私と共に一緒に寝て下さいますのがどんなに私の凍てつきそうになる心の慰めとなりましたでしょうか。
そうして昨今思い返しますのは慣れ――――というモノ程恐ろしいモノはないのだと、弱冠12歳にして思う今日この頃ですわっっ。
また今回の獲物は……バルテルス公爵家子息、アンセルム・ボリス・カルネウス。
確かにアールグレンきっての名門公爵家と言う御家柄。
ごく普通に生きていらっしゃったのであれば恐らく、今この様な魔王の制裁を知る事もなく穏やかな一生を送られ事も約束されておいでだったのでしょうが、はあ……実に残念ですわ。
同じアールグレン人としてお悔やみを申し上げます。
きっと恐らく……真っ当な生涯を終える事は二度と叶いませんでしょうから……。
えぇ人は皆誠実に生きてこそっ、幸せになれるのです。
魔王に一度魅入られれば最期、幸せとは真逆な人生しかないのですわっっ。
私は今も昔も誠実に生きている筈ですのにどうしてこの様な修業をせねばならないのか――――は、未だに謎なのです。
「それは貴女がリーナちゃんの為だけの侍女だからでしょ」
「はあ……まあそれはそうなので御座いましょうね」
私の隣で何とも空気よりも軽いノリと言うのでしょうか。
焦げ茶色の髪に青い瞳をされた長身痩躯の青年、え、えーっとそのぉ大きな声では言えませんがその……リ、リーナ様の申されたのを敢えて取り入れさせて頂きますと、何と言いますかまあ……イケメンでチャラ男な優男風の男性……です。
はっきり言うのはこれまた不敬かもしれませんが、因みにこの御方――――ジークハルト・ウルリヒ・アウエンミュラー様はですね、実に頼りない印象しかないのですがそれでもラングハイム帝国のバルシュミーデ公爵家御子息であると共に目の前にいらっしゃいます魔王様のお従兄弟君なのです。
何度もくどい様に御座いますが、本来であるならば私の様な極々普通の子爵家の娘とは縁遠い御方々なのです。
それもこれもあの日魔王様に目を付けられたのが運の尽きです。
でもそのお陰で魔王様と正反対のリーナ様と言う天使様の傍にいられるのは幸せとしか言いようがありません。
それだけです、魔王様へ感謝を申し上げるのは……。
そしてそんな私の目の前で魔王様は実に愉しげに捕まえた獲物の処理をなさいます。
えぇ私達……私とジーク様の二人は、ただその様子を静かに何時も通り見守るだけに御座います。
「ひぃっ、も、もう許してくれぇぇっっ!!」
はあ……私はこの五年もの間に何度この様な光景を見て――――いえ見せつけられているのでしょうか。
私エリーサベルト・ファンヌ・クランツはその日何度目になるかもわからない溜息を吐いていました。
そもそも私は五年前よりこのアールグレン王国の至宝であるエヴェリーナ王女……リーナ様の専従侍女兼話し相手として恐れ多くも王宮へ伺候する身。
そう断じてです!!
断じてっ、この様な光景をっ、魔人を統べる恐ろしいお魔王ならぬ……今ではあの御方が魔王そのものではないのかと思えて仕方がないのです。
美しい人の皮を被った恐ろしい様相の魔王……それがこの大陸一強大な力と領地を持つラングハイム帝国の第二皇子殿下――――エドゥアルド・ハインリヒ・ディリバルト・ランゲンバッハ様の裏のお顔を知る数少ない人間の中に、何故私の様な凡庸なただの子爵令嬢がメンバーに入っているのでしょう。
そして今眼前に行われている光景は最早地獄絵図。
過去に何度も繰り返し、最初の頃こそは余りの恐ろしさに夜ともなればその恐怖は甦り熟睡する事も叶わず、何故かリーナ様がそんな私と共に一緒に寝て下さいますのがどんなに私の凍てつきそうになる心の慰めとなりましたでしょうか。
そうして昨今思い返しますのは慣れ――――というモノ程恐ろしいモノはないのだと、弱冠12歳にして思う今日この頃ですわっっ。
また今回の獲物は……バルテルス公爵家子息、アンセルム・ボリス・カルネウス。
確かにアールグレンきっての名門公爵家と言う御家柄。
ごく普通に生きていらっしゃったのであれば恐らく、今この様な魔王の制裁を知る事もなく穏やかな一生を送られ事も約束されておいでだったのでしょうが、はあ……実に残念ですわ。
同じアールグレン人としてお悔やみを申し上げます。
きっと恐らく……真っ当な生涯を終える事は二度と叶いませんでしょうから……。
えぇ人は皆誠実に生きてこそっ、幸せになれるのです。
魔王に一度魅入られれば最期、幸せとは真逆な人生しかないのですわっっ。
私は今も昔も誠実に生きている筈ですのにどうしてこの様な修業をせねばならないのか――――は、未だに謎なのです。
「それは貴女がリーナちゃんの為だけの侍女だからでしょ」
「はあ……まあそれはそうなので御座いましょうね」
私の隣で何とも空気よりも軽いノリと言うのでしょうか。
焦げ茶色の髪に青い瞳をされた長身痩躯の青年、え、えーっとそのぉ大きな声では言えませんがその……リ、リーナ様の申されたのを敢えて取り入れさせて頂きますと、何と言いますかまあ……イケメンでチャラ男な優男風の男性……です。
はっきり言うのはこれまた不敬かもしれませんが、因みにこの御方――――ジークハルト・ウルリヒ・アウエンミュラー様はですね、実に頼りない印象しかないのですがそれでもラングハイム帝国のバルシュミーデ公爵家御子息であると共に目の前にいらっしゃいます魔王様のお従兄弟君なのです。
何度もくどい様に御座いますが、本来であるならば私の様な極々普通の子爵家の娘とは縁遠い御方々なのです。
それもこれもあの日魔王様に目を付けられたのが運の尽きです。
でもそのお陰で魔王様と正反対のリーナ様と言う天使様の傍にいられるのは幸せとしか言いようがありません。
それだけです、魔王様へ感謝を申し上げるのは……。
そしてそんな私の目の前で魔王様は実に愉しげに捕まえた獲物の処理をなさいます。
えぇ私達……私とジーク様の二人は、ただその様子を静かに何時も通り見守るだけに御座います。
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