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第二話  とある異世界とMy heart falls in you

店長の正体は?

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店長マスター……如何どうしたのですか? それに……」

 そう彼は、何時もの砕けた格好のエプロン姿ではなく、緑と赤と黒のチェック柄のチュニック姿にショースとお洒落な革靴。
 そして見事な刺繍を施されているのマントを着けていた。

 これがこの国での正装だ。

 一介のカフェの店長マスターが、お貴族様みたいな恰好をしているのも相当吃驚だけれど、その隣りにいる女性の存在はもっと吃驚だ。
 その女性は見事な赤みがかった金髪ストロベリーブロンドの髪に、青い瞳をしたシャム猫の様なしなやかな肢体をした美女なのだから……。
 ジュリア姫もめっちゃ美しいと思った(性格は別物ね)けれど、此方こちらの女性もまた違う感じで魅惑的な女性。
 ほんと、この世界の女性って皆さん美人ばかりですね。
 そう思えば思う程、より一層自分が何とも情けなくなってしまう。
 やはり……黒という色だけしか、それだけしか自分の価値がないコトに改めて思い知らされる。
 こんな誰でも持っている髪と瞳だけで、平々凡々な容姿の私と、めっちゃ綺麗なお姫様とでは最初から勝負なんかになりはしない。
 だから今、ジュリア姫に誘われても、エディーは拒否なんてしなかったのだ。

 何が―――って言うんだ。

 どの口でキザッたらしい台詞せりふを言えるんだろう。
 そんなもんこっちから願い下げだっっ。
 そりゃあ私は一般庶民だけれど、ちゃんと血筋の正しい家のなんだから!!
 ただ日本に貴族制度って言うのがないというだけで、全然普通の家のだもん。
 もうこんな気持ちのはっきりしない婚約なんてこっちから願い下げ。
 私はまだ17歳だもん。
 そうよっ、まだまだ結婚なんて早いのだ!!
 こうなったらさっさと元の世界へ帰る方法……う~んどうやって来たかの記憶さえないから、ちょっと探すのは大変だけれど、でもへこたれずに探すしかないっっ!!

「そうと決めたら行動あるのみですっっ」

 私は気を取り直して会場を後にしようと思ったら、店長マスターが慌てて声を掛けてきましたよ。

「何処へ行こうというのですか、愛美まなみ様っ、こ、今夜の主役の片割れがこんな所にいてはいけないでしょう?」
「―――――大丈夫です、2
「な、何を言ってるんですか愛美様っっ」

 尚も店長マスターは慌てています。
 それよりも私は不思議に思ったコトがあったので、敢えて失礼かも……と思いつつも店長マスターへ聞いてみました。
 よく物語りに書いてある舞踏会の出席とは、貴族しか入れないというのがお約束だったのだから……。

店長マスター、つかぬコトを聞きますが、この舞踏会は誰でもOKなんですか?」

 コソコソっと小声で訊いてみる。
 店長マスターはモフモフわんこ耳をそっとこちらへかたむけてくれた。
 そして私の問いへにっこりと笑って答えてくれた。

「いえいえ貴族だけですよ」
「……………?」

 なら如何して店長マスターがいるのでしょう?
 素朴な疑問。
 だけどマスターはそれに気がついた様にハハハ……と笑って答えてくれました。

「愛美様にはまだ言っていませんでしたね、僕は平民じゃなく実は貴族なんですよ。名前は以前言いましたよね、このアリステル帝国で伯爵をしています」

「は、伯爵〰〰〰〰〰〰っっ!?」

 マスター済みません、申し訳ないですが全くそんな偉い人に見えないです。
 それがマスターにも通じたのか通じていないのか、てへっと小首をかしげて照れ笑いを浮かべている。

「まぁ最も伯爵領の仕事全般をこなしてくれているのは僕の奥さんです」

 そうして僕はのんびりカフェの店長させて貰っているんですよ。
 そう言ってマスターは隣にいる美女を紹介する。

「彼女はイリナ・ヴィクトリア・ロゼフフィーダ伯爵夫人で、僕の大事な奥さんです。リナ、こちらがお話した殿下の婚約者の愛美様だよ」
「まぁ初めてお目に掛りますわね、マイロの妻です。どうぞリナと呼んで下さいませ、でも聖女様ってこう申しては何ですが……凄く可愛い女の子じゃないっっ!! マイロってば私は可愛いのに目がない事を知っていて今まで内緒にしていたのね!! 愛美様っ、もうとっても可愛い〰〰〰〰〰〰!!」

 そう叫ぶとリナさんはムギュ―っと、その豊満な胸の中で私を抱きしめてくれた。
 うっぷ、ちょっと窒息しそう……です。
 見た目少しきつめの美人さんなんだけれど、でも性格はめっちゃキュートな女性。
 それと何故か私はリナさんのツボにハマったらしいコトがわかりました。

「こ、こちらこそ宜しくお願いします、リナさん」

 だけどリナさん迫力半端ないです。
 巨乳で圧死だけはしたくないです。
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