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第二話 とある異世界とMy heart falls in you
セフィル王国の美姫
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エディーが出発した日の午後は、お義母様、いやいやまだ結婚もしていないのでと丁重にお断りをして皇妃様は渋々ながらも、『皇妃様』と正式に呼ぶコトに了承して下さったのです。
でもそれも正式に婚約披露をするまでの間だから……と、両陛下より念を押されたコトはこの際まるっと無視しておこう。
その皇妃様とただ今和やかに午後のお茶会をしていた時に、嵐はやってきた!!
「御機嫌麗しゅう御座います、皇妃陛下」
流れる銀糸の髪を大小様々な真珠をふんだんにあしらった紐で結い、アメジストの様なキラキラと輝く綺麗な紫色の瞳をした、神秘的なこれぞ美女っていう女性が現れた。
おまけに後ろには沢山の侍女が恭しくつき従っている。
見るからに身分の高そうな女性、ううん多分何処かの国の姫君?
いやいや女王様と言った感じの雰囲気に見えますね。
その姫君に視線を移した皇妃様はあらあら……と言った感じで少し驚かれていた。
きっとこの姫君が自主的にお城へやって来たというコトだろう。
それでも皇妃様は傍で控えている侍女へ、姫君の席を設ける様に指示をし、そうして何もなかったかのように振る舞われた。
流石一国の皇妃陛下ですね。
「ようこそジュリア姫、今日はまた突然のお越しですね」
「申し訳御座いません皇妃陛下、最近とある噂を耳に致しましたモノですから……」
ジュリア姫は女性らしい色香を纏い、艶めいたとても美しい声でお話をする方だ。
だけど……。
「どの様な噂……かしらね」
「ええ、聖女が現れました……とか?」
そう言って王妃様の隣でちょこんと座っている私を態々一瞥してきます。
しかしそれは何といいますか、その視線には明らかに敵意が含まれていますけれど……ね。
そんなジュリア姫の視線攻撃を皇妃様はどうやら快く思われていないらしい。
「ジュリア姫、この愛美がその聖女様で同時にエディアルドの婚約者ですの」
―――――って皇妃様っ、何行き成り敵認定された様な姫君にカミングアウトしてくれちゃっているんですかっっ!?
てか、私まだOKしていないですっっ!!!
そこっ、ちゃんと訂正……!?
「婚約……者ですって?」
ほらぁ……またまためっちゃきっつい眼つきで、そうアメジストの瞳を怒りでキラキラ輝かせて、それで以って穴が開く程睨まないで欲しい。
これは私が望んだコトじゃあないんですからっっ。
然もですね、私はめっちゃ可哀相な被害者なんだから……。
おまけに何も好き好んでこの世界へ来た訳じゃあないし、結婚とか真剣に考えていませんからっていう瞳で訴えかけても、姫君は全然聞いてくれていないっぽい。
それどころか益々私のコトを憎々しげに睨んでくるよ。
「皇妃様幾ら昔からの法律――――と申しましてもこの私とこの方では、エディアルド様に釣り合いが取れるのはどちらなのか一目瞭然ではないでしょうか?」
うっわーきつーい、何何っ、このジュリア姫って女性、恰も自分が一番だってコトを公言してますよっっ!!
それと後ろに控えている彼女の侍女達もそうだと言わんばかりに、私へ向ける視線の痛いコトったらないですね。
所謂針の筵っていう奴……でしょうか?
そりゃあね、生まれた時からのお姫様と約1ヶ月の付け焼刃の俄か娘じゃ、如何足掻いたって太刀打ちなんか出来ないのはお姫様達に言われなくても十分に理解していますけれどもっ、でもこの言われようはめっちゃ酷いっっ!!
「ジュリア姫、確かに私は貴女と比べたら月とスッポンかもしれませんが、私を選んだのはエディーですからっっ。それに私から選んで欲しいと言ったのではないので……」
押しつけられた婚約だけれど、せめてこのくらいは言い返したって罰は当たらない……筈?
「まあぁぁ、貴女っ、自分が何を言っているのが良くわかっていてっっ!? 私は水の都と名高いセフィル王国の第一王女。その私によくもその様な口が利けるものね、この泥棒猫!!」
「はい? 何故私が泥棒猫なんて言われないといけないのでしょうか、確かに私は王族ではないですけれど、でもその様な言われる心外です。それに両親からもその様な育てられ方もされてはいません!! ちゃんと謝って下さいっっ!!」
「はっ、何故私が貴女みたいな娘に謝らないといけないのかしら? ただ私はエディアルド様に相応しいのはどちらか……と訊いただけでしょう」
「そうですね、でもその後に泥棒猫とも言いましたよね」
「当然でしょう、貴女が現れなかったら――――っっ!?」
「そろそろいい加減になさいジュリア姫、愛美は息子の婚約者なのは既に決定事項なのです。そして誰もこれを覆す事は出来ませんよ」
「ですが―――――っっ!!」
それでも――――とジュリア姫は直ぐには諦められない様子だ。
きっとエディーのコトが本当に好きなんだぁと思ったけれど、私だって好きでこうなったのではないのだからこっちの身にもなって欲しい。
「愛美も少し落ち着きなさい、淑女たる者は声を荒らげたりしないモノですよ」
あやや皇妃様から窘められてしまったけれど、喧嘩は両成敗……だもんね。
売った方も悪いけれど、買った私も悪いもの。
「申し訳ありませんでした、少し頭を冷やしてきます」
そう言って私は皇妃様に淑女の礼をし、その場を後にした。
その後皇妃様はさっきのジュリア姫とのコトで、私の態度が甚くお気に召されたと後でエイミーから聞いたのだけれど、そんなコトは如何でもいい。
それよりもあの口喧嘩の何処に気に入る要素があったのかは……謎。
しかしですね、そもそも何で私が初対面で行き成りお姫様にあんなコトを言われないといけないのか……だ。
ほんとめっちゃ腹の立つ、きっとこれからもあのジュリア姫とはあまり仲良く出来ないかもしれないと、何気に思ってしまいました。
でもそれも正式に婚約披露をするまでの間だから……と、両陛下より念を押されたコトはこの際まるっと無視しておこう。
その皇妃様とただ今和やかに午後のお茶会をしていた時に、嵐はやってきた!!
「御機嫌麗しゅう御座います、皇妃陛下」
流れる銀糸の髪を大小様々な真珠をふんだんにあしらった紐で結い、アメジストの様なキラキラと輝く綺麗な紫色の瞳をした、神秘的なこれぞ美女っていう女性が現れた。
おまけに後ろには沢山の侍女が恭しくつき従っている。
見るからに身分の高そうな女性、ううん多分何処かの国の姫君?
いやいや女王様と言った感じの雰囲気に見えますね。
その姫君に視線を移した皇妃様はあらあら……と言った感じで少し驚かれていた。
きっとこの姫君が自主的にお城へやって来たというコトだろう。
それでも皇妃様は傍で控えている侍女へ、姫君の席を設ける様に指示をし、そうして何もなかったかのように振る舞われた。
流石一国の皇妃陛下ですね。
「ようこそジュリア姫、今日はまた突然のお越しですね」
「申し訳御座いません皇妃陛下、最近とある噂を耳に致しましたモノですから……」
ジュリア姫は女性らしい色香を纏い、艶めいたとても美しい声でお話をする方だ。
だけど……。
「どの様な噂……かしらね」
「ええ、聖女が現れました……とか?」
そう言って王妃様の隣でちょこんと座っている私を態々一瞥してきます。
しかしそれは何といいますか、その視線には明らかに敵意が含まれていますけれど……ね。
そんなジュリア姫の視線攻撃を皇妃様はどうやら快く思われていないらしい。
「ジュリア姫、この愛美がその聖女様で同時にエディアルドの婚約者ですの」
―――――って皇妃様っ、何行き成り敵認定された様な姫君にカミングアウトしてくれちゃっているんですかっっ!?
てか、私まだOKしていないですっっ!!!
そこっ、ちゃんと訂正……!?
「婚約……者ですって?」
ほらぁ……またまためっちゃきっつい眼つきで、そうアメジストの瞳を怒りでキラキラ輝かせて、それで以って穴が開く程睨まないで欲しい。
これは私が望んだコトじゃあないんですからっっ。
然もですね、私はめっちゃ可哀相な被害者なんだから……。
おまけに何も好き好んでこの世界へ来た訳じゃあないし、結婚とか真剣に考えていませんからっていう瞳で訴えかけても、姫君は全然聞いてくれていないっぽい。
それどころか益々私のコトを憎々しげに睨んでくるよ。
「皇妃様幾ら昔からの法律――――と申しましてもこの私とこの方では、エディアルド様に釣り合いが取れるのはどちらなのか一目瞭然ではないでしょうか?」
うっわーきつーい、何何っ、このジュリア姫って女性、恰も自分が一番だってコトを公言してますよっっ!!
それと後ろに控えている彼女の侍女達もそうだと言わんばかりに、私へ向ける視線の痛いコトったらないですね。
所謂針の筵っていう奴……でしょうか?
そりゃあね、生まれた時からのお姫様と約1ヶ月の付け焼刃の俄か娘じゃ、如何足掻いたって太刀打ちなんか出来ないのはお姫様達に言われなくても十分に理解していますけれどもっ、でもこの言われようはめっちゃ酷いっっ!!
「ジュリア姫、確かに私は貴女と比べたら月とスッポンかもしれませんが、私を選んだのはエディーですからっっ。それに私から選んで欲しいと言ったのではないので……」
押しつけられた婚約だけれど、せめてこのくらいは言い返したって罰は当たらない……筈?
「まあぁぁ、貴女っ、自分が何を言っているのが良くわかっていてっっ!? 私は水の都と名高いセフィル王国の第一王女。その私によくもその様な口が利けるものね、この泥棒猫!!」
「はい? 何故私が泥棒猫なんて言われないといけないのでしょうか、確かに私は王族ではないですけれど、でもその様な言われる心外です。それに両親からもその様な育てられ方もされてはいません!! ちゃんと謝って下さいっっ!!」
「はっ、何故私が貴女みたいな娘に謝らないといけないのかしら? ただ私はエディアルド様に相応しいのはどちらか……と訊いただけでしょう」
「そうですね、でもその後に泥棒猫とも言いましたよね」
「当然でしょう、貴女が現れなかったら――――っっ!?」
「そろそろいい加減になさいジュリア姫、愛美は息子の婚約者なのは既に決定事項なのです。そして誰もこれを覆す事は出来ませんよ」
「ですが―――――っっ!!」
それでも――――とジュリア姫は直ぐには諦められない様子だ。
きっとエディーのコトが本当に好きなんだぁと思ったけれど、私だって好きでこうなったのではないのだからこっちの身にもなって欲しい。
「愛美も少し落ち着きなさい、淑女たる者は声を荒らげたりしないモノですよ」
あやや皇妃様から窘められてしまったけれど、喧嘩は両成敗……だもんね。
売った方も悪いけれど、買った私も悪いもの。
「申し訳ありませんでした、少し頭を冷やしてきます」
そう言って私は皇妃様に淑女の礼をし、その場を後にした。
その後皇妃様はさっきのジュリア姫とのコトで、私の態度が甚くお気に召されたと後でエイミーから聞いたのだけれど、そんなコトは如何でもいい。
それよりもあの口喧嘩の何処に気に入る要素があったのかは……謎。
しかしですね、そもそも何で私が初対面で行き成りお姫様にあんなコトを言われないといけないのか……だ。
ほんとめっちゃ腹の立つ、きっとこれからもあのジュリア姫とはあまり仲良く出来ないかもしれないと、何気に思ってしまいました。
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