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2016年9月のごはん。

わらわは居酒屋に行ったのじゃ!!そして、カレーライスを食べました。

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姫と俺達五人はその晩、居酒屋「小五郎」に行った。
その日は葵の畑仕事をみんなで手伝ったので、すっかりへとへとだった。
家で軽くシャワーを浴びたあと、村の市場に向かい、馬車を走らせた。
居酒屋のカウンター席に座る。
「おっさん、焼酎一杯!」
葵が言う。
「はいよー」
間の抜けた声で、店長の右衛門が言った。
ぼさぼさ頭に丸メガネで、いつも奥さんの尻に敷かれている。
「えっと、あと枝豆と、マグロの刺し身と、馬肉ください」
俺は言う。
「シーザーサラダもね!」
翠。
「はい」
右衛門。
「あーやはり馬肉は美味じゃのう」
姫。
「からあげと豚キムチも下さい」
俺は言う。
「あと、チゲスープ」
茜が言った。
「はいーお待ちくださいませ」
右衛門の奥さんの黄金が言う。
「あー豚キムチ最高」
俺は言った。
辛いのと豚肉と……。
「キムチはうまいのう」
姫。
「チューハイくれ、チューハイ」
葵が言う。
「お前、飲み過ぎだぞ」
翠が言う。
タバコの煙が充満した居酒屋で、俺と姫は焼きおにぎりをひとかじり。
俺達は満足したあと、家に帰った。
道中でスイートポテトアイスを買い、食べる。
「スイートポテトとアイス、意外な組み合わせだがおいしい」
姫が言う。
「そうだな」
俺は言った。



翌日。
俺と姫と翠はカレーライスを作った。
ルゥをいれ、溶かす。
「やはり週に一度はカレーライスがいいのう」
姫が言う。
きゅうりとトマトのサラダも作った。
シーザードレッシングをかける。
「うまうま」
姫はご満悦だ。
「サラダにはやっぱりトマトが入ってないと彩りがないよな」
俺は言う。
「ドレッシングはゴマドレの方がすきだが」
「ごめん、いまゴマドレ切らしてるのよ」
翠が言う。
黒髪のポニーテールが揺れた。
カレーライスは中辛。なかなかおいしい。
隠し味にウスターソースをいれた。
「カレーライスとハンバーグ大好きじゃ」
姫が言う。 
「味覚が完全にお子ちゃまだな」
俺は言った。
「和菓子と梅干しも好きじゃ!」
姫はむきになった。
茜はカレーライスに生卵をいれていた。
カレーライスを食べたあと、黒地にいちご柄のワンピースの姫は畑に咲いたきゅうりの花を眺めていた。
「無事に育つかのう」
「わからないな」
俺。
俺はカレーライスにはやっぱり牛乳かチャイだよな、と思っていた。
なぜかカレーライスに麦茶は、合わないんだよな……。



俺と姫は市場にでかけた。
市場のカレー屋さんに自然と足が止まる。
といっても、ただのカレー屋ではない。
全世界のレトルトカレーが売られているお店だ。
「せんせぇ、みてみて」
姫が言う。
「ピンクのカレーライスがあるぞ」
「ほうほう。で、こっちは……スライムカレー?」
色が緑や青でいかにもまずそうだ。
「うーんやはり俺は普通のバーモントカレーの方がいいな」
「ボンカレーは美味よのう」
姫が言う。
「できたら甘口で」
「そうだな」
俺は笑う。
「お子ちゃま用のは冷たいままでも食べれる奴が多いのう」
姫。
「そうだな」
頷く俺。
「やはりカレーライスに入った柔らかいじゃがいもは最高だよな」
「うむ」
今度は姫が頷く。
「残ったカレーで作ったカレドリアとか……」
「カレーパンにするのもいいのう」
「あ、でも二日目のカレーライスは食中毒の危険があるっていうぞ」
「そ、そうなのかの!?」
「しっかり冷凍せんとな」
「うむ」
頷く姫。
「そういえば最近たまにパン屋でナンの中にカレーが入った商品をみるが……」
「あれはいかにも、って感じの商品だよな」
俺。
「ナンは普通のカレーライスにあわせても、あんまりおいしくないような気がするのう」
「そうか?」
「やはりキーマカレーなどのインドカレーに合わせたくなるのう」
「そうだな…」
このう。
インドカレー食べたくなってきたじゃないか。
さっきカレーライス食べたのに。
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