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第59話 名物「テンプレのてっぺん焼き」
しおりを挟む普通の建物内で2メートル近い大剣を抜く。
ってやっぱり馬鹿だ。
武器を先に構える、イコール加害者認定だ。
しかも大剣は振り回してなんぼだ。
天井高の低い建物内では振りかぶれないし、振り下ろせない。
突くには重すぎる。
ってことで薙ぎ払い位しかできることが無い。
まんまと薙ぎ払いを前かがみにしゃがむことで避けると同時に諸手狩りをする。
確か中学だか高校までは禁止されている柔道技だ。
ほぼほぼレスリングのタックルって感じだけど。
得物の重さに振り回されて足元がおろそかなギャン氏は当然ひっくり返る。
急いでマウントポジションを確保してフォーク(木製)でギャン氏の奥襟を床に縫い付ける。
予定通りにライターを使うことにして、頭頂部をあぶることにした。
髪の毛って焼くと臭いよね?
『ジュン』って音とともに何とも言えない異臭が漂う。
「正当防衛だよ? 先に武器で襲ってきたのコイツだし、おれ武器使ってないし。」
父親が言っていた。
『外国では、自分の主張をしないヤツは相手の主張を認めたと取られる。
だから●●人とか▼▼▼人とかは、傍から見たらバカみたいなことを真剣に言う。』
テレビとかで見てると確かにそうだった。
地球の外国でそうなんだから異世界でもそうじゃね?
ついでに大剣を上から顔に押し付けライターで炙ろうかとしたところでレフェリーストップがかかった。
「それ以上はやりすぎです。」
「命を狙われたのに髪だけで勘弁しろっての?
髪は長い友達だけど女じゃないから命じゃないんだよ?」
日本じゃないと通じないかなコレ?
レフェリーストップをかけたのは受付嬢さんと、知らないオッサン(おそらくギルド職員)だ。
オッサンは小太りでやや貧しい頭頂部をしている。
見た瞬間になんか色々納得できた。
髪のダメージは彼にとっては深刻なものなんだろう。
「賠償金で勘弁してやるけど、それもダメなら全部焼く。」
「基本的にギルドはギルド員同士のもめごとに不介入ですが、これ以上は衛兵がらみになりそうなので止めさせていただきます。
ギルド内で犯罪行為を犯したギャン氏のギルド員資格の30日停止で勘弁してもらえませんか?」
オッサンが交渉してくる。
ギャン氏への罰にはなるけど、俺への償いとしては弱くないかなぁ。
「それはこのカッパハゲへの罰であって、俺への償いじゃないよね?」
「その辺はここではあれですので、別室でということでは?」
うん。公衆の面前ではいろいろ不味いよね。
これで儲けられるならって考える奴は絶対出てくる。
「ちょっと別室行ってくるから、登録済ませたら別室に来てね。」
それまで空気になっていた奴隷娘に声をかけると、ギャン氏にパウンドをくれてやり、意識を刈り取ると、オッサンの後をギャン氏をフォークで吊ったまま引き摺りながらついていく。
オッサンと俺の後ろがざわついていたのは気づかないことにする。
受付嬢と奴隷娘のジト目もだ。
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