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第48話 冒険者ギルドの依頼板2

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個別の「依頼板」も見てみる。

「G級依頼」

  『街壁修理作業員:壁の内側、昼日給8千ゴル、小武器所持のままの作業。』
  『守衛:夜間城壁の上を徒歩で巡回警備。1万ゴル。夜日給。二人一組。』
  『薬草採取:薬草の種類につき個別対応。ササ草不足中につき優先。』
  『雑用各種:壁内作業。昼日給7千ゴル。内容はギルド職員が割り振ります。』
  エトセトラ

G級はまあ簡単な、そうそう問題が起きないような依頼ばっかりか。

「F級依頼」

  『街壁修理作業員:壁の外側、昼日給1万5千ゴル、武器所持のままの作業。』
  『守衛:夜間城壁の外側を徒歩で巡回警備。2万ゴル。日没から日の出まで。三人一組。』
  『守衛:開拓村の警備員。全日給2万ゴル。50日間スマッコ村住み込み。定員5人。』
  『薬草採取:難易度中の薬草採取。ソア山中腹のセンリ草1株5百ゴル。』
  エトセトラ

この辺から戦闘が有るかもしれない依頼っぽいな。

「E級依頼」

  『護衛:ババンガ商会の商隊の臨時護衛。全日給2万ゴル。
      カナタ村まで往復約20日。定員4人。バランス重視。春の25日発。』
  『護衛:ムリクリ商会の商隊の臨時護衛。全日給1万3千ゴル。
      ハルカ村までの往復30日。定員2名。急募。』
  『討伐:街壁外のゴブリンの巣討伐。日給2万ゴル。定員先着20人。春の20日。』
  『偵察:街周辺の盗賊団のアジト発見依頼。発見者に20万ゴル(確認後、先着)。』
  『採狩:オーガもどきの革。なるだけ多く。程度により買取値は相談。』
  エトセトラ

ある程度信頼性の必要な依頼が増えてくるランクなんだろうな。

種類的には、「雑用」「採取」「護衛・警備」「討伐」の4分類がメインか。

全日給ってのが24時間勤務で、昼日給が昼間の12時間、夜日給が夜の12時間って感じなんだろう。

ただの日給は、時間が読めない1日拘束って感じか。

それにしても春の20日とか25日って書いてあるのは、いつのことなんだろうと疑問に思ってイルと、依頼板の近くに木製の積み木のようなカレンダーのようなものが貼ってあるのが目に入る。

1年が地球と同じく365日の様だ。

日本で言う「元旦」が「新生の休日」。

そこから春が90日間ある。

そして「生育の休日」が1日。

そこから夏が90日間。

以降、

「成長の休日」が1日。
 秋が90日間。
「成熟の休日」が1日。
 冬が90日。
「完成の休日」が1日。

で365日。


うるう年は、こっちの世界には無いのかな?

ちなみに今日は春の17日らしい。

そこだけ裏返してあるのか、カレンダーの春の17日だけ字の色が違うのでそうなんだろう。

でも、ここまで見ると俺なら常時討伐依頼を毎日こなしていた方が数十倍の収入になるから、別に個別依頼を受けることは無いだろうな。

本職は商人(なハズ)なんだし。

うーん、掲示板はこんなもんか。

あまり上のランクを見てると絡まれるテンプレだ。

そう思って、ギルド内を見回す。

掲示板の奥にはフードコート・・・・良く言い過ぎた。

呑み屋がある。

何組かのグループがもう出来あがりかけてる。

近づくのはやめておこう。


掲示板の対面には、受付カウンターがある。

新規登録、受注、終了確認、個別相談などなど種類別にいくつか並んでいる。

架け替えできるプレートがあるので朝は受注、夕方は終了確認が増えたりするんだろう。

担当受付嬢はまだ忙しいようだ。

あれ?新規登録のところにいるのに話している冒険者らしき人は結構慣れてるっぽいぞ?

いい加減待っているのにも飽きてきたので、新規登録の隣の受付に行ってみる。

「買い取りの終了と、登録の終了でカウンターに行くように言われたんですけど。」

そう話しかけてみると、隣から登録担当受付嬢が話しかけてくる。

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」

そういうと、今まで話していた冒険者風の男へ

「まだ仕事がありますのでお引き取りください。」

と抑揚の無い声で言っていた。

ああ、これテンプレやん。

『割り込んでくるな新人が』とかって因縁吹っ掛けられるんだ。

新人登録してたんじゃなくってナンパしてたんだ。

まあ受付嬢さんはみんな美人さん美少女さんだから気持ちはわかるけど、あの雰囲気みたら無理だってわからないのかな?

ああはなるまい。

まあナンパすること自体が俺には無理だろうけどさ。

冒険者風男が俺を睨みつけながら場末の呑み屋風フードコートへ去ってゆく。

「助かりました。しつこくて。
来ていただかなかったら私からお呼びするところでした。」

まあ、そうだろうね。

「ですが、ババンガ商会から迷惑をかけるなとお達しがありましたので、なかなかお声掛けもできず、本当にありがとうございました。」

ババンガ商会って本当に幅利かせてるな。

「先ほどの冒険者はギャンというE級冒険者で粘着質な性格ですので、別室で対応の後で、裏口からお帰りください。」

「いろいろ気遣っていただいてすいません。」

素直にありがたい助言だったのでお礼を言っておこう。

テンプレなんて、フラグなんて踏みつぶしてやる。

「では、こちらへどうぞ。」

受付嬢さんはカウンターに『閉鎖』のプレートを置くと奥に向かって歩き出した。
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