上 下
21 / 75

第21話 異世界テンプレをかわしましょう

しおりを挟む
「こちらが商業ギルド、隣が冒険者ギルドになります。」

結局案内してもらうことにした。

なにも知らない異世界人が一人でうろつくよりも、大商会の一族が付いて来てくれた方が問題が起こらないかと思ったのだ。

思ったのだ。

でも起きたのだ。

『異世界人の一人歩き<冒険者ギルドに女連れで行く』

テンプレにも序列があるらしい。

俺がどっちに入ろうかほんの少し迷ってる隙に、

「やめてください。」

建物に入る前から絡まれてら・・・

絡んでるのは当然のように『ハゲ』『ヒゲ』『筋肉』のムサイおっさんら3人組だ。

冒険者ギルド前に居て、革鎧に斧や槌、槍で武装しているところを見ると冒険者なんだろうが、自分の職場前で人に絡むなんて普通の神経してたらできないよな。

おっさんらを横目に商人ギルドに入る。

「え?」

お嬢さんは迷惑そうな顔の上に驚きの表情を浮かべる。

どうやら俺が助けてくれると思っていたらしい。

商人ギルドに入ると俺は、

「ギルドの登録についてお伺いしたいんですが。
 あと、表でババンガ商会のお嬢さんが冒険者らしき輩に絡まれてますが、衛兵とか呼んだ方がいいんじゃないですか?」

俺の言葉に慌てて職員らしき男の人が裏口から駆け出していく。

「普通はあなたが助けに入るか、少なくとも登録の件より先に伝えてしかるべきでは?」

受付のお姉さんがジト目でこちらに話しかけてくる。

「すいませんね。」

これから所属するかもしれない団体の職員さんだ、誤解は解いておいた方が良いだろう。

「この街のルールが解らない新参者なもんで。
 助けておっさん等をやっつけたら傷害罪やら暴行罪で捕まるのも嫌ですし、無いとは思いますがあのおっさん等が有力者だったりすると面倒ですし、ありえませんが、俺が負けたらどうするんですか?命の保証や怪我の治療費は誰か負担してくれるんですか?
 それにどこの誰ともわからない人の証言では信じてもらえないかもしれないと思って、少なくともギルドに所属しようとしている嘘を言ったら損になる人間の証言ということを現したくての順番だったのですけど。」

「・・・・」

ジト目が増殖しました。

カウンターいっぱいのジト目です。

解せぬ。

「登録ができたら買い取ってほしい物もあるんですけど、お話も聞かせてもらえないんでしょうか?」

「どうして冷静でいられるんですか?お連れ様ではないのですか?」

「だっておっさんらはもう捕まってますよ?」

「えっ?!」

気配察知レベル4は伊達じゃないんだな。

大商会の関係者の一大事とあって、呼びに行った職員さんも衛兵さんも大分頑張ったようだ。

すでに十数人の衛兵らしき揃いの鎧を着た兵士っぽい人におっさん等は組み伏せられていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界宿屋の住み込み従業員

熊ごろう
ファンタジー
なろう様でも投稿しています。 真夏の昼下がり歩道を歩いていた「加賀」と「八木」、気が付くと二人、見知らぬ空間にいた。 そこに居たのは神を名乗る一組の男女。 そこで告げられたのは現実世界での死であった。普通であればそのまま消える運命の二人だが、もう一度人生をやり直す事を報酬に、異世界へと行きそこで自らの持つ技術広めることに。 「転生先に危険な生き物はいないからー」そう聞かせれていたが……転生し森の中を歩いていると巨大な猪と即エンカウント!? 助けてくれたのは通りすがりの宿の主人。 二人はそのまま流れで宿の主人のお世話になる事に……これは宿屋「兎の宿」を中心に人々の日常を描いた物語。になる予定です。

クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也
ファンタジー
ー  子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。  しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。  異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。  そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。  追放された森で2人がであったのは――

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...