19 / 42
1-18
しおりを挟む
何だか嫌な感じがして警戒態勢をとる。
あちらもこちらに気付くいたのか、目にもとまらぬ速さで近づいてきた。
それはのんきに考えられる時間がある程度の速さで「何か振りかぶったなー」と思ったらキラッと光る金属片のようなものが重くユウリの大剣に響いた。
洞窟なだけあって反響音が凄まじく、腹を満たしていただけなのに、いきなり攻撃してきたやつにユウリは顔をしかめた。ユウリは以前もいきなり襲い掛かってくるやつに会ったことがあった。
だからいきなりの戦闘に対応できたものの、ユウリが素人だったら、その重さはたまったものじゃない。
何だかムカついて舌打ちをした。
相手はフードをかぶっていてよく見えないし、ってか、仮面もかぶっている気がするし、怪しさが尋常ではない。
手にしているのはまるで死神が持つような大きな鎌で、少しでもタイミングがずれていたなら腕一本くらいは飛んでいたかもしれない。
「———いきなりなんっ!なんだよ」
ユウリは咄嗟に大剣を裏返し、鈍器ともいえるような使い方で反撃に出た。
相手の鎌を大きく殴り、姿勢を低くして大きく一歩踏み出す。その一歩で相手の背後に回ると相手をたたき切るわけにはいかないから、ひとまず足蹴りを入れた。
(くそが…めんどくさい。なんでこんなあぶねーのがこんなところにいる?)
相手の体制が整う前に地面をけって反撃する。ユウリはそんなに体が大きいほうではないから、大剣を振り回すのに体を使う。思いっきり上半身をひねって相手の動きを封じにかかる。仮面野郎は叩き潰されるとでも思ったのか受けるには少し頼りない鎌で重圧を受けた。
「お前は誰だ⁉なぜいきなり襲い掛かってきた?」
ユウリは相手を下にして叫んだ。
「———っ‼おまえがクピディダスの悪魔か?」
「ッは?」
仮面野郎はそういうと足でユウリの腹をけって、距離をとる。
「何をしているのかわかっているのか?人をさらうのは大罪だぞ、お前には罪状がかかっている。」
(は?どういう意味だ?攫った?………………いや、さらってねぇし。攫われた側だし…。)
ますます意味の分からない返答に首をかしげる。
相手はユウリの話を聞くつもりもなさそうで、目の前にいる仮面野郎は俺を誰かと勘違いしているようだ。そう結論づける。仮面野郎は思ったよりも声が若かった。もしかしたらまだ若い分別のできない冒険者か何かだろうか。
鎌がまたふりかかってきて、最初と同じように受け止める。圧がユウリの腕にかかって振動が伝わってくる。まだ始まったばかりの打ち合いに、ユウリは付き合うのも、面倒くさいと思考を働かせた。
そのとき仮面野郎の胸元で何かが光った。シャラシャラと音が聞こえて、思わず視線をそちらに向ける。軽い金属の音だった。淡い緑色の金属片が胸元から飛び出てきた。
勢いよく飛び出たそれに思わず視線が奪われた。
そこには魔法語で何かが刻まれていて、丁寧な文字が気になって目を凝らしてみたが、さすがに戦闘中にじっくり見る余裕はなくて、耳に大きな衝撃音が響くと同時に視線を元に戻した。
それの中央にはどこかで見たような見覚えのあるマークが刻まれていた。
———どこかで目にした紋章、でもどこで見たのだったか。
それが懐かしい感じがした。仮面野郎の持つこの金属片も特別なものなのだろう。
魔法語で文字が刻まれるときその文字は通常のものよりも特別な意味を持つ。それは魔法という可能性に期待が込められた故の風習のようなもので、ユウリも銀のペンダントを胸にしまっていた。
ユウリは思い出しそうで、思い出すことのできないもやもやと、やっぱり武力のぶつけ合いに飽きてきた。
だから最後に思いっきり剣を振った。この程度の重さはユウリが吹っ飛ばすのにそれほど力はいらない。
「おまえ、さっきからいきなり何?……だれだよ⁉」
普段こんなに大きい声出さないから最後のとこで声が少し変に上がる。
仮面野郎は大きく吹っ飛ぶとその衝撃で砂ぼこりが舞い上がり視界が悪くなる。
そしてふらふらとその陰から姿を現すとユウリのその言葉に何を思ったのか、ゆっくりと行動を止めた。
あちらもこちらに気付くいたのか、目にもとまらぬ速さで近づいてきた。
それはのんきに考えられる時間がある程度の速さで「何か振りかぶったなー」と思ったらキラッと光る金属片のようなものが重くユウリの大剣に響いた。
洞窟なだけあって反響音が凄まじく、腹を満たしていただけなのに、いきなり攻撃してきたやつにユウリは顔をしかめた。ユウリは以前もいきなり襲い掛かってくるやつに会ったことがあった。
だからいきなりの戦闘に対応できたものの、ユウリが素人だったら、その重さはたまったものじゃない。
何だかムカついて舌打ちをした。
相手はフードをかぶっていてよく見えないし、ってか、仮面もかぶっている気がするし、怪しさが尋常ではない。
手にしているのはまるで死神が持つような大きな鎌で、少しでもタイミングがずれていたなら腕一本くらいは飛んでいたかもしれない。
「———いきなりなんっ!なんだよ」
ユウリは咄嗟に大剣を裏返し、鈍器ともいえるような使い方で反撃に出た。
相手の鎌を大きく殴り、姿勢を低くして大きく一歩踏み出す。その一歩で相手の背後に回ると相手をたたき切るわけにはいかないから、ひとまず足蹴りを入れた。
(くそが…めんどくさい。なんでこんなあぶねーのがこんなところにいる?)
相手の体制が整う前に地面をけって反撃する。ユウリはそんなに体が大きいほうではないから、大剣を振り回すのに体を使う。思いっきり上半身をひねって相手の動きを封じにかかる。仮面野郎は叩き潰されるとでも思ったのか受けるには少し頼りない鎌で重圧を受けた。
「お前は誰だ⁉なぜいきなり襲い掛かってきた?」
ユウリは相手を下にして叫んだ。
「———っ‼おまえがクピディダスの悪魔か?」
「ッは?」
仮面野郎はそういうと足でユウリの腹をけって、距離をとる。
「何をしているのかわかっているのか?人をさらうのは大罪だぞ、お前には罪状がかかっている。」
(は?どういう意味だ?攫った?………………いや、さらってねぇし。攫われた側だし…。)
ますます意味の分からない返答に首をかしげる。
相手はユウリの話を聞くつもりもなさそうで、目の前にいる仮面野郎は俺を誰かと勘違いしているようだ。そう結論づける。仮面野郎は思ったよりも声が若かった。もしかしたらまだ若い分別のできない冒険者か何かだろうか。
鎌がまたふりかかってきて、最初と同じように受け止める。圧がユウリの腕にかかって振動が伝わってくる。まだ始まったばかりの打ち合いに、ユウリは付き合うのも、面倒くさいと思考を働かせた。
そのとき仮面野郎の胸元で何かが光った。シャラシャラと音が聞こえて、思わず視線をそちらに向ける。軽い金属の音だった。淡い緑色の金属片が胸元から飛び出てきた。
勢いよく飛び出たそれに思わず視線が奪われた。
そこには魔法語で何かが刻まれていて、丁寧な文字が気になって目を凝らしてみたが、さすがに戦闘中にじっくり見る余裕はなくて、耳に大きな衝撃音が響くと同時に視線を元に戻した。
それの中央にはどこかで見たような見覚えのあるマークが刻まれていた。
———どこかで目にした紋章、でもどこで見たのだったか。
それが懐かしい感じがした。仮面野郎の持つこの金属片も特別なものなのだろう。
魔法語で文字が刻まれるときその文字は通常のものよりも特別な意味を持つ。それは魔法という可能性に期待が込められた故の風習のようなもので、ユウリも銀のペンダントを胸にしまっていた。
ユウリは思い出しそうで、思い出すことのできないもやもやと、やっぱり武力のぶつけ合いに飽きてきた。
だから最後に思いっきり剣を振った。この程度の重さはユウリが吹っ飛ばすのにそれほど力はいらない。
「おまえ、さっきからいきなり何?……だれだよ⁉」
普段こんなに大きい声出さないから最後のとこで声が少し変に上がる。
仮面野郎は大きく吹っ飛ぶとその衝撃で砂ぼこりが舞い上がり視界が悪くなる。
そしてふらふらとその陰から姿を現すとユウリのその言葉に何を思ったのか、ゆっくりと行動を止めた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
たとえ月しか見えなくても
ゆん
BL
留丸と透が付き合い始めて1年が経った。ひとつひとつ季節を重ねていくうちに、透と番になる日を夢見るようになった留丸だったが、透はまるでその気がないようで──
『笑顔の向こう側』のシーズン2。海で結ばれたふたりの恋の行方は?
※こちらは『黒十字』に出て来るサブカプのストーリー『笑顔の向こう側』の続きになります。
初めての方は『黒十字』と『笑顔の向こう側』を読んでからこちらを読まれることをおすすめします……が、『笑顔の向こう側』から読んでもなんとか分かる、はず。
楓の散る前に。
星未めう
BL
病弱な僕と働き者の弟。でも、血は繋がってない。
甘やかしたい、甘やかされてはいけない。
1人にしたくない、1人にならなくちゃいけない。
愛したい、愛されてはいけない。
はじめまして、星見めうと申します。普段は二次創作で活動しておりますが、このたび一次創作を始めるにあたってこちらのサイトを使用させていただくことになりました。話の中に体調不良表現が多く含まれます。嘔吐等も出てくると思うので苦手な方はプラウザバックよろしくお願いします。
ゆっくりゆるゆる更新になるかと思われます。ちょくちょくネタ等呟くかもしれないTwitterを貼っておきます。
星見めう https://twitter.com/hoshimimeu_00
普段は二次垢におりますのでもしご興味がありましたらその垢にリンクあります。
お気に入り、しおり、感想等ありがとうございます!ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*´˘`*)♡
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
[完結]堕とされた亡国の皇子は剣を抱く
小葉石
BL
今は亡きガザインバーグの名を継ぐ最後の亡国の皇子スロウルは実の父に幼き頃より冷遇されて育つ。
10歳を過ぎた辺りからは荒くれた男達が集まる討伐部隊に強引に入れられてしまう。
妖精姫との名高い母親の美貌を受け継ぎ、幼い頃は美少女と言われても遜色ないスロウルに容赦ない手が伸びて行く…
アクサードと出会い、思いが通じるまでを書いていきます。
※亡国の皇子は華と剣を愛でる、
のサイドストーリーになりますが、この話だけでも楽しめるようにしますので良かったらお読みください。
際どいシーンは*をつけてます。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません
八神紫音
BL
やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。
そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。
口枷のついたアルファ
松浦そのぎ
BL
〇Ωより先にαがラットに入る系カップル〇噛みたい噛みたいって半泣きの攻めと余裕綽綽の受けのオメガバースです。大丈夫そうな方だけお願いします。短いです!
他国の剣闘士であるルドゥロとリヴァーダ。
心躍る戦いを切望していた「最強の男」ルドゥロにリヴァーダは最高の試合をプレゼントする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる