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柚香の再修行の巻
第283話 腹黒七並べ
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意味がわからん。
どうしてこのタイミングで、七並べ腹黒王決定戦なんて言葉が?
私がポカンとしていると、妙にキリッとした顔でママと聖弥くん、そして颯姫さんとタイムさんがダイニングテーブルに移ってトランプを切り始めた。
「私、タイムさん、果穂さん、聖弥くん――揃ってしまったからには決めなければいけないでしょう、真の腹黒王を!」
「実はちょっと楽しみにしてたのよね。多分新宿ダンジョンにいるうちにやるだろうなあって思ってたし」
テーブルの上で指を組んで、ママは不敵にニヤリと笑う。
「前に言ってましたもんね、横須賀ダンジョンに行ったとき。バス屋さんは四天王最弱って」
聖弥くんのその一言で思い出した! そうだ、言ってたわ。ライトニング・グロウの4人で時々七並べするって。
「ほらここ電波が入らないでしょ? だからこそっていうか、たまにはこういうアナログゲームも楽しいの。最初はゲームサイトでプレイしてその熱さを知ったんだけどね」
ポカンとしすぎるあまり口を開けて完全に「アホの子」になってた私に気づいて、颯姫さんが説明をしてくれた。
なるほど。……なるほど? まあ、電波入らないしアナログゲーっていうのはちょっと理解出来る気もするけど。
「ルールの確認お願いします。七並べって意外にローカルルール多いから」
配られたカードを扇状に開いて場所を入れ替えたりしながら、視線は手札に固定したまま聖弥くんが真剣極まりない声で確認を取っている。
「スペードの7を出した人から時計回り。パス3回まで。最初は7で開始するけど、次は勝った人がどの数字から開始か選べる。トンネル無し」
「トンネル?」
「キングが出てるときには1を出せるみたいに、端っこが繋がってること。1位3点、2位2点、3位1点の加点式3回勝負ね。優勝した人が腹黒キング」
「手札に出せるものがあるときにパスはあり?」
「あり。むしろそれがなくちゃ『腹黒七並べ』にならない」
淡々とルールの確認がされていく。
なんなの? この人たち七並べのなんなの? プロか何か?
いい大人(高校生もいるけど)が集まって、すっごい真剣にやることなの?
……なんか、頭痛くなってきたぞ?
ライトさんは彩花ちゃんとバス屋さんのマリカーを観戦してるし、腹黒七並べに近寄るのはなんか怖いし、私は無言でその場を抜け出して蓮のところへ向かった。
できるだけ音を立てないように、ゆっくりドアノブを回して、少しだけ開けた隙間からするりと中に入る。
暗くて全然見えないから、見えるようになるまでその場で立ち止まって目を慣らした。
目が慣れたから、足音を忍ばせて蓮が寝かされているベッドの横に行く。
うーん、暗すぎて状況がよくわからないな。
とりあえず、規則正しい呼吸は聞こえる。今は眠ってるみたいだ。
ベッドの横に座り込んで、表情もよく見えない蓮の横顔をじっと見つめる。
……こんなことになるまで無茶させちゃったよ。やっぱり私が止めないといけなかったんだ。
ぽすっと顎をマットレスに載せたら、蓮が小さく唸って身じろぎをした。あ、やばい。起こしちゃったかも。
「……柚香?」
「……ねえ、なんでこの暗さでわかるの? 昨日も本当に不思議だったんだけど」
できるだけ小さい声で、いきなり人の名前を呼んできた蓮に問いかける。本当になんだろう、匂いとか? でもお風呂でみんな同じシャンプーとボディーソープ使ってるから、そんなもので判別してると思えないし。
「暗いとわかりやすいんだけど、薄ぼんやりオーラみたいなのが見えるんだよな。それが、柚香の色だから」
「見える人はこれだから……」
まさかそういうもので見分けてたなんて思わなかったよ。でも、暗かろうがなんだろうが、私だってわかってくれてちょっと嬉しい。
「俺、どういう状態? 多分起きちゃいけないんだよな?」
「……魔法の使いすぎで脳が過負荷になりすぎたんだって。オーバーヒートっていうらしいよ。更にマジックポーションの大量摂取で中毒症状も起こしてて。だからポーションも使えなくて、できるだけ刺激になること禁止だから真っ暗にしてるの」
「マジか……」
「颯姫さんもなったことあるって言ってたけど、頭痛と目眩が酷くなって、吐きそうになったから自分でストップ掛けたって。――蓮は、それを我慢しながら戦ってたんだね。倒れたとき、鼻血も出てて……顔色もあり得ないくらい真っ赤になってて怖かったよ」
「え、鼻血? それって映画とかである超能力を使いすぎた時みたいなやつ?」
「ううん、極度のストレス状態で血圧が急激に上がったせいで、鼻の血管切れるんだって」
「……ダサ」
あからさまに蓮の声が落胆している。超能力の副作用的なものだったら良かったのかな。
「ごめん、私途中で昨日のことのせいで蓮が無理してるって気づいてたけど、止められなかった。原因の私が止める筋合いあるのかって思っちゃって。逆だよね、原因だったから私が止めなきゃいけなかった」
「ストップ。脳に刺激ってことは、光も音もない方がいいんだよな? 何も言わなくていいから」
私の言葉を止めて、蓮が左手だけ布団から出してくる。その手が私の方に伸ばされたから、そっと両手で包み込むように蓮の手を握った。
ごめんね、という気持ちが手から伝わればいいのに。
ふたりで無言で手だけ繋いで、聞こえるのは微かな呼吸の音だけで。
そのうち気がついたら、蓮はまた眠ってしまっていた。
きっと、脳を休息させるために体が眠りを欲してるんだろうな。
私はそっと手を離すと、来たときと同じように静かに部屋を出た。
そしてリビングに戻ると――。
「じゃあ、地獄の行軍を始めようか」
「鬼! タイムさんは鬼だ!」
テーブルに肘を突いて指を組み、そこに顎を載せたタイムさんが眼鏡も掛けてないのに眼鏡を押し上げるポーズを真顔でしていて、珍しく聖弥くんがゲームで熱くなっていた。
「えーと……どういう状況?」
七並べってそんなに熱くなるゲームだっけ? 小学生の時以来やってない気がするけど、戦略的思考をする人間で集まってすると特殊な挙動になったりするの?
「今ね、3回戦目なんだけど、前回タイムさんが勝ったからスタート位置の指定で『A』って言われちゃって。まさにこれ、地獄の行軍なの。デスマーチなの」
「7から始まったら8方面と6方面の2方向にカードを出すことができるでしょ? でもこのルールでAまたはキングから開始に指定されると、一箇所止められるだけで難易度が爆上がりするのよね」
状況がわかっていない私に颯姫さんが状況を説明してくれて、それでも何がデスマーチなのかわかっていないのを察したのかママが補足説明をしてくれた。
「普通は8を手札に持ったまま邪魔をしても6側のカードで進行することもできるけど、このルールだと4人でやってるから各々1箇所ずつを塞いだりしたらあとは我慢比べになるんだよ……。敢えて道を塞いでパスをして相手に嫌がらせをするのも有りだけど、手札の配牌によってはパスでチキンレースするんじゃなくて、止めずに出していくのもひとつの作戦だよね。――駆け引きが、熱いよ」
「へー、なるほどわからん」
聖弥くんも説明をしてくれたけど、そんなに熱くなるものかなあ?
「誰よ、いきなりハートの2を止めてるの。性格悪すぎじゃない?」
「私じゃないですよ。毎回初手から止めるのが好きなのは聖弥くんですよね」
何とはなしに七並べを見ていたら、腹黒4人がお互いの性格の悪さをディスりながら進行していく地獄のようなゲームだったよ……。
観客という立場を活かしてみんなの手札を見て回ったら、「ハートの2」を持ってたのは「誰が止めてるのよ」って言ってたママ自身で、思わず戦慄したね。
そうか、こういうブラフも入るんだ! お互いディスりあってるのも、駆け引きのひとつなんだろうな。そこで熱くなってボロを出したり、焦ったりしたら負けなんだ。
恐ろしや、腹黒七並べ!!
内心ガクブルしながら見守っていたら、結局その回は3箇所でカードを止めてたママが勝ってた。
最終結果は、タイムさんが1位で颯姫さんが2位、ママが3位で聖弥くんが4位だった。でも点数だけ見たらママと聖弥くんは僅差だったね。
「ガッデム! またタイムさんに負けた!」
「藤さん、今回は引きが悪かったよね」
トランプを片付けたテーブルに悔しそうに颯姫さんが突っ伏して、タイムさんがそれを笑って見ながらコーヒーを飲んでいる。
たった今まで罵詈雑言祭だったのに、終わった途端にいつも通りに和気藹々だなあ。腹黒って凄い……。
「やだー、思ってた以上に面白い! これ、同じレベル同士でやるとこんなに熱いのね! 癖になるわ」
「タイムさんと颯姫さんは場数が違いますからね。今回は負けましたけど、次は負けませんよ。腹黒王子の名に懸けて」
ママは目をキラキラさせてるし、聖弥くんはゲーム中基本的にはポーカーフェイス貫いてたのに急に凄く悔しそうだし。
ていうか。
腹黒王子って自分で言っちゃうんだね。最近そのイメージを払拭しようと頑張ってたのに。
やっぱり自分の本質は腹黒なんだって、聖弥くん理解してるんだ……。
その後は「腹黒じゃない普通の七並べにするから」と誘われて私も参加したけど、ここでひとつ宇宙の真理を知ってしまったよ。
このメンバー、「普通に」七並べしてるつもりでも十分腹黒!
そりゃそうだよね! カードを止めるのも禁止事項じゃないんだし、戦術として「手札に出せるものがあるのにパスする」も何も悪いことじゃないんだわ。
トンネルありにルールが変更されたことで、私にもわかりやすく熱いゲームが進行した。
7からスタートで8を止めてたとしても、6方向から進んでAが出されちゃうと、今度はキングから繋げていかなきゃいけなくなって、止めてた8が死に札になるんだよね。
どこまでこの8を出さずにいるか、いつ見切りを付けて出すか――そういう場の状況の読み取りと駆け引きが確かに熱い。
うん、確かにやる相手によるけどハマるかも!
どうしてこのタイミングで、七並べ腹黒王決定戦なんて言葉が?
私がポカンとしていると、妙にキリッとした顔でママと聖弥くん、そして颯姫さんとタイムさんがダイニングテーブルに移ってトランプを切り始めた。
「私、タイムさん、果穂さん、聖弥くん――揃ってしまったからには決めなければいけないでしょう、真の腹黒王を!」
「実はちょっと楽しみにしてたのよね。多分新宿ダンジョンにいるうちにやるだろうなあって思ってたし」
テーブルの上で指を組んで、ママは不敵にニヤリと笑う。
「前に言ってましたもんね、横須賀ダンジョンに行ったとき。バス屋さんは四天王最弱って」
聖弥くんのその一言で思い出した! そうだ、言ってたわ。ライトニング・グロウの4人で時々七並べするって。
「ほらここ電波が入らないでしょ? だからこそっていうか、たまにはこういうアナログゲームも楽しいの。最初はゲームサイトでプレイしてその熱さを知ったんだけどね」
ポカンとしすぎるあまり口を開けて完全に「アホの子」になってた私に気づいて、颯姫さんが説明をしてくれた。
なるほど。……なるほど? まあ、電波入らないしアナログゲーっていうのはちょっと理解出来る気もするけど。
「ルールの確認お願いします。七並べって意外にローカルルール多いから」
配られたカードを扇状に開いて場所を入れ替えたりしながら、視線は手札に固定したまま聖弥くんが真剣極まりない声で確認を取っている。
「スペードの7を出した人から時計回り。パス3回まで。最初は7で開始するけど、次は勝った人がどの数字から開始か選べる。トンネル無し」
「トンネル?」
「キングが出てるときには1を出せるみたいに、端っこが繋がってること。1位3点、2位2点、3位1点の加点式3回勝負ね。優勝した人が腹黒キング」
「手札に出せるものがあるときにパスはあり?」
「あり。むしろそれがなくちゃ『腹黒七並べ』にならない」
淡々とルールの確認がされていく。
なんなの? この人たち七並べのなんなの? プロか何か?
いい大人(高校生もいるけど)が集まって、すっごい真剣にやることなの?
……なんか、頭痛くなってきたぞ?
ライトさんは彩花ちゃんとバス屋さんのマリカーを観戦してるし、腹黒七並べに近寄るのはなんか怖いし、私は無言でその場を抜け出して蓮のところへ向かった。
できるだけ音を立てないように、ゆっくりドアノブを回して、少しだけ開けた隙間からするりと中に入る。
暗くて全然見えないから、見えるようになるまでその場で立ち止まって目を慣らした。
目が慣れたから、足音を忍ばせて蓮が寝かされているベッドの横に行く。
うーん、暗すぎて状況がよくわからないな。
とりあえず、規則正しい呼吸は聞こえる。今は眠ってるみたいだ。
ベッドの横に座り込んで、表情もよく見えない蓮の横顔をじっと見つめる。
……こんなことになるまで無茶させちゃったよ。やっぱり私が止めないといけなかったんだ。
ぽすっと顎をマットレスに載せたら、蓮が小さく唸って身じろぎをした。あ、やばい。起こしちゃったかも。
「……柚香?」
「……ねえ、なんでこの暗さでわかるの? 昨日も本当に不思議だったんだけど」
できるだけ小さい声で、いきなり人の名前を呼んできた蓮に問いかける。本当になんだろう、匂いとか? でもお風呂でみんな同じシャンプーとボディーソープ使ってるから、そんなもので判別してると思えないし。
「暗いとわかりやすいんだけど、薄ぼんやりオーラみたいなのが見えるんだよな。それが、柚香の色だから」
「見える人はこれだから……」
まさかそういうもので見分けてたなんて思わなかったよ。でも、暗かろうがなんだろうが、私だってわかってくれてちょっと嬉しい。
「俺、どういう状態? 多分起きちゃいけないんだよな?」
「……魔法の使いすぎで脳が過負荷になりすぎたんだって。オーバーヒートっていうらしいよ。更にマジックポーションの大量摂取で中毒症状も起こしてて。だからポーションも使えなくて、できるだけ刺激になること禁止だから真っ暗にしてるの」
「マジか……」
「颯姫さんもなったことあるって言ってたけど、頭痛と目眩が酷くなって、吐きそうになったから自分でストップ掛けたって。――蓮は、それを我慢しながら戦ってたんだね。倒れたとき、鼻血も出てて……顔色もあり得ないくらい真っ赤になってて怖かったよ」
「え、鼻血? それって映画とかである超能力を使いすぎた時みたいなやつ?」
「ううん、極度のストレス状態で血圧が急激に上がったせいで、鼻の血管切れるんだって」
「……ダサ」
あからさまに蓮の声が落胆している。超能力の副作用的なものだったら良かったのかな。
「ごめん、私途中で昨日のことのせいで蓮が無理してるって気づいてたけど、止められなかった。原因の私が止める筋合いあるのかって思っちゃって。逆だよね、原因だったから私が止めなきゃいけなかった」
「ストップ。脳に刺激ってことは、光も音もない方がいいんだよな? 何も言わなくていいから」
私の言葉を止めて、蓮が左手だけ布団から出してくる。その手が私の方に伸ばされたから、そっと両手で包み込むように蓮の手を握った。
ごめんね、という気持ちが手から伝わればいいのに。
ふたりで無言で手だけ繋いで、聞こえるのは微かな呼吸の音だけで。
そのうち気がついたら、蓮はまた眠ってしまっていた。
きっと、脳を休息させるために体が眠りを欲してるんだろうな。
私はそっと手を離すと、来たときと同じように静かに部屋を出た。
そしてリビングに戻ると――。
「じゃあ、地獄の行軍を始めようか」
「鬼! タイムさんは鬼だ!」
テーブルに肘を突いて指を組み、そこに顎を載せたタイムさんが眼鏡も掛けてないのに眼鏡を押し上げるポーズを真顔でしていて、珍しく聖弥くんがゲームで熱くなっていた。
「えーと……どういう状況?」
七並べってそんなに熱くなるゲームだっけ? 小学生の時以来やってない気がするけど、戦略的思考をする人間で集まってすると特殊な挙動になったりするの?
「今ね、3回戦目なんだけど、前回タイムさんが勝ったからスタート位置の指定で『A』って言われちゃって。まさにこれ、地獄の行軍なの。デスマーチなの」
「7から始まったら8方面と6方面の2方向にカードを出すことができるでしょ? でもこのルールでAまたはキングから開始に指定されると、一箇所止められるだけで難易度が爆上がりするのよね」
状況がわかっていない私に颯姫さんが状況を説明してくれて、それでも何がデスマーチなのかわかっていないのを察したのかママが補足説明をしてくれた。
「普通は8を手札に持ったまま邪魔をしても6側のカードで進行することもできるけど、このルールだと4人でやってるから各々1箇所ずつを塞いだりしたらあとは我慢比べになるんだよ……。敢えて道を塞いでパスをして相手に嫌がらせをするのも有りだけど、手札の配牌によってはパスでチキンレースするんじゃなくて、止めずに出していくのもひとつの作戦だよね。――駆け引きが、熱いよ」
「へー、なるほどわからん」
聖弥くんも説明をしてくれたけど、そんなに熱くなるものかなあ?
「誰よ、いきなりハートの2を止めてるの。性格悪すぎじゃない?」
「私じゃないですよ。毎回初手から止めるのが好きなのは聖弥くんですよね」
何とはなしに七並べを見ていたら、腹黒4人がお互いの性格の悪さをディスりながら進行していく地獄のようなゲームだったよ……。
観客という立場を活かしてみんなの手札を見て回ったら、「ハートの2」を持ってたのは「誰が止めてるのよ」って言ってたママ自身で、思わず戦慄したね。
そうか、こういうブラフも入るんだ! お互いディスりあってるのも、駆け引きのひとつなんだろうな。そこで熱くなってボロを出したり、焦ったりしたら負けなんだ。
恐ろしや、腹黒七並べ!!
内心ガクブルしながら見守っていたら、結局その回は3箇所でカードを止めてたママが勝ってた。
最終結果は、タイムさんが1位で颯姫さんが2位、ママが3位で聖弥くんが4位だった。でも点数だけ見たらママと聖弥くんは僅差だったね。
「ガッデム! またタイムさんに負けた!」
「藤さん、今回は引きが悪かったよね」
トランプを片付けたテーブルに悔しそうに颯姫さんが突っ伏して、タイムさんがそれを笑って見ながらコーヒーを飲んでいる。
たった今まで罵詈雑言祭だったのに、終わった途端にいつも通りに和気藹々だなあ。腹黒って凄い……。
「やだー、思ってた以上に面白い! これ、同じレベル同士でやるとこんなに熱いのね! 癖になるわ」
「タイムさんと颯姫さんは場数が違いますからね。今回は負けましたけど、次は負けませんよ。腹黒王子の名に懸けて」
ママは目をキラキラさせてるし、聖弥くんはゲーム中基本的にはポーカーフェイス貫いてたのに急に凄く悔しそうだし。
ていうか。
腹黒王子って自分で言っちゃうんだね。最近そのイメージを払拭しようと頑張ってたのに。
やっぱり自分の本質は腹黒なんだって、聖弥くん理解してるんだ……。
その後は「腹黒じゃない普通の七並べにするから」と誘われて私も参加したけど、ここでひとつ宇宙の真理を知ってしまったよ。
このメンバー、「普通に」七並べしてるつもりでも十分腹黒!
そりゃそうだよね! カードを止めるのも禁止事項じゃないんだし、戦術として「手札に出せるものがあるのにパスする」も何も悪いことじゃないんだわ。
トンネルありにルールが変更されたことで、私にもわかりやすく熱いゲームが進行した。
7からスタートで8を止めてたとしても、6方向から進んでAが出されちゃうと、今度はキングから繋げていかなきゃいけなくなって、止めてた8が死に札になるんだよね。
どこまでこの8を出さずにいるか、いつ見切りを付けて出すか――そういう場の状況の読み取りと駆け引きが確かに熱い。
うん、確かにやる相手によるけどハマるかも!
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