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神を殺す武器の巻
第243話 聖弥のイメージ挽回大作戦
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電車に乗り込む頃になってから、聖弥くんが告白動画を見つけ出して笑顔でコメント付けてた。
「うわぁ……」
それを見た蓮が心底嫌そうな声を出し、あいちゃんは「これでいいの?」と困惑してる。
『ありがとうございます! なんの準備もしてなくて急に告白することになったんですが、彼女がOKしてくれて、いろんな方が祝福してくれて本当に幸せです! 記念にこの動画ダウンロードさせていただいてもいいですか?』って……なーんか、うさんくさいって言うか、爽やかぶってるよね。
「柚香ちゃんと蓮、その顔やめて。これが一番誰も誰かを責めないいい方法だと思うよ。思ったよりバズってくれてて効果的だし」
「聖弥、この件に乗じて『爽やか王子』イメージ付けようとしてるな?」
それね。さすがに蓮も気づいたみたいだね。私も同じ事考えてた。
聖弥くんは「腹黒王子」って巷で言われてるし実際その通りだけど、そう言ってる人たちは実はそんなにたくさんいないんだよね。
それどころか、私のバズった最初の動画は知ってても、その後蓮と聖弥くんと一緒にY quartetとして活動してるって事を知らない人の方が多い。
つまり、聖弥くんは世間的には腹黒認定されてるどころか、無名の人。
そういう「聖弥くんを知らない層」に対して、今回の聖弥くんの対応は好感度が高いって事。
だからそれが腹黒なんじゃい!
「僕は交際宣言とかしないつもりだけど、彼女がいるのは別に隠さないで行くつもりだよ」
「大丈夫なの? ジューノンコンテストとかで不利じゃない?」
聖弥くんは何かしら勝算というか、抜け道というか、「彼女がいても好感度がむしろ上がる方法」とかを考えてるんだろうけど、あいちゃんは心配そうだ。
「むしろ『理想の恋人賞』とかあるし、彼女を一途に大事にしてるのはポイントになってもおかしくないと思う。だから心配しないで」
聖弥くん、あいちゃんに向ける笑顔は本当に優しいよな……裏なしで。
あいちゃんも聖弥くんの前だと乙女になっちゃうから、このふたりは案外いいカップルなのかも知れない。お互いの意外性を引き出す組み合わせというか。
茅ヶ崎駅までお喋りをしながら4人で帰り、改札のところで蓮と聖弥くんとは別れる。
「アイリちゃん、帰ったらLIMEするから」
「う、うん……またね」
うっ! 今日付き合い始めたふたりが初々しい!!
私と蓮の時にはあんまりなかったこの感じ!
あまりにも性格が違いすぎるもんね……蓮は付き合う前も付き合ってからも「おまえ」呼ばわりが多いし。
「じゃーねー!」
私があいちゃんと改札出ようとすると蓮がハートのスティックを振りながら慌ててた。すぐ横で甘いやりとりがされたから焦ったのかな。
「おい、柚香! 俺には何かないのかよ!」
「えー、帰ったらLIMEするねー。ヤマトの写真付きで」
「よし、許す」
ヤマトに甘いなあ……。あ、そうだ。これを言うのを忘れてたよ
「多分なんだけどさ、ヤマトもう暴走しないから」
「は?」
「ヤマトが……暴走しない?」
「それは本当にヤマトなの?」
私の突然の宣言に、3人が変な顔をしている。そこまでヤマト=暴走ドッグって思われてるのかー。
時間も時間だし、私は長田先輩のお兄さんがヤマトのDNA鑑定をした結果ニホンオオカミと一致したことと、ヤマトの本当の種族がニホンオオカミの神格化である「大口真神」だと判明したことを大幅に内容はしょりながら説明した。
「種族名がわかったとき、急にヤマトとパスが繋がった感じがしたから、今までは【柴犬?】って私が誤認してたせいで正常なマスターと従魔の関係を築けてなかったんじゃないかと思うよ」
「そっか……まあ、ヤマトがいうこと聞くようになったらよかったな」
「動画の売りはひとつ減るけどね」
素直に喜んでくれる蓮に対して、にこやかに毒を吐く聖弥くん。そういうところだよ。
そして今度こそ解散した私たちは、それぞれに帰宅をした。
「お帰り、ユズ。聖弥くんのアレ、見てたわよ」
「ただいまー。あれからどうなってる?」
「聖弥くんへの賛辞の嵐、うp主を責めてた人は黙ったし、聖弥くんのフォロワーも急激に増えたわね。なかなかの一手よ、この好感度と知名度はジューノンの時にもプラスに働きそう」
「……聖弥くんってさ、俳優じゃなくて政治家になるべき人間じゃない?」
なんかうまいこと国民を言いくるめて動かす様が見えるようだよ……。
「性質的にはそうかも知れないけど、そもそもあの子って凄く広い視野で世間を見てるとかじゃないからねえ。政治家とか考えたこともないんじゃない? ユズだって冒険者としてやっていけば日本でトップクラスは狙える素質があるけど、目指してないでしょ?」
「そうでした!」
私は動物園の飼育係になるんだからね。知名度とかを活かして、いろんな動物園のお助けをするのもひとつの手だなと最近思うようになってきた。お給料がなくても生活していけるしね。
「あ、そうだ、帰ったらヤマトの写真撮ってLIMEするって蓮に言ってたんだった」
いつもより遅い時間だからヤマトはおねむタイムらしくて、私の部屋に行ってみたらサツキと一緒にベッドで寝ていた。それをパチリ。
「明日ふたりでどっか行かない?」
ヤマトの写真を付けて蓮にメッセージを送る。するとすぐに「行く」って返事が返ってきた。
寧々ちゃんは明日帰ってくる予定。だから、明日はダンジョンハウスでミスリル仕入れてこないといけないんだよね。
天之尾羽張ができたら来週の週末はダンジョンに行く予定だから、私たちがダンジョンのことを気にせず遊べるのはある意味明日まで。
大事な週末、蓮と楽しく凄そう。
「うわぁ……」
それを見た蓮が心底嫌そうな声を出し、あいちゃんは「これでいいの?」と困惑してる。
『ありがとうございます! なんの準備もしてなくて急に告白することになったんですが、彼女がOKしてくれて、いろんな方が祝福してくれて本当に幸せです! 記念にこの動画ダウンロードさせていただいてもいいですか?』って……なーんか、うさんくさいって言うか、爽やかぶってるよね。
「柚香ちゃんと蓮、その顔やめて。これが一番誰も誰かを責めないいい方法だと思うよ。思ったよりバズってくれてて効果的だし」
「聖弥、この件に乗じて『爽やか王子』イメージ付けようとしてるな?」
それね。さすがに蓮も気づいたみたいだね。私も同じ事考えてた。
聖弥くんは「腹黒王子」って巷で言われてるし実際その通りだけど、そう言ってる人たちは実はそんなにたくさんいないんだよね。
それどころか、私のバズった最初の動画は知ってても、その後蓮と聖弥くんと一緒にY quartetとして活動してるって事を知らない人の方が多い。
つまり、聖弥くんは世間的には腹黒認定されてるどころか、無名の人。
そういう「聖弥くんを知らない層」に対して、今回の聖弥くんの対応は好感度が高いって事。
だからそれが腹黒なんじゃい!
「僕は交際宣言とかしないつもりだけど、彼女がいるのは別に隠さないで行くつもりだよ」
「大丈夫なの? ジューノンコンテストとかで不利じゃない?」
聖弥くんは何かしら勝算というか、抜け道というか、「彼女がいても好感度がむしろ上がる方法」とかを考えてるんだろうけど、あいちゃんは心配そうだ。
「むしろ『理想の恋人賞』とかあるし、彼女を一途に大事にしてるのはポイントになってもおかしくないと思う。だから心配しないで」
聖弥くん、あいちゃんに向ける笑顔は本当に優しいよな……裏なしで。
あいちゃんも聖弥くんの前だと乙女になっちゃうから、このふたりは案外いいカップルなのかも知れない。お互いの意外性を引き出す組み合わせというか。
茅ヶ崎駅までお喋りをしながら4人で帰り、改札のところで蓮と聖弥くんとは別れる。
「アイリちゃん、帰ったらLIMEするから」
「う、うん……またね」
うっ! 今日付き合い始めたふたりが初々しい!!
私と蓮の時にはあんまりなかったこの感じ!
あまりにも性格が違いすぎるもんね……蓮は付き合う前も付き合ってからも「おまえ」呼ばわりが多いし。
「じゃーねー!」
私があいちゃんと改札出ようとすると蓮がハートのスティックを振りながら慌ててた。すぐ横で甘いやりとりがされたから焦ったのかな。
「おい、柚香! 俺には何かないのかよ!」
「えー、帰ったらLIMEするねー。ヤマトの写真付きで」
「よし、許す」
ヤマトに甘いなあ……。あ、そうだ。これを言うのを忘れてたよ
「多分なんだけどさ、ヤマトもう暴走しないから」
「は?」
「ヤマトが……暴走しない?」
「それは本当にヤマトなの?」
私の突然の宣言に、3人が変な顔をしている。そこまでヤマト=暴走ドッグって思われてるのかー。
時間も時間だし、私は長田先輩のお兄さんがヤマトのDNA鑑定をした結果ニホンオオカミと一致したことと、ヤマトの本当の種族がニホンオオカミの神格化である「大口真神」だと判明したことを大幅に内容はしょりながら説明した。
「種族名がわかったとき、急にヤマトとパスが繋がった感じがしたから、今までは【柴犬?】って私が誤認してたせいで正常なマスターと従魔の関係を築けてなかったんじゃないかと思うよ」
「そっか……まあ、ヤマトがいうこと聞くようになったらよかったな」
「動画の売りはひとつ減るけどね」
素直に喜んでくれる蓮に対して、にこやかに毒を吐く聖弥くん。そういうところだよ。
そして今度こそ解散した私たちは、それぞれに帰宅をした。
「お帰り、ユズ。聖弥くんのアレ、見てたわよ」
「ただいまー。あれからどうなってる?」
「聖弥くんへの賛辞の嵐、うp主を責めてた人は黙ったし、聖弥くんのフォロワーも急激に増えたわね。なかなかの一手よ、この好感度と知名度はジューノンの時にもプラスに働きそう」
「……聖弥くんってさ、俳優じゃなくて政治家になるべき人間じゃない?」
なんかうまいこと国民を言いくるめて動かす様が見えるようだよ……。
「性質的にはそうかも知れないけど、そもそもあの子って凄く広い視野で世間を見てるとかじゃないからねえ。政治家とか考えたこともないんじゃない? ユズだって冒険者としてやっていけば日本でトップクラスは狙える素質があるけど、目指してないでしょ?」
「そうでした!」
私は動物園の飼育係になるんだからね。知名度とかを活かして、いろんな動物園のお助けをするのもひとつの手だなと最近思うようになってきた。お給料がなくても生活していけるしね。
「あ、そうだ、帰ったらヤマトの写真撮ってLIMEするって蓮に言ってたんだった」
いつもより遅い時間だからヤマトはおねむタイムらしくて、私の部屋に行ってみたらサツキと一緒にベッドで寝ていた。それをパチリ。
「明日ふたりでどっか行かない?」
ヤマトの写真を付けて蓮にメッセージを送る。するとすぐに「行く」って返事が返ってきた。
寧々ちゃんは明日帰ってくる予定。だから、明日はダンジョンハウスでミスリル仕入れてこないといけないんだよね。
天之尾羽張ができたら来週の週末はダンジョンに行く予定だから、私たちがダンジョンのことを気にせず遊べるのはある意味明日まで。
大事な週末、蓮と楽しく凄そう。
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