258 / 310
神を殺す武器の巻
第243話 聖弥のイメージ挽回大作戦
しおりを挟む
電車に乗り込む頃になってから、聖弥くんが告白動画を見つけ出して笑顔でコメント付けてた。
「うわぁ……」
それを見た蓮が心底嫌そうな声を出し、あいちゃんは「これでいいの?」と困惑してる。
『ありがとうございます! なんの準備もしてなくて急に告白することになったんですが、彼女がOKしてくれて、いろんな方が祝福してくれて本当に幸せです! 記念にこの動画ダウンロードさせていただいてもいいですか?』って……なーんか、うさんくさいって言うか、爽やかぶってるよね。
「柚香ちゃんと蓮、その顔やめて。これが一番誰も誰かを責めないいい方法だと思うよ。思ったよりバズってくれてて効果的だし」
「聖弥、この件に乗じて『爽やか王子』イメージ付けようとしてるな?」
それね。さすがに蓮も気づいたみたいだね。私も同じ事考えてた。
聖弥くんは「腹黒王子」って巷で言われてるし実際その通りだけど、そう言ってる人たちは実はそんなにたくさんいないんだよね。
それどころか、私のバズった最初の動画は知ってても、その後蓮と聖弥くんと一緒にY quartetとして活動してるって事を知らない人の方が多い。
つまり、聖弥くんは世間的には腹黒認定されてるどころか、無名の人。
そういう「聖弥くんを知らない層」に対して、今回の聖弥くんの対応は好感度が高いって事。
だからそれが腹黒なんじゃい!
「僕は交際宣言とかしないつもりだけど、彼女がいるのは別に隠さないで行くつもりだよ」
「大丈夫なの? ジューノンコンテストとかで不利じゃない?」
聖弥くんは何かしら勝算というか、抜け道というか、「彼女がいても好感度がむしろ上がる方法」とかを考えてるんだろうけど、あいちゃんは心配そうだ。
「むしろ『理想の恋人賞』とかあるし、彼女を一途に大事にしてるのはポイントになってもおかしくないと思う。だから心配しないで」
聖弥くん、あいちゃんに向ける笑顔は本当に優しいよな……裏なしで。
あいちゃんも聖弥くんの前だと乙女になっちゃうから、このふたりは案外いいカップルなのかも知れない。お互いの意外性を引き出す組み合わせというか。
茅ヶ崎駅までお喋りをしながら4人で帰り、改札のところで蓮と聖弥くんとは別れる。
「アイリちゃん、帰ったらLIMEするから」
「う、うん……またね」
うっ! 今日付き合い始めたふたりが初々しい!!
私と蓮の時にはあんまりなかったこの感じ!
あまりにも性格が違いすぎるもんね……蓮は付き合う前も付き合ってからも「おまえ」呼ばわりが多いし。
「じゃーねー!」
私があいちゃんと改札出ようとすると蓮がハートのスティックを振りながら慌ててた。すぐ横で甘いやりとりがされたから焦ったのかな。
「おい、柚香! 俺には何かないのかよ!」
「えー、帰ったらLIMEするねー。ヤマトの写真付きで」
「よし、許す」
ヤマトに甘いなあ……。あ、そうだ。これを言うのを忘れてたよ
「多分なんだけどさ、ヤマトもう暴走しないから」
「は?」
「ヤマトが……暴走しない?」
「それは本当にヤマトなの?」
私の突然の宣言に、3人が変な顔をしている。そこまでヤマト=暴走ドッグって思われてるのかー。
時間も時間だし、私は長田先輩のお兄さんがヤマトのDNA鑑定をした結果ニホンオオカミと一致したことと、ヤマトの本当の種族がニホンオオカミの神格化である「大口真神」だと判明したことを大幅に内容はしょりながら説明した。
「種族名がわかったとき、急にヤマトとパスが繋がった感じがしたから、今までは【柴犬?】って私が誤認してたせいで正常なマスターと従魔の関係を築けてなかったんじゃないかと思うよ」
「そっか……まあ、ヤマトがいうこと聞くようになったらよかったな」
「動画の売りはひとつ減るけどね」
素直に喜んでくれる蓮に対して、にこやかに毒を吐く聖弥くん。そういうところだよ。
そして今度こそ解散した私たちは、それぞれに帰宅をした。
「お帰り、ユズ。聖弥くんのアレ、見てたわよ」
「ただいまー。あれからどうなってる?」
「聖弥くんへの賛辞の嵐、うp主を責めてた人は黙ったし、聖弥くんのフォロワーも急激に増えたわね。なかなかの一手よ、この好感度と知名度はジューノンの時にもプラスに働きそう」
「……聖弥くんってさ、俳優じゃなくて政治家になるべき人間じゃない?」
なんかうまいこと国民を言いくるめて動かす様が見えるようだよ……。
「性質的にはそうかも知れないけど、そもそもあの子って凄く広い視野で世間を見てるとかじゃないからねえ。政治家とか考えたこともないんじゃない? ユズだって冒険者としてやっていけば日本でトップクラスは狙える素質があるけど、目指してないでしょ?」
「そうでした!」
私は動物園の飼育係になるんだからね。知名度とかを活かして、いろんな動物園のお助けをするのもひとつの手だなと最近思うようになってきた。お給料がなくても生活していけるしね。
「あ、そうだ、帰ったらヤマトの写真撮ってLIMEするって蓮に言ってたんだった」
いつもより遅い時間だからヤマトはおねむタイムらしくて、私の部屋に行ってみたらサツキと一緒にベッドで寝ていた。それをパチリ。
「明日ふたりでどっか行かない?」
ヤマトの写真を付けて蓮にメッセージを送る。するとすぐに「行く」って返事が返ってきた。
寧々ちゃんは明日帰ってくる予定。だから、明日はダンジョンハウスでミスリル仕入れてこないといけないんだよね。
天之尾羽張ができたら来週の週末はダンジョンに行く予定だから、私たちがダンジョンのことを気にせず遊べるのはある意味明日まで。
大事な週末、蓮と楽しく凄そう。
「うわぁ……」
それを見た蓮が心底嫌そうな声を出し、あいちゃんは「これでいいの?」と困惑してる。
『ありがとうございます! なんの準備もしてなくて急に告白することになったんですが、彼女がOKしてくれて、いろんな方が祝福してくれて本当に幸せです! 記念にこの動画ダウンロードさせていただいてもいいですか?』って……なーんか、うさんくさいって言うか、爽やかぶってるよね。
「柚香ちゃんと蓮、その顔やめて。これが一番誰も誰かを責めないいい方法だと思うよ。思ったよりバズってくれてて効果的だし」
「聖弥、この件に乗じて『爽やか王子』イメージ付けようとしてるな?」
それね。さすがに蓮も気づいたみたいだね。私も同じ事考えてた。
聖弥くんは「腹黒王子」って巷で言われてるし実際その通りだけど、そう言ってる人たちは実はそんなにたくさんいないんだよね。
それどころか、私のバズった最初の動画は知ってても、その後蓮と聖弥くんと一緒にY quartetとして活動してるって事を知らない人の方が多い。
つまり、聖弥くんは世間的には腹黒認定されてるどころか、無名の人。
そういう「聖弥くんを知らない層」に対して、今回の聖弥くんの対応は好感度が高いって事。
だからそれが腹黒なんじゃい!
「僕は交際宣言とかしないつもりだけど、彼女がいるのは別に隠さないで行くつもりだよ」
「大丈夫なの? ジューノンコンテストとかで不利じゃない?」
聖弥くんは何かしら勝算というか、抜け道というか、「彼女がいても好感度がむしろ上がる方法」とかを考えてるんだろうけど、あいちゃんは心配そうだ。
「むしろ『理想の恋人賞』とかあるし、彼女を一途に大事にしてるのはポイントになってもおかしくないと思う。だから心配しないで」
聖弥くん、あいちゃんに向ける笑顔は本当に優しいよな……裏なしで。
あいちゃんも聖弥くんの前だと乙女になっちゃうから、このふたりは案外いいカップルなのかも知れない。お互いの意外性を引き出す組み合わせというか。
茅ヶ崎駅までお喋りをしながら4人で帰り、改札のところで蓮と聖弥くんとは別れる。
「アイリちゃん、帰ったらLIMEするから」
「う、うん……またね」
うっ! 今日付き合い始めたふたりが初々しい!!
私と蓮の時にはあんまりなかったこの感じ!
あまりにも性格が違いすぎるもんね……蓮は付き合う前も付き合ってからも「おまえ」呼ばわりが多いし。
「じゃーねー!」
私があいちゃんと改札出ようとすると蓮がハートのスティックを振りながら慌ててた。すぐ横で甘いやりとりがされたから焦ったのかな。
「おい、柚香! 俺には何かないのかよ!」
「えー、帰ったらLIMEするねー。ヤマトの写真付きで」
「よし、許す」
ヤマトに甘いなあ……。あ、そうだ。これを言うのを忘れてたよ
「多分なんだけどさ、ヤマトもう暴走しないから」
「は?」
「ヤマトが……暴走しない?」
「それは本当にヤマトなの?」
私の突然の宣言に、3人が変な顔をしている。そこまでヤマト=暴走ドッグって思われてるのかー。
時間も時間だし、私は長田先輩のお兄さんがヤマトのDNA鑑定をした結果ニホンオオカミと一致したことと、ヤマトの本当の種族がニホンオオカミの神格化である「大口真神」だと判明したことを大幅に内容はしょりながら説明した。
「種族名がわかったとき、急にヤマトとパスが繋がった感じがしたから、今までは【柴犬?】って私が誤認してたせいで正常なマスターと従魔の関係を築けてなかったんじゃないかと思うよ」
「そっか……まあ、ヤマトがいうこと聞くようになったらよかったな」
「動画の売りはひとつ減るけどね」
素直に喜んでくれる蓮に対して、にこやかに毒を吐く聖弥くん。そういうところだよ。
そして今度こそ解散した私たちは、それぞれに帰宅をした。
「お帰り、ユズ。聖弥くんのアレ、見てたわよ」
「ただいまー。あれからどうなってる?」
「聖弥くんへの賛辞の嵐、うp主を責めてた人は黙ったし、聖弥くんのフォロワーも急激に増えたわね。なかなかの一手よ、この好感度と知名度はジューノンの時にもプラスに働きそう」
「……聖弥くんってさ、俳優じゃなくて政治家になるべき人間じゃない?」
なんかうまいこと国民を言いくるめて動かす様が見えるようだよ……。
「性質的にはそうかも知れないけど、そもそもあの子って凄く広い視野で世間を見てるとかじゃないからねえ。政治家とか考えたこともないんじゃない? ユズだって冒険者としてやっていけば日本でトップクラスは狙える素質があるけど、目指してないでしょ?」
「そうでした!」
私は動物園の飼育係になるんだからね。知名度とかを活かして、いろんな動物園のお助けをするのもひとつの手だなと最近思うようになってきた。お給料がなくても生活していけるしね。
「あ、そうだ、帰ったらヤマトの写真撮ってLIMEするって蓮に言ってたんだった」
いつもより遅い時間だからヤマトはおねむタイムらしくて、私の部屋に行ってみたらサツキと一緒にベッドで寝ていた。それをパチリ。
「明日ふたりでどっか行かない?」
ヤマトの写真を付けて蓮にメッセージを送る。するとすぐに「行く」って返事が返ってきた。
寧々ちゃんは明日帰ってくる予定。だから、明日はダンジョンハウスでミスリル仕入れてこないといけないんだよね。
天之尾羽張ができたら来週の週末はダンジョンに行く予定だから、私たちがダンジョンのことを気にせず遊べるのはある意味明日まで。
大事な週末、蓮と楽しく凄そう。
12
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる