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神を殺す武器の巻
第235話 なんでもない、ただの一日
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火曜日の朝、私はいつもより少しだけ早く家を出た。
理由は、学校に行く前に寧々ちゃんちに用事があるから。
「おはよう、寧々ちゃん!」
「柚香ちゃんおはようー。朝からありがとう」
「放課後だと何が起きるかわからないからね」
寧々ちゃんちの玄関にお邪魔させてもらって、私のアポイタカラ・セットアップ2着とオリハルコン・ヘッドギア、それと村雨丸を置く。
これは全部寧々ちゃんに貸して、レベリングの時に使ってもらうのだ。
寧々ちゃんがライトニング・グロウの人たちと一緒にレベリングするのは明日からだから、今日のうちに渡しておかないとと思ったんだよね。
寧々ちゃんはヒヒイロカネ50%の防具を持ってるけど私の防具の方が高性能だし、村雨丸は補正がフルで付かないとはいえとりあえず強い。補正付き武器はまだ持ってないって話だしね。
寧々ちゃんが刀使いじゃなかったら貸せなかったよ。ちょうどよかった。
「総額……総額何億円なんだろ……うう、無くさないように気を付けるね」
「ライトニング・グロウの人たちがアイテムバッグ持ってるから、大丈夫だよ。あの人たちもお金には困ってないし」
これは私の直感だけど、颯姫さんたちはお金のためにダンジョンに潜ってない。何か目的が別のところにある感じ。
そうじゃなかったら、あんなに高LVになってまでストイックに戦い続ける理由がわからない。大体の冒険者は一生暮らせるお金を貯めたら引退しちゃうからね。
考えながら、相変わらず可愛いマユちゃんを撫でさせてもらう。ウサギの毛は犬とも猫ともまた感じが違うよね。敢えて言うなら猫に近いかな。
足に肉球がない所も違うし、思わず膝にマユちゃんを載っけて足をもみもみして堪能。そしたら寧々ちゃんのお母さんに時間だよと言われたので寧々ちゃんと一緒に登校した。
そういえば高校に入ってから、誰かと一緒に登校するの初めてかもしれない。
仲良くなる切っ掛けがあった頃の寧々ちゃんはブートキャンプでいっぱいいっぱいだったけど、今は朝活ランニングも余裕だね。
もう、クラスの中で朝活ランニングくらいでひーひー言ってる人はいない。
クラフトの人たちも「安永式クラフトレベリング」で一気にクラフト経験値をためたから、今までクラフトに割いてた時間をダンジョンに潜ることに回せてるし、今年の1年生は例年より断然LVが高いって先生のお墨付きももらってる。
授業の合間の20分の業間休み、いつものようにあいちゃんとかれんちゃんとお菓子を摘まんでいたら珍しく彩花ちゃんがいることに気づいた。
「彩ちゃん珍しー。スナフキンやめたの?」
プロテインバーをボリボリと食べながらあいちゃんが軽い調子で尋ねると、彩花ちゃんは寂しそうに笑った。
「うん。……逃げる理由なくなっちゃったから」
「そっか」
私は短く一言だけ答えた。多分彩花ちゃんは、長谷部彩花という意識と小碓王の記憶、それから私の影を探し続けた幾度もの前世の記憶で苦しんでたんじゃないかと思う。
それなのに、やっと会えた私は同性で、なまじ仲がいいものだからやり場のない気持ちに苛まされてた。……そういう人だから。
「今日さー、蓮の誕生日プレゼント買いに行こうと思うんだけど、あいちゃんとかれんちゃんも一緒に行かない? 久しぶりにお買い物しようよ」
「行く行くー。わー、本当に久しぶりじゃない? 高校入ってから一緒に買い物とか行ってないよね?」
「愛莉と柚香はなんか配信で行ってなかった? てか、放課後に普通の事してる余裕があんまりなかったよね。私も行く」
「ボクも……行こうかな」
あいちゃんはノリノリで、かれんちゃんもめずらしく乗り気で――そして、すっごい予想外なことに彩花ちゃんが一緒に行くと言い出した。
「えっ!? 蓮の誕生日プレゼントだよ? 彩花ちゃん爆弾とか送りつける系のこと考えてない?」
「ゆずっち酷い! ボクだってたまには友達と洋服見たりアクセサリー見たりしたいと思うときがあるもん!」
「中学の時は一緒に4人で行ってたよねー」
かれんちゃんがしみじみ言うから、中学生の時にみんなで遊びに行ったときのことを思い出す。
大手総合スーパーとかで服を見たりするのもなんか嫌で、藤沢まで行って服とかアクセとか見たりしたなあ。
「じゃあ、どこ行こうか。懐かしい感じで藤沢?」
「みなとみらいでしょ! あそこの充実度やっぱり半端ないよ」
あいちゃんが鼻息荒く言うので、私たちは特に異議を唱えずに放課後みなとみらいに行くことにした。
「何買うつもり?」
「うーん、やっぱりアクセかなー。ペンダントとか」
「イヤーカフとかもいいよ。結構かっこいいのあるし」
上にコート着てるけど制服を着たままで、4人で電車に乗って桜木町へ向かう。
うわあ、なんか……本当にこういうの久しぶり。高校生してるって感じだなあ。
買い物の本命は蓮へのプレゼントだけど、ワイワイ言いながら適当に歩いて、気に入ったものを買うのも友達と一緒だし絶対楽しいよね。
今の私たちはダンジョンのおかげでお財布が潤ってるしね!
お金はあるけど、高いお店に入るつもりはない。ていうか、高校生が付けてて違和感あるようなアクセサリーはちょっと嫌だ。
そう私が要望を出したら、あいちゃんがささっとおすすめのお店を教えてくれた。
若者向けのデザインと価格帯のお店だね。1000円くらいのものから、高くても5万円くらいまで。ちょうどよさそう。
「わー、こういうの見てると楽しいよねー」
「うんうん、女の子で良かったーって思う」
かれんちゃんはいつもはさっぱりしてるけど、意外にアクセサリーとか好きなんだよね。シンプル系にスワロ1粒とか、そういうちょっと大人フェミニンな感じを選んだりさ。
あいちゃんはクローゼットと突き合わせて考えて、着回しにどう効果的にアクセントを付けられるかとか、流行のアイテムとかそういうのを中心に見てるみたい。
私は――自然とペアアクセのコーナーに足を向けていた。
ジグソーパズルのピースのようなペンダントトップが付いてて、ふたつ揃えるとぴったり噛み合って一繋がりの言葉が出てくる奴とか、ちょっと目を惹く。
「ゆずっちゆずっち、これとかは?」
彩花ちゃんがケースの中のペンダントを指差した。片方はオープンハートみたいなデザインのペンダントで、もう片方はシンプルなプレート形のペンダント。
あ、これ、プレート形の方に曲線が彫り込んであるなと思ったら、ハートの方がぴったり半分重なるんだ! 可愛いし、一見ペアに見えないし、メンズの方がシンプルなのもかっこいいね。
「いいね! でも彩花ちゃんとのセットでは買わないよ?」
私の中では、あくまで「私と蓮がペアで付ける」ことを考えて選んでる。ていうか、彩花ちゃんとペアアクセ買ってどうすんねんって話ですわ。
私の言葉に、彩花ちゃんは唇を尖らせた。
「ちゃんと安永蓮が付けて平気そうなのを選んであげたのにー。私は買うならさ、4人でお揃いのが欲しいなあ。あいっちも言ってたけど、イヤーカフも良くない? みんなでオソロで買おうよ」
「それ賛成ー。じゃあ、蓮にはこれをプレゼントしようっと。すみませんー、これください。メンズの方だけプレゼント用に包んで欲しいんですが」
私が店員さんに話し掛けると、彩花ちゃんは満足そうにあいちゃんやかれんちゃんの方に合流していった。何やらキャッキャと話して、イヤーカフを選んでるみたい。
……あれ?
今彩花ちゃん、「ボク」じゃなくて「私」って言ったよね……?
引っかかりを覚えて私が彩花ちゃんの言葉を反芻していると、店員さんからお会計の案内が来た。
前に蓮のダッフルコートを買いに行った時のペアリングもどきより数倍高いけど、高校生が買えない値段じゃない。
こういうシンプルかっこいいアクセ、蓮に似合いそうだし、彩花ちゃんいいの見つけてくれたなあ。
プレゼントにする方を包んでもらっている間、私たちはイヤーカフを見たりピアスホールを開けたいと話したり、ピアスホールが化膿して大変なことになった話をしてぎゃーってなったりして賑やかに楽しんだ。
4人でお揃いにしたのは、猫モチーフのイヤーカフ。シンプルすぎなくて、「付けてます」って存在感がそれなりにある可愛い奴。
「ゆーちゃん、土曜日これお揃いで付けて行こう?」
他にもアクセサリーを買ったあいちゃんはニッコニコだ。土曜日と聞いてかれんちゃんと彩花ちゃんがピクリとしたけど、「蓮と交際宣言をする相談をしたときに聖弥くんが約束取り付けてきたからね……」と説明したら、瞬時にふたりともスンって顔になってた。
「その4人で遊園地かー。それは邪魔できないわ」
かれんちゃんがしみじみと呟き、彩花ちゃんは「由井聖弥……」と言ったまま頬を引きつらせている。
私は、「蓮の誕生日だし土曜日に遊園地行こうよ」と言い出したのは自分だとは打ち明けないことにした……。
理由は、学校に行く前に寧々ちゃんちに用事があるから。
「おはよう、寧々ちゃん!」
「柚香ちゃんおはようー。朝からありがとう」
「放課後だと何が起きるかわからないからね」
寧々ちゃんちの玄関にお邪魔させてもらって、私のアポイタカラ・セットアップ2着とオリハルコン・ヘッドギア、それと村雨丸を置く。
これは全部寧々ちゃんに貸して、レベリングの時に使ってもらうのだ。
寧々ちゃんがライトニング・グロウの人たちと一緒にレベリングするのは明日からだから、今日のうちに渡しておかないとと思ったんだよね。
寧々ちゃんはヒヒイロカネ50%の防具を持ってるけど私の防具の方が高性能だし、村雨丸は補正がフルで付かないとはいえとりあえず強い。補正付き武器はまだ持ってないって話だしね。
寧々ちゃんが刀使いじゃなかったら貸せなかったよ。ちょうどよかった。
「総額……総額何億円なんだろ……うう、無くさないように気を付けるね」
「ライトニング・グロウの人たちがアイテムバッグ持ってるから、大丈夫だよ。あの人たちもお金には困ってないし」
これは私の直感だけど、颯姫さんたちはお金のためにダンジョンに潜ってない。何か目的が別のところにある感じ。
そうじゃなかったら、あんなに高LVになってまでストイックに戦い続ける理由がわからない。大体の冒険者は一生暮らせるお金を貯めたら引退しちゃうからね。
考えながら、相変わらず可愛いマユちゃんを撫でさせてもらう。ウサギの毛は犬とも猫ともまた感じが違うよね。敢えて言うなら猫に近いかな。
足に肉球がない所も違うし、思わず膝にマユちゃんを載っけて足をもみもみして堪能。そしたら寧々ちゃんのお母さんに時間だよと言われたので寧々ちゃんと一緒に登校した。
そういえば高校に入ってから、誰かと一緒に登校するの初めてかもしれない。
仲良くなる切っ掛けがあった頃の寧々ちゃんはブートキャンプでいっぱいいっぱいだったけど、今は朝活ランニングも余裕だね。
もう、クラスの中で朝活ランニングくらいでひーひー言ってる人はいない。
クラフトの人たちも「安永式クラフトレベリング」で一気にクラフト経験値をためたから、今までクラフトに割いてた時間をダンジョンに潜ることに回せてるし、今年の1年生は例年より断然LVが高いって先生のお墨付きももらってる。
授業の合間の20分の業間休み、いつものようにあいちゃんとかれんちゃんとお菓子を摘まんでいたら珍しく彩花ちゃんがいることに気づいた。
「彩ちゃん珍しー。スナフキンやめたの?」
プロテインバーをボリボリと食べながらあいちゃんが軽い調子で尋ねると、彩花ちゃんは寂しそうに笑った。
「うん。……逃げる理由なくなっちゃったから」
「そっか」
私は短く一言だけ答えた。多分彩花ちゃんは、長谷部彩花という意識と小碓王の記憶、それから私の影を探し続けた幾度もの前世の記憶で苦しんでたんじゃないかと思う。
それなのに、やっと会えた私は同性で、なまじ仲がいいものだからやり場のない気持ちに苛まされてた。……そういう人だから。
「今日さー、蓮の誕生日プレゼント買いに行こうと思うんだけど、あいちゃんとかれんちゃんも一緒に行かない? 久しぶりにお買い物しようよ」
「行く行くー。わー、本当に久しぶりじゃない? 高校入ってから一緒に買い物とか行ってないよね?」
「愛莉と柚香はなんか配信で行ってなかった? てか、放課後に普通の事してる余裕があんまりなかったよね。私も行く」
「ボクも……行こうかな」
あいちゃんはノリノリで、かれんちゃんもめずらしく乗り気で――そして、すっごい予想外なことに彩花ちゃんが一緒に行くと言い出した。
「えっ!? 蓮の誕生日プレゼントだよ? 彩花ちゃん爆弾とか送りつける系のこと考えてない?」
「ゆずっち酷い! ボクだってたまには友達と洋服見たりアクセサリー見たりしたいと思うときがあるもん!」
「中学の時は一緒に4人で行ってたよねー」
かれんちゃんがしみじみ言うから、中学生の時にみんなで遊びに行ったときのことを思い出す。
大手総合スーパーとかで服を見たりするのもなんか嫌で、藤沢まで行って服とかアクセとか見たりしたなあ。
「じゃあ、どこ行こうか。懐かしい感じで藤沢?」
「みなとみらいでしょ! あそこの充実度やっぱり半端ないよ」
あいちゃんが鼻息荒く言うので、私たちは特に異議を唱えずに放課後みなとみらいに行くことにした。
「何買うつもり?」
「うーん、やっぱりアクセかなー。ペンダントとか」
「イヤーカフとかもいいよ。結構かっこいいのあるし」
上にコート着てるけど制服を着たままで、4人で電車に乗って桜木町へ向かう。
うわあ、なんか……本当にこういうの久しぶり。高校生してるって感じだなあ。
買い物の本命は蓮へのプレゼントだけど、ワイワイ言いながら適当に歩いて、気に入ったものを買うのも友達と一緒だし絶対楽しいよね。
今の私たちはダンジョンのおかげでお財布が潤ってるしね!
お金はあるけど、高いお店に入るつもりはない。ていうか、高校生が付けてて違和感あるようなアクセサリーはちょっと嫌だ。
そう私が要望を出したら、あいちゃんがささっとおすすめのお店を教えてくれた。
若者向けのデザインと価格帯のお店だね。1000円くらいのものから、高くても5万円くらいまで。ちょうどよさそう。
「わー、こういうの見てると楽しいよねー」
「うんうん、女の子で良かったーって思う」
かれんちゃんはいつもはさっぱりしてるけど、意外にアクセサリーとか好きなんだよね。シンプル系にスワロ1粒とか、そういうちょっと大人フェミニンな感じを選んだりさ。
あいちゃんはクローゼットと突き合わせて考えて、着回しにどう効果的にアクセントを付けられるかとか、流行のアイテムとかそういうのを中心に見てるみたい。
私は――自然とペアアクセのコーナーに足を向けていた。
ジグソーパズルのピースのようなペンダントトップが付いてて、ふたつ揃えるとぴったり噛み合って一繋がりの言葉が出てくる奴とか、ちょっと目を惹く。
「ゆずっちゆずっち、これとかは?」
彩花ちゃんがケースの中のペンダントを指差した。片方はオープンハートみたいなデザインのペンダントで、もう片方はシンプルなプレート形のペンダント。
あ、これ、プレート形の方に曲線が彫り込んであるなと思ったら、ハートの方がぴったり半分重なるんだ! 可愛いし、一見ペアに見えないし、メンズの方がシンプルなのもかっこいいね。
「いいね! でも彩花ちゃんとのセットでは買わないよ?」
私の中では、あくまで「私と蓮がペアで付ける」ことを考えて選んでる。ていうか、彩花ちゃんとペアアクセ買ってどうすんねんって話ですわ。
私の言葉に、彩花ちゃんは唇を尖らせた。
「ちゃんと安永蓮が付けて平気そうなのを選んであげたのにー。私は買うならさ、4人でお揃いのが欲しいなあ。あいっちも言ってたけど、イヤーカフも良くない? みんなでオソロで買おうよ」
「それ賛成ー。じゃあ、蓮にはこれをプレゼントしようっと。すみませんー、これください。メンズの方だけプレゼント用に包んで欲しいんですが」
私が店員さんに話し掛けると、彩花ちゃんは満足そうにあいちゃんやかれんちゃんの方に合流していった。何やらキャッキャと話して、イヤーカフを選んでるみたい。
……あれ?
今彩花ちゃん、「ボク」じゃなくて「私」って言ったよね……?
引っかかりを覚えて私が彩花ちゃんの言葉を反芻していると、店員さんからお会計の案内が来た。
前に蓮のダッフルコートを買いに行った時のペアリングもどきより数倍高いけど、高校生が買えない値段じゃない。
こういうシンプルかっこいいアクセ、蓮に似合いそうだし、彩花ちゃんいいの見つけてくれたなあ。
プレゼントにする方を包んでもらっている間、私たちはイヤーカフを見たりピアスホールを開けたいと話したり、ピアスホールが化膿して大変なことになった話をしてぎゃーってなったりして賑やかに楽しんだ。
4人でお揃いにしたのは、猫モチーフのイヤーカフ。シンプルすぎなくて、「付けてます」って存在感がそれなりにある可愛い奴。
「ゆーちゃん、土曜日これお揃いで付けて行こう?」
他にもアクセサリーを買ったあいちゃんはニッコニコだ。土曜日と聞いてかれんちゃんと彩花ちゃんがピクリとしたけど、「蓮と交際宣言をする相談をしたときに聖弥くんが約束取り付けてきたからね……」と説明したら、瞬時にふたりともスンって顔になってた。
「その4人で遊園地かー。それは邪魔できないわ」
かれんちゃんがしみじみと呟き、彩花ちゃんは「由井聖弥……」と言ったまま頬を引きつらせている。
私は、「蓮の誕生日だし土曜日に遊園地行こうよ」と言い出したのは自分だとは打ち明けないことにした……。
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