218 / 273
ダンジョンの謎とヤマトの謎の巻
第204話 記憶にありません
しおりを挟む
「彩花ちゃん、これ」
次の休み時間に、私は回ってきた手紙を彩花ちゃんに見せた。
「なんで手紙? LIMEで送ればいいのに。先生に見つかったら怒られるよ」
「なんでって……そりゃ、こうできるからだよ」
彩花ちゃんは私の手から手紙を受け取り――ビリビリと破いてからゴミ箱に捨てに行った。
証拠隠滅! た、確かにLIMEはログが残るけど、手紙は処分しちゃえば残らない。彩花ちゃんが聖弥くんみたいな事をするとは思わなかったから、意表を突かれちゃったよ。
「ちょっと教室出よ。まあ、雑談だと思ってさ」
「うん」
私を連れて教室を出た彩花ちゃんは、廊下側の教室の壁にもたれかかった。あ、そんな近くでいいんだ。
「ちょっとだけ、考えて欲しかったんだ。前世の記憶をゆずっちが信じるかどうかって」
「前世の記憶……」
うーん、ourtubeでもそういう動画が上がってるのはサムネでちらっと見るけど、興味を持ったことはないんだよね。
蓮と知り合うまでは目に見えないものの存在って、自分にとっては無いも同じだったし。
「そういうのがあるって言ってる人もいるし、生まれ変わり自体はあるんじゃないかと思うけど……それを自分のこととしては考えられないっていうのが近いかな」
「どうして?」
「そりゃあ……私にはそんな記憶とかないもん。ママも言ってたよ。3歳までは胎内記憶とか前世の記憶とかしゃべる子が割といるらしくて、私が何をしゃべるか楽しみにしてたけど特にそれらしいことは何もなかったって」
「あ、これ根本的にボクが間違ったかも……」
私の話を聞いて、彩花ちゃんは頭を抱えてうんうん唸り始めた。
「確認だけど、ゆずっちはボクの武器が何だったか覚えてる?」
「彩花ちゃんの武器は剣だよね。持たせてもらったらいかにもな剣だなあって思ったよ」
「名前は?」
「彩花ちゃんから聞いてないし、鑑定もしてないからわかるわけないじゃん?」
「そーーーーーーーーーだよねぇぇぇぇ」
彩花ちゃんはずるずると背中を滑らせて、廊下に体育座りをした。頭を抱えたままでブツブツ言ってる。封じてるとかなかったことにされてるとか、ごにょごにょと。
「うーん、話していいのかわからない。またゆずっちが倒れたら嫌だし」
「ねえ、ダンジョンハウスで倒れたとき、直前に彩花ちゃんと何か喋ってたのは覚えてるんだ。私が倒れたのって、前世に関することなの? それに彩花ちゃんが関係してる?」
「うーーーーー」
私が尋ねると彩花ちゃんは更に唸る。こんなに悩んでるのは見たことないな。
彩花ちゃんがうんうんと悩んでるのを見守ってたらチャイムが鳴ってしまった。弾かれた様に彩花ちゃんは立ち上がる。
「ごめん、ちょっと考えさせて。ボクの考えてた前提条件が間違ってたっぽい」
「さっぱりわからないけど、彩花ちゃんが話せそうになるまで待つよ」
話せ! って言ったところで本人が嫌なら話さないだろうし、彩花ちゃんが話さないのは私を心配してのことだもんね。
あの時、私は多分自分が覚えてる以上のことを彩花ちゃんとしゃべったんだろうな。そして、それを忘れてる。
それは多分今話に出て来た彩花ちゃんの武器のことなんじゃないかって推測はできるけど。
剣の名前……うーん、天叢雲剣とか草薙剣くらいしか知らないな。あ、ここのふたつは同じ物か。
草薙剣? またまたー。三種の神器のひとつがなんで神奈川の女子高生のところに出て来ちゃうのよ。まあ、聖弥くんのエクスカリバーも大概だけどさ。
ママに聞いたら剣もいろいろ出てくるんだろうけどなあー。
あ、もうひとつ知ってた。白山吉光。でもあれって小さいんだよね。彩花ちゃんの持ってた剣とは全然違う。
――結論。わからぬ。
まあ、そのうち彩花ちゃんが話してくれるでしょ。
そう思って私は授業に集中することにした。
お昼休みは、彩花ちゃんは気づいたらいなくなってた。またスナフキンしてるよ。
でもさっきの様子だと、ひとりで考えたいこともあるんだろうな。
かれんちゃんとあいちゃんと一緒にお昼を食べて、かれんちゃんに「昨日LVめちゃくちゃ上がった」って話をしたら羨ましがられた。
「やっぱ凄いよね上級は。確かにワンフロア全滅させたけどさー。LV7も上がるって思わないじゃん」
うほほほっと笑いながら、あいちゃんがダンジョンアプリでステータス開いてうっとりしてる。
横からひょいっとその画面を覗く。そういえばあいちゃんのステータスって、本当に低レベルの頃しか見たことなかったんだよね。
平原愛莉 LV27
HP 183/183
MP 62/62
STR 47
VIT 50
MAG 20
RST 17
DEX 90
AGI 55
スキル 【クラフト】【初級ヒール】【初級補助魔法】【中級補助魔法】
ジョブ 【クラフトマン】
「わっ、ジョブクラフトマンになってる! 凄っ!」
「フリークラフトができたときに付いたよ。だからうちのクラス全員クラフトマンになってるよ」
「そうなんだ!?」
一番厳しいって言われてるクラフトマンのジョブが取れたってのは凄いなあ。
蓮のやり方、「安永式」って言われてあちこちでやられ始めてるみたいだし。
アイドルとは関係ないところで実績打ち立ててるよね。
……と気づいたらあいちゃんの後ろに聖弥くんが立っていた。あいちゃんのステータスを覗き込んだままで固まってるけど。
「うわっ、聖弥くん何してるの!」
慌ててあいちゃんがスマホを隠す。やっぱり、乙女的にはステータス見られたくないんだなあ!
「……アイリちゃんの方がステータス高いから驚いちゃって」
「そうなの?」
聖弥くんは油の切れたロボットみたいにギギギ……と動いて自分のスマホを取り出した。
由井聖弥 LV31
HP 134/134
MP 53 /53
STR 37
VIT 36
MAG 37
RST 38
DEX 35
AGI 36
スキル 【初級補助魔法】【中級補助魔法】【上級補助魔法】
ジョブ 【サポートメイジ】
た、確かに……MAGとRST以外は全部あいちゃんが高いわ。HPもMPも、特にSTRが高いってショックかもね。
って、今気づいたけどジョブ付いてる!
「聖弥くん、ジョブ付いたんだ!」
「うん。昨日LVが上がって上級補助魔法が取れる様になったから取ったんだ。そうしたらサポートメイジってジョブが付いて」
「ステータス補正付かなかった?」
「付いたよ。MP+5と、MAGとRSTとAGIに+1ずつ……」
うっ、ジョブのステータス特典があれば特色が出るかと思ったけど、「サポートメイジ」だもんなあ……。高いMAG必要ないし、申し訳程度に付いてる感じ。
結果として勇者ステータスの形がちょっと変わった程度にしかなってない。
「なんでこんなに低いの? なんか私ゴリラみたいじゃん」
「由井くん、ブートキャンプしてないでしょ。これが一般の人のステータスの伸び方だよ」
首を傾げたあいちゃんに、かれんちゃんが答える。
そう、聖弥くんは「一般の冒険者」的なステータスの伸び方をしちゃってるんだよね。聖弥くん以外は、LVが10になるまでに結構な特訓をしたから伸び率はいいんだよ。
「愛莉はゴリラじゃん? 布団も投げたし昨日はヘビも叩きつけてたし」
「あれは不可抗力! かれんちゃんだって武器持ってないところにヘビが来たら絶対やるよ!」
「聖弥くん……あんまり悩まない方がいいよ。専業冒険者になるんじゃないんだし、冒険者じゃない人と比べたらスタミナも力も全然違うからさ」
あいちゃんはクラフトマンになるんだし、DEXとMPはいくら高くてもいい。
でも私今でも多分カバの突進とか止められるから、これ以上ステータスを伸ばしても特にメリットはないんだよね。
敢えて言うなら、ライオンを猫づかみで運べる様になるかな、程度で。
でも、ダンジョンにはもっと行きたい。
Y quartetの活動をすることで蓮と聖弥くんの助けにもなるし、ヤマトと一緒に大暴れしたい。
だから、次のダン配彩花ちゃんが出てくれればいいんだけどなー。
次の休み時間に、私は回ってきた手紙を彩花ちゃんに見せた。
「なんで手紙? LIMEで送ればいいのに。先生に見つかったら怒られるよ」
「なんでって……そりゃ、こうできるからだよ」
彩花ちゃんは私の手から手紙を受け取り――ビリビリと破いてからゴミ箱に捨てに行った。
証拠隠滅! た、確かにLIMEはログが残るけど、手紙は処分しちゃえば残らない。彩花ちゃんが聖弥くんみたいな事をするとは思わなかったから、意表を突かれちゃったよ。
「ちょっと教室出よ。まあ、雑談だと思ってさ」
「うん」
私を連れて教室を出た彩花ちゃんは、廊下側の教室の壁にもたれかかった。あ、そんな近くでいいんだ。
「ちょっとだけ、考えて欲しかったんだ。前世の記憶をゆずっちが信じるかどうかって」
「前世の記憶……」
うーん、ourtubeでもそういう動画が上がってるのはサムネでちらっと見るけど、興味を持ったことはないんだよね。
蓮と知り合うまでは目に見えないものの存在って、自分にとっては無いも同じだったし。
「そういうのがあるって言ってる人もいるし、生まれ変わり自体はあるんじゃないかと思うけど……それを自分のこととしては考えられないっていうのが近いかな」
「どうして?」
「そりゃあ……私にはそんな記憶とかないもん。ママも言ってたよ。3歳までは胎内記憶とか前世の記憶とかしゃべる子が割といるらしくて、私が何をしゃべるか楽しみにしてたけど特にそれらしいことは何もなかったって」
「あ、これ根本的にボクが間違ったかも……」
私の話を聞いて、彩花ちゃんは頭を抱えてうんうん唸り始めた。
「確認だけど、ゆずっちはボクの武器が何だったか覚えてる?」
「彩花ちゃんの武器は剣だよね。持たせてもらったらいかにもな剣だなあって思ったよ」
「名前は?」
「彩花ちゃんから聞いてないし、鑑定もしてないからわかるわけないじゃん?」
「そーーーーーーーーーだよねぇぇぇぇ」
彩花ちゃんはずるずると背中を滑らせて、廊下に体育座りをした。頭を抱えたままでブツブツ言ってる。封じてるとかなかったことにされてるとか、ごにょごにょと。
「うーん、話していいのかわからない。またゆずっちが倒れたら嫌だし」
「ねえ、ダンジョンハウスで倒れたとき、直前に彩花ちゃんと何か喋ってたのは覚えてるんだ。私が倒れたのって、前世に関することなの? それに彩花ちゃんが関係してる?」
「うーーーーー」
私が尋ねると彩花ちゃんは更に唸る。こんなに悩んでるのは見たことないな。
彩花ちゃんがうんうんと悩んでるのを見守ってたらチャイムが鳴ってしまった。弾かれた様に彩花ちゃんは立ち上がる。
「ごめん、ちょっと考えさせて。ボクの考えてた前提条件が間違ってたっぽい」
「さっぱりわからないけど、彩花ちゃんが話せそうになるまで待つよ」
話せ! って言ったところで本人が嫌なら話さないだろうし、彩花ちゃんが話さないのは私を心配してのことだもんね。
あの時、私は多分自分が覚えてる以上のことを彩花ちゃんとしゃべったんだろうな。そして、それを忘れてる。
それは多分今話に出て来た彩花ちゃんの武器のことなんじゃないかって推測はできるけど。
剣の名前……うーん、天叢雲剣とか草薙剣くらいしか知らないな。あ、ここのふたつは同じ物か。
草薙剣? またまたー。三種の神器のひとつがなんで神奈川の女子高生のところに出て来ちゃうのよ。まあ、聖弥くんのエクスカリバーも大概だけどさ。
ママに聞いたら剣もいろいろ出てくるんだろうけどなあー。
あ、もうひとつ知ってた。白山吉光。でもあれって小さいんだよね。彩花ちゃんの持ってた剣とは全然違う。
――結論。わからぬ。
まあ、そのうち彩花ちゃんが話してくれるでしょ。
そう思って私は授業に集中することにした。
お昼休みは、彩花ちゃんは気づいたらいなくなってた。またスナフキンしてるよ。
でもさっきの様子だと、ひとりで考えたいこともあるんだろうな。
かれんちゃんとあいちゃんと一緒にお昼を食べて、かれんちゃんに「昨日LVめちゃくちゃ上がった」って話をしたら羨ましがられた。
「やっぱ凄いよね上級は。確かにワンフロア全滅させたけどさー。LV7も上がるって思わないじゃん」
うほほほっと笑いながら、あいちゃんがダンジョンアプリでステータス開いてうっとりしてる。
横からひょいっとその画面を覗く。そういえばあいちゃんのステータスって、本当に低レベルの頃しか見たことなかったんだよね。
平原愛莉 LV27
HP 183/183
MP 62/62
STR 47
VIT 50
MAG 20
RST 17
DEX 90
AGI 55
スキル 【クラフト】【初級ヒール】【初級補助魔法】【中級補助魔法】
ジョブ 【クラフトマン】
「わっ、ジョブクラフトマンになってる! 凄っ!」
「フリークラフトができたときに付いたよ。だからうちのクラス全員クラフトマンになってるよ」
「そうなんだ!?」
一番厳しいって言われてるクラフトマンのジョブが取れたってのは凄いなあ。
蓮のやり方、「安永式」って言われてあちこちでやられ始めてるみたいだし。
アイドルとは関係ないところで実績打ち立ててるよね。
……と気づいたらあいちゃんの後ろに聖弥くんが立っていた。あいちゃんのステータスを覗き込んだままで固まってるけど。
「うわっ、聖弥くん何してるの!」
慌ててあいちゃんがスマホを隠す。やっぱり、乙女的にはステータス見られたくないんだなあ!
「……アイリちゃんの方がステータス高いから驚いちゃって」
「そうなの?」
聖弥くんは油の切れたロボットみたいにギギギ……と動いて自分のスマホを取り出した。
由井聖弥 LV31
HP 134/134
MP 53 /53
STR 37
VIT 36
MAG 37
RST 38
DEX 35
AGI 36
スキル 【初級補助魔法】【中級補助魔法】【上級補助魔法】
ジョブ 【サポートメイジ】
た、確かに……MAGとRST以外は全部あいちゃんが高いわ。HPもMPも、特にSTRが高いってショックかもね。
って、今気づいたけどジョブ付いてる!
「聖弥くん、ジョブ付いたんだ!」
「うん。昨日LVが上がって上級補助魔法が取れる様になったから取ったんだ。そうしたらサポートメイジってジョブが付いて」
「ステータス補正付かなかった?」
「付いたよ。MP+5と、MAGとRSTとAGIに+1ずつ……」
うっ、ジョブのステータス特典があれば特色が出るかと思ったけど、「サポートメイジ」だもんなあ……。高いMAG必要ないし、申し訳程度に付いてる感じ。
結果として勇者ステータスの形がちょっと変わった程度にしかなってない。
「なんでこんなに低いの? なんか私ゴリラみたいじゃん」
「由井くん、ブートキャンプしてないでしょ。これが一般の人のステータスの伸び方だよ」
首を傾げたあいちゃんに、かれんちゃんが答える。
そう、聖弥くんは「一般の冒険者」的なステータスの伸び方をしちゃってるんだよね。聖弥くん以外は、LVが10になるまでに結構な特訓をしたから伸び率はいいんだよ。
「愛莉はゴリラじゃん? 布団も投げたし昨日はヘビも叩きつけてたし」
「あれは不可抗力! かれんちゃんだって武器持ってないところにヘビが来たら絶対やるよ!」
「聖弥くん……あんまり悩まない方がいいよ。専業冒険者になるんじゃないんだし、冒険者じゃない人と比べたらスタミナも力も全然違うからさ」
あいちゃんはクラフトマンになるんだし、DEXとMPはいくら高くてもいい。
でも私今でも多分カバの突進とか止められるから、これ以上ステータスを伸ばしても特にメリットはないんだよね。
敢えて言うなら、ライオンを猫づかみで運べる様になるかな、程度で。
でも、ダンジョンにはもっと行きたい。
Y quartetの活動をすることで蓮と聖弥くんの助けにもなるし、ヤマトと一緒に大暴れしたい。
だから、次のダン配彩花ちゃんが出てくれればいいんだけどなー。
12
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる