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文化祭!ダンジョンダンジョンダンジョン!の巻
第189話 関係者席でございます
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高校生にもなると、親が文化祭に来るって人はそんなに多くない。……と聞いてた。
いや、なんかうちの親両方とも来てるしね……。
というか、ママは蓮ママこと涼子さんと腕を組んで来たよ。仲良しさんだなー。
「いやぁー、蓮ったら美人! すっごい似合ってるわよ! ツーショット撮ろ? 聖弥くん聖弥くん、あっ、聖弥くんもかーわいい! 3人で写りましょ! ちょっと待って、柚香ちゃんも!」
蓮のお母さんは、美人だけどミーハーなタイプでちょっと慌てん坊なんだよね。結局、蓮とのツーショット、蓮と聖弥くんとのスリーショット、それに私も加えて4人でと一通り撮影した。
蓮は最初は嫌そうな顔をしてたけど、スマホのレンズ向けられると完璧に営業スマイルになっちゃって。なんちゃってカーテシーしてたりね。また、似合うんだよね!
倉橋くんなんかは家ではウィッグも見せてなかったらしくて、不意打ち訪問されて写真撮られそうになって、大会議室の隅で頭抱えてうずくまってた。
こっちはさすがに親に女装見られたくないタイプか。……まあ、こっちの方が普通の反応かもしれないけど。
「可愛いでしょ」
一方、開き直ってるのは須藤くんで。
一瞬お母さんと無言で向き合ってたけど「……あんた、私似だったのね……」ってしみじみ言われてた。
「お母さん似だよっ! 身長が低いこととかも!」
「それは冤罪! あんたが成長ホルモンの出る時間にちゃんと寝ないで夜更かししてたからよっ!」
「須藤家面白いね」
「うん。これは親子神経衰弱とかしても当てられるパターンだよね」
須藤くんとお母さんの言い合いを、寧々ちゃんとこっそり観察したりして。
「寧々ちゃんところは来るの?」
「うん、来るよー。そうだ、うちのお父さんが柚香ちゃんのお父さんと久しぶりに会うのを楽しみにしてるって」
「良かったー。危うくパパ来ないところだったんだよー。ヘリの納品が近いらしくて、バタバタしててね」
「ヘリ買ったんだ……凄いね」
「パパが事後承諾で契約してね……」
ほら! おもわず寧々ちゃんも遠い目になってるじゃん!
そんなことを言ってたらちょうど寧々ちゃんのご両親が来て、うちのパパに気がついた。
「たけやん! こっちこっち!」
「おー、ゆうちゃん! ひっさしぶりだなあ! って、太ったな!」
「現役退いて16年だよ、仕方ないだろ。夏にヤマトの散歩に付き合ったら死ぬかと思ったよ」
でっかい声で、おじさん同士が抱き合って背中バンバン叩き合い、再会を喜んでる。微笑ましい様な、暑苦しい様な。
寧々ちゃんのお父さんは現役ファイターだけあって、うちのパパみたいにたるんでないんだよね。むしろクラフトマンのイメージの方が薄い感じ。
それに比べてパパは明らかにビール腹だよ。だから最初冒険者だったって言われて驚いたんだよね。昔が想像できなくて。
「ある意味、寧々ちゃんと一緒にダンジョンに行ったりするのも親の代からの運命みたいなもんだよねー」
「ゆずっちの運命はボクじゃないの!?」
彩花ちゃんがずいっと私と寧々ちゃんの間に割り込んでくる。
「はいはい、運命運命」
「むー、なんか扱いが雑だよー」
「それを言ったらクラス全員運命だよ。袖すり合うもなんとかって言うじゃん」
「……そんなぽっと出の奴らに運命とられたくないし」
むすっとしてる彩花ちゃんを見つけて、ママがきゃーきゃー言い始めた。うわっ、このタイプの声は昨日と今日でたくさん聞いてきたけど、ママもか!
「彩花ちゃん! かっこいいわー! かれんちゃんと愛莉ちゃんもいるのよね? ユズと4人で写真撮ってあげる!」
「わーい、ゆずっちママありがとうー! 撮って撮ってー」
「あ、ママ、一応関係者席だけど注文はしてね。あいちゃんすっぴん写真NGなんだよね……どうかな、ちょっと訊いてくる」
かれんちゃんは接客中だから声を掛けて、あいちゃんに確認を取るためにバックヤードへ。あいちゃんは「ゆーちゃんママなら仕方ない。他の人はダメだけど」ってOKしてくれた。
いつメンの4人で並んで、ママに写真を撮ってもらった。かれんちゃんと彩花ちゃんのところは来ないらしいから、この写真はママが回しておくって。
関係者席は満席になったり、誰かが帰ったら別の人の親が来たりして、この時間もずっと盛況だった。
涼子さんとか柴田さんのお茶に凄く感動して、淹れ方訊いてたりね。柴田さんは昨日も何回か訊かれたらしくて、「煎茶を美味しく淹れるコツメモ」を手渡ししてる。用意がいいな!
ママは寧々ちゃんのお母さんとも喋りながら、のんびりコーヒー飲んでクッキー摘まんでた。
パパはずっと寧々ちゃんのお父さんと喋ってるね。なんだかんだ、法月家とも家族ぐるみの付き合いになりそう。
そして文化祭終了の15時になる間際、クラス全員で集合して記念撮影をすることになった。予定にはなかったんだけど、全員の衣装の出来が凄くいいっていうのと、一部男子の女装がやっぱり評判良くて。
結局、終わってみたらキワモノだった中森くんと前田くんは一番活躍したかもね。
15時。文化祭終了のアナウンスが入って、家族はみんな帰って行った。後に残った私たちは大会議室の片付けをしてから教室に集合することになってる。
新しく買い足した大きいティーポットは来客用にと寧々ちゃんちで引き取ることになったし、ドリッパーとサーバーの方は金子くんが買い取ることになった。コーヒー淹れるの特訓したらハマったんだって。どっちも行き先が決まって良かったー。
いや、なんかうちの親両方とも来てるしね……。
というか、ママは蓮ママこと涼子さんと腕を組んで来たよ。仲良しさんだなー。
「いやぁー、蓮ったら美人! すっごい似合ってるわよ! ツーショット撮ろ? 聖弥くん聖弥くん、あっ、聖弥くんもかーわいい! 3人で写りましょ! ちょっと待って、柚香ちゃんも!」
蓮のお母さんは、美人だけどミーハーなタイプでちょっと慌てん坊なんだよね。結局、蓮とのツーショット、蓮と聖弥くんとのスリーショット、それに私も加えて4人でと一通り撮影した。
蓮は最初は嫌そうな顔をしてたけど、スマホのレンズ向けられると完璧に営業スマイルになっちゃって。なんちゃってカーテシーしてたりね。また、似合うんだよね!
倉橋くんなんかは家ではウィッグも見せてなかったらしくて、不意打ち訪問されて写真撮られそうになって、大会議室の隅で頭抱えてうずくまってた。
こっちはさすがに親に女装見られたくないタイプか。……まあ、こっちの方が普通の反応かもしれないけど。
「可愛いでしょ」
一方、開き直ってるのは須藤くんで。
一瞬お母さんと無言で向き合ってたけど「……あんた、私似だったのね……」ってしみじみ言われてた。
「お母さん似だよっ! 身長が低いこととかも!」
「それは冤罪! あんたが成長ホルモンの出る時間にちゃんと寝ないで夜更かししてたからよっ!」
「須藤家面白いね」
「うん。これは親子神経衰弱とかしても当てられるパターンだよね」
須藤くんとお母さんの言い合いを、寧々ちゃんとこっそり観察したりして。
「寧々ちゃんところは来るの?」
「うん、来るよー。そうだ、うちのお父さんが柚香ちゃんのお父さんと久しぶりに会うのを楽しみにしてるって」
「良かったー。危うくパパ来ないところだったんだよー。ヘリの納品が近いらしくて、バタバタしててね」
「ヘリ買ったんだ……凄いね」
「パパが事後承諾で契約してね……」
ほら! おもわず寧々ちゃんも遠い目になってるじゃん!
そんなことを言ってたらちょうど寧々ちゃんのご両親が来て、うちのパパに気がついた。
「たけやん! こっちこっち!」
「おー、ゆうちゃん! ひっさしぶりだなあ! って、太ったな!」
「現役退いて16年だよ、仕方ないだろ。夏にヤマトの散歩に付き合ったら死ぬかと思ったよ」
でっかい声で、おじさん同士が抱き合って背中バンバン叩き合い、再会を喜んでる。微笑ましい様な、暑苦しい様な。
寧々ちゃんのお父さんは現役ファイターだけあって、うちのパパみたいにたるんでないんだよね。むしろクラフトマンのイメージの方が薄い感じ。
それに比べてパパは明らかにビール腹だよ。だから最初冒険者だったって言われて驚いたんだよね。昔が想像できなくて。
「ある意味、寧々ちゃんと一緒にダンジョンに行ったりするのも親の代からの運命みたいなもんだよねー」
「ゆずっちの運命はボクじゃないの!?」
彩花ちゃんがずいっと私と寧々ちゃんの間に割り込んでくる。
「はいはい、運命運命」
「むー、なんか扱いが雑だよー」
「それを言ったらクラス全員運命だよ。袖すり合うもなんとかって言うじゃん」
「……そんなぽっと出の奴らに運命とられたくないし」
むすっとしてる彩花ちゃんを見つけて、ママがきゃーきゃー言い始めた。うわっ、このタイプの声は昨日と今日でたくさん聞いてきたけど、ママもか!
「彩花ちゃん! かっこいいわー! かれんちゃんと愛莉ちゃんもいるのよね? ユズと4人で写真撮ってあげる!」
「わーい、ゆずっちママありがとうー! 撮って撮ってー」
「あ、ママ、一応関係者席だけど注文はしてね。あいちゃんすっぴん写真NGなんだよね……どうかな、ちょっと訊いてくる」
かれんちゃんは接客中だから声を掛けて、あいちゃんに確認を取るためにバックヤードへ。あいちゃんは「ゆーちゃんママなら仕方ない。他の人はダメだけど」ってOKしてくれた。
いつメンの4人で並んで、ママに写真を撮ってもらった。かれんちゃんと彩花ちゃんのところは来ないらしいから、この写真はママが回しておくって。
関係者席は満席になったり、誰かが帰ったら別の人の親が来たりして、この時間もずっと盛況だった。
涼子さんとか柴田さんのお茶に凄く感動して、淹れ方訊いてたりね。柴田さんは昨日も何回か訊かれたらしくて、「煎茶を美味しく淹れるコツメモ」を手渡ししてる。用意がいいな!
ママは寧々ちゃんのお母さんとも喋りながら、のんびりコーヒー飲んでクッキー摘まんでた。
パパはずっと寧々ちゃんのお父さんと喋ってるね。なんだかんだ、法月家とも家族ぐるみの付き合いになりそう。
そして文化祭終了の15時になる間際、クラス全員で集合して記念撮影をすることになった。予定にはなかったんだけど、全員の衣装の出来が凄くいいっていうのと、一部男子の女装がやっぱり評判良くて。
結局、終わってみたらキワモノだった中森くんと前田くんは一番活躍したかもね。
15時。文化祭終了のアナウンスが入って、家族はみんな帰って行った。後に残った私たちは大会議室の片付けをしてから教室に集合することになってる。
新しく買い足した大きいティーポットは来客用にと寧々ちゃんちで引き取ることになったし、ドリッパーとサーバーの方は金子くんが買い取ることになった。コーヒー淹れるの特訓したらハマったんだって。どっちも行き先が決まって良かったー。
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