200 / 271
文化祭!ダンジョンダンジョンダンジョン!の巻
第187話 騒がしい人たちが来ました
しおりを挟む
「ゆ~かちゃんの執事……鼻血でそう。お嬢様扱いされたら召される」
「うわー、蓮くん美人! さすが!」
早速私を拝み始める瑠璃さんに、蓮の女装メイドに感動してるモブさん。うん、大体予想通りの反応かな。
「こんにちはー! 今整理券配ってるんです。空いてるのは11時45分からの回以降なんですけど」
「ママさんから聞いてます。満員御礼なんだってね。じゃあ12時の回で整理券ください。藤堂さんも来るんだけど、ちょっと遅れてて先に整理券だけ確保しておくって連絡しておいたの」
「これ1枚で1席4人までです。お時間5分過ぎてもいらっしゃらない場合はキャンセルにさせていただきます」
蓮がいつも通りの説明をして12時の回の整理券を渡すと、モブさんが整理券を受け取って固まっていた。
「……わかってたけど、美人なのに声が低いなって驚いてしまった……。蓮くんだから当たり前なんだけど!」
「……裏声だったら余計ヤバくないっすか」
私が初めて見たときと同じ感想だー! 蓮って地声が低いから、女装してて喋るとびっくりするんだよね。
「あー、わかりますわかります。私も最初見たとき同じ事言いましたもん。聖弥くんが最初は雑女装だったから蓮だけクオリティ違って、美人過ぎて引きました」
「わー、褒められてるのか貶されてるのかわかんねえ」
「褒めてるんだよ! 私が美人とかイケメンとか言ったらそれは全部褒め言葉だからね!」
「おまえの場合褒め言葉に聞こえないんだよな、一言余分に付いてるから」
「もう、そんなの今更じゃん! 蓮の顔はいつも褒めてるでしょ」
「ほんと顔だけな!」
私と蓮がいつものジャブの応酬をしていたら、瑠璃さんとモブさんがぬるい眼差しを私たちに注いでいる。そして瑠璃さんがこそっとモブさんに耳打ちを……聞こえてるんだけどね。
「ね、電車の中でもこういう感じでしたよ。デート? って言っちゃった私の気持ちわかるでしょ」
「わかるわかるー。あ、私推しに彼女ができても動揺しないタイプだから。なんなら、変な不祥事起こす前にさっさと身を固めて安心させて欲しい位に思ってる」
「変な不祥事ってなんですか……もー」
既に体育祭でも会ってるから、蓮はモブさんには意外と気楽に話すね。
「いや、あるんですよ? 彼女と半裸で自撮りしてたのが流出しちゃって舞台降板したりとか……あの時は友達が推してた子だったから、泣きはらした目でバスツアーに行って『もう推せないってお別れしてきた』とか言ってて地獄み凄かった……」
「あ、その話ママからも聞いたかもしれません。ママもX‘sのフォロー解除したとか言ってた。2年くらい前だったかな」
「そうそうそう! 役と本人の中身を一緒に考えちゃ駄目だけど、女性関係のスキャンダルって結構ダメージでっかいからね。あ、でも蓮くんとゆ~かちゃんなら応援します。SE-RENファンはね、本当にゆ~かちゃんには感謝してるの」
「いや……あの……うーん、すいません、後ろに人来ちゃったから避けてください」
蓮は困った様に口ごもり、私の手から整理券を取ってモブさんたちの後ろに並んだ人に配りに行った。
「ゆ~かちゃんと写真撮るのは12時からかー。あ、体触らないでくださいって書いてある! くっついて取らせてもらおうと思ってたのにー」
瑠璃さんが張り紙を見て絶望した様にガラスにべたんと張り付いた。そんな、そこまで落ち込まなくても!
「瑠璃さんだったらいいですよ。昨日男子で凄く可愛くなっちゃった人が他の学校の男子に絡まれたから、一応お触り禁止ってなってるけど。私は相手が女の人だったら、肩組んでも腕に抱きついてもOK出します」
さすがに男性相手にはしないけど、私と写真撮りたがるのは大体女子だからね。昨日ひとりだけ男性がいたかな。
「マイエンジェル! 愛してる! 気合い入れてメイクしてきて良かったー!」
また私を拝み始める瑠璃さん。なんかもう見慣れてきたな……。
モブさんと瑠璃さんは、藤堂さんが来るまで他のところを見てくると言って去って行った。ちょうど教室から浦和くんが出てきて交代してくれると言うから、私と蓮は一段落した整理券配りをやめて教室の中に戻る。
「柚香、その、さっきの話さ」
バッグヤードに入りかけたとき、蓮が小さい声で呟いたので思わず足を止める。
「さっきの話し?」
「モブさんが言ってた不祥事の話……どう思った?」
「あー……人気仕事は大変だなーって。ママはその写真絶対私には見せなかったけど、絶叫してたし1週間くらい愚痴ってたよ。だからさすがに覚えてる」
「げっ、果穂さんがそんなに愚痴ってたのか。相当ヤバかったんだな」
「私は顔は知ってたけど別に興味なかったからなんとも思わなかったけど」
「……俳優の彼女って、やっぱり辛いのかな」
「どうだろう? 公表してないだけで付き合ってる人はたくさんいるだろうし、意外に彼女の方も『ふたりだけの秘密』って楽しんでたりするのかもしれないよ」
「おまえ……ポジティブ……サンキュ、ちょっと元気出たわ」
「えっ、もしかして蓮、彼女いるの!?」
数ヶ月死ぬほど忙しかった姿しか見てないんですが!? もし彼女いたとしたら不憫すぎない!?
「いない、いないよ! てか、聖弥の次におまえが一番知ってるだろ!?」
「いやいや、わかるわけないじゃん、前の学校の子と付き合ってたりしたら」
「いないって言ってんだろ! いません! 終了!」
何故か蓮はちょっと怒ってバックヤードの奥に入っていった。
あれ? 私なにか怒られる様なこと言ったかな?
「うわー、蓮くん美人! さすが!」
早速私を拝み始める瑠璃さんに、蓮の女装メイドに感動してるモブさん。うん、大体予想通りの反応かな。
「こんにちはー! 今整理券配ってるんです。空いてるのは11時45分からの回以降なんですけど」
「ママさんから聞いてます。満員御礼なんだってね。じゃあ12時の回で整理券ください。藤堂さんも来るんだけど、ちょっと遅れてて先に整理券だけ確保しておくって連絡しておいたの」
「これ1枚で1席4人までです。お時間5分過ぎてもいらっしゃらない場合はキャンセルにさせていただきます」
蓮がいつも通りの説明をして12時の回の整理券を渡すと、モブさんが整理券を受け取って固まっていた。
「……わかってたけど、美人なのに声が低いなって驚いてしまった……。蓮くんだから当たり前なんだけど!」
「……裏声だったら余計ヤバくないっすか」
私が初めて見たときと同じ感想だー! 蓮って地声が低いから、女装してて喋るとびっくりするんだよね。
「あー、わかりますわかります。私も最初見たとき同じ事言いましたもん。聖弥くんが最初は雑女装だったから蓮だけクオリティ違って、美人過ぎて引きました」
「わー、褒められてるのか貶されてるのかわかんねえ」
「褒めてるんだよ! 私が美人とかイケメンとか言ったらそれは全部褒め言葉だからね!」
「おまえの場合褒め言葉に聞こえないんだよな、一言余分に付いてるから」
「もう、そんなの今更じゃん! 蓮の顔はいつも褒めてるでしょ」
「ほんと顔だけな!」
私と蓮がいつものジャブの応酬をしていたら、瑠璃さんとモブさんがぬるい眼差しを私たちに注いでいる。そして瑠璃さんがこそっとモブさんに耳打ちを……聞こえてるんだけどね。
「ね、電車の中でもこういう感じでしたよ。デート? って言っちゃった私の気持ちわかるでしょ」
「わかるわかるー。あ、私推しに彼女ができても動揺しないタイプだから。なんなら、変な不祥事起こす前にさっさと身を固めて安心させて欲しい位に思ってる」
「変な不祥事ってなんですか……もー」
既に体育祭でも会ってるから、蓮はモブさんには意外と気楽に話すね。
「いや、あるんですよ? 彼女と半裸で自撮りしてたのが流出しちゃって舞台降板したりとか……あの時は友達が推してた子だったから、泣きはらした目でバスツアーに行って『もう推せないってお別れしてきた』とか言ってて地獄み凄かった……」
「あ、その話ママからも聞いたかもしれません。ママもX‘sのフォロー解除したとか言ってた。2年くらい前だったかな」
「そうそうそう! 役と本人の中身を一緒に考えちゃ駄目だけど、女性関係のスキャンダルって結構ダメージでっかいからね。あ、でも蓮くんとゆ~かちゃんなら応援します。SE-RENファンはね、本当にゆ~かちゃんには感謝してるの」
「いや……あの……うーん、すいません、後ろに人来ちゃったから避けてください」
蓮は困った様に口ごもり、私の手から整理券を取ってモブさんたちの後ろに並んだ人に配りに行った。
「ゆ~かちゃんと写真撮るのは12時からかー。あ、体触らないでくださいって書いてある! くっついて取らせてもらおうと思ってたのにー」
瑠璃さんが張り紙を見て絶望した様にガラスにべたんと張り付いた。そんな、そこまで落ち込まなくても!
「瑠璃さんだったらいいですよ。昨日男子で凄く可愛くなっちゃった人が他の学校の男子に絡まれたから、一応お触り禁止ってなってるけど。私は相手が女の人だったら、肩組んでも腕に抱きついてもOK出します」
さすがに男性相手にはしないけど、私と写真撮りたがるのは大体女子だからね。昨日ひとりだけ男性がいたかな。
「マイエンジェル! 愛してる! 気合い入れてメイクしてきて良かったー!」
また私を拝み始める瑠璃さん。なんかもう見慣れてきたな……。
モブさんと瑠璃さんは、藤堂さんが来るまで他のところを見てくると言って去って行った。ちょうど教室から浦和くんが出てきて交代してくれると言うから、私と蓮は一段落した整理券配りをやめて教室の中に戻る。
「柚香、その、さっきの話さ」
バッグヤードに入りかけたとき、蓮が小さい声で呟いたので思わず足を止める。
「さっきの話し?」
「モブさんが言ってた不祥事の話……どう思った?」
「あー……人気仕事は大変だなーって。ママはその写真絶対私には見せなかったけど、絶叫してたし1週間くらい愚痴ってたよ。だからさすがに覚えてる」
「げっ、果穂さんがそんなに愚痴ってたのか。相当ヤバかったんだな」
「私は顔は知ってたけど別に興味なかったからなんとも思わなかったけど」
「……俳優の彼女って、やっぱり辛いのかな」
「どうだろう? 公表してないだけで付き合ってる人はたくさんいるだろうし、意外に彼女の方も『ふたりだけの秘密』って楽しんでたりするのかもしれないよ」
「おまえ……ポジティブ……サンキュ、ちょっと元気出たわ」
「えっ、もしかして蓮、彼女いるの!?」
数ヶ月死ぬほど忙しかった姿しか見てないんですが!? もし彼女いたとしたら不憫すぎない!?
「いない、いないよ! てか、聖弥の次におまえが一番知ってるだろ!?」
「いやいや、わかるわけないじゃん、前の学校の子と付き合ってたりしたら」
「いないって言ってんだろ! いません! 終了!」
何故か蓮はちょっと怒ってバックヤードの奥に入っていった。
あれ? 私なにか怒られる様なこと言ったかな?
12
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる