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文化祭!ダンジョンダンジョンダンジョン!の巻
第172話 ものはついで
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その後衣装について男子は「ミニスカ」「ロング」「和装」から選んでもいいということになった。ミニスカはノリでやるものであって人によっては断固拒否だろうし、縫う方も和装の方が実は楽って気づいちゃったんだよね。
体育祭の時は経験豊富な3年生もいたし、裁縫ができる人が結構人数揃ったけど、クラス単位で見るとそれほどじゃない。私もミシンは極力触りたくないタイプ。あー、こんな時にフリークラフトとかでできれば良いのに。
ん……? 待って?
「質問質問ー! クラフトで衣装作れない? 縫うんじゃなくてスキルで! そしたら熟練度も入るよね?」
「フリークラフトまで行ってれば……でもまだ1年生じゃそこまでできる人いないよね?」
柴田さんが教室を見渡すと、クラフトの人たちが頷いている。
「あいちゃんは?」
「まだだよー。毎日MPの限りジャージ作ってはほぐしてる」
「そうだよ、材料変換できるじゃん! みんな、一気にクラフト熟練度上げちゃおう? 私、マジックポーションが大量に余ってる!」
蓮の氷コンボが完成するまでは、初級魔法のファイアーボール打ちまくってたんだよね。そっちの方が非効率だったから、マジックポーションは念のため大量買いしてあったんだよ。アイテムバッグの中なら腐らないしね!
「平原さん、材料変換まで行ってるの!?」
「うん、うち布だけはたくさんあるから、シーチング使って毎日頑張ってたよー」
クラフトの人たちが顔を見合わせ、頷き合う。
「今まで作った物全部持ってくるから、材料変換して!」
「オッケー! それでさ、みんなの材料集めてひとりが集中的にスキルあげて、材料なくなったらまた材料変換するから、ゆーちゃんがマジックポーションくれるって言うし一気にフリークラフトまで行っちゃおう!」
「おーい、あまり柳川に頼りすぎるな」
大泉先生の注意が入ったけど、私はつかつかと先生の前に歩いて行って思いっきり笑顔のままその袖を掴んだ。
「何言ってるんですかー? もちろん先生にもやってもらわないといけないことがあるんですよー? 車出してください! クラフトの人たちの家を回って、材料変換できるクラフトで作ったアイテムを集めてきてもらわないと」
「あっ、それは僕のやることなのかい。……わかった! クラス全員で協力して何かをするというのは大事なことだ。車出そうじゃないか。柳川に甘えすぎるのは良くないから、戦闘のメンバーはダンジョンでちょっと稼いでマジックポーション買ってきなさい。後で売り上げから経費として差し引いて返還するから」
「戦闘はマジックポーションを買うために戦ってついでにLV上げして、クラフトはそれでスキルあげってことですね? でも全部『文化祭のためにやること』だから、後で精算ができる、と」
聖弥くんがまとめて簡潔にしてくれると、大泉先生は大きく頷いた。
わっとクラス中が沸いたのは言うまでもない。
「ラッキーじゃない? 今までこんなにうまく戦闘とクラフトが噛み合ったことあった?」
「出し物が喫茶店だからこそできることだよね。柳川さんもポーション類は事あるごとに援助しようとしてたし、その発言がなかったらこうはならなかった」
あいちゃんの次にクラフトLVが高いのは寧々ちゃんだったから、まず寧々ちゃんのLVを材料変換できるまであげちゃおうって事で、教室の一角に大量の布が置かれた。寧々ちゃんが最優先だけど、他の人も同時に熟練度上げ。
みんな汗だくになりながらも弱音を吐かず、MPが尽きたらマジックポーションを飲んでクラフトを続けている。幸いなのは、マジックポーションって1日何本飲んでも平気だって事だよね。
その隣ではあいちゃんが、大量のアイテムを材料変換で元の材料に戻していた。これも熟練度上がるらしくて、時々「ホホホッ」って変な笑いが入ってる。
寧々ちゃんが材料変換できる様になったら、あいちゃんは一旦そっちの担当から外れてメイド服のデザインをする予定。フリークラフトするにしても、できるだけ詳細なデザインがないと作りにくいからね。
準備期間の間、戦闘専攻のクラスメイトたちはパーティーを組んで、鎌倉ダンジョンに行って資金稼ぎ&LV上げをすることになった。
私はアイテムバッグの関係で最初教室にいたんだけど、必要なアイテムを置いてダンジョンに行こうかなと思ってたところだ。
「江ノ島ダンジョン行ってきまーす。途中で蓮を拾っていくので心配しないでください」
「無理はするんじゃないぞー」
「フル装備で2層だけ見て様子見します」
江ノ島ダンジョンはここから最寄りの上級ダンジョンだね。モノレールの江ノ島駅近くにある。そういえばここも海に近いからアポイタカラが出たりしないのかなあ。出てたらとっくに見つかってるか。
私は蓮に「上級の江ノ島ダンジョン行くから一緒に来て」とメッセージを打つと、20本ほどマジックポーションを置いて駅に向かった。
中級ダンジョンは聖弥くんがまず全員に補助魔法をありったけ掛けて、ステータスを底上げしてから戦闘している。
強さ的には放課後で行ける範囲内だったらそれでちょうどいいと思うんだよね。蓮の強さだったら上級に行った方が良いし。
蓮から「わかった。江ノ島ダンジョンの前に行く」というメッセージが来たのは、ちょうど電車が茅ヶ崎駅に着いた頃だった。
体育祭の時は経験豊富な3年生もいたし、裁縫ができる人が結構人数揃ったけど、クラス単位で見るとそれほどじゃない。私もミシンは極力触りたくないタイプ。あー、こんな時にフリークラフトとかでできれば良いのに。
ん……? 待って?
「質問質問ー! クラフトで衣装作れない? 縫うんじゃなくてスキルで! そしたら熟練度も入るよね?」
「フリークラフトまで行ってれば……でもまだ1年生じゃそこまでできる人いないよね?」
柴田さんが教室を見渡すと、クラフトの人たちが頷いている。
「あいちゃんは?」
「まだだよー。毎日MPの限りジャージ作ってはほぐしてる」
「そうだよ、材料変換できるじゃん! みんな、一気にクラフト熟練度上げちゃおう? 私、マジックポーションが大量に余ってる!」
蓮の氷コンボが完成するまでは、初級魔法のファイアーボール打ちまくってたんだよね。そっちの方が非効率だったから、マジックポーションは念のため大量買いしてあったんだよ。アイテムバッグの中なら腐らないしね!
「平原さん、材料変換まで行ってるの!?」
「うん、うち布だけはたくさんあるから、シーチング使って毎日頑張ってたよー」
クラフトの人たちが顔を見合わせ、頷き合う。
「今まで作った物全部持ってくるから、材料変換して!」
「オッケー! それでさ、みんなの材料集めてひとりが集中的にスキルあげて、材料なくなったらまた材料変換するから、ゆーちゃんがマジックポーションくれるって言うし一気にフリークラフトまで行っちゃおう!」
「おーい、あまり柳川に頼りすぎるな」
大泉先生の注意が入ったけど、私はつかつかと先生の前に歩いて行って思いっきり笑顔のままその袖を掴んだ。
「何言ってるんですかー? もちろん先生にもやってもらわないといけないことがあるんですよー? 車出してください! クラフトの人たちの家を回って、材料変換できるクラフトで作ったアイテムを集めてきてもらわないと」
「あっ、それは僕のやることなのかい。……わかった! クラス全員で協力して何かをするというのは大事なことだ。車出そうじゃないか。柳川に甘えすぎるのは良くないから、戦闘のメンバーはダンジョンでちょっと稼いでマジックポーション買ってきなさい。後で売り上げから経費として差し引いて返還するから」
「戦闘はマジックポーションを買うために戦ってついでにLV上げして、クラフトはそれでスキルあげってことですね? でも全部『文化祭のためにやること』だから、後で精算ができる、と」
聖弥くんがまとめて簡潔にしてくれると、大泉先生は大きく頷いた。
わっとクラス中が沸いたのは言うまでもない。
「ラッキーじゃない? 今までこんなにうまく戦闘とクラフトが噛み合ったことあった?」
「出し物が喫茶店だからこそできることだよね。柳川さんもポーション類は事あるごとに援助しようとしてたし、その発言がなかったらこうはならなかった」
あいちゃんの次にクラフトLVが高いのは寧々ちゃんだったから、まず寧々ちゃんのLVを材料変換できるまであげちゃおうって事で、教室の一角に大量の布が置かれた。寧々ちゃんが最優先だけど、他の人も同時に熟練度上げ。
みんな汗だくになりながらも弱音を吐かず、MPが尽きたらマジックポーションを飲んでクラフトを続けている。幸いなのは、マジックポーションって1日何本飲んでも平気だって事だよね。
その隣ではあいちゃんが、大量のアイテムを材料変換で元の材料に戻していた。これも熟練度上がるらしくて、時々「ホホホッ」って変な笑いが入ってる。
寧々ちゃんが材料変換できる様になったら、あいちゃんは一旦そっちの担当から外れてメイド服のデザインをする予定。フリークラフトするにしても、できるだけ詳細なデザインがないと作りにくいからね。
準備期間の間、戦闘専攻のクラスメイトたちはパーティーを組んで、鎌倉ダンジョンに行って資金稼ぎ&LV上げをすることになった。
私はアイテムバッグの関係で最初教室にいたんだけど、必要なアイテムを置いてダンジョンに行こうかなと思ってたところだ。
「江ノ島ダンジョン行ってきまーす。途中で蓮を拾っていくので心配しないでください」
「無理はするんじゃないぞー」
「フル装備で2層だけ見て様子見します」
江ノ島ダンジョンはここから最寄りの上級ダンジョンだね。モノレールの江ノ島駅近くにある。そういえばここも海に近いからアポイタカラが出たりしないのかなあ。出てたらとっくに見つかってるか。
私は蓮に「上級の江ノ島ダンジョン行くから一緒に来て」とメッセージを打つと、20本ほどマジックポーションを置いて駅に向かった。
中級ダンジョンは聖弥くんがまず全員に補助魔法をありったけ掛けて、ステータスを底上げしてから戦闘している。
強さ的には放課後で行ける範囲内だったらそれでちょうどいいと思うんだよね。蓮の強さだったら上級に行った方が良いし。
蓮から「わかった。江ノ島ダンジョンの前に行く」というメッセージが来たのは、ちょうど電車が茅ヶ崎駅に着いた頃だった。
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