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体育祭!ダンジョンダンジョンダンジョン!の巻
第150話 ヤマトに言うことを聞かせるには
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授業の合間に昨日の反省と作戦会議であるよ。
「ヤマトを……どうにかしないとダメだよな」
「いっそ置いていくのも作戦じゃないかな? 戦力的には下がるけども、結果的に……」
「バカー! この私に向かってヤマトを置いて行けってどの口が言えるのよー! 暴走しても、足をひっぱられても、合宿みたいにどうしても無理って時以外は絶対一緒に行くんだもん!!」
とんでもないことを言いよった聖弥くんの頭を、ファイルでビシバシと叩く。
ファイルで叩くのは理由があって、私が素手で叩くより全然痛くないからなんだよ……これでも、ささやかな私の優しさの発露である。
「柚香の気持ちは分かる。俺だってヤマトとずっと一緒にいたい」
「ちょっとずれた肯定いただきました!」
特訓の言い出しっぺのくせに、ヤマトに邪魔されるのは仕方なしと思ってるんだな、蓮は。
「えー、ヤマトー? 連れてった方がいいに決まってるじゃん? この前ゴーレムでみっちりのダンジョンハウスに偶然遭遇したんだけど、ヤマトが突っ込んでって1匹で全滅させたんだよー。何もしないでLVあがりまくり」
通りすがりのあいちゃんが、一応蓮にも説明したモンスターハウス事件のことを持ち出す。
その瞬間――クラスの9割方の目がギラッと光ってこっちを向いた。
「ゴーレムみちみちのモンスターハウスをヤマト一匹で全滅だと!?」
「ゴーレムって事は中級ダンジョンだよな!? どんだけ経験値入ったんだ!?」
「神様仏様柳川様! 配信しない狩りの時に連れてってください!」
わらわらと私たちの周りに群がる、ゾンビのようなクラスメイト。うん、昨日見た鎌倉ダンジョンのゾンビとかなり似てるね。
あーあ、という顔でこっち見てるのは寧々ちゃんと須藤くんとかれんちゃんだけだ。
あいちゃんは、「てへぺろ☆」って舌を出して「やっちまった」の気持ちを誤魔化して逃げていったし。
「はい、ステイステイ! よーく聞いてください。これから言う条件に対してOKって人だけ順番に連れて行ってもいいです」
私が立ち上がって手で「鎮まれ~」とすると、とりあえず全員が目を輝かせたまま口を閉じてくれた。
「まず、普通に学校終わって体育祭の練習が終わった後、私はヤマトとランニングしてて、蓮と聖弥くんはうちでボイストレーニングを受けてます。そんで夕飯食べた後に鎌倉ダンジョンに行って、1時間限定でRTAしてるの」
この説明の時点で、私たちの周りに集まってるクラスメイトの目が死んだ。
「あの体育祭特訓の後にヤマトとランニングして……? その上で夜の鎌倉ダンジョン?」
「柳川がおかしいのは元々だったけど、とうとう安永と由井までおかしくなったのか」
「おかしくなったんじゃねーよ。必死なだけだよ。そこまでしてもやりたいことってのがあるんだよ」
おお、蓮の開き直りが凄いね。
昨日夕飯の時にこれからダンジョン行けないかって言いだしたのも蓮だと周囲に明かしたら、私たちを囲んでいた輪がざざっと1メートルくらい後退した。
「夜に鎌倉ダンジョンってところに、もう正気を感じない。確か夜になると補正でアンデッドって強くなるんじゃなかったっけ」
「戦力飽和だからそこ関係ない。最寄り中級だし、あいつらモンスターであって幽霊じゃないし。怖くないから」
「安永……おまえ、本当に顔と魔力しか取り柄がないんだな……」
「う、うるせー! それ以外にも武器が欲しいから、必死に強くなろうとしてんだよ!」
「さらりと顔がいいことは否定しない件」
「一応それは俺のアイデンティティーだから!」
あはははは、蓮ってば、すっかりクラスに馴染んでるなあ。顔がいいことはまあ、みんな認めてるよね。微笑ましい光景だ。
「そのRTAで、ヤマトの何が問題になってるわけ?」
倉橋くんも囲みの端っこの方にいたのかい。立石師範連れてダンジョン潜れば、普通に経験値稼げるだろうに。
「昨日はヤマトが低階層で暴走して、1時間のうち40分そこで暴れたの。目標は10層だったんだけど、おかげでLVが1しか上がらなくて」
「いや、1時間で1上がるだけでも凄くね?」
「それは確かにそうとも言えるんだけど、計画通り10層で暴れてくれたらもっと同じ時間でも経験値の入りが良かったはずだからね」
聖弥くんの補足説明に、倉橋くんがうーんと考え込む。
「あのさー、うちも犬飼ってるんだけど、よその犬と競争すると俄然やる気出すんだよね。法月のマユちゃんを一緒に連れてって、『ちゃんと言うことを聞く従魔はこうだよ』って見せてライバル心を煽るのはどうかな」
倉橋くんはこの前の鎌倉ダンジョン襲撃事件の時に助っ人に来てもらったから、マユちゃんのことを知ってるんだよね。
突然名前を出された寧々ちゃんは驚いてたけど、拒否はしなかった。
「え? 私? さすがに夜はダンジョン行くの厳しいけど……柚香ちゃんにはすっごいお世話になってるから、1度だけなら親もいいって言ってくれるかな」
「そ・れ・だ!!」
持つべきものはやっぱり友! マスターに従順な「ザ・従魔」であるマユちゃんのお利口さんなところを見せて、ヤマトには学んで貰いましょう!
「寧々ちゃん、本当に悪いんだけど、今晩大丈夫か訊いてみて」
「うん、わかった。ちょっとでも経験値はいると私も嬉しいし」
さっそくスマホを操作する寧々ちゃん。
この状態で「夜の鎌倉ダンジョン行く人いる?」って訊いたら、挙手が起きなかった。
まあね……わかるよ、それが「ブートキャンプの上に鬼のような体育祭の練習まで加わって、もう何が何やら」状態の人たちの普通だよ。
そして、その日の夜、寧々ちゃんは新しい冒険者装備でマユちゃんを連れてうちにやってきた。
「あれ? この服見たことある! あいちゃんとみなとみらいに行った時!」
寧々ちゃんの新装備は、爽やかなミントグリーンのひらひら多めのセットアップだ。
「うん、ヴェークスの新作をパクってるの。あれはミスリル繊維織り込みなんだけど、柚香ちゃんの大量発注で大分儲かったから、お父さんがヒヒイロカネ50%で作ってくれたんだ」
「ああー、寧々ちゃんのお父さん、見本があれば作れるもんね……」
見た目はヴェークスにしか見えないから、不自然さもないね。私たちみたいに「高額な装備だって狙われる」心配はなさそう。
鎌倉ダンジョンでは、寧々ちゃんの言うことを聞くマユちゃんにライバル心を抱いたのか、ヤマトもいつもより従順だった。10層までなんとか行けたよ!
……その翌日、マユちゃんがいなくなったら、元に戻ったけどね……。
「ううーん、ヤマトに言うことを聞かせるにはー、聞かせるにはーーーーー」
「柚香、おまえヤマトに舐められてねえ? そういえば、従魔にした段階でステータスはヤマトの方が高かったんだよな」
「いや、それは関係ないと思う。だってアグさんよりマスターさんが強かったとは思えないもん。……あ」
ひらめいた! ひらめいたよ私! ヤマトに(私よりは)言うことを聞かせられる存在がいるじゃん!
翌日は夕方のランニングの時に、フル装備で大山阿夫利ダンジョンまで走って行った。
キュルルルル~と甘えた声を出しながら、私に気づいたアグさんがドスドスとやってくる。
その首に抱きついて散々撫で撫でしてから、サンドイッチを差し出しつつ私はアグさんに頼んだ。
「アグさん、ヤマトが私の言うこと聞いてくれないの。マスターの言うことをちゃんと聞きなさいってお説教してくれる?」
ぺろりとサンドイッチを平らげて、アグさんは「あそぼ! あそぼ!」と足にまとわりついてるヤマトに向かって軽く咆吼を浴びせた。
そして、硬直してるヤマトの頭に前足を乗せる。
「ガウガウ」
「クゥ~ン……」
ぷぎゃ、可愛い!! アグさんは怒ってる様子はなくて、おとなしくしたヤマトに「ダメだよ、言うこと聞かなきゃ」って言ってる感じで、ヤマトは「すいませ~ん……」って感じだった!
それから、ヤマトは前よりは5割増しくらいで言うことを聞いてくれるようになったのでした。やったね!
「ヤマトを……どうにかしないとダメだよな」
「いっそ置いていくのも作戦じゃないかな? 戦力的には下がるけども、結果的に……」
「バカー! この私に向かってヤマトを置いて行けってどの口が言えるのよー! 暴走しても、足をひっぱられても、合宿みたいにどうしても無理って時以外は絶対一緒に行くんだもん!!」
とんでもないことを言いよった聖弥くんの頭を、ファイルでビシバシと叩く。
ファイルで叩くのは理由があって、私が素手で叩くより全然痛くないからなんだよ……これでも、ささやかな私の優しさの発露である。
「柚香の気持ちは分かる。俺だってヤマトとずっと一緒にいたい」
「ちょっとずれた肯定いただきました!」
特訓の言い出しっぺのくせに、ヤマトに邪魔されるのは仕方なしと思ってるんだな、蓮は。
「えー、ヤマトー? 連れてった方がいいに決まってるじゃん? この前ゴーレムでみっちりのダンジョンハウスに偶然遭遇したんだけど、ヤマトが突っ込んでって1匹で全滅させたんだよー。何もしないでLVあがりまくり」
通りすがりのあいちゃんが、一応蓮にも説明したモンスターハウス事件のことを持ち出す。
その瞬間――クラスの9割方の目がギラッと光ってこっちを向いた。
「ゴーレムみちみちのモンスターハウスをヤマト一匹で全滅だと!?」
「ゴーレムって事は中級ダンジョンだよな!? どんだけ経験値入ったんだ!?」
「神様仏様柳川様! 配信しない狩りの時に連れてってください!」
わらわらと私たちの周りに群がる、ゾンビのようなクラスメイト。うん、昨日見た鎌倉ダンジョンのゾンビとかなり似てるね。
あーあ、という顔でこっち見てるのは寧々ちゃんと須藤くんとかれんちゃんだけだ。
あいちゃんは、「てへぺろ☆」って舌を出して「やっちまった」の気持ちを誤魔化して逃げていったし。
「はい、ステイステイ! よーく聞いてください。これから言う条件に対してOKって人だけ順番に連れて行ってもいいです」
私が立ち上がって手で「鎮まれ~」とすると、とりあえず全員が目を輝かせたまま口を閉じてくれた。
「まず、普通に学校終わって体育祭の練習が終わった後、私はヤマトとランニングしてて、蓮と聖弥くんはうちでボイストレーニングを受けてます。そんで夕飯食べた後に鎌倉ダンジョンに行って、1時間限定でRTAしてるの」
この説明の時点で、私たちの周りに集まってるクラスメイトの目が死んだ。
「あの体育祭特訓の後にヤマトとランニングして……? その上で夜の鎌倉ダンジョン?」
「柳川がおかしいのは元々だったけど、とうとう安永と由井までおかしくなったのか」
「おかしくなったんじゃねーよ。必死なだけだよ。そこまでしてもやりたいことってのがあるんだよ」
おお、蓮の開き直りが凄いね。
昨日夕飯の時にこれからダンジョン行けないかって言いだしたのも蓮だと周囲に明かしたら、私たちを囲んでいた輪がざざっと1メートルくらい後退した。
「夜に鎌倉ダンジョンってところに、もう正気を感じない。確か夜になると補正でアンデッドって強くなるんじゃなかったっけ」
「戦力飽和だからそこ関係ない。最寄り中級だし、あいつらモンスターであって幽霊じゃないし。怖くないから」
「安永……おまえ、本当に顔と魔力しか取り柄がないんだな……」
「う、うるせー! それ以外にも武器が欲しいから、必死に強くなろうとしてんだよ!」
「さらりと顔がいいことは否定しない件」
「一応それは俺のアイデンティティーだから!」
あはははは、蓮ってば、すっかりクラスに馴染んでるなあ。顔がいいことはまあ、みんな認めてるよね。微笑ましい光景だ。
「そのRTAで、ヤマトの何が問題になってるわけ?」
倉橋くんも囲みの端っこの方にいたのかい。立石師範連れてダンジョン潜れば、普通に経験値稼げるだろうに。
「昨日はヤマトが低階層で暴走して、1時間のうち40分そこで暴れたの。目標は10層だったんだけど、おかげでLVが1しか上がらなくて」
「いや、1時間で1上がるだけでも凄くね?」
「それは確かにそうとも言えるんだけど、計画通り10層で暴れてくれたらもっと同じ時間でも経験値の入りが良かったはずだからね」
聖弥くんの補足説明に、倉橋くんがうーんと考え込む。
「あのさー、うちも犬飼ってるんだけど、よその犬と競争すると俄然やる気出すんだよね。法月のマユちゃんを一緒に連れてって、『ちゃんと言うことを聞く従魔はこうだよ』って見せてライバル心を煽るのはどうかな」
倉橋くんはこの前の鎌倉ダンジョン襲撃事件の時に助っ人に来てもらったから、マユちゃんのことを知ってるんだよね。
突然名前を出された寧々ちゃんは驚いてたけど、拒否はしなかった。
「え? 私? さすがに夜はダンジョン行くの厳しいけど……柚香ちゃんにはすっごいお世話になってるから、1度だけなら親もいいって言ってくれるかな」
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持つべきものはやっぱり友! マスターに従順な「ザ・従魔」であるマユちゃんのお利口さんなところを見せて、ヤマトには学んで貰いましょう!
「寧々ちゃん、本当に悪いんだけど、今晩大丈夫か訊いてみて」
「うん、わかった。ちょっとでも経験値はいると私も嬉しいし」
さっそくスマホを操作する寧々ちゃん。
この状態で「夜の鎌倉ダンジョン行く人いる?」って訊いたら、挙手が起きなかった。
まあね……わかるよ、それが「ブートキャンプの上に鬼のような体育祭の練習まで加わって、もう何が何やら」状態の人たちの普通だよ。
そして、その日の夜、寧々ちゃんは新しい冒険者装備でマユちゃんを連れてうちにやってきた。
「あれ? この服見たことある! あいちゃんとみなとみらいに行った時!」
寧々ちゃんの新装備は、爽やかなミントグリーンのひらひら多めのセットアップだ。
「うん、ヴェークスの新作をパクってるの。あれはミスリル繊維織り込みなんだけど、柚香ちゃんの大量発注で大分儲かったから、お父さんがヒヒイロカネ50%で作ってくれたんだ」
「ああー、寧々ちゃんのお父さん、見本があれば作れるもんね……」
見た目はヴェークスにしか見えないから、不自然さもないね。私たちみたいに「高額な装備だって狙われる」心配はなさそう。
鎌倉ダンジョンでは、寧々ちゃんの言うことを聞くマユちゃんにライバル心を抱いたのか、ヤマトもいつもより従順だった。10層までなんとか行けたよ!
……その翌日、マユちゃんがいなくなったら、元に戻ったけどね……。
「ううーん、ヤマトに言うことを聞かせるにはー、聞かせるにはーーーーー」
「柚香、おまえヤマトに舐められてねえ? そういえば、従魔にした段階でステータスはヤマトの方が高かったんだよな」
「いや、それは関係ないと思う。だってアグさんよりマスターさんが強かったとは思えないもん。……あ」
ひらめいた! ひらめいたよ私! ヤマトに(私よりは)言うことを聞かせられる存在がいるじゃん!
翌日は夕方のランニングの時に、フル装備で大山阿夫利ダンジョンまで走って行った。
キュルルルル~と甘えた声を出しながら、私に気づいたアグさんがドスドスとやってくる。
その首に抱きついて散々撫で撫でしてから、サンドイッチを差し出しつつ私はアグさんに頼んだ。
「アグさん、ヤマトが私の言うこと聞いてくれないの。マスターの言うことをちゃんと聞きなさいってお説教してくれる?」
ぺろりとサンドイッチを平らげて、アグさんは「あそぼ! あそぼ!」と足にまとわりついてるヤマトに向かって軽く咆吼を浴びせた。
そして、硬直してるヤマトの頭に前足を乗せる。
「ガウガウ」
「クゥ~ン……」
ぷぎゃ、可愛い!! アグさんは怒ってる様子はなくて、おとなしくしたヤマトに「ダメだよ、言うこと聞かなきゃ」って言ってる感じで、ヤマトは「すいませ~ん……」って感じだった!
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