97 / 283
強くなります! の巻
第90話 このドラゴン、強すぎるっ!
しおりを挟む
「アグさんのステータスもアプリで鑑定すれば見られるから、時々チェックしてあげて。えーと、回復方法は」
「回復は大丈夫です! そのためにヒーラーを連れてきました!」
私が元気よく答えると、毛利さんは笑って頷いた。
「そうだった。蓮くんはヒーラーだったね。今のステータスは?」
「ええと、こんな感じです」
安永蓮 LV9
HP 50/50(+80)
MP 35/35(+300)
STR 9(+75)
VIT 13(+85)
MAG 20(+215)
RST 21(+160)
DEX 16(+120)
AGI 15(+145)
スキル 【初級ヒール】
装備 【アポイタカラ・セットアップ】【ロータスロッド】
蓮のスマホを覗き込んだ毛利さんがびっくりしている。
デスヨネー。
「これは、率直に言って凄いね。ザ・魔法使いっていうステータスだ。惜しいなあ、このまま成長したら日本でもトップクラスの……そういえば、ウィザード系かクレリック系かは決めてるのかい?」
「それは、まだ決めてません」
ため息混じりの蓮は、本当にここのところスキルについて悩んでる。
スキルで攻撃魔法を3種類取ると、ジョブとしてウィザードになることができる。そして、回復魔法を3種類取るとヒーラーになれるんだけど、ステータスの補正値がそれぞれちょっと違うんだよね。
一般的には回復役をジョブ取ってるかどうか関係なくヒーラーと言う。クレリックとかプリーストじゃないのは、そこに宗教的概念がないかららしい。
スキル取る条件もMAG依存なので、どっちか片方を狙っていくのが常道らしいんだけど。
もしかすると、蓮だったら両方取れるんじゃないかと思うんだよね。
まあ、「冒険者を続ければ」の話なんだけどね!
「うーん、見れば見るほど惜しい。俳優志望だよね、冒険者続ければ本当に凄いことになると思うんだけど。
MAGが伸びる人っていうのは稀少なんだよ。LV10行く前にMAG20っていうのは初めて見た」
「ええっ、そうなんですか!?」
驚く天然魔法使い。こやつは、自分の特異性をよく理解していないんだね!
「うちのクラスでも、LV10でMAG10が最高かな。多分聖弥くんもそこを抜くんだけど、それに比べると蓮がどれだけおかしいかわかる」
「俺が……おかしい……ゆ~かじゃなくて俺の方がおかしい?」
なんでそこで混乱してるのかなあ! 私なんか補正が付いたあの勇者聖弥くんに、何ひとつ勝ってないんですけどね?
「初級魔法のファイアーボールは取っておいた方がいいよ。ジョブヒーラー狙う人もあれだけは押さえてる。他の魔法と違って、延焼させることができるから使い勝手がいいんだ」
「なるほどー! 例えば毛とか衣服を燃やせば、継続してダメージを入れられるって事ですね? うわー、ママが好きそうな戦術!」
「火が効きにくいモンスターも多いけど、完全にダメージが通らないっていう相手は少ないからね。これだけMAGが高ければ、それなりのダメージは入る。ロータスロッドは氷属性か……ううん、氷系の魔法は中級が範囲魔法でちょっと使い勝手が難しいんだよね。また、面倒な属性が付いてるなあ」
凄い! こんなアドバイス貰ったの初めてだ!
そもそも、学校でもあんまり魔法のことはまだ習ってないんだよね。理由は簡単で、魔法が使える条件に達してる人が少ないから。
教科書には載ってることは載ってるけど、私には縁のないことと思って読んでません。
「そっか……そうするとやっぱりここで取るべきは中級ヒールと初級魔法か」
「蓮はよく悩んでてください。毛利さん、そろそろヤマトの訓練を始めたいんですが」
「案外、蓮くんみたいに『冒険者になるつもりがない』って埋もれてるだけで、魔法使い向きの人っているのかもしれないなあ……。ああ、訓練だね。アグさん、訓練を頼むよ。これからアグさんに頼みたいときは『訓練お願い』か『訓練頼む』で通じるからね」
「ギャス」
頷くアグさん、賢いな! 爬虫類系って頭悪いイメージがあるんだけど、そこはやっぱりモンスターでドラゴンだから違うんだろうな。
アグさんはドスドス歩いて中央の十分に周囲に余裕がある場所まで行くと、空気をビリビリと震わせる咆吼を放った。
「ガウッ!!」
「ぐわっ!」
私も鳥肌立ったけど、蓮に抱っこされてたヤマトが激しく暴れ、蓮を蹴り飛ばしてアグさんに突進していく。勢いよく蹴られた蓮は後ろに思いっきり倒れて、地面でバウンドした。
「わー、ヤマト!! って、蓮も! 頭打ったよね!? ぎゃー! どっちに行ったらー」
なんでこんなときに頭打ちますかね、この人は!
私がわたわたとしていると、毛利さんが「大丈夫」と言って蓮を介抱してくれる。
「すみません、お願いします!」
毛利さんに蓮を任せ、私はヤマトを追って走って行った。
ヤマトは一直線にアグさんに向かい、飛びかかっていく。凄い速さだ! これは、見慣れた暴走状態!
だけど、アグさんは飛びかかってきたヤマトを、尻尾の先でぺしっと弾き返した。
そりゃもう簡単に。人間がハエを払うが如く。
お、おう……さすがフレイムドラゴン。たかだかLV5くらいのヤマトでは相手にならないのね。
念のためにアグさんを鑑定し、私は思いっきり息をのんだ。
アグえもん LV52 従魔
HP 1084/1084
MP 682/682
STR 793
VIT 971
MAG 330
RST 617
DEX 599
AGI 640
種族 【フレイムドラゴン】
スキル 【咆吼】【ファイアーブレス】【自動回復】【威圧】
マスター 【縺9⊇ψ溘s】
マスターのところが文字化けしてるのかな? それも怖いけど、ステータスが凄すぎるよ!
HPが4桁か。ということは、普通にドラゴンと戦ったらこの数値が敵になるわけで……アグさんのマスターさん、よくこれをテイムできたなあ。
あとひとつ、引っかかったのは名前が「アグえもん」だったことだね!
アグっていうのが名前だと思ってたよ。
「もしかしたら、回復いらないかも」
思わずそんな言葉が漏れた。VIT971って……ヤマトの攻撃通るのかな。
「回復は大丈夫です! そのためにヒーラーを連れてきました!」
私が元気よく答えると、毛利さんは笑って頷いた。
「そうだった。蓮くんはヒーラーだったね。今のステータスは?」
「ええと、こんな感じです」
安永蓮 LV9
HP 50/50(+80)
MP 35/35(+300)
STR 9(+75)
VIT 13(+85)
MAG 20(+215)
RST 21(+160)
DEX 16(+120)
AGI 15(+145)
スキル 【初級ヒール】
装備 【アポイタカラ・セットアップ】【ロータスロッド】
蓮のスマホを覗き込んだ毛利さんがびっくりしている。
デスヨネー。
「これは、率直に言って凄いね。ザ・魔法使いっていうステータスだ。惜しいなあ、このまま成長したら日本でもトップクラスの……そういえば、ウィザード系かクレリック系かは決めてるのかい?」
「それは、まだ決めてません」
ため息混じりの蓮は、本当にここのところスキルについて悩んでる。
スキルで攻撃魔法を3種類取ると、ジョブとしてウィザードになることができる。そして、回復魔法を3種類取るとヒーラーになれるんだけど、ステータスの補正値がそれぞれちょっと違うんだよね。
一般的には回復役をジョブ取ってるかどうか関係なくヒーラーと言う。クレリックとかプリーストじゃないのは、そこに宗教的概念がないかららしい。
スキル取る条件もMAG依存なので、どっちか片方を狙っていくのが常道らしいんだけど。
もしかすると、蓮だったら両方取れるんじゃないかと思うんだよね。
まあ、「冒険者を続ければ」の話なんだけどね!
「うーん、見れば見るほど惜しい。俳優志望だよね、冒険者続ければ本当に凄いことになると思うんだけど。
MAGが伸びる人っていうのは稀少なんだよ。LV10行く前にMAG20っていうのは初めて見た」
「ええっ、そうなんですか!?」
驚く天然魔法使い。こやつは、自分の特異性をよく理解していないんだね!
「うちのクラスでも、LV10でMAG10が最高かな。多分聖弥くんもそこを抜くんだけど、それに比べると蓮がどれだけおかしいかわかる」
「俺が……おかしい……ゆ~かじゃなくて俺の方がおかしい?」
なんでそこで混乱してるのかなあ! 私なんか補正が付いたあの勇者聖弥くんに、何ひとつ勝ってないんですけどね?
「初級魔法のファイアーボールは取っておいた方がいいよ。ジョブヒーラー狙う人もあれだけは押さえてる。他の魔法と違って、延焼させることができるから使い勝手がいいんだ」
「なるほどー! 例えば毛とか衣服を燃やせば、継続してダメージを入れられるって事ですね? うわー、ママが好きそうな戦術!」
「火が効きにくいモンスターも多いけど、完全にダメージが通らないっていう相手は少ないからね。これだけMAGが高ければ、それなりのダメージは入る。ロータスロッドは氷属性か……ううん、氷系の魔法は中級が範囲魔法でちょっと使い勝手が難しいんだよね。また、面倒な属性が付いてるなあ」
凄い! こんなアドバイス貰ったの初めてだ!
そもそも、学校でもあんまり魔法のことはまだ習ってないんだよね。理由は簡単で、魔法が使える条件に達してる人が少ないから。
教科書には載ってることは載ってるけど、私には縁のないことと思って読んでません。
「そっか……そうするとやっぱりここで取るべきは中級ヒールと初級魔法か」
「蓮はよく悩んでてください。毛利さん、そろそろヤマトの訓練を始めたいんですが」
「案外、蓮くんみたいに『冒険者になるつもりがない』って埋もれてるだけで、魔法使い向きの人っているのかもしれないなあ……。ああ、訓練だね。アグさん、訓練を頼むよ。これからアグさんに頼みたいときは『訓練お願い』か『訓練頼む』で通じるからね」
「ギャス」
頷くアグさん、賢いな! 爬虫類系って頭悪いイメージがあるんだけど、そこはやっぱりモンスターでドラゴンだから違うんだろうな。
アグさんはドスドス歩いて中央の十分に周囲に余裕がある場所まで行くと、空気をビリビリと震わせる咆吼を放った。
「ガウッ!!」
「ぐわっ!」
私も鳥肌立ったけど、蓮に抱っこされてたヤマトが激しく暴れ、蓮を蹴り飛ばしてアグさんに突進していく。勢いよく蹴られた蓮は後ろに思いっきり倒れて、地面でバウンドした。
「わー、ヤマト!! って、蓮も! 頭打ったよね!? ぎゃー! どっちに行ったらー」
なんでこんなときに頭打ちますかね、この人は!
私がわたわたとしていると、毛利さんが「大丈夫」と言って蓮を介抱してくれる。
「すみません、お願いします!」
毛利さんに蓮を任せ、私はヤマトを追って走って行った。
ヤマトは一直線にアグさんに向かい、飛びかかっていく。凄い速さだ! これは、見慣れた暴走状態!
だけど、アグさんは飛びかかってきたヤマトを、尻尾の先でぺしっと弾き返した。
そりゃもう簡単に。人間がハエを払うが如く。
お、おう……さすがフレイムドラゴン。たかだかLV5くらいのヤマトでは相手にならないのね。
念のためにアグさんを鑑定し、私は思いっきり息をのんだ。
アグえもん LV52 従魔
HP 1084/1084
MP 682/682
STR 793
VIT 971
MAG 330
RST 617
DEX 599
AGI 640
種族 【フレイムドラゴン】
スキル 【咆吼】【ファイアーブレス】【自動回復】【威圧】
マスター 【縺9⊇ψ溘s】
マスターのところが文字化けしてるのかな? それも怖いけど、ステータスが凄すぎるよ!
HPが4桁か。ということは、普通にドラゴンと戦ったらこの数値が敵になるわけで……アグさんのマスターさん、よくこれをテイムできたなあ。
あとひとつ、引っかかったのは名前が「アグえもん」だったことだね!
アグっていうのが名前だと思ってたよ。
「もしかしたら、回復いらないかも」
思わずそんな言葉が漏れた。VIT971って……ヤマトの攻撃通るのかな。
23
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる