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強くなります! の巻
第88話 レッツ、特訓! 大山阿夫利ダンジョン!
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いやー、昨日のお披露目配信は楽しかったなあ。
暴露配信の時にはあんなに生き生きとしてた聖弥くんが、しおれてたもんね。
エクスカリバーだけだったら良かった。いや、良くはないか。
エクスカリバーの補正値がもっと偏ってくれてたら、もしかしたらプリトウェンは出なかったかもしれない。
しかし、エクスカリバーとプリトウェンのふたつが揃ってしまい、あの補正値だからもうお笑いにしかならなかった……。
そして、さすがのママですら、エクスカリバーは両手剣だと思ってたらしい。片手剣と両手剣の中間っぽい形のエクスカリバーを見て困惑してたくらいだもん。
「だって、エクス・カリバー! よ? 問おう、あなたが私のマスターか、よ?」
「聖弥くんに女体化しろと?」
「ぶっちゃけ、西洋剣にはあんまり詳しくないのよねー。ほら、柄の部分もショートソードよりは長いけど、真ん中が握りやすいようにくびれてるでしょ。でも、ロングソードよりは短いし、両手でも握れる形状じゃない? 分類的には片手半剣――つまりバスタードソードに当たるわね。
片手で振るには長いし、両手で振るには短い。そして切りに特化した形には至らず、突きにも特化していない。――簡単に言うと、なんでもこなせる反面、特化型の武器とは違って盾とセットで扱うには結構な訓練が必要になるわよ」
「いや、十分詳しいです」
問おう、あなたが武器ペディアか――。と言いたくなるようなママの解説に、冷静に蓮がツッコミを入れる。
「やっぱり、使いこなすには訓練が必要なんですね」
「素人では盾も一緒の運用っていうのは厳しいと思うわー。ちゃんと習う必要があるわよ。ユズもできれば剣術をきちんと教えてくれる人に付いた方がいいくらい。
ああー、こんな大変そうな武器が出るくらいなら、ハルバードが出た方が私的には余程ロマンがあったわ。ハルバードっていうのはね、長柄武器のひとつで斧と槍が一体化したようなものなの。振り回して斧の部分で叩きつけてよし、槍の部分で突いてよしの万能武器よ。斧の刃があるところの反対側にも鉤爪があってね、引っかけるっていう戦い方もできるの。もちろん長柄武器だから振り回したときの遠心力によるダメージの大きさは凄いわよ。日本だと似たようなものでは、宝蔵院流槍術で使われた十文字槍が有名ね。『突けば槍、払えば薙刀、引けば鎌』とも言われた万能性で……」
「はい、ストーップ! ママ、もう武器の話はいいから! X‘sか何かで今度話させてあげるから!」
私は暴走モードに入ったママの口にビッグマシュマロを突っ込んで止めた。
これが始まると長いんだ……。村雨丸お披露目配信の時も困ったけど。
蓮はともかく、聖弥くんが半端な笑顔で固まってるね。
気のせいか、頭の上に「?」が浮いてるようにも見える。
「ところで、明日ヤマトの訓練に、大山阿夫利ダンジョン連れて行ってくれるんでしょ?」
「そういえばそうだったわ。蓮くんと聖弥くんも行くの?」
むぐむぐとマシュマロを食べてからママが答える。
忘れないでいただきたい! 私は明日フレイムドラゴンと遊ぶのを楽しみに、今週を乗り切ってきたんだから。
「僕はちょっとまだ激しい運動は控えろって言われてて。とりあえず今月いっぱいは軽い訓練だけにしておきます。少し走るのならともかく、フレイムドラゴンはさすがに……」
そうだ、聖弥くんは怪我が治ったばっかりだ。しかも肋骨って面倒らしいんだよね。
「蓮は来て欲しい。回復役が欲しいから」
「……わかった」
ヤマトはレベルこそ低いけどステータスが高いから、フレイムドラゴンの方が手加減してくれてもヤマトの方がダメージ与えちゃうと思うんだよね。
誰かがそっちを回復してあげないといけない。マスター以外の手でポーションを飲んでくれるかはわからないから、魔法が無難。
というやりとりの翌日、私と蓮とヤマトは大山登山をしていた。
……いや、まさか、大山阿夫利ダンジョンが大山の頂上にあるなんて!
ママときたら、登山道入り口で私たちを降ろした後「お豆腐懐石食べてくる~」ってルンルンで観光に行ってしまったよ。
私も食べたかった!! 大山豆腐は有名だもん! スーパーでも売ってるけど懐石料理は食べたことないし!
「フル装備で来て良かった……」
アポイタカラ・セットアップにロータスロッドを背負った蓮がぼやいている。私はフレイムドラゴンと戦うときにできるだけ補正を付けないように、初心者の服だ。
山登りの最中は村雨丸を刀袋に入れて背負っていくけどね。
「大山ごときでひーひー言ってられないよ? 金時山はもっときついよ?」
「いや、登らねえし。登る必要がねえし」
「登るんだよ……そのうち」
私がテンション落としてぼそっと言うと、蓮はガタガタと震え始めた。うん、何かを察してくれたみたいだ。
「よーし、駆け上がるぞー! よーいドン!」
「ワンッ!」
「えっ!? マジかー!」
私より余程ステータス補正付けてる人がなんか悲鳴上げてますけど、構わず山道を走るよ! 村雨丸を持ってるからAGIとVITの補正のおかげで楽々だね!
ヤマトも初めての山にはしゃぎながら、私たちは身軽に山を登っていく。
……蓮は、補正こそ付いてるけど山登り自体が慣れてないみたいで、ステータスを生かせてなかった。
そして約30分後、私たちは大山の山頂にどーんと入り口を広げている大山阿夫利ダンジョンの前に辿り着いていた。
ここが、上級ダンジョン!
実力的にはまだ潜れるところじゃないけど、1層だけはモンスターが出ないから入ることができる。
ここに、伝説のテイマーの従魔であるフレイムドラゴン師匠がいるんだ。
わあー、ドキドキする~!
暴露配信の時にはあんなに生き生きとしてた聖弥くんが、しおれてたもんね。
エクスカリバーだけだったら良かった。いや、良くはないか。
エクスカリバーの補正値がもっと偏ってくれてたら、もしかしたらプリトウェンは出なかったかもしれない。
しかし、エクスカリバーとプリトウェンのふたつが揃ってしまい、あの補正値だからもうお笑いにしかならなかった……。
そして、さすがのママですら、エクスカリバーは両手剣だと思ってたらしい。片手剣と両手剣の中間っぽい形のエクスカリバーを見て困惑してたくらいだもん。
「だって、エクス・カリバー! よ? 問おう、あなたが私のマスターか、よ?」
「聖弥くんに女体化しろと?」
「ぶっちゃけ、西洋剣にはあんまり詳しくないのよねー。ほら、柄の部分もショートソードよりは長いけど、真ん中が握りやすいようにくびれてるでしょ。でも、ロングソードよりは短いし、両手でも握れる形状じゃない? 分類的には片手半剣――つまりバスタードソードに当たるわね。
片手で振るには長いし、両手で振るには短い。そして切りに特化した形には至らず、突きにも特化していない。――簡単に言うと、なんでもこなせる反面、特化型の武器とは違って盾とセットで扱うには結構な訓練が必要になるわよ」
「いや、十分詳しいです」
問おう、あなたが武器ペディアか――。と言いたくなるようなママの解説に、冷静に蓮がツッコミを入れる。
「やっぱり、使いこなすには訓練が必要なんですね」
「素人では盾も一緒の運用っていうのは厳しいと思うわー。ちゃんと習う必要があるわよ。ユズもできれば剣術をきちんと教えてくれる人に付いた方がいいくらい。
ああー、こんな大変そうな武器が出るくらいなら、ハルバードが出た方が私的には余程ロマンがあったわ。ハルバードっていうのはね、長柄武器のひとつで斧と槍が一体化したようなものなの。振り回して斧の部分で叩きつけてよし、槍の部分で突いてよしの万能武器よ。斧の刃があるところの反対側にも鉤爪があってね、引っかけるっていう戦い方もできるの。もちろん長柄武器だから振り回したときの遠心力によるダメージの大きさは凄いわよ。日本だと似たようなものでは、宝蔵院流槍術で使われた十文字槍が有名ね。『突けば槍、払えば薙刀、引けば鎌』とも言われた万能性で……」
「はい、ストーップ! ママ、もう武器の話はいいから! X‘sか何かで今度話させてあげるから!」
私は暴走モードに入ったママの口にビッグマシュマロを突っ込んで止めた。
これが始まると長いんだ……。村雨丸お披露目配信の時も困ったけど。
蓮はともかく、聖弥くんが半端な笑顔で固まってるね。
気のせいか、頭の上に「?」が浮いてるようにも見える。
「ところで、明日ヤマトの訓練に、大山阿夫利ダンジョン連れて行ってくれるんでしょ?」
「そういえばそうだったわ。蓮くんと聖弥くんも行くの?」
むぐむぐとマシュマロを食べてからママが答える。
忘れないでいただきたい! 私は明日フレイムドラゴンと遊ぶのを楽しみに、今週を乗り切ってきたんだから。
「僕はちょっとまだ激しい運動は控えろって言われてて。とりあえず今月いっぱいは軽い訓練だけにしておきます。少し走るのならともかく、フレイムドラゴンはさすがに……」
そうだ、聖弥くんは怪我が治ったばっかりだ。しかも肋骨って面倒らしいんだよね。
「蓮は来て欲しい。回復役が欲しいから」
「……わかった」
ヤマトはレベルこそ低いけどステータスが高いから、フレイムドラゴンの方が手加減してくれてもヤマトの方がダメージ与えちゃうと思うんだよね。
誰かがそっちを回復してあげないといけない。マスター以外の手でポーションを飲んでくれるかはわからないから、魔法が無難。
というやりとりの翌日、私と蓮とヤマトは大山登山をしていた。
……いや、まさか、大山阿夫利ダンジョンが大山の頂上にあるなんて!
ママときたら、登山道入り口で私たちを降ろした後「お豆腐懐石食べてくる~」ってルンルンで観光に行ってしまったよ。
私も食べたかった!! 大山豆腐は有名だもん! スーパーでも売ってるけど懐石料理は食べたことないし!
「フル装備で来て良かった……」
アポイタカラ・セットアップにロータスロッドを背負った蓮がぼやいている。私はフレイムドラゴンと戦うときにできるだけ補正を付けないように、初心者の服だ。
山登りの最中は村雨丸を刀袋に入れて背負っていくけどね。
「大山ごときでひーひー言ってられないよ? 金時山はもっときついよ?」
「いや、登らねえし。登る必要がねえし」
「登るんだよ……そのうち」
私がテンション落としてぼそっと言うと、蓮はガタガタと震え始めた。うん、何かを察してくれたみたいだ。
「よーし、駆け上がるぞー! よーいドン!」
「ワンッ!」
「えっ!? マジかー!」
私より余程ステータス補正付けてる人がなんか悲鳴上げてますけど、構わず山道を走るよ! 村雨丸を持ってるからAGIとVITの補正のおかげで楽々だね!
ヤマトも初めての山にはしゃぎながら、私たちは身軽に山を登っていく。
……蓮は、補正こそ付いてるけど山登り自体が慣れてないみたいで、ステータスを生かせてなかった。
そして約30分後、私たちは大山の山頂にどーんと入り口を広げている大山阿夫利ダンジョンの前に辿り着いていた。
ここが、上級ダンジョン!
実力的にはまだ潜れるところじゃないけど、1層だけはモンスターが出ないから入ることができる。
ここに、伝説のテイマーの従魔であるフレイムドラゴン師匠がいるんだ。
わあー、ドキドキする~!
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