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ダメステアイドルと柚香の特訓の巻
第37話 学校に行ったら拝まれた
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朝はちょっと小雨が降ってたけど、そんなのものともせずにヤマトとランニング。
帰宅してプロテインガブ飲み! うーん、バナナ味は外さないね。美味しい。
学校に置いてるのは例のピーチマンゴーなんだけど、そこのブランドのフルーツフレーバーは外れがなくて本当にありがたい。
そして、登校すると――。
「柚香様~」
おわっ! 珍しい、かれんちゃんにおんぶお化けされた!
「おはよう、かれんちゃん。どうしたの? 珍しいね、あ、間接犬吸い!? ヤマトの匂いする?」
「アポイタカラください」
「なんて率直な物欲の吐露!」
「友達価格で安く譲ってー。槍の穂先作れるくらいあればいいんだー」
「ひとりにそれをするとみんなが欲しがるからダメです。あとあれって1g77980円だってよ? 友達価格で半額にしてもかれんちゃんが買えるとは……」
「ぐう正論。悪かったー。私も頑張って鉱床掘ろうっと。アポイタカラ掘り出して売って、ヒヒイロカネの武器作る」
かれんちゃんが渋々離れた。と思ったら!
「ゆーちゃーん」
「今度はあいちゃんかい」
空いた私の背中にあいちゃん――愛莉ちゃんが張り付いてくる。ついでに両手でほっぺ掴まれる。ほっぺ、ほっぺもちもちしないで。
あいちゃんは私とパーティーを組んでたひとりだ。つまり、あの日置き去りにして先に帰った人ともいう。まだ許してない。
かれんちゃん、あいちゃん、彩花ちゃん、私の4人はパーティーを組んでたんだけど、それは同じ中学から北峰高冒険者科に進学した以前からのお友達だから。
特にあいちゃんは幼稚園が一緒で、小学校は違ったけどまた中学から一緒だから付き合いが長い。
かれんちゃんと彩花ちゃんが戦闘専攻狙いであいちゃんはクラフト専攻狙い。
クラフトに関する私の知識は大体愛莉ちゃん経由かな。
「装備、買い換えるんだよね。いつ行く?」
「あー、装備ね。お金もあるし作って貰おうと思ってる。アポイタカラを使って高性能なやつを」
「最近はお店でもデザイン性と機能性両立させた装備も多いんだよ。一回見てみない?」
「本音どうぞ?」
「ゆ~かチャンネルとコラボして、チャンネル登録者数を稼ぎたいでーす☆」
大変素直なお返事いただきました! 私の周りは欲深い奴らばっかりか!
あいちゃんは有名デザイナーの娘で、中学から本名&顔出しをして美少女ourtuberとして活動して、ファッションコーディネートの動画をアップしてたんだよね。親の七光りってやつを最大限活用してる。
登録者数は確か5000人くらいいて、同世代のourtuberの中では頭ひとつ抜けてる方だったんだけど。
「えー、私のチャンネル登録者よりあいちゃんの方が……少ない、だと?」
口実にしようと思ってアプリ開いたら、知らないうちに私のチャンネル登録者数が2万人超えてるー!
昨日も配信するだけして、他のところチェックしてなかったからなあ。気づかなかったよ。
これはSE-REN推しの人たちも合流してるな。チャンネル登録は気軽にできるし、別に無理に見る必要は無いから、「ちょっと気になる」程度で登録してる人もいるんだよね。
「うーん、まあいいよ、今日の放課後は埋まってるから、明日か明後日か」
「明日6時間だから明日いこ。みなとみらいに行けば大体揃うし。じゃあその日収録して編集して……」
「あいちゃんはすっごい自分に都合良く編集するから、ライブにしよ!?」
「くっ、伊達に長い付き合いしてないね、ゆーちゃん。抜けてるようで抜け目なし」
あいちゃんはその場で「ダンジョンコーディネートのライブ配信を明日の夕方ゆ~かちゃんとコラボでします☆」という告知をX‘sにアップした。
私はそれを引用して「しまーす」とだけ付け足してアップ。
おう、早速コメントがつき始めるけど、これ全部に反応してるとジャージに着替える時間が無くなってしまうんだよね。後で時間があるときに読もう。
「柳川~、凄いお宝拾ったんだって? おまえ持ってんなー。拝ませて」
金曜日に私を拝んでたひとりである室伏くんがまた拝んでくる。まあ、拝むくらいは許してやろう。何かねだってくるわけではないし。
「伝説金属で武器作るのは夢だよな!」
「ヒヒイロカネじゃなくてアポイタカラってのがまたいい! 激レア!」
「俺ミスリルソードが欲しいなー」
「総ミスリルでロッド作ると、凄いMAG修正付くって」
「ミスリルで作った防具欲しいー。RST低いから」
クラスの中は伝説金属での武器と防具に関しての話題に花が咲き始めた。
そして、何故かあるタイミングで揃ってみんなが私の方を向く。
「あやかりてえ、あやかりてえ」
「今度俺の代わりに10連ガチャ回して」
「どこを撫でたら御利益ある? やっぱり頭?」
「やめてやれよ、すり減るぞ。サイン貰うくらいでいいんじゃねえか? 家の西側の高いところに飾ったら金運アップしそうだぞ」
「人を縁起物扱いするんじゃなーい! あれは、ヤマトのおかげ! みんなテイマー目指して、柴犬テイムしてダンジョンに連れて行けばいいんだよ!」
「いや、テイマーになりたいなんて思ってないし」
周りに群がってきた奴らを振り払って叫んだら、「何言ってんのこいつ」って目を向けられた。なんで! 私正論言ってるつもりなのに!
テイマーが不人気なのは認めるよ! テイマー目指してる人って本気で冒険者やるつもりはなくて、動物関係の仕事をするから取っとこうかって人が多い。だから、高校の冒険者科からテイマー狙いは少ないのだ。
メリットがあるほどの強い従魔をゲットするには、本人がそもそもそこに到達出来るくらいの戦闘力持ってないといけないし。そうすると戦闘専攻とやること変わらないんだよね。
「そもそも、普通ダンジョンに柴犬いないし」
「ヤマトだって【柴犬?】だっただろ。あれきっと未知のレアモンスターだぜ」
そ、それを言われると返す言葉がないんだけども。確かに、ダンジョンに柴犬はいないよねえ……普通は。
私が腕を組んで片手は顎に当てて考え込んでいたら「そのポーズ御利益ありそう」と言われて10人くらいに囲まれて拝まれた。
だから、私を拝んでもなんの御利益もないってば!
冒険者科、特に戦闘専攻目指してる人は一攫千金を狙う奴らばっかりで、やたらと縁起担ぐ人が多いんだよね……。冒険者は危ないこともするから縁起担ぎでも神頼みでもするっていうのはわかるんだけどさ。
でも、私を拝んでも間違いなく一攫千金の利益はない。ヤマトの方を拝まなきゃ。
と、動物園の飼育員を目指す私は思うのであった。
帰宅してプロテインガブ飲み! うーん、バナナ味は外さないね。美味しい。
学校に置いてるのは例のピーチマンゴーなんだけど、そこのブランドのフルーツフレーバーは外れがなくて本当にありがたい。
そして、登校すると――。
「柚香様~」
おわっ! 珍しい、かれんちゃんにおんぶお化けされた!
「おはよう、かれんちゃん。どうしたの? 珍しいね、あ、間接犬吸い!? ヤマトの匂いする?」
「アポイタカラください」
「なんて率直な物欲の吐露!」
「友達価格で安く譲ってー。槍の穂先作れるくらいあればいいんだー」
「ひとりにそれをするとみんなが欲しがるからダメです。あとあれって1g77980円だってよ? 友達価格で半額にしてもかれんちゃんが買えるとは……」
「ぐう正論。悪かったー。私も頑張って鉱床掘ろうっと。アポイタカラ掘り出して売って、ヒヒイロカネの武器作る」
かれんちゃんが渋々離れた。と思ったら!
「ゆーちゃーん」
「今度はあいちゃんかい」
空いた私の背中にあいちゃん――愛莉ちゃんが張り付いてくる。ついでに両手でほっぺ掴まれる。ほっぺ、ほっぺもちもちしないで。
あいちゃんは私とパーティーを組んでたひとりだ。つまり、あの日置き去りにして先に帰った人ともいう。まだ許してない。
かれんちゃん、あいちゃん、彩花ちゃん、私の4人はパーティーを組んでたんだけど、それは同じ中学から北峰高冒険者科に進学した以前からのお友達だから。
特にあいちゃんは幼稚園が一緒で、小学校は違ったけどまた中学から一緒だから付き合いが長い。
かれんちゃんと彩花ちゃんが戦闘専攻狙いであいちゃんはクラフト専攻狙い。
クラフトに関する私の知識は大体愛莉ちゃん経由かな。
「装備、買い換えるんだよね。いつ行く?」
「あー、装備ね。お金もあるし作って貰おうと思ってる。アポイタカラを使って高性能なやつを」
「最近はお店でもデザイン性と機能性両立させた装備も多いんだよ。一回見てみない?」
「本音どうぞ?」
「ゆ~かチャンネルとコラボして、チャンネル登録者数を稼ぎたいでーす☆」
大変素直なお返事いただきました! 私の周りは欲深い奴らばっかりか!
あいちゃんは有名デザイナーの娘で、中学から本名&顔出しをして美少女ourtuberとして活動して、ファッションコーディネートの動画をアップしてたんだよね。親の七光りってやつを最大限活用してる。
登録者数は確か5000人くらいいて、同世代のourtuberの中では頭ひとつ抜けてる方だったんだけど。
「えー、私のチャンネル登録者よりあいちゃんの方が……少ない、だと?」
口実にしようと思ってアプリ開いたら、知らないうちに私のチャンネル登録者数が2万人超えてるー!
昨日も配信するだけして、他のところチェックしてなかったからなあ。気づかなかったよ。
これはSE-REN推しの人たちも合流してるな。チャンネル登録は気軽にできるし、別に無理に見る必要は無いから、「ちょっと気になる」程度で登録してる人もいるんだよね。
「うーん、まあいいよ、今日の放課後は埋まってるから、明日か明後日か」
「明日6時間だから明日いこ。みなとみらいに行けば大体揃うし。じゃあその日収録して編集して……」
「あいちゃんはすっごい自分に都合良く編集するから、ライブにしよ!?」
「くっ、伊達に長い付き合いしてないね、ゆーちゃん。抜けてるようで抜け目なし」
あいちゃんはその場で「ダンジョンコーディネートのライブ配信を明日の夕方ゆ~かちゃんとコラボでします☆」という告知をX‘sにアップした。
私はそれを引用して「しまーす」とだけ付け足してアップ。
おう、早速コメントがつき始めるけど、これ全部に反応してるとジャージに着替える時間が無くなってしまうんだよね。後で時間があるときに読もう。
「柳川~、凄いお宝拾ったんだって? おまえ持ってんなー。拝ませて」
金曜日に私を拝んでたひとりである室伏くんがまた拝んでくる。まあ、拝むくらいは許してやろう。何かねだってくるわけではないし。
「伝説金属で武器作るのは夢だよな!」
「ヒヒイロカネじゃなくてアポイタカラってのがまたいい! 激レア!」
「俺ミスリルソードが欲しいなー」
「総ミスリルでロッド作ると、凄いMAG修正付くって」
「ミスリルで作った防具欲しいー。RST低いから」
クラスの中は伝説金属での武器と防具に関しての話題に花が咲き始めた。
そして、何故かあるタイミングで揃ってみんなが私の方を向く。
「あやかりてえ、あやかりてえ」
「今度俺の代わりに10連ガチャ回して」
「どこを撫でたら御利益ある? やっぱり頭?」
「やめてやれよ、すり減るぞ。サイン貰うくらいでいいんじゃねえか? 家の西側の高いところに飾ったら金運アップしそうだぞ」
「人を縁起物扱いするんじゃなーい! あれは、ヤマトのおかげ! みんなテイマー目指して、柴犬テイムしてダンジョンに連れて行けばいいんだよ!」
「いや、テイマーになりたいなんて思ってないし」
周りに群がってきた奴らを振り払って叫んだら、「何言ってんのこいつ」って目を向けられた。なんで! 私正論言ってるつもりなのに!
テイマーが不人気なのは認めるよ! テイマー目指してる人って本気で冒険者やるつもりはなくて、動物関係の仕事をするから取っとこうかって人が多い。だから、高校の冒険者科からテイマー狙いは少ないのだ。
メリットがあるほどの強い従魔をゲットするには、本人がそもそもそこに到達出来るくらいの戦闘力持ってないといけないし。そうすると戦闘専攻とやること変わらないんだよね。
「そもそも、普通ダンジョンに柴犬いないし」
「ヤマトだって【柴犬?】だっただろ。あれきっと未知のレアモンスターだぜ」
そ、それを言われると返す言葉がないんだけども。確かに、ダンジョンに柴犬はいないよねえ……普通は。
私が腕を組んで片手は顎に当てて考え込んでいたら「そのポーズ御利益ありそう」と言われて10人くらいに囲まれて拝まれた。
だから、私を拝んでもなんの御利益もないってば!
冒険者科、特に戦闘専攻目指してる人は一攫千金を狙う奴らばっかりで、やたらと縁起担ぐ人が多いんだよね……。冒険者は危ないこともするから縁起担ぎでも神頼みでもするっていうのはわかるんだけどさ。
でも、私を拝んでも間違いなく一攫千金の利益はない。ヤマトの方を拝まなきゃ。
と、動物園の飼育員を目指す私は思うのであった。
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ステータスについては、近況ボードのステータス講座にまとめてありますので、混乱したらそちらをご覧ください。
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