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ダメステアイドルと柚香の特訓の巻
第33話 私のじゃない重大発表
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SE-RENの重大発表配信は20時からということになった。蓮くんはあらかじめそれをX‘sで告知している。
そして、配信開始を待機してるところなんだけど、私は何故かいつもの芋ジャージを着せられていましてね……。
「解せぬわ……」
「ゆ~かと言ったら芋ジャージってくらいイメージが浸透してんだよ。調べてみたけど、芋ジャージスレなんてものもできてたぞ。
初心者の服を装備して戦ってて、かつ配信してる人間なんて珍獣だからな」
「せめてレアって言ってよ! 確かに、いきなりそれなりの防具買う人が多いのは認めるけど!」
「はぁ……だから、新しい装備を作るまでは芋ジャージ着てろ。その方が余計なヘイト稼がないぞ」
ガチ恋対策か。それは一理あるかも。
そんで、蓮くんの方はペンダントまで付けちゃって、確か2万円くらいするブランド物の黒いTシャツ着てた。
この格差よ!!
「そのTシャツ買うお金もつぎ込んでたら、ブルーローブよりいい装備買えたのでは?」
「これはファンからのプレゼント。こっちのペンダントもプレゼント。配信の時に貰った物着てると喜んで貰えるし」
「えええっ、チャンネル登録者数30人台の駆け出しアイドルなのに、プレゼントとか貰ってるの!?」
ここにママがいたら解説してくれただろうけど、ママはパパによって近所のお酒が飲めるお店に連れ出されている。
「今は増えたぞ! 70人くらいに!」
「倍じゃん! すごっ!」
「でもその導線がゆ~かチャンネルからだってのがな……」
スマホの画面を見ながら落ち込む蓮くん。見てる画面はX‘sっぽいね。「ゆ~かちゃんの配信から来ました」とか書かれちゃったんだろうか。
「それより、おまえ段取り頭に入ってんのか?」
「大丈夫だよー。最初に蓮くんひとりでしゃべって、その後呼ばれたらヤマトと一緒に入って自己紹介したらいいんでしょ?」
私がスラスラ答えたのに、何故か不安そうな顔の蓮くん。
「なんだ、この胸騒ぎは……」
「私が大丈夫って言って大丈夫じゃなかったことあった?」
「付き合い短すぎて判断する材料がダンジョンでのことしかない」
それで十分だと思うけどなあ……。
なんか腑に落ちてない感じの蓮くんに対して時間は無情に過ぎて、配信開始の20時を迎えた。私はヤマトを抱えて撮影される範囲外で待機。
「どーも、SE-RENの安永蓮です。今日は重大発表があるって告知したけど……うん、いつもより人多い。集まってくれてありがと」
笑顔がないなー。まあ、本人クールで売ってるつもりらしいから仕方ないかもしれないけど。
「まず、おとといのダンジョン配信見てくれた人なら知ってると思うけど、聖弥が怪我をしました。肋骨2本折って、応急処置が良かったおかげで回復は早いけど2週間は安静だそうです。
ご心配をおかけして、申し訳ありません」
カメラに向かってきっちりしたお辞儀。
私のスマホで見てた限り『蓮くんのせいじゃないよー』『謝らなくていいよ』『蓮くんまで怪我したりしなくて良かった』っていうコメントが目に付く。
なんだ……? この私の配信とのコメントの差は……。これが、アイドルチャンネルの登録者!
「社長とも相談して、聖弥不在の間は助っ人とユニットを組んで活動することになりました。ユニット名は『SE-REN(仮)』です」
うわあ、今謝罪したばかりなのに、ユニット名発表にすっごい嫌そうな顔してる。コメント欄の方は『助っ人?』『助っ人?』『誰』『アルバトロスにはもう誰もいないんじゃ』って割と勢いよく流れていくね。
「というわけで、カモン! 助っ人!!」
蓮くんが左手で私の方に向かって思いっきり煽った。バンドマンか、君は。
よーし、出番だ!
私はヤマトを抱っこしたまま小走りに蓮くんの隣まで行く。もちろん笑顔は忘れないよ!
「こんばんワンコ~! 将来の夢は動物園の飼育係、アイドルには全くなる気がないゆ~かです! それと、この子は世界一可愛くて鬼強い私の従魔のヤマト!」
『ゆ~かちゃんだー!』
『えっ、助っ人? ゆ~かちゃんが!?』
『ゆ~かちゃんだ!』
『ゆ~かちゃんとコラボ!?』
『どういう方向性で活動をするつもりなの、SE-REN(仮)は』
『ヤマトちゃんがいるという、なんとも言えない頼もしさ……』
『蓮くんを守ってあげてえええ』
『SE-RENの知名度も上がる!』
『あの時助けてくれてありがとおおおおおお』
『ゆ~かちゃんの的確な聖弥くんへの処置、見てて泣きました』
わあ、私に対する感謝の言葉が凄い! コメントをちょっと前のめりで読みながら、私はずっと手を振り続けていた。
そして、配信開始を待機してるところなんだけど、私は何故かいつもの芋ジャージを着せられていましてね……。
「解せぬわ……」
「ゆ~かと言ったら芋ジャージってくらいイメージが浸透してんだよ。調べてみたけど、芋ジャージスレなんてものもできてたぞ。
初心者の服を装備して戦ってて、かつ配信してる人間なんて珍獣だからな」
「せめてレアって言ってよ! 確かに、いきなりそれなりの防具買う人が多いのは認めるけど!」
「はぁ……だから、新しい装備を作るまでは芋ジャージ着てろ。その方が余計なヘイト稼がないぞ」
ガチ恋対策か。それは一理あるかも。
そんで、蓮くんの方はペンダントまで付けちゃって、確か2万円くらいするブランド物の黒いTシャツ着てた。
この格差よ!!
「そのTシャツ買うお金もつぎ込んでたら、ブルーローブよりいい装備買えたのでは?」
「これはファンからのプレゼント。こっちのペンダントもプレゼント。配信の時に貰った物着てると喜んで貰えるし」
「えええっ、チャンネル登録者数30人台の駆け出しアイドルなのに、プレゼントとか貰ってるの!?」
ここにママがいたら解説してくれただろうけど、ママはパパによって近所のお酒が飲めるお店に連れ出されている。
「今は増えたぞ! 70人くらいに!」
「倍じゃん! すごっ!」
「でもその導線がゆ~かチャンネルからだってのがな……」
スマホの画面を見ながら落ち込む蓮くん。見てる画面はX‘sっぽいね。「ゆ~かちゃんの配信から来ました」とか書かれちゃったんだろうか。
「それより、おまえ段取り頭に入ってんのか?」
「大丈夫だよー。最初に蓮くんひとりでしゃべって、その後呼ばれたらヤマトと一緒に入って自己紹介したらいいんでしょ?」
私がスラスラ答えたのに、何故か不安そうな顔の蓮くん。
「なんだ、この胸騒ぎは……」
「私が大丈夫って言って大丈夫じゃなかったことあった?」
「付き合い短すぎて判断する材料がダンジョンでのことしかない」
それで十分だと思うけどなあ……。
なんか腑に落ちてない感じの蓮くんに対して時間は無情に過ぎて、配信開始の20時を迎えた。私はヤマトを抱えて撮影される範囲外で待機。
「どーも、SE-RENの安永蓮です。今日は重大発表があるって告知したけど……うん、いつもより人多い。集まってくれてありがと」
笑顔がないなー。まあ、本人クールで売ってるつもりらしいから仕方ないかもしれないけど。
「まず、おとといのダンジョン配信見てくれた人なら知ってると思うけど、聖弥が怪我をしました。肋骨2本折って、応急処置が良かったおかげで回復は早いけど2週間は安静だそうです。
ご心配をおかけして、申し訳ありません」
カメラに向かってきっちりしたお辞儀。
私のスマホで見てた限り『蓮くんのせいじゃないよー』『謝らなくていいよ』『蓮くんまで怪我したりしなくて良かった』っていうコメントが目に付く。
なんだ……? この私の配信とのコメントの差は……。これが、アイドルチャンネルの登録者!
「社長とも相談して、聖弥不在の間は助っ人とユニットを組んで活動することになりました。ユニット名は『SE-REN(仮)』です」
うわあ、今謝罪したばかりなのに、ユニット名発表にすっごい嫌そうな顔してる。コメント欄の方は『助っ人?』『助っ人?』『誰』『アルバトロスにはもう誰もいないんじゃ』って割と勢いよく流れていくね。
「というわけで、カモン! 助っ人!!」
蓮くんが左手で私の方に向かって思いっきり煽った。バンドマンか、君は。
よーし、出番だ!
私はヤマトを抱っこしたまま小走りに蓮くんの隣まで行く。もちろん笑顔は忘れないよ!
「こんばんワンコ~! 将来の夢は動物園の飼育係、アイドルには全くなる気がないゆ~かです! それと、この子は世界一可愛くて鬼強い私の従魔のヤマト!」
『ゆ~かちゃんだー!』
『えっ、助っ人? ゆ~かちゃんが!?』
『ゆ~かちゃんだ!』
『ゆ~かちゃんとコラボ!?』
『どういう方向性で活動をするつもりなの、SE-REN(仮)は』
『ヤマトちゃんがいるという、なんとも言えない頼もしさ……』
『蓮くんを守ってあげてえええ』
『SE-RENの知名度も上がる!』
『あの時助けてくれてありがとおおおおおお』
『ゆ~かちゃんの的確な聖弥くんへの処置、見てて泣きました』
わあ、私に対する感謝の言葉が凄い! コメントをちょっと前のめりで読みながら、私はずっと手を振り続けていた。
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