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ゆ~か、いろいろダメなアイドルを助けるの巻

第22話 雑談配信ってこんなだったっけ

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「こんばんワンコー! ゆ~かとヤマトの雑談配信はっじまっるよー!」

 リビングのテーブルの上にスマホを固定して、ヤマトを抱っこした私は配信をスタートさせた。
 お膝の上のヤマトは仰向けで、スマホに向かって私が前脚持って振って見せる。

 家に帰ってきた頃にはヤマトは起きてて、それから私と一緒にお風呂に入り、サツキやメイと追いかけっこして遊んでたから今はまた眠くなってるっぽい。
 微妙にほかほかぐんにゃりしてる。

『ヤマトか~わいい!』
『こんばんワンコー』
『挨拶はこんばんワンコになるのか』
『アリだな』
『こんばんワンコー!』
『芋ジャージじゃない!』
『普通の服だね』

 わお、コメントが凄いな。これ拾いきれるかな。
 背中の真ん中辺りまである髪の毛も今はポニーテールじゃなくて下ろしてるし、服はユニ○ロのキャラコラボのTシャツにジーンズ。
 これは私の普通の格好なんだけど……。

『髪の毛下ろしてジャージ着てないゆ~かちゃん、別人』
『髪の毛綺麗!』
『うむ、別人』
『女子高生って感じー』
『ジャージ着てて欲しかった』

 何故か巻き起こるジャージコール。
 おかしい、私の見たことある雑談配信と違う。

「初心者の服人気だね!? 雑談配信の時もあの芋ジャージを着ろと? もう洗濯機に入れちゃいました!」
『まさか1着しか持ってないわけないよね?』
「鋭い! 確かに2着持ってますけど、着ないよ、着ないから!」
『押すなよ、絶対押すなよのパターン』
『それだー』
「はいはいはい、今日は初めてなので30分くらいで終わらせようと思ってます。
 雑談配信って言っても私がしゃべりたいことってそんなにないし、このチャンネルを見てくださってるみなさんの質問に答える感じで!
 はい、おうさん早かった!」

 コントに走ってるコメント欄は一旦置いておいて今日の説明をしたんだけど、思わずネタに走っちゃったよ。

『大喜利見てる女子高生……』
『冒険者科って何勉強してるの』
『そこで木久翁師匠をセレクトするのかー』
『冒険者科ってどんな感じなのか教えて』
『なんでダン配アーカイブが6月からなの?』

 大喜利見てて悪いかー。小さい頃から大喜利好きなんだもん!
 それで、質問は冒険者科の事がやっぱり多いかな。

「冒険者科ってなんぞやという人が多いみたいなので、今日はそのこと中心に話す感じですかね。
 えーとね、まず冒険者科は1クラスしかなくて、1年生の時は共通カリキュラム、2年生になるときに専攻が分かれて選択授業が増えます。私の場合はテイマー専攻狙いで、テイマーのジョブが取れたので多分このままテイマー専攻に進めそうですね。
 特殊なのは体育の多さ! もうね、登校するときは制服なんだけど、朝活で学校の周りランニングすることになってるからすぐジャージに着替えて、それから一日中ジャージです」

『ジャージから逃げられぬ運命なのか……』

 アイター。確かにその通りだわ!

「た、確かに高校に入ってから平日は1日の2/3くらいジャージ着てることになるけど、学校のジャージは芋ジャージじゃないですから! そこそこかっこいいやつですから!」
『ゆ~かちゃん、あんまり学校ジャージの事話すと学校がばれるよ』

 コメント欄ありがとう! 危ない危ない。いや、名前は伏せてるけど顔出しして配信してるから、わかる人にはわかっちゃうんだよね。
 
「アドバイスありがとうございます! 気をつけます。
 で、専攻なんですけど、戦闘専攻、クラフト専攻、テイマー専攻があって、戦闘の中でも魔法と物理のふたつにまた分かれてます。
 授業はー、英語とか数学とかの一般科目が3.4時間で、座学のダンジョン学が週2時間。
 6時間授業の日と7時間授業の日があるんですけど、残りは体育だらけです。陸上とか球技とかする普通の体育が毎日1時間、あとの体育は、ここは自衛隊か? ってくらい走らされたり、筋トレとかストレッチとかの正しいやり方を教わったりする通称『ブートキャンプ』と、素手格闘と武器戦闘の両方を教わる戦闘授業があります。武器戦闘はそのうち選択した武器になるんだけど、今は全種類やらされてますね」

 私が一旦しゃべりを止めたら、「……」ってコメントが弾幕になった!
 えええええ、そんなに衝撃的だったの!?

『地獄か』

 的確なコメント! その言葉、学校で何度聞いたことか。

「それ、地獄! 4月に入学して、多分学校で一番聞いた単語です。私は元々いろいろスポーツやってたから体力あったけど、クラフト専攻志望の人とか死にそうになってた! 
 これが、専攻分かれてない冒険者科1年生の地獄です!」

『恐ろしや……』
『平気な顔してるゆ~かちゃんの異常性が際立つわ』

 チャリーンと響くスパチャの音が鳴り止まない。
 え? 私そんなに異常に見えるの!?
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