殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺

加藤伊織

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ハロンズ編

109 ナギ・クロヤさん

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 季節は巡り、ハロンズの俺たちの家も様変わりしてきた。
 庭の温室は取り壊してそこにコリンの工房ができたし、蜜蜂亭のスタッフもふたり増えた。俺たちのパーティーメンバーよりも蜜蜂亭スタッフの方が多くなってしまったんだけども、食費は全て蜜蜂亭の方で出してくれているので何も文句はない。
 
 マリオンを教授に紹介したときはマリオンが気絶しそうになってたけど、呪術――教授の言うところによると図形儀式魔術――の使い手は少なくてあまり情報を外に漏らしてくれないらしくて、教授からは物凄く感謝された。

 
 テント屋は思ったよりも順調だ。
 パーティーでひとつ持ち運べばいいことと、携帯性を重視して徹底的に軽量化を追求してるところが大きいのだろう。
 
 ロープなんかにも蜘蛛の糸は有用だから、ポーラさんにはそれもお願いしておいた。
 村では機織りがまだできない子供たちが、ロープ作りを担当することになったそうだ。ロープは繊維をより合わせて作るんだけど、長いものを作ろうとするとそれなりに大変なんだよな。ちなみに俺は、小学校の時に夏休みの自由工作で草の茎から採った繊維でロープを作って提出したことがある。

 糸作りの為に蜘蛛が足りなくなるレベルになってきたので、レナを連れてニルブス山へ行って蜘蛛をスカウトしてきたりした。おかげで最近村の周辺では虫が減ったそうな……。むむむ、餌問題まで出てくるのか。虫の養殖もしないといけないのかな。それは嫌だな……。
 と思いつつ大猪ビツグワイルドボアの肉をミンチにしたものを出してみたら、大きい蜘蛛はそれでも平気なようだ。これで蜘蛛関係の問題は概ね解決。
 俺がいなくなっても、普通の肉である程度対応可能なら、肉を買って餌として与えることもできるし。
 今のところ、市場価値では蜘蛛の糸で織った布の方が圧倒的に高いのだから。

 村自体もスティレア織りに出資する教授の采配で拡張が進んでいて、初めて来たときとは本当に様変わりした。今年生えたスティレアから種を取って、来年は大々的に広げた畑での栽培をするそうだ。

 
 ハロンズの冒険者ギルドに出店しているテント屋の方もたまに覗きに行くんだけど、こちらの方がテントの評価は高いみたいだ。
 増産のことを考えて、ファーブ鉱山のことを管理している鍛冶ギルドにミスリルの供給について尋ねてみたら、以前より供給量は若干増えているらしい。よかったー。
 親方たちにコリンは元気にやってますという話と、ミスリルを骨組みに使ってテントを作りましたという話をしたら、テントに使ったということで大笑いされた。

「そんなことにミスリル使うのはおまえさんくらいだよ」
「そうかもしれません……でも俺の発案じゃないんです」

 何回目かわからない言い訳をここでも繰り返す。
 そして、冒険者ギルドではひとつ心配な話を聞いた。

 大規模討伐よりも前に依頼に出発したアーノルドさんたちのパーティーだが、調査任務であることを踏まえた上でも帰還が予定より遅れているらしい。
 大規模討伐が2ヶ月前の話だから、かなり心配だな……。難しいのが、うかつに捜索に出られないところ。

 対魔物として考えたらハロンズにはアーノルドさんたち以上のパーティーはいないわけだし、彼らが太刀打ちできない魔物というのは本当に限られてくる。それこそヒュドラとか古代竜は危ないそうだけど、ヒュドラは水棲だし古代竜はマーテナ山にしか生息していない。
 単純に天候とかの関係で進行が遅れて未だに帰還していないのか、何かしらの危機に遭遇したのかわからない。

 エリクさんは以前に比べてやつれた顔でそう言っていた。――エリクさんがやつれたのは、デュークさんが帰ってきたこととか、レベッカさんの料理が食べられなくなったからとか、いろいろあるらしい。

 蜜蜂亭の味が落ちたわけではないんだけど、レベッカさんの観察力は凄くて、疲れてそうだと思ったら胃に優しいものを出してくれたりとか対応が神懸かっていたそうだ。
 さすがレベッカさん……。


 季節は冬である。
 ということは、真牡蠣が採れる季節でもある!
 夏に買い込んだ岩牡蠣は食べ放題に使うのは難しかったけど、レベッカさんが「冬までとっておいて!」と鼻息荒く言っていたので温存しておいた。
 真牡蠣が入荷できるようになったこの季節に、空間魔法のおかげで鮮度を保ったままの岩牡蠣と真牡蠣をセットにして「牡蠣食べ比べセット」を出すそうだ。
 抜け目ないな!!

「そういえばレベッカさん、エリクさんがやつれてました。レベッカさんの作るご飯が恋しいらしいですよ」

 仕入れてきた真牡蠣を出しながら何気ない世間話のつもりでレベッカさんにそう言うと、レベッカさんは苦笑していた。

「もー、エリクったらやっぱり私がいないと駄目なのかしら。離婚してからも食事はいっつも蜜蜂亭だったのよ」
「……………………え?」

 離婚してから……?

「誰と、誰が離婚したんですか?」
「私とエリクよ」
「ええええええええええええ!! エリクさん結婚してるって聞きましたけど、相手はレベッカさんだったんですか!?」

 初耳だ!!
 というか、誰もそんなこと言ってなかった!! エリクさんですらも!

「結婚歴がある、が正しいわね。エリクも私も今は独身。結婚してたのもたったの3ヶ月くらいよ。あの頃は若かったわー。もう15年くらい前かしら」

 遠い目で過去に思いを馳せるレベッカさん……。
 そ、そうか、エリクさんとレベッカさん、情報が通じ合ってるし仲は良いんだなって思ってたけど、元夫婦だったのか。
 そう考えると、蜜蜂亭がギルドの側にあることだとか、俺の情報がレベッカさんに異様に早く伝わってたこととか納得できる。
 犯人はエリクさんだったのか!

「離婚したという割には、仲がいいですよね」
「嫌いあって離婚したわけじゃないの。お互いに一緒に暮らすのに向いてなかったってことなのよ。まあ、そのくらいで理解してもらえると助かるわ」
「はあ……」

 いろいろあるんだなあ……。
 それに、結婚したのが15年くらい前で3ヶ月しか結婚生活が続かなかったのなら、レヴィさんたちは知らなかった可能性は高い。クエリーさんは間違いなく知ってただろうけど、別に敢えて人に言うことじゃないしな……。
 
「さてと、今日からはこの牡蠣食べ比べセットで一儲けするわよー! 今の時期に新鮮な岩牡蠣が食べられるのなんてここだけだもの!」

 レベッカさんは実に生き生きとしている。
 確かに夏に採れる牡蠣と冬に採れる牡蠣の食べ比べセットっていいアイディアだよな。もしかすると俺の空間魔法を俺より使いこなしてるのはレベッカさんかもしれない。

 牡蠣食べ比べセットは大々的に宣伝していたので、蜜蜂亭は満員御礼だった。その中にはハロンズで同じ家に住む俺たちまでいるんだけども。たまにはお店で好きな物を注文して食べるのもいいよね、と食べに来たのだ。

「今まで気にして食べたことないですけど、並べてみると違いますね」

 2個ずつの真牡蠣と岩牡蠣が並んだセットを前に、サーシャがしきりに感心している。
 俺も同意。俺の家なんかはやっぱり牡蠣は冬ってイメージが強かった。

 ケルボ産の岩牡蠣は、見るからに真牡蠣よりも大きくてふっくらしている。
 真牡蠣は北東街道沿いに有名な産地があってそこから仕入れたものなんだけども、小ぶりながらも味は濃厚で食べればなるほどと言える違いがある。

 最初はお客さんの中にも「こんな時期に岩牡蠣が出るのはおかしい。小さい牡蠣を真牡蠣、大きい牡蠣を岩牡蠣と言って騙してるんじゃないのか」って難癖を付けてくる人がいたんだけど、レベッカさんの自信満々な「食べればわかりますよ」の一言で押さえ込まれていた。逆に、「これで違いがわからなかったらあなたの舌は馬鹿舌ですね」って言われてるようなもんだしな……。

 それでも信じないようなら、空間魔法使いの俺が保管してましたって名乗り出るつもりだ。そのつもりでお店で食べていたっていうのもあるんだけど……。

 店の様子をそれとなく窺っていたら、俺は思いっきり怪しい人を見つけてしまった。

 長い黒髪に黒いドレスの年配の女性。ちょっと場違いな感じすらある。
 俺は思わず立ち上がり、その女性のテーブルへと歩いて行った。

「こんなところで何をしてるんですか、テトゥーコ様……」

 どう見たってテトゥーコ様だよ……。
 その女性は牡蠣をちゅるんと食べて白ワインをくいと飲むと、ワイングラスをテーブルに置いて慌てた様子もなく俺を見上げた。

「何のことかしら? 私の名前はナギよ」
「ナギさん……ナギ、ナギナギ……ナギ・クロヤさん?」
「アラ、よくお分かりね」
「隠す気ないですよね?」
「女神様がホイホイこちらに来られるわけないでしょう?」

 テトゥーコ様――いや、ナギさんはそう言って俺に微笑みかけた。
 突然知らない人のテーブルに行った俺を、サーシャやレヴィさんは「何だ?」という顔で見ているけどここで教えるわけにはいかない。サーシャに知られたら大騒ぎになる。
 
「ああ、そういうことなんですね……。ちなみにお伺いしたいんですが、神様の加護って本人が頑張れば受けられるものなんでしょうか」

 俺は気になっていたことをナギさんに尋ねてみた。これは空間魔法講習会の時から「神様に直接確認できたらなー」って思っていたことなのだ。
 加護を受けてる者同士が一緒にいて2048倍の経験値が入るというのはめちゃくちゃ大きい。
 それを意図的に獲得できれば、空間魔法使いにとっては習熟への最短距離なのだから。
 
「もちろん、その神の教えに沿って努力をしていれば必ず目に止まる……はずでしょうね」
「ありがとうございます。ちなみにリンゼイ・レッドモンド教授は加護を受けてますか?」
「ああ、あの面白い子。受けてる……と思うわよ。予想ですけど」

 わざと語尾を濁してるのは「私は女神テトゥーコではないわよ」アピールなんだろうけども、あんまり意味が無いな。
 教授はテトゥーコ神殿の養護院で育ったんだしあの性格だから、小さい頃から加護を受けてた可能性はあるんじゃないかと俺は睨んでいたのだ。

「ナギさんはどうしてこちらへ?」
「牡蠣を食べに来ました。食べ比べセット、これはとてもいいわね」

 またもやちゅるん、と牡蠣を食べるナギさん。これは……本当に牡蠣を食べに来たのか。
 俺の前で牡蠣を食べきり、グラスのワインを飲み干すと、ナギさんは白いハンカチで軽く口を拭った。そしてテーブルの上に代金を置いて立ち上がる。

「そうそう、ジョーさん、アナタにひとつだけ警告があります。――アナタが見てきたものが、そのものの真実の姿とは限らないの。信じているものを疑い、警戒しなさい」
「えっ?」

 あまりにも不穏なその言葉に俺は固まってしまった。俺を振り返ることなく、ナギさんは店を出て行く。

「待って――待ってください! ナギさん! 今のはどういうことなんですか!」

 慌てて彼女を追って店を飛び出しかけたけども、外を見たら既にナギさんの姿は消えていた。
 思いっきり俺のことをジョーさんって言ったよ……テトゥーコ様は、もしかして俺に警告を与えるためにここへ来たのか?

「ジョーさん! どうしたんですか?」

 俺の様子がおかしいことに気付いて、サーシャが席を立って俺の元へやってきた。
 無言でサーシャの手を取って一度外へ出る。周りに人がたくさんいる場所でできる話ではなかった。

「大声を出さないで聞いて欲しいんだけど。今俺と話してた女の人が、テトゥーコ様」
「っ!」

 サーシャは口を両手で押さえ、息を飲み込んでいた。

「うん、そのまま黙ってて。牡蠣を食べに来たって言ってたけど、俺に警告をしていったんだ。俺が見てきたものが真実の姿とは限らない、信じているものを疑って警戒しなさい、って」
「どういう……ことでしょうか」
「わからない。でも、ひとつだけ言えるのは俺が信じているけど疑わなきゃいけない相手に、サーシャは含まれないよ。サーシャはテトゥーコ様の聖女だから」
「あ……そうですね。それは、よかったですけど……なんだか不安です」

 小さく震えるサーシャの肩を無言で抱き寄せる。

 俺が信じているもの?
 逆に、俺は誰かを疑っていたりしない。俺の身近にいる人みんなを信じている。
 ――それはつまり、俺が警戒しなければいけない相手はあまりにも多いと言うこと。


 ナギ・クロヤさんが残した言葉は、俺の心を大きく波立たせていた。
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