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ハロンズ編
94 下準備と言う名の精神的拷問
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レッドモンド教授とルイをパーティーに加えるに当たって、俺にはやらなければならないことがひとつある。
サーシャの代わりに人身御供……それはちょっと違うか、でも教授の好奇心の餌食にならなけれなばならないということ。
俺たちはいつでも依頼を受けられる状況だけども、教授の方のスケジュールがわからない。「教授」っていうくらいなのだから国立大学院で教えてもいるんだろうし、「いつでもいいよ~」とは言っていたけど実際はそうではないだろう。
教授とルイが来た翌日、俺は早速道路を挟んで斜め向かいにある区画に向かった。
……行ったはいいけど、それ以上細かい番地を聞き忘れていて若干途方に暮れる。こっちの世界では家の表札出てないからなあ。
通りかかった人に「レッドモンド教授の家はどちらかご存じですか」と聞いてみたら、親切に案内してもらえた。ラッキー! どうも商人の配達のようだったので、ついでにお店と住所も聞いておく。何かあったら行くことにしよう。
案内された家は、俺たちが住んでいる家よりいくらか装飾が少なくて、白と青を基調にしたすっきりとした外観をしていた。
思い切ってドアにあるノッカーを叩くと、中から「はーい」というルイの声が聞こえた。
「ハイハイ……って、ジョーじゃねえか。どうした?」
「こんにちは。以前教会で会った時に教授がサーシャにどうやって聖女になったか聞きたいって言ってたから、サーシャが怯えちゃっててね。昨日依頼に付き合ってくれるという話があっただろう? その前に教授の好奇心を満足させないと駄目かなあって。サーシャにとっては恥ずかしい話らしくて、凄く嫌がってるんだよね」
「あー、そういう……。あの後『そういう個人的なことに踏み込むんじゃねえ』って叱っておいたんだけどよ、あの人そういう人間味のあることが下手くそなんだよな」
人間味のあることが下手くそ……言い得て妙だなあ。
確かに、デリカシーもあるように見えないし、俺から見ると素晴らしい常識人のルイがよく一緒にいられるなと思ってしまう。
「ルイ、胃が痛くなることない?」
「たまーにな……。まあ、だいたい慣れたしあれを御せるのは俺くらいだと思ってるから」
「偉いね……まだ15なのに」
「苦労してるのはお互い様だろ。生まれ育ったのと別の世界に突然飛ばされるなんて、想像も付かねえぞ。言葉通じてるみたいだからいいけどよー」
「それが、地方で訛りが強いところだと普通に何言ってるかわからなくてさ……もしかしたら同じ言葉喋ってるんじゃ? って疑問に思ってるんだよね」
「マジか。あ、中入れよ。教授はなんかやってるけどジョーが来たって言ったら吹っ飛んでくると思うからさ」
「それじゃあ、おじゃまします」
俺は家の中に招き入れられ、応接間に案内された。室内の装飾も涼しげで品がある。この家、ルイがひとりで掃除してるんだよな? 過労で倒れないかな……。
そのルイはてきぱきとお茶を淹れてくれて、その後で教授を呼びに行ってくれた。
「やあ、こんにちは、ジョーくん。今日はどうしたんだい?」
「急にすみません。お忙しくなかったですか?」
教授は笑顔で応接室へやってきた。その後にルイも続いて入ってきて、教授の隣に座る。うん、いつでも教授を止められるようにってことなんだな。
「この前コリンくんが作ったハンドミキサーの歯車を参考に、もっと細かい機構を作れないか考えていたところだったよ。ジョーくんのいた世界ではどういうものがあったんだい?」
「えっ、歯車ですか? えー、時計とか……ああ、教会にあるような大きい時計じゃなくて、腕にベルトで付けられる小さい時計ですね。後はなんだろうなあ。ええと、歯車じゃないですが水車の水の代わりに石炭を燃やして水を沸騰させて水蒸気にして、その力を動力源にした乗り物とかがありましたよ」
「詳しく!!」
「えええー、俺も蒸気機関って言葉は知ってても仕組みまでは詳しく知らなくて! すみません! 無学で!」
「いや、すまなかったね。確かに、その世界にあったからといって全ての仕組みを知っているわけではないだろうね。僕だってこの世界のものや成り立ちの仕組みをよく知っているとは言い難いのだから」
「……そんな教授に、テトゥーコ様にお会いした時のことをお話ししようと思って来ました」
「女神テトゥーコに会った!?」
「はい、座れ座れ。座らねえとジョーが続きを話さないぞ」
ガタッと立ち上がった教授をルイが慣れた様子で着席させる。なんだかなあ。
ソファに座りはしたものの、教授は前のめりで、小さい子供のように笑顔で目を輝かせて俺を見つめている。相変わらず圧が強いな……。
「テトゥーコ様には2回お会いしています。一度目は元の世界で俺がトラック――ええと、荷物を運んだりする大きな乗り物に撥ねられた時で……」
俺はそれからしばらく、異世界転移をすることになった経緯と、女神テトゥーコについてと、ヘイズさんの刺客によって一度死んだ時の話をした。
「ほう……つまり、突然殺された君を生き返らせるために聖女が女神に請願をして、それを聞き届けられる代わりに聖女の役割を負ったということか。ふーむ、興味深いね。僕は今まで聖女というものは神から力を授かった特権的なものかと思っていたが、実際は逆なわけだ。聖女として成すべき何らかの責務があるんだね」
「どうもそうらしいですよ。あと、神様は何か当番制の仕事があるみたいです。あと3時間ずれてたらタ・モーリ様がいたらしくて」
「当番制!」
ルイが飲みかけていた紅茶を噴いた。少しだったからそんなに飛び散らなかったけど、慌ててハンカチで口元やテーブルを拭いている。
うん、気持ちはわかるよ……。俺も「まさかのシフト制」って思ったもんな。
「まず神々が実在していて、それぞれ交流があるというのが興味深いね!」
「えっ……上位聖魔法が使えるプリーストなのに実在を信じてなかったんですか?」
「実在していようといなかろうと、『何か』に祈ることはできるよ。聖魔法を研究すればそれが古代の言葉だということはすぐにわかるし、人知を超えた『何か』があるというのも理屈ではわかった。根本的に聖魔法は信仰心がないと使えないから、神――もしくはそれに類するものを僕が一片たりとも信じていなかったら聖魔法は使えていないよ」
「信仰心な……教授にあるのかどうかよくわからねえけどなー」
ルイが半眼で紅茶を飲んでいる。俺も激しく同意だ。あまりこの人は神への敬意とかがありそうには見えない。
「むむっ、君たちは僕の信仰心を信じてないね? 少なくとも女神テトゥーコに関してだけ言えば、僕は多大なる感謝の念と敬意を持っているよ。テトゥーコ神殿の養護院で育ったのだし、神殿の図書館で無料で貴重な書物が読めるからこそ勉強できたのだしね。大恩ある母といっても過言ではないとも」
「……ああ、なるほど、テトゥーコ様『だけ』ならですか」
「現金すぎねえか」
「だって他の神は僕の人生に関係なかったからね。ムササビ捕獲とかちょっと興味はあったけども」
なるほど。思考回路がふわふわしてるようで、一部徹底的にリアリストなんだな、この人は。俺から見ると多面性があるように見える。人間味のあることが下手くそという割りにルイを父親に認知させたりとか。
「というわけで、俺が知ってる限りの神様についてのことと、サーシャがどうやって聖女になったかをお話ししたんですが、教授の好奇心は満足したでしょうか」
「いや、全然」
「ですよね! 聞いた俺が馬鹿でした!」
「待てよジョー、そこで諦めると際限なく付き合わされるぞ?」
「恐ろしいな、それ! えーと、それではひとつだけお願いがあるんですが、聖女に関してサーシャに質問責めをすることはしないでもらえませんか?」
これは俺の最大限の譲歩であり、今日ここに来た真の目的だ。これを嫌だと言われたら、教授が納得するまで話さないといけない。
「ふむ」
教授は長い脚を組んで優雅に紅茶を飲んだ。こういう仕草は凄く優雅なのに、中身は変人なんだもんなあ。
「わかった。聖女サーシャに聖女の役割などに関することはもう聞かないよ。おそらく彼女自身何をするべきかわかっていないだろうし、今の君の話でそれは請願と引き換えの責務だとわかったからね。今はそれでよしとしよう。――でも、君にはもっと話を聞かせてもらいたいな! 元の世界のこととか、大変興味があるよ!! もっといろいろ話したいね!」
案外あっさりと教授は了承してくれた。でも、俺に対する好奇心が剥き出しだ!
「えー……」
「今日のところはその辺にしとけよ。ジョーが参ってんだろ」
「あっ、そうだ! 教授、俺にルイのことを話してくれませんか!?」
「いいとも! 何から話そうか。初めて会った時の4歳3ヶ月のルイくんのことがいいかな。それとも5歳7ヶ月の時にお漏らしして……」
「やめろ! 月齢まで言うの本当に変態だぞあんた!!」
スパーンととてもいい音を立てて、ルイが教授の頭をはたいた。
「口も手も乱暴だけど、根は優しいいい子なんだよ」
「それはわかります……わかります」
「やめろおまえら! 俺のことを生温かい目で見るな!」
「ルイは苦労してるから素直になれないときがあるだけなんだね」
「そうそう、ウォルトン伯爵に衣食住の保証を約束させた時も頑なに固持しててねえ。僕はただ、兄弟同然のルイくんに苦労をさせまいとしただけなんだけど」
「だったらまずてめえが自重しろ! いろいろと!」
最後の方はルイも悲鳴になっていた。
苦労か……。ルイに苦労させてる張本人が別方向に気を回して「苦労をさせまいと」したんだなあ……。
ルイの将来が大変そうだけど、ご近所だし生温かく見守ろう。
ちなみに、教授は名義上教授職だけどあのトンデモ理論で魔法を習得できる人が少なすぎて実際に教鞭は執っておらず、研究職なので依頼はいつでも大丈夫だそうだ。
よかったよかった。
サーシャの代わりに人身御供……それはちょっと違うか、でも教授の好奇心の餌食にならなけれなばならないということ。
俺たちはいつでも依頼を受けられる状況だけども、教授の方のスケジュールがわからない。「教授」っていうくらいなのだから国立大学院で教えてもいるんだろうし、「いつでもいいよ~」とは言っていたけど実際はそうではないだろう。
教授とルイが来た翌日、俺は早速道路を挟んで斜め向かいにある区画に向かった。
……行ったはいいけど、それ以上細かい番地を聞き忘れていて若干途方に暮れる。こっちの世界では家の表札出てないからなあ。
通りかかった人に「レッドモンド教授の家はどちらかご存じですか」と聞いてみたら、親切に案内してもらえた。ラッキー! どうも商人の配達のようだったので、ついでにお店と住所も聞いておく。何かあったら行くことにしよう。
案内された家は、俺たちが住んでいる家よりいくらか装飾が少なくて、白と青を基調にしたすっきりとした外観をしていた。
思い切ってドアにあるノッカーを叩くと、中から「はーい」というルイの声が聞こえた。
「ハイハイ……って、ジョーじゃねえか。どうした?」
「こんにちは。以前教会で会った時に教授がサーシャにどうやって聖女になったか聞きたいって言ってたから、サーシャが怯えちゃっててね。昨日依頼に付き合ってくれるという話があっただろう? その前に教授の好奇心を満足させないと駄目かなあって。サーシャにとっては恥ずかしい話らしくて、凄く嫌がってるんだよね」
「あー、そういう……。あの後『そういう個人的なことに踏み込むんじゃねえ』って叱っておいたんだけどよ、あの人そういう人間味のあることが下手くそなんだよな」
人間味のあることが下手くそ……言い得て妙だなあ。
確かに、デリカシーもあるように見えないし、俺から見ると素晴らしい常識人のルイがよく一緒にいられるなと思ってしまう。
「ルイ、胃が痛くなることない?」
「たまーにな……。まあ、だいたい慣れたしあれを御せるのは俺くらいだと思ってるから」
「偉いね……まだ15なのに」
「苦労してるのはお互い様だろ。生まれ育ったのと別の世界に突然飛ばされるなんて、想像も付かねえぞ。言葉通じてるみたいだからいいけどよー」
「それが、地方で訛りが強いところだと普通に何言ってるかわからなくてさ……もしかしたら同じ言葉喋ってるんじゃ? って疑問に思ってるんだよね」
「マジか。あ、中入れよ。教授はなんかやってるけどジョーが来たって言ったら吹っ飛んでくると思うからさ」
「それじゃあ、おじゃまします」
俺は家の中に招き入れられ、応接間に案内された。室内の装飾も涼しげで品がある。この家、ルイがひとりで掃除してるんだよな? 過労で倒れないかな……。
そのルイはてきぱきとお茶を淹れてくれて、その後で教授を呼びに行ってくれた。
「やあ、こんにちは、ジョーくん。今日はどうしたんだい?」
「急にすみません。お忙しくなかったですか?」
教授は笑顔で応接室へやってきた。その後にルイも続いて入ってきて、教授の隣に座る。うん、いつでも教授を止められるようにってことなんだな。
「この前コリンくんが作ったハンドミキサーの歯車を参考に、もっと細かい機構を作れないか考えていたところだったよ。ジョーくんのいた世界ではどういうものがあったんだい?」
「えっ、歯車ですか? えー、時計とか……ああ、教会にあるような大きい時計じゃなくて、腕にベルトで付けられる小さい時計ですね。後はなんだろうなあ。ええと、歯車じゃないですが水車の水の代わりに石炭を燃やして水を沸騰させて水蒸気にして、その力を動力源にした乗り物とかがありましたよ」
「詳しく!!」
「えええー、俺も蒸気機関って言葉は知ってても仕組みまでは詳しく知らなくて! すみません! 無学で!」
「いや、すまなかったね。確かに、その世界にあったからといって全ての仕組みを知っているわけではないだろうね。僕だってこの世界のものや成り立ちの仕組みをよく知っているとは言い難いのだから」
「……そんな教授に、テトゥーコ様にお会いした時のことをお話ししようと思って来ました」
「女神テトゥーコに会った!?」
「はい、座れ座れ。座らねえとジョーが続きを話さないぞ」
ガタッと立ち上がった教授をルイが慣れた様子で着席させる。なんだかなあ。
ソファに座りはしたものの、教授は前のめりで、小さい子供のように笑顔で目を輝かせて俺を見つめている。相変わらず圧が強いな……。
「テトゥーコ様には2回お会いしています。一度目は元の世界で俺がトラック――ええと、荷物を運んだりする大きな乗り物に撥ねられた時で……」
俺はそれからしばらく、異世界転移をすることになった経緯と、女神テトゥーコについてと、ヘイズさんの刺客によって一度死んだ時の話をした。
「ほう……つまり、突然殺された君を生き返らせるために聖女が女神に請願をして、それを聞き届けられる代わりに聖女の役割を負ったということか。ふーむ、興味深いね。僕は今まで聖女というものは神から力を授かった特権的なものかと思っていたが、実際は逆なわけだ。聖女として成すべき何らかの責務があるんだね」
「どうもそうらしいですよ。あと、神様は何か当番制の仕事があるみたいです。あと3時間ずれてたらタ・モーリ様がいたらしくて」
「当番制!」
ルイが飲みかけていた紅茶を噴いた。少しだったからそんなに飛び散らなかったけど、慌ててハンカチで口元やテーブルを拭いている。
うん、気持ちはわかるよ……。俺も「まさかのシフト制」って思ったもんな。
「まず神々が実在していて、それぞれ交流があるというのが興味深いね!」
「えっ……上位聖魔法が使えるプリーストなのに実在を信じてなかったんですか?」
「実在していようといなかろうと、『何か』に祈ることはできるよ。聖魔法を研究すればそれが古代の言葉だということはすぐにわかるし、人知を超えた『何か』があるというのも理屈ではわかった。根本的に聖魔法は信仰心がないと使えないから、神――もしくはそれに類するものを僕が一片たりとも信じていなかったら聖魔法は使えていないよ」
「信仰心な……教授にあるのかどうかよくわからねえけどなー」
ルイが半眼で紅茶を飲んでいる。俺も激しく同意だ。あまりこの人は神への敬意とかがありそうには見えない。
「むむっ、君たちは僕の信仰心を信じてないね? 少なくとも女神テトゥーコに関してだけ言えば、僕は多大なる感謝の念と敬意を持っているよ。テトゥーコ神殿の養護院で育ったのだし、神殿の図書館で無料で貴重な書物が読めるからこそ勉強できたのだしね。大恩ある母といっても過言ではないとも」
「……ああ、なるほど、テトゥーコ様『だけ』ならですか」
「現金すぎねえか」
「だって他の神は僕の人生に関係なかったからね。ムササビ捕獲とかちょっと興味はあったけども」
なるほど。思考回路がふわふわしてるようで、一部徹底的にリアリストなんだな、この人は。俺から見ると多面性があるように見える。人間味のあることが下手くそという割りにルイを父親に認知させたりとか。
「というわけで、俺が知ってる限りの神様についてのことと、サーシャがどうやって聖女になったかをお話ししたんですが、教授の好奇心は満足したでしょうか」
「いや、全然」
「ですよね! 聞いた俺が馬鹿でした!」
「待てよジョー、そこで諦めると際限なく付き合わされるぞ?」
「恐ろしいな、それ! えーと、それではひとつだけお願いがあるんですが、聖女に関してサーシャに質問責めをすることはしないでもらえませんか?」
これは俺の最大限の譲歩であり、今日ここに来た真の目的だ。これを嫌だと言われたら、教授が納得するまで話さないといけない。
「ふむ」
教授は長い脚を組んで優雅に紅茶を飲んだ。こういう仕草は凄く優雅なのに、中身は変人なんだもんなあ。
「わかった。聖女サーシャに聖女の役割などに関することはもう聞かないよ。おそらく彼女自身何をするべきかわかっていないだろうし、今の君の話でそれは請願と引き換えの責務だとわかったからね。今はそれでよしとしよう。――でも、君にはもっと話を聞かせてもらいたいな! 元の世界のこととか、大変興味があるよ!! もっといろいろ話したいね!」
案外あっさりと教授は了承してくれた。でも、俺に対する好奇心が剥き出しだ!
「えー……」
「今日のところはその辺にしとけよ。ジョーが参ってんだろ」
「あっ、そうだ! 教授、俺にルイのことを話してくれませんか!?」
「いいとも! 何から話そうか。初めて会った時の4歳3ヶ月のルイくんのことがいいかな。それとも5歳7ヶ月の時にお漏らしして……」
「やめろ! 月齢まで言うの本当に変態だぞあんた!!」
スパーンととてもいい音を立てて、ルイが教授の頭をはたいた。
「口も手も乱暴だけど、根は優しいいい子なんだよ」
「それはわかります……わかります」
「やめろおまえら! 俺のことを生温かい目で見るな!」
「ルイは苦労してるから素直になれないときがあるだけなんだね」
「そうそう、ウォルトン伯爵に衣食住の保証を約束させた時も頑なに固持しててねえ。僕はただ、兄弟同然のルイくんに苦労をさせまいとしただけなんだけど」
「だったらまずてめえが自重しろ! いろいろと!」
最後の方はルイも悲鳴になっていた。
苦労か……。ルイに苦労させてる張本人が別方向に気を回して「苦労をさせまいと」したんだなあ……。
ルイの将来が大変そうだけど、ご近所だし生温かく見守ろう。
ちなみに、教授は名義上教授職だけどあのトンデモ理論で魔法を習得できる人が少なすぎて実際に教鞭は執っておらず、研究職なので依頼はいつでも大丈夫だそうだ。
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