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ハロンズ編
90 オールマン食堂経営再建計画・店頭試食
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俺の秘策!
元の世界にあってこの世界にないもの!
それは、「試食販売」だ!!
――という訳で、折りたたみコンロをコリンに作ってもらい、店頭でブリ照りを直接作って試食してもらうことにした。
その準備期間にオールマン食堂の人たちに料理を覚えてもらう。こちらも評価は上々だったらしく、早くお店に出したいと楽しみにしてもらえた。
食べさせるには熱々だと大変だから、あらかじめ焼いて冷まし、適度な大きさに切ったものを大量に用意しておく。
ブリの仕入れとかもしたけど、掛かった経費は後でオールマン商会から分割で支払われることになっている。書面も作った。今後ベーコン工房をこちらでも立ち上げたら、その利益も入るだろうから返済は簡単なはず。
オールマン食堂1号店の前に折りたたみコンロを出した時には、周囲の人は「なんだなんだ」という顔をしていた。
そこで火を熾し、フライパンでブリを焼き始めた時にはちょっと人だかりができはじめていた。ちなみに、調理はアンナさんで助手がサイモンさんだ。
ブリが焼けたところにたれを入れると、ジュワッという音と共に醤油の香りが立ち上る。
これが、試食の狙い!
いい匂いがしたら食べたくなるのが人情! 俺も子供の頃はスーパーでよくステーキとかに引っかかってた。ステーキ以外だと煮豚もよかった! そうだ、煮物って文化があまりないから、今度煮物も作ろう。
「さあさあ、新メニューの『ブリテリ』やで! 気になったら食べてってえな! こっちは焼きたてやから、こっちのほどほど~に冷めたやつをな!」
白い皿にブリ照りを載せて、このために用意した楊枝を刺したものをサイモンさんが道行く人に差し出してみせる。
「えっ? これ、食うていいん?」
「ええで! 今日は大盤振る舞いや! まず食べてみて、気に入ったら今度店で食べてや!」
その一言で、我も我もと人々が試食に手を伸ばす。
ついでに俺も紛れてブリ照りを取った。
「わー、うまいなあ! これならなんぼでも食いたいわー! でも、オールマン食堂いうたら、あれやろ? 蕎麦粉の麺。このブリ照りひとつだけ増えてもなあ~」
大声でアンナさんに問いかける俺。つまりはサクラ。
「それがちゃうんや! オールマン食堂のメニューは今日から一新やねん! この『ブリテリ』以外にも新作メニューがぎょうさんあるで!」
「ほんま~? 例えばどういうものがあるん?」
「まずこのブリテリやろ? 変わった味がせえへんかった? これはな、醤油っていう遥か東のパーグから取り寄せた調味料を使うてるのよ」
「へえ、えらい香ばしくて食欲をそそる香りやな!」
「せやろ? その醤油を使った新メニューが目白押しや! 生のアジをハーブと一緒に叩いて醤油を入れた『なめろう』はエールがぐいぐい進むの間違いなしや!」
「うっまそうやなあ! でも俺酒は飲めんから、他にはどんなんがあるん?」
「この脂ののったブリを醤油で食べるのもひと味違って格別なんよ! それに、醤油を使って下味を付けてから粉を付けて油で揚げた『ブリタツタ』は刻んだキャベツと一緒にパンに挟んで食べても最高やで!」
「聞いてるだけでよだれが出てきたわ! でも遥か遠くから取り寄せた材料使こうたらお高いんじゃ?」
「変わらん変わらん! 調味料はあくまで調味料! この新鮮な魚介類があってこその味やからね! なんと、空間魔法使いに北のフォーレからガッツリ仕入れてもらったんや! 鮮度も味も太鼓判押すで!」
「あかん! 我慢できへん! それなら食べてくわ!」
俺が店に入ると、「お一人様ご案内~!」「いらっしゃいませ~!」と店員の声が湧き上がる。これも演出。レベッカさんに相談したら、席数を把握する効果と、外に聞こえることで「この店繁盛してる」と見せる効果が期待できるらしい。
その後も俺は入り口近くの席でいくつか適当に注文して、「んまっ!」と言いながら食事を楽しんだ。いや、本当に美味しかった。俺から教わったレシピを元に、2号店から5号店の店長が改良を加えたらしい。
くーっ、白いご飯が食べたくなるなあ。
俺が注文したものを待ってる間にも、恐る恐るといった感じながらも人がどんどん入ってくる。あっという間に店はいっぱいになったけども、それを見越して作り置きをしておいたからお客さんが料理を待つということはなかった。
そして、オーサカの人は基本的にノリがいい。
俺が「んまっ!」と叫んでいれば、同じように叫んでくれる。
その声と、外でやっている店頭試食に釣られてまた人が入ってくる。
食べ終わって支払いをしてから、俺は店を出て「うまかったで!」と声を掛け、隣の路地を入っていった。
もちろん、そこからオールマン食堂の裏手に入るのだ。今度は厨房側へ回って、作り置きしておいた料理をどんどん注文に応じて魔法収納空間から出す係。
「ジョーはん、えろうおおきに!」
「こんなに注文でてんてこ舞いになるのは久々や!」
お店の従業員さんたちが笑顔で俺にお礼を言ってくれる。
「いえ、今日だけ儲かっても仕方ないんで、これから客足を途絶えさせないようにするのはみなさんのお力でしかできないことなんで。頑張ってください!」
「めっちゃ手応え感じますわ。自分が宝の持ち腐れにした醤油でジョーはんには助けてもろて……」
店の会計に徹することになった店長が、賑わう店内を見て涙ぐむ。
「いえいえ、いいんですよ、これ以上パーグ料理を貶めないでもらえれば。それと、早くサイモンさんを解放してもらってうちでパーティーに加わって欲しいですし」
「さらっとキツいこと言いはったな……」
だって本当のことだし。
途中で作り置きが心許なくなってきたので、厨房もガンガン回す。店員さんは接客に回ってもらって、俺は厨房の手伝い。実質オープン日だから、今日の売り上げが今後を占うことになる。気は抜けない。
俺は揚げ物係を受け持って、ひたすらブリタツタを揚げる。
ブリタツタはたれに漬け込んで味が濃いめな分、千切りキャベツと一緒にサンドイッチになってるのが本当に美味しい。揚げ物をパンに挟むという発想がなかったらしくて、揚げたてサクサクを食べた時にレベッカさんとアンナさんが絶賛してた。
うーん、せっかくだから、アジもフライにしてタルタルソースで食べたいな。
こっちにピクルスは存在してるんだけどマヨネーズがない。
マヨの作り方……知識チートの基本だけどどうだったかな……。卵と酢と油を使うことはわかるんだけど、分量とかそれ以上のことがわからない。
異世界に転移することになるなんてわかってたら絶対覚えておいたんだけど。味噌の造り方とかも。
「このメニュー作ったのジョーはんなんやて? 若いのに凄いなあ。やっぱりドーイのプリーストなん?」
ブリ照りを焼きながら厨房担当の人が尋ねてきた。俺は黄金色に揚がったブリタツタを網で上げながら「いえ」と答えた。
「俺は空間魔法使いです。というかですね、大袈裟に取らないで欲しいんですが、別の世界で生まれて、数ヶ月前に事故でこっちの世界で生きることになっちゃって。俺が作ったのはその世界で食べてた料理なんですよ。あ、空間魔法もその時にテトゥーコ様からいただきました」
「えええええええ、いや、驚くわ、そんなん」
「驚きますよね、やっぱり……。まあ、いきなり家族と離ればなれになったとかいろいろあるんですけど、俺はこっちでいい人たちに出会って幸せにやってるので、そこのところだけは『可哀想に』とか思わないで欲しいんですよ」
「いやいや、そんな無体な……。その若さでそんなことになったら大変やったろ。まあええわ、ジョーはんが今幸せというなら自分が言うことはなんもありまへん。確実に言えるのは、その料理でオールマン食堂が助かってるってことだけですわ」
「頑張ってください! そしてサイモンさんを早くハロンズへ寄越してください!」
「ははは、坊は経営者でも料理人でもなく冒険者やからなあ。早くそうしてやりたいわ」
そんなことをいって笑っているけど、この人も別にサイモンさんと大して年齢が変わらないように見える。そして話を聞いていたらドーイのプリーストだった。
あれかな、食品衛生責任者みたいな感覚で一店舗にひとりいるのかな、プリースト。
俺が知らないだけで、宿屋にもいたのかもしれない。
ちなみに、何故か俺の父も食品衛生責任者の資格を持ってた。ただの趣味だと思うけど。
その日は昼を少し回った当たりで「売り切れ御礼」という張り紙を出して店は営業終了にした。
これはアンナさんとレベッカさんで立てた作戦らしい。朝から賑わっていて昼過ぎに「売り切れ」と出たら、どれだけ客が入ったのか想像してしまうし、食べられなかったことについて悔しく思うだろうから、と。
そして、また明日も試食販売をする。今度はカリッと焼いた薄いパンの上になめろうを載せて出す。
今日ブリ照りを食べたけどもお店に来なかった人も、別系統の料理を出されたら興味を持つかもしれないという作戦だ。
午後の空いた時間はひたすら明日の仕込み。出来上がった物は俺が魔法収納空間に入れて、明日できたて熱々を出せるようにする。
予定では1週間くらいこの作戦を実行することになっている。途中で「確実に掴んだ!」と確証が持てれば早くやめることもあるけども。
「ソニアはん呼んで来てーな! カリカリパンがなかなか冷めへん!」
オーブンをフル稼働させてなめろうの土台になるパンを焼きながら、サイモンさんが悲鳴を上げた。
「確かに!! 行ってきますけど、何か買い出ししてくるものとかありますか?」
「あっ、ジョーはん、買い出しに行くなら氷の柱10本くらい買うてきて!」
俺の問いかけに凄い勢いで要望を出したのはアンナさんだ。
「了解です!」
そして俺はハロンズに転移し、渋るソニアを連れ出し、氷の柱を買い込んでオールマン食堂に戻った。
なんか楽しい!
なんだろう、文化祭みたいな感じがする!
俺、こういうの好きかも!
元の世界にあってこの世界にないもの!
それは、「試食販売」だ!!
――という訳で、折りたたみコンロをコリンに作ってもらい、店頭でブリ照りを直接作って試食してもらうことにした。
その準備期間にオールマン食堂の人たちに料理を覚えてもらう。こちらも評価は上々だったらしく、早くお店に出したいと楽しみにしてもらえた。
食べさせるには熱々だと大変だから、あらかじめ焼いて冷まし、適度な大きさに切ったものを大量に用意しておく。
ブリの仕入れとかもしたけど、掛かった経費は後でオールマン商会から分割で支払われることになっている。書面も作った。今後ベーコン工房をこちらでも立ち上げたら、その利益も入るだろうから返済は簡単なはず。
オールマン食堂1号店の前に折りたたみコンロを出した時には、周囲の人は「なんだなんだ」という顔をしていた。
そこで火を熾し、フライパンでブリを焼き始めた時にはちょっと人だかりができはじめていた。ちなみに、調理はアンナさんで助手がサイモンさんだ。
ブリが焼けたところにたれを入れると、ジュワッという音と共に醤油の香りが立ち上る。
これが、試食の狙い!
いい匂いがしたら食べたくなるのが人情! 俺も子供の頃はスーパーでよくステーキとかに引っかかってた。ステーキ以外だと煮豚もよかった! そうだ、煮物って文化があまりないから、今度煮物も作ろう。
「さあさあ、新メニューの『ブリテリ』やで! 気になったら食べてってえな! こっちは焼きたてやから、こっちのほどほど~に冷めたやつをな!」
白い皿にブリ照りを載せて、このために用意した楊枝を刺したものをサイモンさんが道行く人に差し出してみせる。
「えっ? これ、食うていいん?」
「ええで! 今日は大盤振る舞いや! まず食べてみて、気に入ったら今度店で食べてや!」
その一言で、我も我もと人々が試食に手を伸ばす。
ついでに俺も紛れてブリ照りを取った。
「わー、うまいなあ! これならなんぼでも食いたいわー! でも、オールマン食堂いうたら、あれやろ? 蕎麦粉の麺。このブリ照りひとつだけ増えてもなあ~」
大声でアンナさんに問いかける俺。つまりはサクラ。
「それがちゃうんや! オールマン食堂のメニューは今日から一新やねん! この『ブリテリ』以外にも新作メニューがぎょうさんあるで!」
「ほんま~? 例えばどういうものがあるん?」
「まずこのブリテリやろ? 変わった味がせえへんかった? これはな、醤油っていう遥か東のパーグから取り寄せた調味料を使うてるのよ」
「へえ、えらい香ばしくて食欲をそそる香りやな!」
「せやろ? その醤油を使った新メニューが目白押しや! 生のアジをハーブと一緒に叩いて醤油を入れた『なめろう』はエールがぐいぐい進むの間違いなしや!」
「うっまそうやなあ! でも俺酒は飲めんから、他にはどんなんがあるん?」
「この脂ののったブリを醤油で食べるのもひと味違って格別なんよ! それに、醤油を使って下味を付けてから粉を付けて油で揚げた『ブリタツタ』は刻んだキャベツと一緒にパンに挟んで食べても最高やで!」
「聞いてるだけでよだれが出てきたわ! でも遥か遠くから取り寄せた材料使こうたらお高いんじゃ?」
「変わらん変わらん! 調味料はあくまで調味料! この新鮮な魚介類があってこその味やからね! なんと、空間魔法使いに北のフォーレからガッツリ仕入れてもらったんや! 鮮度も味も太鼓判押すで!」
「あかん! 我慢できへん! それなら食べてくわ!」
俺が店に入ると、「お一人様ご案内~!」「いらっしゃいませ~!」と店員の声が湧き上がる。これも演出。レベッカさんに相談したら、席数を把握する効果と、外に聞こえることで「この店繁盛してる」と見せる効果が期待できるらしい。
その後も俺は入り口近くの席でいくつか適当に注文して、「んまっ!」と言いながら食事を楽しんだ。いや、本当に美味しかった。俺から教わったレシピを元に、2号店から5号店の店長が改良を加えたらしい。
くーっ、白いご飯が食べたくなるなあ。
俺が注文したものを待ってる間にも、恐る恐るといった感じながらも人がどんどん入ってくる。あっという間に店はいっぱいになったけども、それを見越して作り置きをしておいたからお客さんが料理を待つということはなかった。
そして、オーサカの人は基本的にノリがいい。
俺が「んまっ!」と叫んでいれば、同じように叫んでくれる。
その声と、外でやっている店頭試食に釣られてまた人が入ってくる。
食べ終わって支払いをしてから、俺は店を出て「うまかったで!」と声を掛け、隣の路地を入っていった。
もちろん、そこからオールマン食堂の裏手に入るのだ。今度は厨房側へ回って、作り置きしておいた料理をどんどん注文に応じて魔法収納空間から出す係。
「ジョーはん、えろうおおきに!」
「こんなに注文でてんてこ舞いになるのは久々や!」
お店の従業員さんたちが笑顔で俺にお礼を言ってくれる。
「いえ、今日だけ儲かっても仕方ないんで、これから客足を途絶えさせないようにするのはみなさんのお力でしかできないことなんで。頑張ってください!」
「めっちゃ手応え感じますわ。自分が宝の持ち腐れにした醤油でジョーはんには助けてもろて……」
店の会計に徹することになった店長が、賑わう店内を見て涙ぐむ。
「いえいえ、いいんですよ、これ以上パーグ料理を貶めないでもらえれば。それと、早くサイモンさんを解放してもらってうちでパーティーに加わって欲しいですし」
「さらっとキツいこと言いはったな……」
だって本当のことだし。
途中で作り置きが心許なくなってきたので、厨房もガンガン回す。店員さんは接客に回ってもらって、俺は厨房の手伝い。実質オープン日だから、今日の売り上げが今後を占うことになる。気は抜けない。
俺は揚げ物係を受け持って、ひたすらブリタツタを揚げる。
ブリタツタはたれに漬け込んで味が濃いめな分、千切りキャベツと一緒にサンドイッチになってるのが本当に美味しい。揚げ物をパンに挟むという発想がなかったらしくて、揚げたてサクサクを食べた時にレベッカさんとアンナさんが絶賛してた。
うーん、せっかくだから、アジもフライにしてタルタルソースで食べたいな。
こっちにピクルスは存在してるんだけどマヨネーズがない。
マヨの作り方……知識チートの基本だけどどうだったかな……。卵と酢と油を使うことはわかるんだけど、分量とかそれ以上のことがわからない。
異世界に転移することになるなんてわかってたら絶対覚えておいたんだけど。味噌の造り方とかも。
「このメニュー作ったのジョーはんなんやて? 若いのに凄いなあ。やっぱりドーイのプリーストなん?」
ブリ照りを焼きながら厨房担当の人が尋ねてきた。俺は黄金色に揚がったブリタツタを網で上げながら「いえ」と答えた。
「俺は空間魔法使いです。というかですね、大袈裟に取らないで欲しいんですが、別の世界で生まれて、数ヶ月前に事故でこっちの世界で生きることになっちゃって。俺が作ったのはその世界で食べてた料理なんですよ。あ、空間魔法もその時にテトゥーコ様からいただきました」
「えええええええ、いや、驚くわ、そんなん」
「驚きますよね、やっぱり……。まあ、いきなり家族と離ればなれになったとかいろいろあるんですけど、俺はこっちでいい人たちに出会って幸せにやってるので、そこのところだけは『可哀想に』とか思わないで欲しいんですよ」
「いやいや、そんな無体な……。その若さでそんなことになったら大変やったろ。まあええわ、ジョーはんが今幸せというなら自分が言うことはなんもありまへん。確実に言えるのは、その料理でオールマン食堂が助かってるってことだけですわ」
「頑張ってください! そしてサイモンさんを早くハロンズへ寄越してください!」
「ははは、坊は経営者でも料理人でもなく冒険者やからなあ。早くそうしてやりたいわ」
そんなことをいって笑っているけど、この人も別にサイモンさんと大して年齢が変わらないように見える。そして話を聞いていたらドーイのプリーストだった。
あれかな、食品衛生責任者みたいな感覚で一店舗にひとりいるのかな、プリースト。
俺が知らないだけで、宿屋にもいたのかもしれない。
ちなみに、何故か俺の父も食品衛生責任者の資格を持ってた。ただの趣味だと思うけど。
その日は昼を少し回った当たりで「売り切れ御礼」という張り紙を出して店は営業終了にした。
これはアンナさんとレベッカさんで立てた作戦らしい。朝から賑わっていて昼過ぎに「売り切れ」と出たら、どれだけ客が入ったのか想像してしまうし、食べられなかったことについて悔しく思うだろうから、と。
そして、また明日も試食販売をする。今度はカリッと焼いた薄いパンの上になめろうを載せて出す。
今日ブリ照りを食べたけどもお店に来なかった人も、別系統の料理を出されたら興味を持つかもしれないという作戦だ。
午後の空いた時間はひたすら明日の仕込み。出来上がった物は俺が魔法収納空間に入れて、明日できたて熱々を出せるようにする。
予定では1週間くらいこの作戦を実行することになっている。途中で「確実に掴んだ!」と確証が持てれば早くやめることもあるけども。
「ソニアはん呼んで来てーな! カリカリパンがなかなか冷めへん!」
オーブンをフル稼働させてなめろうの土台になるパンを焼きながら、サイモンさんが悲鳴を上げた。
「確かに!! 行ってきますけど、何か買い出ししてくるものとかありますか?」
「あっ、ジョーはん、買い出しに行くなら氷の柱10本くらい買うてきて!」
俺の問いかけに凄い勢いで要望を出したのはアンナさんだ。
「了解です!」
そして俺はハロンズに転移し、渋るソニアを連れ出し、氷の柱を買い込んでオールマン食堂に戻った。
なんか楽しい!
なんだろう、文化祭みたいな感じがする!
俺、こういうの好きかも!
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だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
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