殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺

加藤伊織

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ハロンズ編

86 夏休みが終わる

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 ケルボで過ごした一週間はあっという間に過ぎた。
 サーシャの実家ということで凄く緊張したけども、ご両親やお姉さんたちがまた人柄がいい!
 俺のことを「あらあらまあまあ、うふふ」って目じゃなくて、親戚の男の子が泊まりに来てるみたいな感覚で見てくれた。
 お客様扱いだったのは初日だけで、後は普通に家事も手伝わされたし、空間魔法を生かしていろいろ手伝ったらとても喜ばれた。
 
 レベッカさんの料理も美味しいんだけど、サーシャのお母さんやおばあさん、時にお父さんが作るものも美味しかった。
 いかにも家庭料理という感じでありながらも新鮮な魚介類をふんだんに使っていて、身も心も日本人の俺はとても満たされた。昼は軽食だけど、朝ご飯と夕ご飯が毎回幸せだった。

 味噌があったらずっとここに住みたいと思った。
 マジで。
 真夏だけど一度だけ鍋っぽいものが出て、それが塩味だけど馬鹿うまだったんだ……。ブイヤベースが一番近い俺の知ってる料理だろうか。野菜と魚介のうま味がぎゅっと詰まっていて、ベースが塩味なのにさっぱりというよりは濃厚。ハーブも使われていたけども、本当に少ししか使っていないはずのそれが凄く良い仕事をしてた。 
 あの時ほど味噌がないのが悔やまれたことはない。ブイヤベースも美味しかったけど、味噌仕立ての鍋を心底食べてみたかった。

 それと――。
 サーシャの料理下手は本当に身につまされた…………………………。
 包丁の扱いも見ていてびくびくするんだけど、目分量で調味料を入れるのと火の扱いは壊滅的に下手。恋人の俺が言い訳できないほど下手。
 それでもって尚更悪いのが「食べられない」レベルのものにならないことだった。

 まずいけどなんとか食べられる。そういう出来のものをサーシャは作るんだ……。殻が入ってちょっと焦げた目玉焼きとか。
 愛を試されている気持ちになる。
 もちろんサーシャの方は毎回申し訳なさそうに皿を出してくるわけで。
 
「…………しがだねぁす」
「いだましねえ」

 コロコロと笑うのはおばあさんだ。昔料理がやはり苦手だったそうで、サーシャが失敗して落ち込む度に励ましている。

 それと、大事なことだけど。
 家族全員、そして俺までがサーシャには「無理に料理しなくていいよ」と真に温かい目を向けているのだ。
 サーシャはいろんなことができる。その中に料理がないくらいで落ち込む必要はないのだと。
 けどサーシャは根が努力家だから料理下手を克服しようとする。冒険者として宿に泊まっている時は料理に手出しできなかったし、ハロンズに引っ越ししてからはレベッカさんたち本職の人たちがいるからこれも手出しできなかった。
 でもここは実家。サーシャが頑張りたいというのをみんな止められないのだ。

 止められ、ないのだ……。
 
 それが少し方向転換したのは、一番上のお姉さんの一言だった。
 その日はサーシャの甥姪に当たる子供をふたり連れてきていて、俺が夕飯を作っていた。
 
 お父さんがでかいブリを捕ってきたので、サイモンさんのところでもらった醤油を使って、刺身やいくつかの料理を作ったのだ。刺身は寄生虫が心配だったけど、サーシャの聖魔法で一発クリア。
 こんな大物を捌くのは初めてだったけど、そこは漁師の家。でかい魚を捌くためのでかい包丁があって、俺はなんとかブリを捌くことができた。この時も実は拍手喝采が起きた。
 
 刺身はとにかく切るだけ。これもコツがあるけど、サーシャにも手伝ってもらった。多少見た目が悪くてもいいんだ。味さえ損なわなければ……。切り方によっては損なわれるらしいけど、そこは鮮度でカバー。
 そして、腹側の脂ののった部分はブリしゃぶに。薄切りにするので、それは俺がやった。
 日本にいた頃父がよく作っていたなめろうも、見よう見まねで作ってみた。あれは味噌を入れてたたきにするものだけど、醤油を入れて香味野菜と一緒にたたきにしてみた。元から臭みもないし、凄く白いご飯が欲しい味になったので成功。これは酒のつまみとして出すことに。
 
 そして背中側の部分は醤油と蜂蜜と砂糖を使って照り焼きにした。砂糖は日本の歴史で考えると高価なんじゃ? と思ってたけど、サトウキビの栽培はこっちの世界でもかなり歴史が古いらしくて、質を気にしなければ普通に出回っている。
 そうだよな、しょっぱいものも大事だけど、甘いものも大事だもんな。
 精製度が高い物はやはり高価だけど、精製度の低い茶色い砂糖は庶民でも普通に手に入る。

 この照り焼きが、おっそろしく好評だったのだ。もちろん他の料理も喜ばれたし、醤油は欲しがられたから少し置いていくことになったけども。子どもたちはブリしゃぶが楽しくて夢中になっていた。
 
「しったげうんめぇなぁー! サー(↓)シャ(↑)ぁ、おめは幸せもんだが。うちのおどなどてんでできね!」
「ははは、アリーナはよぐわらしっこ連れでってぐんだ」
「まんず、見えるところさ家があるでねが。おがのままさ食いでやで」

 ちょっと唇をとがらすアリーナさんは、そういう表情がサーシャに似ている。
 つまり、アリーナさんは夫が料理できなくて、自分ばっかり料理を作ることに飽き飽きしてくるから時々実家に子供を連れてご飯を食べに来るらしい。推測だけど、その時夫の方は仕方なく友人宅に飲みに行ったりするんだろう。
 アリーナさんは料理が下手ではないんだけど、特別料理好きではないのと他の家事育児に追われるので、時々夫ごと料理を放棄するらしい。

 生々しいな……。俺も今後気を付けないと。

「あーっ、ほがひどがこざえだままはんめーなあ!」

 凄く嬉しそうに、俺の作った料理を食べて、お酒を飲んでいる。
 本当にこういう時の顔がサーシャそっくりだ。

「ジョーさのこさえだこのただぎ、んめえな! 酒さよぐ合う!」

 お父さんはなめろうがとても気に入ったようで、最初はエールを飲んでいたんだけど、しまってあったちょっといいお酒を出してきてぐいぐい行き始めた。今度来る時はお酒もお土産にしよう。
 サーシャの家はお父さんもお母さんもいける口で、俺から見たら強そうな酒をガンガン飲んでいる。

 あと、気付いてしまったんだけど、15歳過ぎたら余程体質的に合わない人以外はガンガンエールを飲んでるようなこの世界でサーシャが酒を飲まないのは、酔うとケルボ弁が出てしまうからだった……。
 エール、アルコール度数が低いみたいなんだよな。飲んでないからわからないけど。
 
「サーシャ、前にも言ったけどさ、俺は料理好きだし、サーシャが食べたい時に食べたいものを作るから」

 言った後で、「さいさいさいさい! こりゃプロポーズでねば!?」と思ったけども時既に遅し。
 
 鈍めなサーシャがぱっと顔を輝かせたのに対して、女性陣が一瞬にしてにまっと笑った。
  
「えがったなあ! サーシャは幸せもんだ!」
「おれもジョーさのこざえだままさ、毎日食いて!」

 家族中から沸き起こる「いいなー」コールに、サーシャはハッとした顔をしていた。

「んだな、ジョーさんのままさいづでも食えるおれは幸せもんだな……」
「んだ!」
「んだ!」
「んだ!!」

 最後に思いっきり力強く言ったのは俺だ。
 サーシャはエールをぐいっとあおり、パクパクとブリ照りを食べると、赤い顔で俺に抱きついてきた。

「えへへー、ジョーさー、おれにずっとんめえもんを食わせでくれなし」

 あ、酔ってる。
 根っこの部分さちょっと甘えん坊で、でも恥ずかしがり屋のサーシャが人前でこういうことをするのはしったげ珍しい。……おっと、俺の思考すらケルボ弁になっている。恐ろしいな、方言シャワー。
 
「や、約束やぐそぐだ」
「ふへへへー、幸せだあ……」

 それだけ言うと、サーシャはかくりと寝落ちた。

「あー、サーシャぁ酒ば弱かね」
「珍しなぁ」

 サーシャがネージュで冒険者活動をするようになったのは15歳の時。それまではフォーレの教会にいたから、家族の前でお酒を飲むことは今までほとんどなかったらしい。
 幸せそうな顔で寝ているサーシャを見て、みんなが目尻を下げていた。

「寝顔さ、わらしっこの頃と変わらねな」
「姉っちゃと一緒さ寝るっで、よく布団に潜り込んでだな」

 サーシャの2番目のお姉さんのエレノアさんがサーシャの頭を撫でる。
 エレノアさんは宿場町に嫁いでいて、サーシャが帰ってきたと聞いて昨日と今日だけ里帰りしている。一番サーシャが懐いていたお姉さんだそうだ。明日帰りがけに俺たちが移動魔法で送っていくことになっていた。
 一緒に寝るって布団に潜り込んでくるサーシャか……。
 羨ま……いや、微笑ましいな。きっと10歳になる前の話だろうし。

「ジョーさ、サーシャは頑張り屋だども甘えん坊だ。わらしの頃からしったげ頑張っでだし。人さ甘えるどこ珍しね。まんず頼んだ」

 お父さんの大きな手が俺の頭をわしわしと撫でる。

「今日がらここはおめの家だ。いつでもってこ」
「――っ!」

 ごく当たり前のように言われた言葉に息が詰まった。
 サーシャのお母さんはうちの母と違ってもっとおおらかで、お父さんはうちの父と同じくらい適当なところがあって。
 会ってから間もないのに、凄く親しみを持てて、こんな家族いいなって思ってたんだ。

 ハロンズの家は俺にとって「家」だけど、俺は「故郷」って言われたらここを思い出すだろう。
 気がついたら、涙が頬を伝っていた。
 
「すまねす。嬉しぐで……」
「なんもなんも」

 本当に大したことではないのだと、サーシャのお母さんが笑う。
 俺が異世界で生まれてこちらの世界に来てサーシャに出会ったことは、最初の日の晩に話してある。
 そんな俺を特別視することなく接してくれるこの人たちの温かさが本当に心に染み入ってくる。

「おど、おが」

 サーシャの両親の目を見てそう呼んでみる。
 そういう風に呼ぶ時が来たとしても、それはもっとずっと先のことだと思っていた。

「んだ」
「……ばさま」
「生ぎでる間さ孫が増えで嬉しぇ」
「姉っちゃ」
「3人目の弟だ」

 俺はボロボロと涙をこぼしていた。嬉しさで。幸せで。
 いっそこのままケルボに住もうかなと思ったけど、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」なんて言葉があるくらいだし、俺とサーシャは冒険者としてやることがきっとたくさんある。

「時々、けえってくる。サーシャと一緒に」

 俺はそういうのが精一杯だった。涙を拭いて、笑顔で。

 この時俺は未来に幸せなことしかないと、無意識に思い込んでいた。
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