63 / 122
ハロンズ編
60 空間魔法、本領発揮(9割くらい)
しおりを挟む
「あ、ソニアさん、寝てしまいましたね」
サーシャの言葉通り、レヴィさんの背中にしがみついたままソニアは寝落ちしていた。
本格的な山下りに入る前に、歩くリズムで揺られていただけだったんだけどな。
「魔力を限界まで消耗すると、体力が尽きるのと同じ状態になるらしい。以前メリンダが言っていた」
ソニアを負ぶったままでレヴィさんが説明してくれる。
そしてちょっと笑って、「疲れたらすぐ寝るなんて子供みたいだな」なんて言う。
ここのふたりも、雰囲気は悪くないんだよな……。
「サーシャはそういうことないの?」
「私には魔力はありません。聖魔法は信仰心を元にしたもので、属性魔法使いとは根本的に違うんです」
いろいろ仕組みがあるんだな……。俺の場合は元々魔力があったのかどうか知らないけど、空間魔法で何かを収納したり移動したりして疲れたりする感じはない。
「それだけ、古代竜に全力を出したっていうことですね。……正直なところ、まさか古代竜の首を《旋風斬》で落とせるとは思ってませんでした。半分くらいまで切れれば実質倒したも同然なので、あとは殴って気絶させれば楽に倒せるだろうと思っていたんですが」
「サーシャ、古代竜はそんなに……いや、いい」
レヴィさんが一般論を言うのを諦めた……。
間もなく灌木エリアに入るぞというところで、俺はレヴィさんの足元を心配した。
道なき道を、人ひとり背負って下りるのはかなりきつい。
「あ」
「どうした?」
俺の口から思わず出てしまった声に、レヴィさんが振り向く。
「さっき馬を降りたところまで、移動魔法で行けばいいんですよ」
むしろ、よく考えたらここは既に来たことのある場所だったから、登りすら必要なかったんだ……。
ころっと忘れていた。なにせ、収納魔法に比べて移動魔法は使い慣れていなくて、俺の行動選択肢になかなか入ってこない。
「それがあったな!」
「それじゃ、もし今度ちょっと古代竜を狩りたいなって思ったら、直接ここに移動魔法で来ることもできるんですね!? ジョーさん、凄く便利です!」
「う、うん」
「サーシャ、古代竜は『ちょっと狩りたい』なんて言う相手じゃ……はぁ」
レヴィさんがまた諦めた!
でも、気持ちはわかる。
サーシャは自分を基準にしてはいけないと思う。いろいろと。
そして俺は見えないドアを開いて直接街道に出て、ちょっと木を収納して作った場所に家を出した。
「ソニアは少し寝かせましょう。下りの時間が丸々浮いたので」
アオとフローはまだ魔法収納空間の中だ。街道とはいえ、ここはマーテナ山の3合目。魔物がでない保証はない。
ベッドをひとつ出してソニアをそこに寝かせ、休憩用にテーブルセットも出す。
ドアは開け放したままで、念のためクロに外にいてもらえるように頼んだ。
これぞ、正しい意味での番犬。賢くて強いクロなら、殺人兎位は倒せそうだし。
俺たちが昼食を食べている間、ソニアは昏々と眠り続けた。
そして、「そろそろ出発しないと次の街に着けなくなるな……」とレヴィさんが呟いた瞬間、パチッと目を覚ました。凄いタイミングだった。
「あら、私、眠っちゃったのね。びっくりするくらい疲れてたんだけど、今はすっきりしてるわ」
「魔力枯渇はそういうものらしい。実際に体が疲れているのと違うから、魔力がある程度回復すれば体も回復したように感じるそうだ。ソニア、頭痛がしたりはしないか?」
水を手渡しながらレヴィさんがソニアを気遣わしげに見ている。
ソニアはうっすら頬を染めて、「大丈夫」と返した。
ニヤニヤしてやりたい、思いっきり!
予定外だった古代竜狩りが入ったので、今日の目的地はニューマという大街道沿いの街に変更になった。レヴィさんの頭にあった行程表では、そのひとつ先のエルドが本来の目的地だったらしい。
心配していた魔物の襲撃もなく、たまーにイスワへの街道を通る人が「なんだ?」と覗いていくことはあったけども、とりあえず無事に休憩することができた。
そして俺は朝からずっと抱えていた問題をサーシャに思い切って打ち明けた。
「あのさ、前に乗って伏せてるとかなりきついから、揺れてもいいから後ろに乗りたいんだけど」
アオの手綱を取りながら頼むと、あっさりとサーシャは頷く。
「はい、わかりました。じゃあこの先はジョーさんが手綱を持ってみてください」
「いいの?」
「練習ですし、アオは優しくていい子ですから」
「そうだね、アオ、俺が手綱持つけどよろしくな」
俺はアオの黒い目を正面から見て、首筋を撫でた。
アオは俺を馬鹿にすることもなく、静かな目で見返してくれる。
鐙に足を掛けて、俺はひょいとアオに跨がった。サラブレッドより体高がないから、凄く乗りやすい。
そしてサーシャに手を差し伸べると、サーシャが俺の手を掴んで俺の前に座る。
「じゃ、行こうか」
「はいっ……あれ?」
アオが速歩で進み始めてすぐ、俺の腕の中にいるサーシャが体を強張らせた。
……気付かれたか。
「ジョ、ジョーさん……こ、これは、あの、あわわわ……」
「今頃恥ずかしいとか言っても降ろせないよ!」
体の小さいサーシャは、俺の腕の間にすっぽりと収まってしまう。アオの背中に手を置いてはいるけども、ほとんど後ろから抱きしめているのと同じ状態で。
つまり、俺得!
ついに来た、俺得!!
しばらくサーシャは固まっていたけど、だんだん慣れてきたのか強ばりが少しずつ解けていった。
彼女の柔らかな髪が俺の首をくすぐる。やがて、小さな背中が俺の胸にもたれかかってきた。
「楽しいですね」
初対面の時も事故的に距離が近かったけど、恋人同士になってからこうして意図的にくっついていることは初めてかもしれない。
振り向いたサーシャは本当に心の底から楽しそうで、その幸せそうな笑顔が俺の目にはしっかりと焼き付いた。
「うん、楽しい」
ドラゴンに遭遇したり、殺人兎のドロップキックを盾で受け流したりしないといけない生活だけど、俺は冒険者をやっていることを後悔したことはない。
この世界に来る前は戦うのは嫌だと思っていたけど、サーシャがいるから。
彼女と一緒にいられたから、俺の中では大変だったことも全部「冒険」になった。
出会ったあの日、彼女の涙を見て、話を聞いて欲しいと言われてそれに応えて……避けなくて良かった。いろんなことを。
森の中の清々しい空気を吸いながら相乗りで馬を走らせたのは、きっと一生忘れないだろう。
長い下り坂が終わる頃、周囲は森から平地へと変わってきた。
まだ明るいけどもそれは初夏だからで、時間はもう大分遅くなってきたはずだ。
イスワからの街道と、ネージュとハロンズを結ぶ大街道が交わる場所――それが今日の目的地、ニューマだ。
街の大きさ的にはそれほどではないのに、とても整備された印象を受ける。いわゆる宿場町というものなんだろう。
いろいろ旅人の気を引くものもあったりするんだろうけど――悪いけど今回は素通り。
俺に必要なのは「ニューマに行ったことがある」という事実だけ。
観光ならハロンズで落ち着いてから、いくらでもできる。
「じゃあ、戻りましょうか」
「ああ」
ソニアを前に乗せたレヴィさんが頷く。こっちはごく自然に相乗りしてるな。
俺が移動魔法で見えないドアを出すと、向こう側には石造りの見慣れたネージュの街並みが見える。
朝旅立ったばかりの場所へ、俺たちはさくっと帰還した。
うーん、やっぱりなんというか、「旅してる」って感じはないな。
大分外壁のできてきたベーコン工房にいつものように家を出しながら、ちょっと拍子抜けしてしまう。
アオとフローは近くの宿屋の馬小屋を借りることになっている。今日1日頑張ってくれたお礼に飼い葉以外にニンジンを食べさせて労った。
「うーん、朝出て行ったところに戻ってくるのって、なんだか変な感じね」
俺と同じことを思ったらしいソニアがぼやいている。
俺も同感だよ、と言おうとしたとき――。
「おかえり」
妙にばつの悪そうな苦い声。
振り返るとそこにはエリクさんがいた……。
「た、ただいまです」
「こんばんは、師匠……」
「なんというか、朝感動の見送りをしたのに、いきなり遭遇するのは……居たたまれない気になるな」
その場の5人は、一様に同じ表情で頷くことしかできなかった。
サーシャの言葉通り、レヴィさんの背中にしがみついたままソニアは寝落ちしていた。
本格的な山下りに入る前に、歩くリズムで揺られていただけだったんだけどな。
「魔力を限界まで消耗すると、体力が尽きるのと同じ状態になるらしい。以前メリンダが言っていた」
ソニアを負ぶったままでレヴィさんが説明してくれる。
そしてちょっと笑って、「疲れたらすぐ寝るなんて子供みたいだな」なんて言う。
ここのふたりも、雰囲気は悪くないんだよな……。
「サーシャはそういうことないの?」
「私には魔力はありません。聖魔法は信仰心を元にしたもので、属性魔法使いとは根本的に違うんです」
いろいろ仕組みがあるんだな……。俺の場合は元々魔力があったのかどうか知らないけど、空間魔法で何かを収納したり移動したりして疲れたりする感じはない。
「それだけ、古代竜に全力を出したっていうことですね。……正直なところ、まさか古代竜の首を《旋風斬》で落とせるとは思ってませんでした。半分くらいまで切れれば実質倒したも同然なので、あとは殴って気絶させれば楽に倒せるだろうと思っていたんですが」
「サーシャ、古代竜はそんなに……いや、いい」
レヴィさんが一般論を言うのを諦めた……。
間もなく灌木エリアに入るぞというところで、俺はレヴィさんの足元を心配した。
道なき道を、人ひとり背負って下りるのはかなりきつい。
「あ」
「どうした?」
俺の口から思わず出てしまった声に、レヴィさんが振り向く。
「さっき馬を降りたところまで、移動魔法で行けばいいんですよ」
むしろ、よく考えたらここは既に来たことのある場所だったから、登りすら必要なかったんだ……。
ころっと忘れていた。なにせ、収納魔法に比べて移動魔法は使い慣れていなくて、俺の行動選択肢になかなか入ってこない。
「それがあったな!」
「それじゃ、もし今度ちょっと古代竜を狩りたいなって思ったら、直接ここに移動魔法で来ることもできるんですね!? ジョーさん、凄く便利です!」
「う、うん」
「サーシャ、古代竜は『ちょっと狩りたい』なんて言う相手じゃ……はぁ」
レヴィさんがまた諦めた!
でも、気持ちはわかる。
サーシャは自分を基準にしてはいけないと思う。いろいろと。
そして俺は見えないドアを開いて直接街道に出て、ちょっと木を収納して作った場所に家を出した。
「ソニアは少し寝かせましょう。下りの時間が丸々浮いたので」
アオとフローはまだ魔法収納空間の中だ。街道とはいえ、ここはマーテナ山の3合目。魔物がでない保証はない。
ベッドをひとつ出してソニアをそこに寝かせ、休憩用にテーブルセットも出す。
ドアは開け放したままで、念のためクロに外にいてもらえるように頼んだ。
これぞ、正しい意味での番犬。賢くて強いクロなら、殺人兎位は倒せそうだし。
俺たちが昼食を食べている間、ソニアは昏々と眠り続けた。
そして、「そろそろ出発しないと次の街に着けなくなるな……」とレヴィさんが呟いた瞬間、パチッと目を覚ました。凄いタイミングだった。
「あら、私、眠っちゃったのね。びっくりするくらい疲れてたんだけど、今はすっきりしてるわ」
「魔力枯渇はそういうものらしい。実際に体が疲れているのと違うから、魔力がある程度回復すれば体も回復したように感じるそうだ。ソニア、頭痛がしたりはしないか?」
水を手渡しながらレヴィさんがソニアを気遣わしげに見ている。
ソニアはうっすら頬を染めて、「大丈夫」と返した。
ニヤニヤしてやりたい、思いっきり!
予定外だった古代竜狩りが入ったので、今日の目的地はニューマという大街道沿いの街に変更になった。レヴィさんの頭にあった行程表では、そのひとつ先のエルドが本来の目的地だったらしい。
心配していた魔物の襲撃もなく、たまーにイスワへの街道を通る人が「なんだ?」と覗いていくことはあったけども、とりあえず無事に休憩することができた。
そして俺は朝からずっと抱えていた問題をサーシャに思い切って打ち明けた。
「あのさ、前に乗って伏せてるとかなりきついから、揺れてもいいから後ろに乗りたいんだけど」
アオの手綱を取りながら頼むと、あっさりとサーシャは頷く。
「はい、わかりました。じゃあこの先はジョーさんが手綱を持ってみてください」
「いいの?」
「練習ですし、アオは優しくていい子ですから」
「そうだね、アオ、俺が手綱持つけどよろしくな」
俺はアオの黒い目を正面から見て、首筋を撫でた。
アオは俺を馬鹿にすることもなく、静かな目で見返してくれる。
鐙に足を掛けて、俺はひょいとアオに跨がった。サラブレッドより体高がないから、凄く乗りやすい。
そしてサーシャに手を差し伸べると、サーシャが俺の手を掴んで俺の前に座る。
「じゃ、行こうか」
「はいっ……あれ?」
アオが速歩で進み始めてすぐ、俺の腕の中にいるサーシャが体を強張らせた。
……気付かれたか。
「ジョ、ジョーさん……こ、これは、あの、あわわわ……」
「今頃恥ずかしいとか言っても降ろせないよ!」
体の小さいサーシャは、俺の腕の間にすっぽりと収まってしまう。アオの背中に手を置いてはいるけども、ほとんど後ろから抱きしめているのと同じ状態で。
つまり、俺得!
ついに来た、俺得!!
しばらくサーシャは固まっていたけど、だんだん慣れてきたのか強ばりが少しずつ解けていった。
彼女の柔らかな髪が俺の首をくすぐる。やがて、小さな背中が俺の胸にもたれかかってきた。
「楽しいですね」
初対面の時も事故的に距離が近かったけど、恋人同士になってからこうして意図的にくっついていることは初めてかもしれない。
振り向いたサーシャは本当に心の底から楽しそうで、その幸せそうな笑顔が俺の目にはしっかりと焼き付いた。
「うん、楽しい」
ドラゴンに遭遇したり、殺人兎のドロップキックを盾で受け流したりしないといけない生活だけど、俺は冒険者をやっていることを後悔したことはない。
この世界に来る前は戦うのは嫌だと思っていたけど、サーシャがいるから。
彼女と一緒にいられたから、俺の中では大変だったことも全部「冒険」になった。
出会ったあの日、彼女の涙を見て、話を聞いて欲しいと言われてそれに応えて……避けなくて良かった。いろんなことを。
森の中の清々しい空気を吸いながら相乗りで馬を走らせたのは、きっと一生忘れないだろう。
長い下り坂が終わる頃、周囲は森から平地へと変わってきた。
まだ明るいけどもそれは初夏だからで、時間はもう大分遅くなってきたはずだ。
イスワからの街道と、ネージュとハロンズを結ぶ大街道が交わる場所――それが今日の目的地、ニューマだ。
街の大きさ的にはそれほどではないのに、とても整備された印象を受ける。いわゆる宿場町というものなんだろう。
いろいろ旅人の気を引くものもあったりするんだろうけど――悪いけど今回は素通り。
俺に必要なのは「ニューマに行ったことがある」という事実だけ。
観光ならハロンズで落ち着いてから、いくらでもできる。
「じゃあ、戻りましょうか」
「ああ」
ソニアを前に乗せたレヴィさんが頷く。こっちはごく自然に相乗りしてるな。
俺が移動魔法で見えないドアを出すと、向こう側には石造りの見慣れたネージュの街並みが見える。
朝旅立ったばかりの場所へ、俺たちはさくっと帰還した。
うーん、やっぱりなんというか、「旅してる」って感じはないな。
大分外壁のできてきたベーコン工房にいつものように家を出しながら、ちょっと拍子抜けしてしまう。
アオとフローは近くの宿屋の馬小屋を借りることになっている。今日1日頑張ってくれたお礼に飼い葉以外にニンジンを食べさせて労った。
「うーん、朝出て行ったところに戻ってくるのって、なんだか変な感じね」
俺と同じことを思ったらしいソニアがぼやいている。
俺も同感だよ、と言おうとしたとき――。
「おかえり」
妙にばつの悪そうな苦い声。
振り返るとそこにはエリクさんがいた……。
「た、ただいまです」
「こんばんは、師匠……」
「なんというか、朝感動の見送りをしたのに、いきなり遭遇するのは……居たたまれない気になるな」
その場の5人は、一様に同じ表情で頷くことしかできなかった。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

魂が百個あるお姫様
雨野千潤
ファンタジー
私には魂が百個ある。
何を言っているのかわからないだろうが、そうなのだ。
そうである以上、それ以上の説明は出来ない。
そうそう、古いことわざに「Cat has nine lives」というものがある。
猫は九つの命を持っているという意味らしく、猫は九回生まれ変わることができるという。
そんな感じだと思ってくれていい。
私は百回生きて百回死ぬことになるだろうと感じていた。
それが恐ろしいことだと感じたのは、五歳で馬車に轢かれた時だ。
身体がバラバラのグチャグチャになった感覚があったのに、気が付けば元に戻っていた。
その事故を目撃した兄は「良かった」と涙を流して喜んだが、私は自分が不死のバケモノだと知り戦慄した。
13話 身の上話 より

二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる