殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺

加藤伊織

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ネージュ編

51 聖女認定の儀

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 妙に長く、慌ただしかった一日が終わろうとしている。
 夜になっても犬にならないのは本当に久々だ。

 俺はクロのために外で焚き火をして猪肉を焼いていた。薪を組んでクロに《火球ファイアーボール》を打ってもらえるように頼んだら、ちゃんと魔法で火を付けてくれたのだ。
 賢いし、凄く便利だ。《火球ファイアーボール》の大きさもちゃんと加減をしてくれていた。
 
 その火の揺らぎを見ながら、俺は癒やされている。決して同じ形にならない炎、薪のはぜる音……やっぱり焚き火はいい。
 俺が串に刺して肉を炙っているのを、隣でクロが「待ちきれません!」と言わんばかりに尻尾を振りながら見守っている。
 可愛いな……。しみじみ可愛いな。

 聖獣はものを食べる必要があるのかという問題は残ってるんだけど、クロが食べたそうにしてるから食べさせたっていいんだろう。
 タルトは駄目だけど、味付けしていない焼いた肉ならいい。
 毎回焼くのは大変だから、まとめて焼いてキープしておく必要もあるな。レベッカさんにお願いしておこうかな。

 そんなことを考えていたら、ドアが開いてソニアが出てきた。

「じゃあ、私そろそろ帰るわね」
「待ってください! ソニアさんもここに泊まってください!」
「どうして!? せっかく恋人同士になったんだから、ふたりきりでゆっくりしなさいよ!」
「無理、無理です! 口から心臓が出ます! お願いですからふたりきりにしないでください!!」

 帰ろうとするソニアを、全力でサーシャが引き留めている……。

 クロがいるから、宿屋には泊まれない。馬小屋は一応付いてるけど、クロみたいに小さくて綺麗な犬を置き去りにしたら攫われてしまうかもしれない。
 だから俺はクロと一緒にここに泊まることにした。せっかく家があるんだから使わない理由はないし。
 細かいお金にはまだ財布の紐が固いサーシャも、ここに泊まることになった。

 そこで起きたのが、ソニアはどこで寝るかという問題だ。
 当たり前のようにソニアは友人の家に帰ろうとし、それをサーシャが全力で止めている。
 その理由が大分酷い。
 
 でも俺的には、どっちの言い分もわかる。
 
 さっきは思わぬ邪魔が入ったから、今度こそイチャイチャしたいという気持ちと、「いきなりそれは恥ずかしすぎる」と思う気持ち。

 なので、俺はドアの付近で掴み合いをしているふたりを無視して、焼けた肉をナイフでそぎ落としながら皿に入れていった。

「まだ熱いからなー。火傷するなよ、クロ」
「ワフ!」

 クロは立ち上がると尻尾をブンブンと振りながら、俺が皿に入れた肉にかぶり付き始めた。熱さはどうも平気らしい。
 そうか、口から火の玉出してるくらいだもんな。

「クロ、美味しいかー」
「ワン!」
「ちょっとジョー! 何をクロと戯れながら無視してるのよ! 助けてちょうだい!」
「ジョーさん! ソニアさんが薄情なんですー!」
「ははははは、美味しいかー、よかったな、クロ」
「クゥン」
「サーシャ、なんでそんなに小さい体なのに私より力が強いの!? 補助魔法掛けてないのに!」
「鍛え方が、違うんです! さあ、ソニアさん! 覚悟してください!」
「覚悟は、覚悟は嫌ぁぁぁ!」

 覚悟という言葉がトラウマみたいになってるソニアは、サーシャの言葉で弱体化したらしい。そのままずるずると家の中に引きずり戻されていった。
 肉をあっという間に食べ終わったクロは、満足したのかひっくり返って俺にお腹を見せている。可愛い。思い切りそのお腹をモフらせてもらった。


 結局その晩は、いつものように大部屋にベッドをみっつ出して寝た。
 散々揉めたけども、文句を言いながらもベッドに入った瞬間にソニアは寝落ちてしまったのだ。
 俺とサーシャもそれぞれ自分のベッドに入った。
 ベッドの中はとても落ち着く。横になった途端どっと疲れが出て、目を閉じた次の瞬間には翌朝になっていた。
 ちなみに、クロは俺のベッドの足元で丸くなって寝ていた。はぁー、可愛い。


 朝食の麦粥を食べている最中に、テトゥーコ神殿からの使いが来て俺たちは驚いていた。
 昨日の一件は瞬く間に噂として広がり、元々「殴り聖女」の二つ名を持っていたサーシャは神殿内での知名度も高かったので、今日これから神殿で聖女認定の儀というものが行われるらしい。
 
 俺とソニアも同行していいそうなので、ソニアは友人の家に戻っていい服に着替えてくると言って走り去っていった。
 サーシャの服は神殿で用意されているらしい。俺は以前図書館に行くついでに神殿に寄ったときに買った服が一張羅だから、それを着るしかない。

 そして、テトゥーコ神殿から来たプリーストは、クロにメロメロになっていた……。
 タンバー様の聖獣であるアヌビスだと説明すると、クロを連れていくことも了承してもらえた。ただの犬なら断られただろうけど、聖獣だもんな。
 
 そして1時間後、俺たちは女神テトゥーコの神殿に招かれていた。
 サーシャは別室で準備をすることになって不安そうにしながらも女性のプリーストに付いていき、俺とソニアとクロは立派なソファのある部屋で時間を潰している。

「準備が整いました。どうぞ、神像の間にお越しください」

 かなり長々と待たされた後で迎えに来たプリーストの後に続き、テトゥーコ様の神像が祀られた大広間に通される。
 そこには、多くの人が集まっていた。おそらくみんなテトゥーコ様の信者かプリーストなのだろう。ひそひそと話す声にも興奮が隠せないのか、妙な熱気がある。

 その時、澄んだ音色が神像の間に響き渡った。
 話していた人たちもぴたりと口をつぐみ、入り口に目を向けている。

 人々の期待が最高潮に達したとき、重厚なドアが開かれ、女神と見紛うばかりの美しい少女が現れた。
 白いドレスに身を包んだサーシャはプリーストに先導され、凛と顔を上げて歩いてくる。

 この世界で滅多に見かけないレースをたっぷりと使い、いかにも上質な柔らかい生地をふんだんに使って細かなプリーツを作っているドレスは――あれは、テトゥーコ様と同じドレスだ……。
 でも、着ている人が違うと印象が全然違う。
 まるでウエディングドレスのような可憐さと華やかさを併せ持ったドレスは、長い髪を編み込んでアップにしたサーシャを神々しく見せている。

 サーシャが一歩歩く毎に、さらさらという衣擦れの音がする。
 どこからか、彼女に見蕩れているらしい「ほぅ……」というため息が聞こえた。

「凄く綺麗ね」

 隣のソニアが囁く。ソニアも上品で落ち着いたドレスを場に合わせて纏っていた。

「……泣きそう。綺麗だし眩しすぎる」
「彼氏でしょ? しっかりしなさいよ」

 最前列で小声で言葉を交わしていた俺たちは、後ろからつつかれて口を閉じた。
 目の前をサーシャが通り過ぎていく。ドレスが時々きらりと光っていると思ったら、小さな宝石が縫い込まれているようだった。
 きりりと前を向いてゆっくりと歩くサーシャは――ガッチガチに緊張していた。
 顔の強ばり方でわかる……。

「我らが姉妹、サーシャ。女神テトゥーコより直々に聖女の役目を賜ったことを、我ら一同祝福する。神像の前に進まれよ。そして、今一度誓いの言葉を」
「はい。――我らが母、我が女神テトゥーコよ。わたくしサーシャ・アリアスは、請願を聞き届けていただけたことを心より感謝いたします。この命尽きるときまで、女神のしもべとして、その御心のままに尽くすことを誓います」  
 
 テトゥーコ様の神像の前にサーシャが跪く。そこに天窓から光が差し込んできて、白いドレスと金色の髪を輝かせる。
 
 本当に、神々しいとしか言いようがない。
 サーシャがどんなに可愛いか世界で一番知ってると思っていた俺ですら、息を飲んで見つめることしかできなかった。

「我らも証人としてその誓いを聞き届けた。聖女サーシャよ、慈愛と知識の女神テトゥーコの代理たる聖女として、人々のために尽くすことを願……あ、あれは!」
  
 進行役をしていたのは、寄付をしたときに会ったことがある最高位の司祭だった。その彼が、急に驚いた声を上げる。
 天窓から差し込んだ光が、サーシャと神像を照らしている。
 その神像の足元に、それまではなかったものが出現していた。

 これは、タンバー神殿の時と同じ状況!
 多分「神の恩寵」というやつだ。
 ただ、大きな違いとしては俺の時は黒い腕輪だったけども、そこに現れたのは――。

「……パンダ?」

 白ベースに黒い模様。もこもことした体。どう見ても、パンダ。
 しかも可愛い盛りの仔パンダ!
 そうかー! 女神テトゥーコなら、聖獣はパンダに決まってるよな。

「あ、あれは、もしや記録に残っていた」
「テトゥーコ様の聖獣!?」
「な、なんと愛らしい」

 仔パンダはよちよちと数歩歩き、跪いているサーシャの膝に手を掛けた。

「か、か、か……可愛いーっ!」

 今まで気合い入れて「聖女」をしてたのに、仔パンダの魅力の前にサーシャが陥落する。
 緩みきった顔でパンダを抱き上げて、サーシャは聖獣に思いっきり頬ずりをした。

「パンダ!」
「凄いぞ、女神から聖女へ聖獣が与えられた!」

 広間を興奮が満たす。その中でサーシャは我に返り、傍らに立つ司祭に困惑した顔で問いかけていた。

「大司教様、あの、この子はどうしたら?」
「……女神が下されたものなので、ありがたく頂戴するといいだろう」
「いえ、そうではなく、お世話の仕方などを教えていただきたいのですが」
「す、すまない、それは私も知らぬのだ。実物を見たのも初めてでな」
「そうなんですか」

 サーシャががくりと肩を落としている。
 そうか、聖獣っていうくらいだし、アヌビスも犬扱いしてるけど本当はただの犬じゃないし、この世界の人はパンダのことは知らないんだ……。

 こうなったら、本人に聞くしかないな。
 
「テトゥーコ様! ご覧になっていると思いますのでお伺いしますが、この聖獣はどうお世話をしたらいいのでしょうか! 食事なども与えた方がいいのでしょうか!」

 突然声を張り上げた俺を、周囲がぎょっとして見つめてくる。
 俺には確信があった。サーシャと俺が揃っていて、しかも聖女認定の儀なんてやってたら、絶対テトゥーコ様はリアルタイムで見ているに違いないということを。

『アラ、気付いてたのね。さすがジョーさん。食べなくても消えたりすることはないけれど、できれば食べさせてあげた方が元気になります。お世話は……まあ、多分ジョーさんの知っている通りよ』

 少し早口で甲高い声が、高い場所から降ってくる。
 
「やっぱり笹ですか? あとはパンダ団子とか」
『そうね、笹は毎回は大変でしょうから、果物や野菜でも大丈夫。それと、肉も食べます。甘いものが好きだから、蜂蜜やパンダ団子は喜ぶわよ』
 
 肉も食べるんだ! さすが熊の一種。

 そして、俺は唐突に気付いてしまった。
 いきなりテトゥーコ様に語りかけて神のお言葉を普通に引き出し、あまつさえ慣れた感じで世間話をしてしまった俺の存在に、周囲がどよめいていることを。

 や、やば……。
 完全に、場の空気を読んでなかった。

『みなさん驚いてらっしゃるようね。ジョーさんとは2回お会いしてるの。プリーストではないけれど私の加護を受けてる方だから、気に留めておいてもらえると助かります』

 テトゥーコ様のフォローが入ったけど、絶妙なんだか爆弾なんだかよくわからない。
 周囲の視線が、凄い。
 さっきまで俺をモブだと思っていた人たちが、サーシャに向けるのと同じ憧れの眼差しを向けてくる!
 
「な、なんと、テトゥーコ様自ら我らにお言葉を!」
「てっきり彼はタンバー様の信者かと思っていたが」
『彼、タンバーさんの加護も受けているのよ。困っていたら力になってあげてくださいね。ジョーさんも必ずみなさんの信頼に応えてくれますから。移動魔法まで習得した空間魔法使いだし』
「おおおおおお!!」

 テトゥーコ様、何言ってくれてるんですかー!

 叫び掛けたけども、俺は必死に口を押さえてやり過ごした。
 異世界から来た俺を気遣ってくれてることは知ってるんだ。知ってるけど、これはやりすぎだろ!


 そしてサーシャどころか俺まで異様に称えられ、凄まじいまでの熱気の中で聖女認定の儀は終わった。

 俺たちは、2匹目のもふもふを手に入れた……。
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