殴り聖女の彼女と、異世界転移の俺

加藤伊織

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ネージュ編

46 ついに借金返済、そして――

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 行きよりも半日以上時間が掛かりながらも、俺たちはネージュへと戻ってきた。
 まず鍛冶ギルドに行って鉱石をどんと置き、ダンさんにも時折加わってもらいながら魔物討伐の状況を俺とサーシャが主に説明した。

「えらい早かったじゃねえか! 驚いたよ。これで本腰入れて製錬所の建設に入れるってもんだ」

 親方は上機嫌でしきりに俺たちを褒めてくれた。
 うん、犬形態のおかげで、依頼自体は多分1日早く終わったんだよな。帰路に思ったより時間が掛かっただけでさ……。
 サーシャも当てもなく走り回るより俺の案内があったから早く終わったと、あの晩は首に抱きついてわしわししてくれたし。

 考えてみたらソニアは基本的に街でずっと暮らしてきたから、山に登る機会なんかなかったんだろうな。登りは疲れるだけでなんとかなったけど、普段使わない筋肉を使う下りはどうにもならなかったってやつ。

 これは単純に慣れの問題なんだけども……ソニアは目標金額に到達したから、きっと冒険者を引退するんだろう。
 もう山を無理に登ったり、0距離で殺人兎キラーラビツトを倒して返り血を浴びるような危険なことはごめんだろうし。

 ――ソニアがいるめちゃくちゃなパーティーにも慣れてきたところだったけど、彼女がいなくなるのは……。
 悪いけど、ちょっと安心するな。本当にソニアの魔法は怖い。


 そのまま俺たちは冒険者ギルドへと向かった。
 ギルドには数人の冒険者がぶらぶらとしている。めぼしい依頼がないから、新しい依頼が貼られるのを待っているのだろう。
 案外そういう低レベル冒険者も多いと以前ギャレンさんから聞いた。

「鍛冶ギルドからの依頼完了の報告です。それと、オウルベア10頭の買い取りをお願いします」

 サーシャが受付で告げると、いつもの眼鏡の男性職員が立ち上がる。
 
「はぁぁぁ、本当にジョーさんの空間魔法は便利ですね。オウルベア10頭か、それを短期間で倒せるサーシャさんも凄いですけども。そういえば、ダイアウルフの群れの討伐に関しては?」

 職員の言葉に驚いたのか、ちらちらとこちらを窺っている冒険者までいる……。
 
「ダイアウルフは傷つけ過ぎちゃって買い取りに向かないと判断したので、埋葬しました。約20匹ほどの群れで、鉱夫の方の中にも戦闘を実際目撃された方もいます。今鍛冶ギルドに報告のために戻られてますし、鍛冶ギルドでもそれは了承済みです」
「ダイアウルフはやっぱり毛皮ですからね……。それでは、隣の倉庫でオウルベアを確認させていただきましょう」

 職員に促されて俺とサーシャが倉庫に向かおうとしたとき、奥の小部屋からちょうどエリクさんが出てきた。ソニアを見てビクリと固まっている。

「おう、ソニア! 被害者は出してないか?」

 いきなり挨拶がそれか!
 ソニアも思うところがあったのか、すらりと腰のシミターを抜き放つ。

「被害出ましたが軽微です! それと、師匠からいただいたこのシミター、タンバー神殿で大活躍でしたよ。大活躍! んもー!」
「ははは、よかったじゃないか! やっぱりお前は剣の才があるよ」
「手合わせします!?」
「遠慮する!」

 相変わらず仲が良いなあ、ソニアとエリクさん。
 俺はひっそりと笑いながら、隣の倉庫に入った。


 鍛冶ギルドからの報酬が15万マギル。それと、オウルベアの買い取りが1頭当たり5000マギルで計5万マギル。
 なんと20万マギルもの報酬を得てしまった。
 3人で割ると割り切れない金額だけども、ソニアは6万マギルだけを受け取り、端数はサーシャに渡した。

「私が冒険者になるときに、革鎧とかいろいろ揃えてくれたから、足りないだろうけどこれはせめて受け取っておいて。――私はこれから一度友達の家に戻ってお金を持って、父さんのところへ謝りに行くわ。
 サーシャ、ジョー、もしよかったらでいいんだけど、一緒に来てくれるかしら」

 ソニアの表情は真摯で、廃工場での顔合わせの時に叫びまくって気絶した人間と同一人物に思えないくらいだ。
 俺とサーシャは顔を見合わせ、笑顔で「もちろん」と答えた。
 危なっかしいところの方が大きいけど、俺とサーシャにとってソニアはやっぱり大事な仲間だから。

 ソルース区3番地の5にあるアパートメントに着くと、ソニアは一度3階にある部屋へ上がり、すぐに戻ってきた。
 着替えたりするかと思ったけど、冒険者としての服装のまま実家に行くことにしたらしい。
 なんとなく、ソニアの覚悟がわかる気がした。
 お嬢様育ちでごつい冒険者も魔物も怖がっていたソニアが、冒険者になってまで誠意を貫くために30万マギルを貯めたのだ。

「お待たせ、それじゃ行きましょう」

 そう言って微笑むソニアは、初めて会ったときよりも美しいと俺には思えた。


 ソニアの実家であるクエリー商会の本店は、改めて来てみたら見覚えのある店だった。
 そうだ、俺がこの世界に来たとき、サーシャと一緒にテントとかを買い揃えた店がそういえばこの店だ。道理でソニアがテントに詳しいわけだ。

 ドアを開けると来客を知らせるガランガランというベルの音が響いた。奥から「いらっしゃい」という男性の声が聞こえる。
 店内には俺たち以外にも客が数人。ソニアは深呼吸をすると、真っ直ぐ奥へと向かって行った。

「お客さん、何か探して――ソニア!?」

 俺が何度もお世話になっているルゴシ・クエリーさんの兄だというソニアの父は、俺の父と同じような年頃だろうか。
 店に現れたソニアを見て、彼は口をぽかんと開け、驚愕を少しも隠していなかった。

「忙しいところごめんなさい、父さん。30万マギルを貯めてきたの。少し話をさせてもらえますか?」
「あ、ああ……その、後ろの人たちは」
「サーシャとジョー。私を冒険者に誘ってくれて、支えてくれた大事な友達よ。彼らも一緒にお願いします」

 ソニアの父は無言で頷き、卓上の高い音色のベルを鳴らした。店の中にいた店員が、彼と入れ替わりに会計場所に入る。

「家に行こう。落ち着いて話ができるところが良いだろう」

 自ら先導して、ソニアの父は店を出て裏手にある家へと入っていった。
 その途中で、俺たちに背を向けたままでぽつりと呟いた言葉に、俺は胸がいっぱいになる。

「ソニア――変わったな。この家を出たときから、お前は見違えるように成長した」


「あなた、こんな時間にどうしたの――ソニア!? 探してたのよ、病気にはなったりしていない? 元気にしていたの?」

 丈の長いドレスに近いような服を着た女性がソニアに駆け寄ってくる。ソニアとよく似た赤毛の、美しい女性だ。
 彼女の声の慌てようから、彼女が本気でソニアのことを心配していたのがよくわかった。

「お母さん、心配掛けてごめんなさい。ルゴシ叔父さんから父さんが私を探してたって聞いたけど、探してくれてたのはお母さんだったのね。
 病気とかは一切しなかったわ。元々丈夫に産んでもらったおかげね。……今日ここへ来たのはね、チャーリーとのことは私が騙されていたと気付いて、私が店から盗んだお金を返して謝るためなの」

 ソニアは母を抱きしめて、穏やかな声で話していた。
 本当に、ソニアは変わったな。さっきエリクさんと話していたときはいつものソニアだったけども。

 俺たちは応接間に通された。なんだか高価にしか見えない置物とか調度品がある、おそらく商談なんかに使う部屋じゃないのか? という感じの部屋。

 大きなテーブルを挟んで向こうのソファにはソニアの両親、こちらにはソニアを挟んで俺とサーシャが座る。
 ソニアはテーブルの上にいくつかの袋を載せた。袋の中身はこれまで彼女が稼いできたお金だと重い音でわかる。

「父さんに無理矢理家を追い出されたときは恨んだわ。でも、この家に戻るために必死に半年掛けて8万マギルを貯めたの。そして大工ギルドで仕事をしているときにジョーに出会って……その先の話はルゴシ叔父さんから聞いたんじゃないかしら」
「いや、ルゴシは何も言っていなかった。お前に会ったことも、安否も」
「そうなの? ジョーはサーシャと一緒に冒険者をしている空間魔法使いで、ベーコン工房を作りたくて私やルゴシ叔父さんの力を借りようとしてたのよ」

 そしてソニアは、あの顔合わせの日にあったことをごまかすことなく詳細に話した。
 恋人だと思っていたチャーリーに騙されたことに気付いたこと。それに気付かせてくれたのは俺やサーシャだということ。そして、サーシャから誘われて冒険者として稼ぐことを決心したこと――。
 
 若干美化してるけどな……。冒険者ギルドに登録したのはサーシャに丸め込まれたからで、ソニアはビビりまくりだったし「覚悟」のゲシュタルト崩壊を起こしてたし。
 
「私、あまりにも世間知らずだったわ。冒険者のこともよく知りもせずに嫌がっていた。それなのに、自称冒険者のチャーリーには騙されて。父さんにもお母さんにも本当に迷惑を掛けてしまった……。
 でも、サーシャとジョーが支えてくれたから、風魔法の修行もして冒険者としてやってこられたの。高ランクのプリーストであるサーシャや空間魔法使いのジョーのおまけでしかなかったかもしれないけど、ふたりはずっと私と一緒にパーティーを組んで依頼を受けてくれたわ。
 これは、今まで私が貯めたお金。32万マギルあります。多いのは迷惑料と利子だと思ってください」

 俺はこんなにも真面目に話すソニアを見たことがなかった。
 チラリと横を見ると、サーシャはテーブルの下でぎゅっと手を組んでいる。おそらく、ソニアの行動を両親が受け入れてくれるよう祈っているのだろう。
 テーブルの向かい側では、ソニアの母が目に涙を溜め、ハンカチを握りしめて娘の話を聞いていた。

 そしてソニアの父は――。
 無言で、膝の上に肘を突いて指を組み、ソニアの顔をじっと見つめていた。

「許してくれって簡単には言えないわ。……でも、父さん、このお金を受け取ってくれますか? 私がクエリー商会に与えてしまった損害を、これで埋め合わす機会を与えてくれますか?」

 化粧っ気もなく髪を一本に束ね、飾り気もない服に身を包み、腰に剣を下げて胸元には杖を差し込んだ娘を父はじっと見ていた。
 そして、おもむろに視線を俺とサーシャの上に移す。

「君たちに聞かせて欲しい。娘は、常に真摯であったか?」

 静かな声だった。既に答えは出ているのだろうけど、俺たちの話も聞きたいのだろう。

「はい、ソニアさんは冒険者になる前から厳しい節約をして8万マギルものお金を貯めていました。
 冒険者として登録してからは魔法の制御をするための修行を必死にして、先日もジョーさんとふたりでダイアウルフの群れを退治したんです。街の外で魔物と戦うのが怖いと言っていたソニアさんが、覚悟を決めて贖罪のために頑張ってきた成果がこのお金です」
「俺から見てもソニアは急に環境が変わったにもかかわらず、頑張り続けていました。どうか、そのお金を受け取ってあげてください」

 俺とサーシャはソニアの横で揃って頭を下げた。しばらくそのまま頭を下げていたら、思わぬ優しい声が頭上から聞こえて俺は驚いた。

「ソニア、よくやったな。友人の助けを借りながらも過ちに気付き、贖罪のために実際に行動した。30万マギルという金の価値は、お前にとって身に染みただろう」
「ええ、大変なお金だったわ」
「余分の2万も含めて、これは正式に受領する。ソニア、この家に戻ってきなさい。今のお前なら、以前よりもっとこの店を盛り立てて人の役に立つことができるだろう」

 ああ……!
 良かった!

 俺が安堵で肩の力を抜いた瞬間、真横から意外な言葉が飛び出した。

「いろいろ考えたのだけど、私はこの家には戻りません。サーシャとジョーと一緒に、冒険者を続けるわ」
「「「えーっ!?」」」

 俺とサーシャ、そしてソニアの母の驚愕の叫びが唱和する。
 その場で驚いていないのは、ソニアとその父だけだった。
 
 
 とりあえず蜜蜂亭に行って何か食べようかということになり、俺とサーシャとソニアは大通りを冒険者ギルドの方へと歩いていた。

「びっくりです……」
「俺も……」
「ごっめーん、先に相談してなかったわね! 気付いたのよ、私案外冒険者が嫌いじゃないわ。それに、ジョーとサーシャのことが大好きよ。だからこれからも一緒にいたいの。いいわよね?」
「事後報告」
「私たちが断らないって知ってて後から言うのがソニアさんですよね……でも、実はちょっと嬉しいです。これでお別れかなと思って寂しかったから」

 軽い笑い声をあげながら俺たちは並んで道を歩いていた。
 そして、人とすれ違ったと思った次の瞬間、俺は背中に激しい衝撃を受けていた。

 何の警戒もしていなかったところへの、あまりにも効果的な不意打ち。
 俺はたった一撃で地面に倒れ、そのまま意識を失った――。
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