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第三章 煌めきの王子と王宮勤め
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「王子にお前の存在を気づいて貰えとは言ったがな……なにもあんな危険な状況になった時に、人込みかきわけて前に出ろとは言ってないんだよ!」
烈火の如く怒り狂うというわけではないが、静かに怒りの炎を燃やして、アウレディオはいつまでもエミリアに対して怒っていた。
「ごめんなさい……」
ここはひたすらに謝るしかないとふんだエミリアは、素直に頭を下げ続けた。
城の外周。
いつもの休憩の木陰に座って、広げられた弁当をつまんでいるのは、今のところフィオナだけだ。
「でもいつの間にあんなところに移動してたの? 私、広場を見下ろす物見台から、ずっとエミリアを観察してたんだけど、全然気がつかなかったわ」
フィオナの指摘に、エミリアはぎくっと首が縮み上がるような気がした。
「そ、それは……気がついたらあそこに居たって言うか……なんて言うか……」
しどろもどろに弁解してみても、エミリアの周りの空間をじっと見つめているフィオナにも、心の奥底まで見通してしまうような真っ直ぐな視線を向けてくるアウレディオにも、とうてい通じる気はしなかった。
覚悟を決めて、実際に自分に起きた出来事を伝えてみる。
「なんだか……時間が止まったみたいになっちゃって……他の人はみんな動かなくなって……それでなぜか王子と私だけ動けたんだけど……」
しかし真実を告げたからといって、簡単に信じてもらえるような内容ではない。
「は?」
「何ですって?」
揃って冷たい反応を返されて、エミリアはそれ以上言い募る気力をなくした。
「ごめん。なんでもない……」
うな垂れたエミリアの耳に、遠くから呼びかける声が聞こえる。
「おーい。おーい」
訝しげに辺りを見回してみると、城壁から続く細い道を走って、こちらに向かってくる人影が二つ見えた。
背が高くてがっしりした体つきの一人は、おそらくランドルフ。
そしてもう一人は――日の光にも負けないぐらいに輝くあの黄金色の髪の人物は――。
「まさか……!」
息を呑むエミリアにつられて、アウレディオとフィオナも小道のほうをふり返った。
「ねえ、あれってもしかして……?」
「ああ、そうだな」
めいめいにくつろいで座っていたアウレディオとフィオナが、さっと居住まいを正す。
慌ててエミリアがそれに倣う間にも、二人の青年は、三人のもとへとたどり着いた。
「やあ、勇敢なお嬢さん。さっきはどうもありがとう」
恭しげに上半身を折り曲げてお辞儀し、優雅な動作で手に取ったエミリアの手の甲に挨拶の口づけを落としたのは、やはりこの国の王子――フェルナンド・ディ・エテルバーグ――その人だった。
「さっきのお礼とちょっとしたお願いをしたくて、君を捜してた。ランドルフがひょっとしたら知ってるかもっていうんで、ここに連れてきてもらったんだ。もう一度会えて、本当に良かった」
たとえさっきまでは王子に対して恋心がなかったとしても、輝くような笑顔を向けられて、両手を握られながらそんなことを言われると、今この瞬間に恋に落ちてしまいそうだ。
――エミリアは王子の姿に見惚れながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
少し離れたところでみんなを見守っているランドルフの存在も、『それみたことか』と言わんばかりのフィオナとアウレディオの視線も、気にならないわけではなかったが、エミリアはそれ以上に目の前の本物の王子様に、魂を吸い取られてしまっていた。
「エミリアっていうんだね……」
フェルナンド王子には、エミリアの男装などまるで意味がないようだ。
「私はレディを男とまちがうような野暮じゃないよ」
碧色の瞳をパチリと片方瞑りながら、悪戯っぽく笑う表情も実に魅力的だ。
(もういいや……ランドルフ様のことも好きだけど、王子にも憧れる恋多き女でいいです。私……)
誰にともなく降参の白旗を上げたエミリアは、ふいにより一層近づいた王子の顔に、ドキドキとさらに胸を高鳴らせた。
「実は、君に折り入ってお願いがあるんだけど……」
王子の言葉も、ただただ耳に心地よく、薔薇色の頭の中を素通りしていく。
しかし――
「よかったらこれから祭りの間、なるべく私の傍にいてくれないだろうか?」
最後の理性までは、エミリアは失っていなかった。
「……はい?」
なんだか今、とんでもないことを聞いた気がする。
呆然と王子の顔を見つめるエミリアに、王子は大きく破願した。
「はははっ! 君って本当に見ていて飽きないなあ。今まで近くにいなかったタイプだ。うん、やっぱり気に入った。私の傍にいてくれるね?」
ザッと地面を蹴って、なぜかアウレディオがもの凄い勢いで立ち上がった。
射るように鋭くした蒼い瞳で、真っ直ぐにフェルナンド王子を見据える。
「そいつに、何かやらせたいことでもあるんですか?」
不遜とも取れる言い方に、王子は腹を立てたりなどしなかった。
その代わり、すっと真面目な表情になって、ずっと握ったままだったエミリアの手をようやく開放する。
「ああ。……どうやら彼女には、察しのいい騎士がついているようだね。よかったら君も一緒に来てくれるかい?」
「僭越ながら、謹んでお断りさせていただきます。俺はともかく、そいつを危ない目に遭わせるわけにはいきません」
身も蓋もない返答に、王子は小さく肩を竦めた。
不敬罪として、今すぐこの場で捕らえられても文句は言えないようなアウレディオの態度だった。
いつもなら、じゅうぶんに常識をわきまえているはずのアウレディオの思いがけない行動に、エミリアは不安になる。
「ちょっと! どうしちゃったのよ、ディオ?」
アウレディオの上着の裾を小さく引くエミリアの様子に、フェルナンド王子はすっと目を細めた。
「残念だが、彼女じゃないと意味がないんだ……もちろん君のその判断力と、広場の群衆の中でもあっという間に彼女を攫った行動力も惜しいけどね……
」
そうしてもう一度エミリアの手首を掴んだ。
まるでそれに対抗するかのように、庇うようにエミリアの肩に手を掛けたアウレディオ。
このままでは険悪になってしまいそうな雰囲気を感じ、エミリアはたまらず、声高らかに宣言した。
「わかりました! はいっ! 私やります!」
「エミリア!」
咎めるように珍しく名前を呼んだアウレディオの声にドキリとしながらも、エミリアは視線にぐっと力をこめて、いつもアウレディオがそうしているように、目だけで語りかける。
(だってこのままじゃ……ディオが王子の意に反した犯罪者扱いになっちゃうじゃない……それに今のところ、ミカエルを捜す手がかりは他にはないんでしょ?)
アウレディオは少し沈黙した末に、ふうっと大きなため息を吐いた。
どうやらエミリアの意志を尊重することにしたようだ。
そんな様子を横目に見ながら、フィオナもさっと手を上げる。
「はい。それなら私も手伝うわ。正直、王子のオーラは見えないし、どうやら王子の周りにいる人たちもあまり良い色の人はいないみたいだけど……だからこそそんなところへ、エミリアを一人で行かせるわけにはいかないもの」
横目でちらりと睨んだ様子からすると、どうやら最後のほうはアウレディオに対するあてつけのようだった。
フェルナンド王子は、花が綻ぶかのように優雅に微笑んで、アウレディオへと向き直る。
「お姫様方はこう仰っているけど……騎士君はどうする?」
アウレディオは悔しそうに唇を噛みしめながらも、かすかに頷いた。
「わかりました。俺もやらせていただきます」
しかしその蒼い瞳には、獲物を見つけた獣のようにギラギラとした激しい光が宿っている。
「その代わりお願いがあります。任務が終わったらその最後に、俺たちの願いを一つ聞いて下さい」
(……それって、もしかして?)
息を呑むエミリアに、アウレディオが頷き返す。
「無茶なことではないです。心配は要りませんし、すぐに終わります」
真摯な瞳をしばらく見つめた末に、フェルナンド王子はゆっくりと頷いた。
「いいだろう。褒美の金でも役職でも、好きに願うといいよ……」
こうしてエミリアたち三人は、臨時の衛兵たちから、王子づきの侍女と騎士見習いへと、格上げになったのである。
烈火の如く怒り狂うというわけではないが、静かに怒りの炎を燃やして、アウレディオはいつまでもエミリアに対して怒っていた。
「ごめんなさい……」
ここはひたすらに謝るしかないとふんだエミリアは、素直に頭を下げ続けた。
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いつもの休憩の木陰に座って、広げられた弁当をつまんでいるのは、今のところフィオナだけだ。
「でもいつの間にあんなところに移動してたの? 私、広場を見下ろす物見台から、ずっとエミリアを観察してたんだけど、全然気がつかなかったわ」
フィオナの指摘に、エミリアはぎくっと首が縮み上がるような気がした。
「そ、それは……気がついたらあそこに居たって言うか……なんて言うか……」
しどろもどろに弁解してみても、エミリアの周りの空間をじっと見つめているフィオナにも、心の奥底まで見通してしまうような真っ直ぐな視線を向けてくるアウレディオにも、とうてい通じる気はしなかった。
覚悟を決めて、実際に自分に起きた出来事を伝えてみる。
「なんだか……時間が止まったみたいになっちゃって……他の人はみんな動かなくなって……それでなぜか王子と私だけ動けたんだけど……」
しかし真実を告げたからといって、簡単に信じてもらえるような内容ではない。
「は?」
「何ですって?」
揃って冷たい反応を返されて、エミリアはそれ以上言い募る気力をなくした。
「ごめん。なんでもない……」
うな垂れたエミリアの耳に、遠くから呼びかける声が聞こえる。
「おーい。おーい」
訝しげに辺りを見回してみると、城壁から続く細い道を走って、こちらに向かってくる人影が二つ見えた。
背が高くてがっしりした体つきの一人は、おそらくランドルフ。
そしてもう一人は――日の光にも負けないぐらいに輝くあの黄金色の髪の人物は――。
「まさか……!」
息を呑むエミリアにつられて、アウレディオとフィオナも小道のほうをふり返った。
「ねえ、あれってもしかして……?」
「ああ、そうだな」
めいめいにくつろいで座っていたアウレディオとフィオナが、さっと居住まいを正す。
慌ててエミリアがそれに倣う間にも、二人の青年は、三人のもとへとたどり着いた。
「やあ、勇敢なお嬢さん。さっきはどうもありがとう」
恭しげに上半身を折り曲げてお辞儀し、優雅な動作で手に取ったエミリアの手の甲に挨拶の口づけを落としたのは、やはりこの国の王子――フェルナンド・ディ・エテルバーグ――その人だった。
「さっきのお礼とちょっとしたお願いをしたくて、君を捜してた。ランドルフがひょっとしたら知ってるかもっていうんで、ここに連れてきてもらったんだ。もう一度会えて、本当に良かった」
たとえさっきまでは王子に対して恋心がなかったとしても、輝くような笑顔を向けられて、両手を握られながらそんなことを言われると、今この瞬間に恋に落ちてしまいそうだ。
――エミリアは王子の姿に見惚れながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
少し離れたところでみんなを見守っているランドルフの存在も、『それみたことか』と言わんばかりのフィオナとアウレディオの視線も、気にならないわけではなかったが、エミリアはそれ以上に目の前の本物の王子様に、魂を吸い取られてしまっていた。
「エミリアっていうんだね……」
フェルナンド王子には、エミリアの男装などまるで意味がないようだ。
「私はレディを男とまちがうような野暮じゃないよ」
碧色の瞳をパチリと片方瞑りながら、悪戯っぽく笑う表情も実に魅力的だ。
(もういいや……ランドルフ様のことも好きだけど、王子にも憧れる恋多き女でいいです。私……)
誰にともなく降参の白旗を上げたエミリアは、ふいにより一層近づいた王子の顔に、ドキドキとさらに胸を高鳴らせた。
「実は、君に折り入ってお願いがあるんだけど……」
王子の言葉も、ただただ耳に心地よく、薔薇色の頭の中を素通りしていく。
しかし――
「よかったらこれから祭りの間、なるべく私の傍にいてくれないだろうか?」
最後の理性までは、エミリアは失っていなかった。
「……はい?」
なんだか今、とんでもないことを聞いた気がする。
呆然と王子の顔を見つめるエミリアに、王子は大きく破願した。
「はははっ! 君って本当に見ていて飽きないなあ。今まで近くにいなかったタイプだ。うん、やっぱり気に入った。私の傍にいてくれるね?」
ザッと地面を蹴って、なぜかアウレディオがもの凄い勢いで立ち上がった。
射るように鋭くした蒼い瞳で、真っ直ぐにフェルナンド王子を見据える。
「そいつに、何かやらせたいことでもあるんですか?」
不遜とも取れる言い方に、王子は腹を立てたりなどしなかった。
その代わり、すっと真面目な表情になって、ずっと握ったままだったエミリアの手をようやく開放する。
「ああ。……どうやら彼女には、察しのいい騎士がついているようだね。よかったら君も一緒に来てくれるかい?」
「僭越ながら、謹んでお断りさせていただきます。俺はともかく、そいつを危ない目に遭わせるわけにはいきません」
身も蓋もない返答に、王子は小さく肩を竦めた。
不敬罪として、今すぐこの場で捕らえられても文句は言えないようなアウレディオの態度だった。
いつもなら、じゅうぶんに常識をわきまえているはずのアウレディオの思いがけない行動に、エミリアは不安になる。
「ちょっと! どうしちゃったのよ、ディオ?」
アウレディオの上着の裾を小さく引くエミリアの様子に、フェルナンド王子はすっと目を細めた。
「残念だが、彼女じゃないと意味がないんだ……もちろん君のその判断力と、広場の群衆の中でもあっという間に彼女を攫った行動力も惜しいけどね……
」
そうしてもう一度エミリアの手首を掴んだ。
まるでそれに対抗するかのように、庇うようにエミリアの肩に手を掛けたアウレディオ。
このままでは険悪になってしまいそうな雰囲気を感じ、エミリアはたまらず、声高らかに宣言した。
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フェルナンド王子は、花が綻ぶかのように優雅に微笑んで、アウレディオへと向き直る。
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アウレディオは悔しそうに唇を噛みしめながらも、かすかに頷いた。
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(……それって、もしかして?)
息を呑むエミリアに、アウレディオが頷き返す。
「無茶なことではないです。心配は要りませんし、すぐに終わります」
真摯な瞳をしばらく見つめた末に、フェルナンド王子はゆっくりと頷いた。
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