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第六章 渦色の運命

85:再会1

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 私の肩を抱く紅君の手は、温かいより熱いくらいだ。
 背中から肩にかけ、これまでで一番近くに彼の気配を感じる。
 ズシリと肩にのしかかってくるような重みは、決して私を逃がさないという意思表示のようにも感じた。 

(紅君……)

 それは彼が記憶をとり戻したからなのか。
 それとももっと他の理由からなのか。
 答えが知りたい。
 でも知りたくない。
 
 笑顔のまま翔太君と話をしている紅君の様子は、まるでいつもどおりに見える。
 冗談を言いあい、簡単に近況を報告しあい、だが、だからこそ普通ではないのだと痛感する。 

(だって……本当なら紅君は翔太君を覚えてないはずで……もちろん昔の話なんてできないはずで……なのに!)
 
 私の中の『もしかして』という思いが、次第に『きっと』という確信へ変わっていく。

(思い出したんだ……! 紅君!) 

 もしまちがっていたなら大きく落胆することになる。
 それでも期待せずにはいられなかった。
 しかし本人にそれを確認することは、なかなかできなかった。
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