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第二章 鈍色の慟哭
21:天戒2
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(私のせいでごめんなさい! 私が『希望の家』にいたばっかりにみんなを巻きこんでしまって……ごめんなさい!)
まるでそんな言葉を私に言わせまいとするかのように、紅君はどんどん自転車のスピードを上げていく。
遠くに見えてきた黒煙に、更にスピードを上げようとしたのか、紅君がブレーキから手を放したのが見えた。
目の前に近づく車の多い国道。
頭の中に残る「気をつけてね!」という冨田さんの声。
それらに何故かとてつもなく背筋が冷えた瞬間、私たちに向かい、大きなトラックが横滑りにつっこんできた。
紅君の背中越し、トラックの運転席に座る男性がハンドルにぶら下がるようにして意識を失っている姿が、まるでスローモーションのようにゆっくりと私には見えた。
(…………!)
ノーブレーキの大型トラックにほぼ真正面からぶつかり、空高く舞い上がった赤い自転車。
道路脇のガードレールに背中からしたたかに打ちつけられた私は、道路の真ん中に倒れた紅君に向かい、トラックが再びつっこんでいく光景を、為す術もなく見ていた。
「いやあああああっ! 紅君!!!」
さし伸べようとした腕が、自分の意志では動かない。
叫んだはずの言葉も、実際に音になっていたのかよくわからない。
音も感覚もなく、ただ映像ばかりになった私の世界が、次第に真っ赤に血塗られ、たった一つだけ残されていた視覚――見ることさえできなくなっていく。
(やだ! やだよ! お母さん! 園長先生! みんな! ……紅君! 紅君!!紅君!!!)
体と心を貫く激痛に抗う術もなく、私は意識を手放した。
深い闇の中へ、たった一人で落ちていった。
まるでそんな言葉を私に言わせまいとするかのように、紅君はどんどん自転車のスピードを上げていく。
遠くに見えてきた黒煙に、更にスピードを上げようとしたのか、紅君がブレーキから手を放したのが見えた。
目の前に近づく車の多い国道。
頭の中に残る「気をつけてね!」という冨田さんの声。
それらに何故かとてつもなく背筋が冷えた瞬間、私たちに向かい、大きなトラックが横滑りにつっこんできた。
紅君の背中越し、トラックの運転席に座る男性がハンドルにぶら下がるようにして意識を失っている姿が、まるでスローモーションのようにゆっくりと私には見えた。
(…………!)
ノーブレーキの大型トラックにほぼ真正面からぶつかり、空高く舞い上がった赤い自転車。
道路脇のガードレールに背中からしたたかに打ちつけられた私は、道路の真ん中に倒れた紅君に向かい、トラックが再びつっこんでいく光景を、為す術もなく見ていた。
「いやあああああっ! 紅君!!!」
さし伸べようとした腕が、自分の意志では動かない。
叫んだはずの言葉も、実際に音になっていたのかよくわからない。
音も感覚もなく、ただ映像ばかりになった私の世界が、次第に真っ赤に血塗られ、たった一つだけ残されていた視覚――見ることさえできなくなっていく。
(やだ! やだよ! お母さん! 園長先生! みんな! ……紅君! 紅君!!紅君!!!)
体と心を貫く激痛に抗う術もなく、私は意識を手放した。
深い闇の中へ、たった一人で落ちていった。
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