もう一度『初めまして』から始めよう

シェリンカ

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6 夢見た未来

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「私のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんは……?」

 父は「ああ」と頷き、二人について教えてくれた。

「もともと俺を生んだあとからお祖母ちゃんは病気がちだったけど、兄貴が亡くなってからめっきり体を壊して……お祖父ちゃんと二人でこの家へ通うのが楽しみの、晩年だったな……」
「そっか……」

 その老後は、あれほど元気な椿ちゃんからは想像がつかないが、年をとっても誠さんと仲良しだったふうなのには、少し安心した。

「和奏が小学校へ上がる頃、もう長くはないと医者から診断されて、この家に引きこむことを決めたから、俺も最後の親孝行と思って一緒に住むことにした。そのせいで和奏には寂しい思いをさせることになったけど……悪かったな」
「ううん。あの時は寂しかったけど……今はもう大丈夫だから……」

 父が母と別れてこの町へ帰ってきたのにはそういう理由があったのかと、私は驚くばかりだった。

「お母さんと私もここへ連れて帰ろうとは思わなかったの?」

 訊ねてみると、とても驚いた顔をされる。

「冴子……いや、お母さんを? 無理だろ。あの仕事人間には……」

 酷い言い分の中にも、気心の知れた気安さが垣間見え、私は嬉しかった。

「そんなこと言うと怒られるよ」
「和奏が言わなきゃわからないだろ……まさか俺を裏切るつもりか?」
「大丈夫、大丈夫」
「本当かぁ……?」

 疑うように私の顔を見ながらも、父の目は笑っている。
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