3 / 32
第一章
2
しおりを挟む
リリーア・アッシュバーンがこの風車小屋で生活を始めたのは、十日前のことだ。
麦畑で倒れていたところを、親切な親子に助けてもらい、とりあえずカルンの町にある親子の家へ招いてもらった。
目が覚めてすぐは、自分が何者なのか、自分の身に何が起こったのかも全くわからなかったが、町へ向かううちに、なぜだか名前だけは思い出した。
しかし、それ以外は一切記憶にない。
親子は三人暮らしで、母親も気さくな人物であり、記憶が戻るまで家で暮らしたらいいと言ってくれたが、噂がすぐに広まり、小さな家は大勢の町人たちに取り囲まれる事態となった。
そこへきてリリーアは、どうやら自分の容姿がとても目を惹くものらしいということを理解した。
他の人々とは、あきらかに肌の色が違う。
カルンの町の人々は、農業を生業にしている者が多く、健康的な小麦色の肌をしているのに対し、リリーアの肌は透き通るように白い。
銀糸のような髪色も、他に見ることはなく、紫色の瞳も珍しいと、彼女を見つけた少年――ダノンは言う。
「やっぱり、ねえちゃん……妖精なんじゃないの?」
「さすがに、人間だとは思うけれど……」
町の人々でリリーアを知っている者はおらず、もともとこの辺りに住んでいたのではないようだ。
自分が何者なのかには興味があったが、知る術がなく、リリーアはひとまずカルンの町で暮らすことにした。
注目を集めすぎてダノンたちに迷惑をかけてしまうので、町から少し距離を置いた、静かな場所はないかと試しに聞いてみたところ、共用の風車小屋はどうかと町長が申し出てくれた。
町からそれほど離れていないが、周りに家はなく、静かなところではある。
人が住めるように造られてはいなかったので、少し手を加えることを了承してもらい、各家の不用品を集めて回ると、あっという間にリリーアが一人で暮らすくらいの設備は整った。
実際に住むようになってからは、食料品や身の回りの品を届けてくれる町の男たちの列が、連日途切れない。
(みんなとても親切で、暮らしやすい町だわ……)
ありがたく思いながらも、リリーアは準備を怠らなかった。
過ぎた恩恵は、とかく悪い感情を生む種にもなりやすい。
男たちがこぞって自分に貢いでくれるのが、この容姿のせいならば、近いうちに必ず、それを面白くないと思う女性たちの感情が爆発するはずだ。
(きっと……ううん、必ず)
間違いないという確信は、記憶はないながらもどうやらこれまでの経験からきているようで、おそらくこういうことが、これまでにも何度もあったのだろう。
(何か……お返しできるものはないかしら?)
自分は敵ではなく、町ののどかな生活を脅かす者でもないと、女性たちに証明するためには贈り物が有効だ。
それも女性が喜ぶようなものならば、尚いい。
リリーアは、発見された時に自分がまとっていたショールを解き、それで飾り物を編むことにした。
銀糸や金糸を織り込んだそのショールを始め、着ていたドレスも靴も、下着に至るまで、いかにも高級品ばかりで、自分はいったい何者なのだろうとも思うが、料理も編み物もすいすいと出来るので、おそらく身分が高いわけではないとリリーアは判断している。
土壁がむき出しの部屋も、窓から見える麦畑の景色も、決して慣れないものではなく、逆に落ち着く。
こういった環境が、合っているような生活だったのだろう。
(たぶん……ここではない、どこか田舎の町で、普通に暮らしてたんじゃないかな……)
そのわりに豪勢な服は、この際、いったん忘れることにする。
(きっと、特別な何かがあって、たまたま着飾ってたのよ……そうに違いない……)
自分に言い聞かせるように心の中で唱え、また何かの時のために飾り物を編んでおこうと、窓際の椅子に座った時、窓の外に白いものが見えた。
(何かしら……?)
リリーアが首を傾げて思わず見入ってしまったのは、それが次第にこちらへ近づいてくるからだ。
「まあ……馬だわ……」
それは二頭の立派な馬だった。
白馬に続いて栗毛。
どちらも若い男が騎乗している。
馬は瞬く間に小屋の前に到着し、馬上の人がひらりと地面に降りた。
その人物の姿を見て、リリーアは思わず呟いてしまう。
「王子様……」
麦の穂よりも鮮やかな黄金色の髪を煌めかせて、白いマントを風に翻し、満面の笑顔でこちらへ駆け寄ってくる男は、絵の中から抜け出てきたかのようによく整った顔立ちをしている。
深い湖の底のような碧色の瞳。きりりと直線の眉。形のいい高い鼻。ひきしまった頬。
柔和なほほえみと相まって、とても優美な印象を受けるのは、白と青が基調の装飾過多な服が、長い手足のすらりとしたスタイルの彼に、とてもよく似合っているからだ。
背景の麦畑が霞み、背後に王城のダンスホールが広がっているような錯覚さえ起こす。
(たぶん、見たことはないんだけど……)
リリーアが心の中で目まぐるしくいろんなことを考えているうちに、男は窓の前に到着した。
「よかった! やっと見つけた! ずいぶんとお探ししました……!」
深い色の瞳を歓喜に潤ませ、耳に心地いい声を感動で震わせて、男はリリーアに向かって恭しく頭を下げる。
その所作の優雅さと、間近で向き合った男のあまりの美貌に、一瞬魂を抜かれていたリリーアは、彼の言葉にはっとなった。
「探すって……私を……?」
ひょっとすると記憶を失う前の自分を知っている人物なのではないかと、心臓が早鐘のように脈打ち始める。
「はいっ!」
うれしげに顔を上げた男は、至極の笑顔をリリーアへと向けた。
「急にいなくなってしまわれ、国中をお探ししました! どれほど心配したか……いいえ……全ては護衛役の私の不徳の致すところ! ……咎はいくらでも受けます……まずは、城へと帰りましょう」
「城!?」
男が差し出す手を、流されるまま取りそうになっていたリリーアは、そこでハタと手を止めた。
「はい! グランディス城です! 婚約者のアルノルト殿下もお帰りをお待ちです!」
(城……殿下……)
さすがに自分には縁のない世界だと、期待にときめいていた気持ちがすーっと冷める。
「あの……私……」
しかし男は、リリーアの話を聞く気はないらしい。
空中で止まっていた手を取り、そのまま引いて歩きだそうとし、リリーアがまだ小屋の中にいることにふと気が付いて、軽く苦笑する。
「――――!」
その笑顔すら麗しく、リリーアは思わず息を呑んだが、男は特に気に留めたふうもなく、ひらりと窓枠を飛び越えて、小屋の中へ入ってきた。
「――――!」
軽やかな身のこなしに驚きつつも、自然と後退ったリリーアとの距離を、男は笑顔で詰めてくる。
「さあ、帰りましょう! コンスタンツェ様」
「……………」
自分とは違う名前で呼びかけられ、リリーアは脱力した。
(やっぱり……)
にこにこと笑いかけてくる男に申し訳ないと思いながらも、やんわりと事実を説明する。
「あの……違います……」
「え……?」
いったい何を言われたのだろうかと、軽く目を見開く表情でさえやはり、リリーアの前でさっと跪いた青年は美しい。
彼の要望に応えられないことを、少なからず残念に思いながらも、リリーアはじりじりと距離を取った。
「私……リリーア・アッシュバーンと申します……その……姫とかじゃありません」
「ええっ!?」
驚愕の表情も、彼は腕のいい彫刻家が彫った銅像のように美しかった。
麦畑で倒れていたところを、親切な親子に助けてもらい、とりあえずカルンの町にある親子の家へ招いてもらった。
目が覚めてすぐは、自分が何者なのか、自分の身に何が起こったのかも全くわからなかったが、町へ向かううちに、なぜだか名前だけは思い出した。
しかし、それ以外は一切記憶にない。
親子は三人暮らしで、母親も気さくな人物であり、記憶が戻るまで家で暮らしたらいいと言ってくれたが、噂がすぐに広まり、小さな家は大勢の町人たちに取り囲まれる事態となった。
そこへきてリリーアは、どうやら自分の容姿がとても目を惹くものらしいということを理解した。
他の人々とは、あきらかに肌の色が違う。
カルンの町の人々は、農業を生業にしている者が多く、健康的な小麦色の肌をしているのに対し、リリーアの肌は透き通るように白い。
銀糸のような髪色も、他に見ることはなく、紫色の瞳も珍しいと、彼女を見つけた少年――ダノンは言う。
「やっぱり、ねえちゃん……妖精なんじゃないの?」
「さすがに、人間だとは思うけれど……」
町の人々でリリーアを知っている者はおらず、もともとこの辺りに住んでいたのではないようだ。
自分が何者なのかには興味があったが、知る術がなく、リリーアはひとまずカルンの町で暮らすことにした。
注目を集めすぎてダノンたちに迷惑をかけてしまうので、町から少し距離を置いた、静かな場所はないかと試しに聞いてみたところ、共用の風車小屋はどうかと町長が申し出てくれた。
町からそれほど離れていないが、周りに家はなく、静かなところではある。
人が住めるように造られてはいなかったので、少し手を加えることを了承してもらい、各家の不用品を集めて回ると、あっという間にリリーアが一人で暮らすくらいの設備は整った。
実際に住むようになってからは、食料品や身の回りの品を届けてくれる町の男たちの列が、連日途切れない。
(みんなとても親切で、暮らしやすい町だわ……)
ありがたく思いながらも、リリーアは準備を怠らなかった。
過ぎた恩恵は、とかく悪い感情を生む種にもなりやすい。
男たちがこぞって自分に貢いでくれるのが、この容姿のせいならば、近いうちに必ず、それを面白くないと思う女性たちの感情が爆発するはずだ。
(きっと……ううん、必ず)
間違いないという確信は、記憶はないながらもどうやらこれまでの経験からきているようで、おそらくこういうことが、これまでにも何度もあったのだろう。
(何か……お返しできるものはないかしら?)
自分は敵ではなく、町ののどかな生活を脅かす者でもないと、女性たちに証明するためには贈り物が有効だ。
それも女性が喜ぶようなものならば、尚いい。
リリーアは、発見された時に自分がまとっていたショールを解き、それで飾り物を編むことにした。
銀糸や金糸を織り込んだそのショールを始め、着ていたドレスも靴も、下着に至るまで、いかにも高級品ばかりで、自分はいったい何者なのだろうとも思うが、料理も編み物もすいすいと出来るので、おそらく身分が高いわけではないとリリーアは判断している。
土壁がむき出しの部屋も、窓から見える麦畑の景色も、決して慣れないものではなく、逆に落ち着く。
こういった環境が、合っているような生活だったのだろう。
(たぶん……ここではない、どこか田舎の町で、普通に暮らしてたんじゃないかな……)
そのわりに豪勢な服は、この際、いったん忘れることにする。
(きっと、特別な何かがあって、たまたま着飾ってたのよ……そうに違いない……)
自分に言い聞かせるように心の中で唱え、また何かの時のために飾り物を編んでおこうと、窓際の椅子に座った時、窓の外に白いものが見えた。
(何かしら……?)
リリーアが首を傾げて思わず見入ってしまったのは、それが次第にこちらへ近づいてくるからだ。
「まあ……馬だわ……」
それは二頭の立派な馬だった。
白馬に続いて栗毛。
どちらも若い男が騎乗している。
馬は瞬く間に小屋の前に到着し、馬上の人がひらりと地面に降りた。
その人物の姿を見て、リリーアは思わず呟いてしまう。
「王子様……」
麦の穂よりも鮮やかな黄金色の髪を煌めかせて、白いマントを風に翻し、満面の笑顔でこちらへ駆け寄ってくる男は、絵の中から抜け出てきたかのようによく整った顔立ちをしている。
深い湖の底のような碧色の瞳。きりりと直線の眉。形のいい高い鼻。ひきしまった頬。
柔和なほほえみと相まって、とても優美な印象を受けるのは、白と青が基調の装飾過多な服が、長い手足のすらりとしたスタイルの彼に、とてもよく似合っているからだ。
背景の麦畑が霞み、背後に王城のダンスホールが広がっているような錯覚さえ起こす。
(たぶん、見たことはないんだけど……)
リリーアが心の中で目まぐるしくいろんなことを考えているうちに、男は窓の前に到着した。
「よかった! やっと見つけた! ずいぶんとお探ししました……!」
深い色の瞳を歓喜に潤ませ、耳に心地いい声を感動で震わせて、男はリリーアに向かって恭しく頭を下げる。
その所作の優雅さと、間近で向き合った男のあまりの美貌に、一瞬魂を抜かれていたリリーアは、彼の言葉にはっとなった。
「探すって……私を……?」
ひょっとすると記憶を失う前の自分を知っている人物なのではないかと、心臓が早鐘のように脈打ち始める。
「はいっ!」
うれしげに顔を上げた男は、至極の笑顔をリリーアへと向けた。
「急にいなくなってしまわれ、国中をお探ししました! どれほど心配したか……いいえ……全ては護衛役の私の不徳の致すところ! ……咎はいくらでも受けます……まずは、城へと帰りましょう」
「城!?」
男が差し出す手を、流されるまま取りそうになっていたリリーアは、そこでハタと手を止めた。
「はい! グランディス城です! 婚約者のアルノルト殿下もお帰りをお待ちです!」
(城……殿下……)
さすがに自分には縁のない世界だと、期待にときめいていた気持ちがすーっと冷める。
「あの……私……」
しかし男は、リリーアの話を聞く気はないらしい。
空中で止まっていた手を取り、そのまま引いて歩きだそうとし、リリーアがまだ小屋の中にいることにふと気が付いて、軽く苦笑する。
「――――!」
その笑顔すら麗しく、リリーアは思わず息を呑んだが、男は特に気に留めたふうもなく、ひらりと窓枠を飛び越えて、小屋の中へ入ってきた。
「――――!」
軽やかな身のこなしに驚きつつも、自然と後退ったリリーアとの距離を、男は笑顔で詰めてくる。
「さあ、帰りましょう! コンスタンツェ様」
「……………」
自分とは違う名前で呼びかけられ、リリーアは脱力した。
(やっぱり……)
にこにこと笑いかけてくる男に申し訳ないと思いながらも、やんわりと事実を説明する。
「あの……違います……」
「え……?」
いったい何を言われたのだろうかと、軽く目を見開く表情でさえやはり、リリーアの前でさっと跪いた青年は美しい。
彼の要望に応えられないことを、少なからず残念に思いながらも、リリーアはじりじりと距離を取った。
「私……リリーア・アッシュバーンと申します……その……姫とかじゃありません」
「ええっ!?」
驚愕の表情も、彼は腕のいい彫刻家が彫った銅像のように美しかった。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
※完結まで毎日更新です。
気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。
「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」
ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。
本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。
もう一度だけ。
しらす
恋愛
私の一番の願いは、貴方の幸せ。
最期に、うまく笑えたかな。
**タグご注意下さい。
***ギャグが上手く書けなくてシリアスを書きたくなったので書きました。
****ありきたりなお話です。
*****小説家になろう様にても掲載しています。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる