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5 ふしぎな間借り人

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 それはなんの変哲もない、普通の古い一軒家だった。
 ドアではなく、引き戸の玄関の鍵を開け、がらがらっと開くと、靴箱があって三和土たたきがある。
 壁に電灯のスイッチを見つけたので、試しに押してみると、外灯も玄関灯も点いた。

「電気、通ってるんだ……」

 ほっとしながら靴を脱ぎ、廊下を進む。
 廊下を中心に左右に二つずつ部屋があり、突き当たりがトイレとお風呂と洗面所。右奥が台所。
 どこも綺麗に掃除されており、窓にはカーテンもかかっていて、今すぐにでも住めそうだった。

 点けれるだけの電灯を点けると、とても明るく、山の上にいることを忘れてしまいそうになる。
 真新しい畳と漆喰の壁のリラックス効果なのか、どこかほっとする。

「今夜はここに泊ろうかな……夜が明けてからのほうが運転も危なくないだろうし、道も探しやすいし……」

 決心しかけて、だったら玄関の扉をしっかり閉めておかなければと、玄関へ向かった。
 三和土に下りて、鍵をかけようと扉に手を伸ばした瞬間、それががらがらっと勢いよく開く。

「ひええええええっ!」

 悲鳴を上げてうしろにとびすざった私の前に、見たことのある人物が現われた。
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