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5th フェーズ 決
No.132 反逆
しおりを挟むアルファとシータ、そしてシドーはアンドロイドの予備パーツ倉庫にいた。
「ありました!」
「スペアの足です!」
アルファとシータがアンドロイドの足を持って、台の上で横たわるシドーの元へ運んだ。
「ありがとうな!へぇ、他のよりも厳つくて頑丈そうだ」
シドーは脚をみて二人に感謝する。
「戦闘用のアンドロイド兵には一部増強パーツが使われているので。頑丈さは保証できます」
「お待ちください、接続致します」
2人は手早くシドーに新しい脚を接続させた。
「動かしてみてください」
「あなたの身体がもつシステムならすぐに適応できるかと」
アルファとシータにそう言われ、シドーは台から降りる。
「おー!うん、よく動くぞ!」
シドーは足踏みをしたりその場で軽快に跳んでみせた。
「助かったよ2人とも!それじゃあおれは上に行く、2人は気をつけて帰るんだぞ!」
彼がそう言うとアルファとシータは驚いた顔で前に出る。
「そんな!私達も」
「そうです!ここで帰れなんて!」
するとシドーは膝をつき頭を下げる。
「頼む」
「コウノって人には君ら二人が必要だ。君らはこの先も生きなきゃならない。未来ある者達だ」
何かを言い返そうかとするアルファとシータ。しかし、何も言い出せなかった。
「出会って間もない、知らん奴の願いなんて知った事ではないだろうが。頼む、
「どうした!カラ・ジーナ!これではサンドバッグではないか!」
「ジーナを離せ!」
シャーロットはコロちゃんずを放って攻撃を仕掛けるがヴァーリにはまるで効かない。
「無駄だ、シャーロット・バベッジ!貴様の攻撃は私の変形を妨害するのが精々と言った所だ。その点カラ・ジーナ!貴様のは素晴らしい、旧時代の人間としては、だがな!」
ヴァーリはそう言うと再びジーナを殴り始めた。
「まずい!ジーナちゃんが!」
「助けに入りましょう!流石にこれ以上は!」
イヴとウルルが準備を止めようとすると何かの通知音が鳴り響く。
「ん?なんの音だ」
ヴァーリが振り返る。
音の発生源はシャーロットだった。
「やった!まにあった!出動だよ!」
シャーロットが手元の端末を操作するとチャールズが使用するガーディアンが現れる。
ヴァーリを目掛けガーディアン達が攻撃。
奇襲を受けたヴァーリはジーナの拘束を緩めた。ジーナはガーディアン達に回収される。
「ちっ、なんだ今度はチャールズの作品か、なぜ君が操作してる?操作権をチャールズから奪ったのか?」
目前に現れたガーディアンをみてヴァーリは首を傾げる。
「彼は簡単に作品を手放すような男じゃない。なるほど!相当手厳しい拷問でもしたな!」
ヴァ―リの発言に対してシャーロットは鼻で笑う。
「好きに言ってなよ」
シャーロットはガーディアンを突撃させた。
「ガーディアン、私の戦闘データを元に対処してくる相手か。だがそんなものは!」
これをヴァーリは一蹴した。発火した脚でガーディアンを踏み潰した。
装甲を溶かされ、内部を完全に破壊されたガーディアンは機能停止する。
「データを取られる前に破壊してしまえば良い。さて、これで奥の手は尽きてしまったかな?」
「なわけないでしょ?私の狙いは下で作業を終えた仲間をここに運ぶこと!」
シャーロットがそう言うとヴァーリは後ろを振り向いた。
「おー!カッコいい!」
ガーディアンを初めて見て喜んでいるユキチカが下から現れる。
「鬼丸ユキチカ!貴様との決着もつけないとな!」
ヴァーリがユキチカを睨んだ。
これに対しユキチカは特に反応することもなく仲間の方に顔を向けた。
「みんなー!カウンターの準備完了したよ!」
「ぐ!このおれを無視しやがって!……って何!?カウンターだと?」
ヴァーリはすぐにグレイボットの情報を確認する。
「貯蔵されているグレイボットの数が減っていく!ばかな!貴様が心臓を使った場所だけでなく他の場所も!まさか……ッ!」
ヴァーリはユキチカの身体をスキャンした。
何も入っていないユキチカの胴体が映る。
「そうか、他の臓器にも仕込んでいたのか!」
「せいかーい!増やすのに時間かかった~」
ここで初めてユキチカはヴァーリの方を向いた。
「これは神への反逆!冒涜だ!まさか俺がそんな物を内包した身体を使っていたとは!どこまで俺をコケにすれば気が済むんだ!」
ヴァーリは拳を握りしめた。
「貴様の才能には驚かされるな、特に俺を怒らせる事に関しては比肩するものはない!絶対に許すものか!惨たらしく殺してやる!」
そう言ってヴァーリは自分の後ろを指差す。
「後ろでのびているカラ・ジーナと同じように、いやそれ以上に、徹底的に叩き潰してやる!」
彼は握りしめた拳をユキチカに見せつけるようにした。
するとヴァーリの後ろで倒れていたジーナは脚を上げ、勢いをつけて飛び起きた。
「誰がのびてるって?」
「な、なぜ動ける?!貴様はこの俺に袋叩きにされていた!この拳はまさしく鋼鉄のハンマー、その殴打を受け続けてなぜ立てる?!」
ヴァーリが驚く。
「自惚れないでよね。まあ戦闘経験があっさいアンタにはわからないか。自分の攻撃がクリーンヒットしたかどうか」
首を回し、肩をゆっくり回し余裕を見せるジーナ。
「なんだと?」
唖然とするヴァーリをジーナが睨む。
「あのね、私にとって攻撃が当たる瞬間に命中箇所をズラしたり、身体を弛緩させてダメージを抑えることなんて余裕なの。ノリノリで殴ってくれたから、時間稼ぎ出来て助かったよ」
彼女はゆっくりと歩き始める。
「だ、だとしても貴様は既に拳を負傷している。もう戦うことはできな……ッ!?」
次の瞬間、ヴァーリは強烈な衝撃に襲われた。
今日で何度目か分からないこの衝撃、ヴァーリの思考が錯綜する。〝何〟ではなく〝何故〟が頭の中を思考を埋め尽くす。
「いかれてるのかッ!骨折した手で殴るだと?!」
ヴァーリは体勢を直しながら吠えた。
「骨折なんて関係ないね。私は手足が折れようが鍛錬を続けて来たんだから、よくあることだよ」
構えるジーナ。
「わお、すっごい」
流石のユキチカもこれには驚いたようだ。
「な、なに?才能がない私はバカの一つ覚えみたいに同じことを続けることしか出来ないの!別に大した話じゃないでしょ!普通よ普通」
ジーナが照れくさそうにする。
「普通は自分の手足が折れても鍛錬を続けたりしないと思うのだけど……」
「ジーナ様それはどう考えても普通じゃないです」
イヴとウルルは小声で話した。
「やっぱりジーナは凄いよ!どうだヴァーリ!あんたは更に不利な状況に陥った!」
シャーロットがヴァーリを指差す。
「もう捕まってあげないよ」
ジーナがニヤリと笑う。
「貴様ら……少し調子に乗りすぎだ」
ヴァーリは床を破壊し、破壊された箇所に顔を埋める。
「え?!床を食べてる?」
シャーロットは驚いた。無理もない、突然ヴァ―リは床やその隙間から現れたコードを食べ始めたのだから。極めて異様な光景だ。
「……ってヤバイ!コロちゃん!」
我に返ったシャーロットはコロちゃんを複数放つ。
それらは全弾命中した。しかしヴァーリは止まる様子がない。
「変形が止まらない?!」
「無駄だシャーロット・バベッジ!先ほどの変形とは違う!」
ヴァーリの背中から複数の腕が現れた。
「基準となる身体から大きく逸脱した形。君の処理能力では満足に動かせない筈!」
イヴの言葉を聞いて彼は笑う。
「その通り、だから施設の処理能力を利用した」
ヴァ―リは複数の腕を同時に動かしてみせた。
「施設のって、今食べたからそれが出来るようになったの?!ありなのそんな!」
シャーロットが再び驚く。
「無条件ではないさ、アサルトボットに施設のシステムを学習させた。俺が築き上げた全てをもって貴様らを消す!」
ヴァーリは左腕を伸ばして何かを遠くから掴み寄せた。
「あれって!」
「対空砲か!」
それは先程皆が協力して無力化した対空砲だった。
ヴァーリは対空砲の破壊された箇所をアサルトボットで修復する。
「さて、修復完了だ」
彼は銃口を皆に向けた。
「みんな!分かってると思うけど対空砲は航空機やミサイルの迎撃に使うもの。そんな兵器で人間が撃たれたら木っ端微塵だよ!」
シャーロットが皆に警告する。
「イヴ様!」
「準備は出来た、あとはこれをヴァ―リに……」
イヴはウルルからチップを取り出す。
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