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5th フェーズ 決
No.128 いざ、ラスボス戦
しおりを挟むヴァ―リとユキチカは地下で対峙していた。地下にはグレイボットを操作する装置、【フォルセティ】がある。
そんな場に大きな足音と共に何かが近づいてきた。
「遅いぞアルファ」
「もうし、わけ、ありません」
ヴァ―リやユキチカよりも一回り大きな二足歩行の機械が現れた。
戦闘用のアンドロイドかと思えたがどうやら違うようだ。
「だれ……?」
「会った事があるだろう?アルファだ。彼女らは特別なパワードアーマーを与えていてね。稼働に時間がかかるのが難点だが、その代わり戦闘能力は他のモデルの比ではない」
ヴァ―リはそう言ってアルファの方を向く。
パワードアーマーは膝をつき、胴体部分のハッチを開く。
「ここは良い、外の連中を殺せ」
「かしこまりまシタ」
アルファはハッチを閉じて歩き始めた。
「いっちゃった」
「ふむ、追わないのか?君の性格からしてああいうのは見過ごせないタイプかと思っていたが」
ヴァ―リがそう言うとユキチカが振り向く、落ち着いた様子であった。
「あとで治せる」
「その【あと】は来ないぞッ!」
ヴァ―リが再び襲い掛かる。
「おう、あんたら随分とボロボロだな」
「そっちは仲直りしたみたいだな」
オニツノ・ヤスシと彼に担がれたシドーがいた。
「殴り合いしてたのか?その怪我」
キビとコウノの怪我をみてヤスシがそう言う、二人は笑う。
「仲直りには必要だろ」
「はぁ、まあそんなところです。私手伝いますよ」
コウノはシドーに手を貸す。
「俺たちと違って、野蛮な連中だな」
「だな」
ヤスシとシドーは想像通りといった様子でそう言った。
「その……2人とも、申し訳ありません。私が裏切ったりしなければ、こんなことには」
コウノがそう言い出すと2人は笑う。
「あんた1人でどうこうできる規模の話じゃないだろ?背負い込みすぎだ」
「そうだぞ、俺だって何十年も前にヴァーリを止められなかった責任がある。それに一番の元凶はあのヴァーリって野郎だ。まずはあいつをとっちめてからじゃないか?自分を責めるのは」
ヤスシとシドーはコウノに対してそう答えた。
「だってよ、コウノ」
「……」
キビの呼びかけに対し、答えようにも涙を堪えるので必死なコウノであった。
少し温かい空気になったかと思ったその瞬間。
「うわぁぁッ!」
「シャーロット、ヤバイ」
「なんだこれー!?」
「明らかに今までのアンドロイドと違います!出力も確認できる装備も!」
遠くから騒がしく走ってくる者たちがいた。
「ヴァ―リが開発していたパワードスーツか、マズイな、今の私の装備では対応は難しい。ああこれならプラズマ砲や小型徹甲炸裂弾でも搭載しておけばよかった」
ジーナ、チザキ、シャーロット、そしてイヴは何かから逃げていた。
「対象を発見、破壊します」
「なんだ?」
「良く分からんが」
ヤスシとキビが走って来た四人と入れ替わる。
「「ふん!」」
二人は目の前に迫って来た大型の機械を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた相手を見てコウノは驚く。
「シータ……!?」
「え?この機械が、この間施設にいた?」
コウノの言葉にキビが驚く
「中にいます!こんなものまで作ってたなんて」
コウノがそう言うとシータがアーマーの装備を展開させる。
「攻撃開始、レーザー砲展開」
現れたレーザ砲に目を輝かせるシャーロット。
「レ、レーザー!」
「好奇心をくすぐられるのは理解できるが今は逃げるんだ!」
シャーロットを掴むイヴ。
「みんな伏せてー!」
ジーナが皆に警告した。
直後、施設を貫通するほどの高出力レーザーが放たれる。
施設に空いた穴から皆は退避する。
進んでいった先には最初に乗り込んだ浜辺があった。
「なんだい、もう一体いるのかい」
浜辺ではMs.ストレングスが何者かと戦っていた。
「もう一体って……」
土煙の中からシータと同様の外見をした者が現れた。
「アルファまで!?」
シータと同じくアルファまで機械に組み込まれているようだ。
「今までの連中とはレベルが違うみたいだな。面白いじゃないか、まだ食い足りなかった所だ」
ヤスシはMs.ストレングスの隣に立ち、構える。
「片腕忘れて来たのか?とうとうボケたか?」
「なぁに、国宝を寄付してやっただけさ」
Ms.ストレングスは笑う。
「あんたらはユキチカの元に行きな!」
「そうだな、ここは俺たち大人が引き受ける」
Ms.ストレングスとヤスシはそう言ってアルファとシータの前に立つ。
「私達も手伝うぞ」
「もちろん私も」
「ワタシも、てつだう」
キビ、コウノそしてチザキもアルファとシータの前に立った。
その頃、ユキチカとヴァーリは戦いは一方的なものになっていた。
「さて、さっさと君も片付けるか。君には随分と世話になったからな、一思いに殺してやる」
「できないよ」
ヴァーリの言葉に対して、ユキチカが首を横に振る。
「そうかなッ?」
ヴァ―リは瞬時に腕を変形させユキチカの胸を貫いた。
「ん?どういうことだこれは」
彼は違和感を覚えた。
「心臓がない?」
「もう無いよ、ここには」
ユキチカは自身の胸を指さしてそう言う。
「心臓を取り除いたのか?そもそも貴様はなぜ肉体を求めていた?何かその体に秘密が……」
ヴァ―リは装置に目を向けた、グレイボットの装置だ。
「まさか!」
彼は腕をユキチカから引き抜き、すぐに装置に駆け寄る。
装置のディスプレイに表示されているゲージがみるみるうちに減っている。
「なんだと!グレイボットの数が減っている!?何かが侵入している、散布予定のグレイボットたちが!自壊し始めている」
ヴァ―リは怒りを露にする。
彼はすぐにコンピューターに分析させた。それによるとグレイボットよりも更に小さい機械がこの状況を作り出したようだ。
「なんだこの機械は?ん装置の中に何かセットされているな、コンピューター!何がセットされているのか見せろ!」
装置が展開し、その中にあるものを見せる。
それは心臓だった。
「貴様の心臓か!この中に微細な機械を隠していたのか!これは、一体いつからだ?!この短期間でグレイボットの対策を?いや、流石に短かすぎる……まさか最初からか!私がグレイボットの制作の話を持ち掛けてからか!」
彼はユキチカに顔を向ける。
「うん、一緒に作ってた。キュアボット、心臓はそれの生産工場」
ユキチカはそう答える、この時胸の出血はすでに止まっていた。
「クソッ!このままでは今後生まれてくる人類にグレイボットが関与出来ない!フォルセティは人類を導く新たな審判者になるのだ!審判の対象になれぬ者達が生まれてしまう!そんな不幸な者はいてはならんのだ!」
ユキチカに近づくヴァ―リ、倒れている彼を掴む。
「してやられた。だが関係のないことだ、そうだ何も関係がない!貴様らは必ず取り除かねばならぬ障壁であると、より自信をもって言えるようになっただけだ!」
彼はそう言ってユキチカを天井に叩きつける。
「貴様の取った行動で何かが変わった訳では無い!ここで貴様らを消しさり、またグレイボットを再生産すれば良い!設計図に実験データも揃っている!俺一人でも量産するぐらい!」
怒りながらヴァーリはユキチカを殴り飛ばす。
「いい加減に……しろ!」
「ぐっ!」
突如光線がヴァーリを貫く。
「イヴか!死にぞこないが!」
ヴァーリは即座に身体を修復させる。
「大丈夫? ユキチカ?胸に風穴空いてるけど」
「うん」
イヴに起こしてもらうユキチカ。
「ユキチカ、一気にぶっ放すよ!準備良い?」
「おーけー!」
ユキチカは頷き、2人はヴァーリに接近する。
「「ブラスト!」」
2人はヴァーリに衝撃波を撃ち込んだ。
「最大出力だ!」
「最大!」
ヴァーリは天井を突き破り、そのまま施設の屋上へと打ち上げられた。
「うわ!本当に来た!」
「流石イヴさん、予定通り」
「さあ皆様、参りましょう」
屋上にはシャーロット、ジーナ、そしてウルルが待ち構えていた。
「よし!上手く行った、それじゃあユキチカ、こっちを頼むね。はいこれ、シャーロットちゃんから。あと私からも」
イヴはユキチカに何かを手渡す。
「じゃあお姉ちゃん上に行ってくるね!」
「わかった!行ってらっしゃい、またあとでね!」
ユキチカがそういうとイヴは彼を抱きしめた。
「ありがとう、ユキチカ、ダイキ、あなたの本当の名前がなんであれ、あなたに感謝してる。大好きだよ、愛してる」
「ぼくもイヴお姉ちゃん大好き!愛してる!」
ユキチカもイヴを抱きしめた。
「よし!それでは世界を救いましょうか」
「うん!」
イヴはそういうと穴から施設屋上に向けて飛び上がった。
「何をした?フォルセティの遠隔操作が出来なくなっている。ネットワークも奪われている。これでは直接操作するしかないな」
ヴァーリは試しに端末を操作してみるが装置を起動させられないでいた。
「ちゃ、チャールズがくれた端末!それでここのネットワークを奪い取った。それと同時にフォルセティの遠隔操作を無効にした!部下がこんなものを用意してるなんて、あんたの人望は大したもんだね!」
シャーロットがヴァーリを挑発する。
「決着つけようじゃないかヴァーリ・ジョーンズ」
イヴが構える。
「貴様らは裁かれることすら無い!ここで私の手によって殺す!必ずだ!」
激昂するヴァーリ。
「大一番ですね」
「ラスボス戦か、やるぞー!」
「ああ、気合入れていくよ!」
他の者も自身を奮い立たせる。
「所詮は時間稼ぎ、貴様らの寿命は変わらんぞ!」
ヴァ―リの怒りの声が轟く。
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