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5th フェーズ 決
No.109 開戦
しおりを挟む轟音を響かせ、空を旋回する飛行機。その戦闘機にはマチェット、ショットシェル、パラベラムが乗り込んでいる。
「ああ~ガトリングの音が心地良い……染み渡る」
「パラボラ1恍惚としてないで集中しろよ」
パラベラムに注意するマチェット。
「ビーチに敵が集まってる吹き飛ばしましょうか?」
先行の囮につられて大勢の敵が島の浜辺に集まっていた。それをみてマチェットは嬉しそうに笑う。
「そうだな、派手に吹き飛ばせシカゴ1」
「了解!シカゴ1、爆弾を投下する!」
ショットシェルが浜辺にいるアンドロイド兵に向けて爆弾を放った。
アンドロイド兵は散り散りになる、だが絶え間なく増援が現れてくる。
「戦闘機まで用意しているとは。バベッジ!こちらの航空戦力は!」
「もちろん用意してある」
「出動させろ!」
バベッジは手首に装着した端末を操作する。
「アンドロイドに飛行能力をもたせた。早速実験できるとはな」
要塞の至る所から飛行タイプのアンドロイドが出動。
「何か出てきましたね」
「連中の航空戦力、アンドロイドに飛行ユニットを装備させたものですね」
ショットシェルとパラベラムが報告。
「こちら航空部隊、これより寄せ集めのスクラップを処理する」
マチェットが先行し、その飛行タイプのアンドロイド部隊に攻撃を仕掛ける。
その通信を聞いていたキビ達、彼女らは小型の潜水艇に乗り込んでいた。
潜水艇にいるのはキビ、シドー、ユキチカ、ウルル、ジーナ、シャーロット、チザキだ。
「航空部隊がおっぱじめたみたいだ、連中が注意を引いている間に行くぞ。島の周囲には機雷がある、ウルルちゃん頼んだぞ」
キビがそう言うとウルルが頷き、潜水艇の操縦桿を握る。
「お任せください!発進して30秒以内に浜辺に到着します!」
皆は既に装備の最終確認を終えて準備万端だ。
「高速潜水艇、発進!」
潜水艦から飛び出た潜水艇は水中に設置された機雷をかいくぐりながら最短距離を猛スピードで進んで行く。
「浜辺につきました!」
「ハッチ開けるぞ!」
シドーが潜水艇の扉を開けて飛び出す
アンドロイド兵と比べて非常に重装備の彼は敵の一斉射撃にものともしない。シドーは敵を薙ぎ払いながら後続の道をつくる。
「シドーはパワータイプ」
「あんたはこの中で1番色々出来る身体だからな。重火器や分厚い装甲を用意した」
先日工房でこのような説明をユキチカとマチェットから受けた彼は、その内容を実感していた。
「ありがたいね、ビクともしないぜ」
両腕から機関銃を出し次々と敵を倒していくシドー。まるで動く要塞だ。
「続け!」
次にキビが潜水艇から飛び出して攻撃を始める。
彼女は銃で次々と相手を倒していく、近づいて来た的には近接攻撃で応戦。
見た目に特徴的な部分がないがそれ故に取り回しが良いようだ、彼女は難なくいつもの戦闘スタイルを実践してみせた。
「カオルちゃんは万能タイプ!」
「なんだ、私は特別な装備とかないのか?」
「あんたは基礎のスペックが違うからな。余計な事はしないでおいたよ」
工房で初めて装備を見た時にそう言ったキビにマチェットが答えた。
「確かに、私にはこっちのがあってるな」
重装備で敵を薙ぎ払うシドーをみてそう言うキビ。
「凄い数、でもやることは一緒!」
ジーナは潜水艇から飛び出し、その勢いのまま敵を一撃で粉砕した。
彼女のアーマーは手足に装甲を集中させ、それ以外の部分は動きやすさと装甲のバランスを取った作りになっている。
「ジーナは近接タイプ!」
「一応補足しとくと、ジーナの戦闘データを参考によく使う手足には装甲を集中させたタイプだ。ブースターもあるから高速で接近し強力な一撃を叩き込んで即離脱も出来るし、ブースターを利用した連続攻撃も可能だ」
マチェットに言われた事を思い出しながらブースターを使用し、一撃必殺の拳を敵から敵へと流れるように叩き込んで行くジーナ。
「動きやすくていいね……ん?」
ジーナは何かに気付き飛び上がる。
「スナイパーがいる!」
彼女は自分が狙われていることを感じ取ったのだ。飛び上がった彼女は砦に目を向け、狙撃手を見つけ指さした。
「任せて!」
シャーロットはジーナが指さす方向にいるスナイパーのアンドロイドを見つけ、即座に撃ち抜く。
その後も相手に狙いを定めさせない動きで翻弄しながら、次々と撃ち抜いて行くシャーロット。
「凄いスピード感!」
彼女の背後に敵が迫る。
「それと」
シャーロットの背後にある装甲が開き、コロちゃん達が現れ体当たりを相手に食らわした。体当たりが相手に直撃し相手に電撃を流す。
「みんなのアーマーもかっこいいよ!」
アーマーを装着したコロちゃん達がポーズを決める。
「シャロはスピード特化!」
「シャーロットのはボディに色々と格納できるようにしてる。訓練した銃を詰め込んでも良いし、お手製のガジェットをいれるなりすれば良い。アーマー自体は軽量だが使ってる素材は頑丈で、衝撃を逃がす構造になってるから耐性面も問題ない」
マチェット曰くシャーロットの素材とその作りはかなり苦労したそうだ。
「この素材、私も欲しかったんだよなぁ。後でマチェットさんに素材が残ってないか聞いてみようかな」
「シャロ!かっこいい!」
後ろからチザキが抱き着く。
「チザキさん、今はじゃれつくの危ないよ、まだ敵がそっちに残って……」
「もう終わったよ」
チザキの後ろにはバラバラにされたアンドロイド兵が転がっていた。
「本当だ……」
「チザキはアーマーは要らないだろ、必要なものは血で作れるんだし。まあ簡単に壊れない袋に輸血液でも持たせといてやるよ」
そうマチェットに言われたチザキはベスト、それと背負っているバックパックに特殊ケースに入れられた輸血液を持っているだけだった。
だが彼女の持つ特殊能力で戦闘は十分のようだ。
「マチェットさんの言う通り、これはアーマーは要らなね」
チザキの頭を撫でながらシャーロットはそう言った。
「要塞の内部構造を取得しました!いま皆さまに共有します」
ウルルが潜水艇から出て来た。
「砦内にも多くの起動済みのアンドロイドが配置されています!」
皆が戦っている間にウルルは敵戦力のより詳細な情報を集めていた。
(この島のアンドロイドはいずれもがウルティメイトの公式データベースに照合してもヒットしない。ということは独自の管理システムやネットワークを使用しているはず)
「あった!要塞の中に複数のポイントを見つけました!そこを利用すればネットワークに侵入できます!」
「ウルルのはサポート機能詰め込んだ!」
「わざわざ言わなくても分かるだろ、ウルルのは整備手伝ってもらってたんだから」
「ユキチカ様、マチェット様にデスバリ―社の皆様、ありがとうございます」
工房にいる者達にお辞儀をしたウルル。
(私を生まれ変わらせてくれた皆様の為に、この力存分に使わせて頂きます!)
ユキチカ達が作成したアーマーと共に彼らは要塞に向かうのであった。
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