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5th フェーズ 決

No.106 準備

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 ジーナは戦闘の中で自在に黒鉄を打てるように何度も倒されながらキビと組手を繰り返す。

「お!」
 ジーナの拳をガードするキビ。
 ヒットした音がいつもと違う。

「今の……!」
「その感覚忘れるなよ」
 キビはニヤッと笑って言う。

「やった!最小限の動作で黒鉄打てた!」
 喜ぶジーナ。

「やるもんじゃないか」
「あ、ストレングスさん」
 ストレングスが闘技場に入って来る。

「あれ、なんで入って来るん……ですか?」

 よく見ればストレングスはいつものダボっとした服ではなく、動きやすい戦闘服を着ていた。

「そりゃあジーナちゃんの特訓の仕上げを行うためだろうよ。代わりな」
 キビは闘技場の外に出る。

「その仕上げってもしかして」

「ああ、私との戦闘訓練だ」
 肩を回しながらそういうストレングス。

「まじですか?」

「私の攻撃を喰らわないようにしながら、さっき出した技をひたすら打ち続けるんだよ。いいね?でないと私は止められないよ」

 そう言われ、ジーナはキビとショットシェルの方を見る。

「あー、ストレングスさんから直撃は絶対に貰わないようにな。五体満足でここを出たいなら」
「死なないように頑張れよ」

「……はい」
 ジーナは恐る恐る視線を上げ、ストレングスは彼女を見下ろしていた。

「それじゃあいいね、行くよッ!」



 一方その頃シャーロット。

「はぁ、はぁ、相手の行動を計算して予測して、相手の身体が来るところに標準を合わせる」
 彼女は壁に隠れながら息を整え、集中する。

「いける!」
 シャーロットは壁から飛び出て発砲。

「……っと」
 シドーは横に避けて撃ち返す、しかしそこには既にシャーロットの姿はなかった。

「やるね」

 彼がそう言った直後、彼の身体側面にペイント弾が着弾する。

「やった!」
「第一関門突破だな」

「はぁーやったー!」
 ガッツポーズをとるシャーロット。

「なにやり切った顔してるの。第一関門っていったでしょ」

 地面に座り込むシャーロットの後ろからブルズアイが話しかける。

「次はチザキさんとの戦闘訓練してもらうから」

「シャーロットとくんれんする」
「え?チザキさんと?」

(あ、でもチザキさんなら、ちょっと安心かも。何だかんだ優しいし)
 シャーロットは少しだけほっとした。

「もしかしてチザキさんなら手加減してくれると思ってる?」

 ブルズアイに図星をつかれドキッとするシャーロット。

「え?」
「チザキさん、シュート」

「しゅーとー」
 チザキは血の弾丸を指先から放つ。
 弾丸は訓練場の壁にめり込みヒビが入る。

「あれが飛んで来るからね」

「……いや流石にあれは、嘘ですよね」
 顔から血の気が引いていくシャーロット。

「あれより弱くできる、チザキさん?」
「できない、あれがイチバンよわい」
 首を横に振るチザキ。

「まあ弾に当たらない練習できてたから」
 シドーがフォローを入れる。

「弾ももう少し大きめにすれば貫通する事は無いとおもうから。多分打撲ですむ……たぶん」

「最悪骨折れるよねぇっ!」
 シャーロットは抗議をしようとする。

「ハッハッハ!何言ってんだ、骨折れるのは最悪じゃない、死ぬ事だ」
「そうそう、即死以外はかすり傷ってね」

「ここに来て価値観の違いを強烈に感じる……」
 


「ガンガン作って行くぞー」
 ユキチカは早速装備の開発に取り掛かる。
 今行うのは皆が装備する強化アーマーの作成だ。

「色々と私も整備のお手伝いをしましたが、まさかこのような物まで作られているとは……」

「うちは武器の取引以外に少しばかりの開発事業もやっててな。クライアントの要望に合わせてカスタマイズや場合によっては一から作ったりもする。まあ大抵はあり物を組み合わせるだけだがな。このフレームもウルティメイトの連中が販売している業務用パワードスーツの設計をパクったやつだしな」

 マチェットが並ぶフレーム達の説明をする。

「~♪」

「あんたはアイツが妙な実験を始めないように面倒をみといてくれ。うちの大事な工房吹き飛ばされたらかなわねぇからな」

「かしこまりました」 

「小物はあんたらに任せておいて、私達は残ったデカい仕事を片付けるか。パラベラム、ショットシェルを呼んで来い」
 マチェットは振り向く。

「もう来てますよ」
「おう婆さんが来てとうとう仕事無くなったか」
 すでに工房に来ていたショットシェル、準備万端と言った顔で立っていた。

「ええ、ずっと観てるだけっつーのも飽きてきた所です。そろそろ身体動かす仕事が欲しかったんで」

 マチェット達は工房から離れた場所に向かう。

「ならバッチリだな、これの整備に入るぞ」

「こりゃあまた……凄いですね」
「最終調整だ、抜かりなくな」
 マチェットにそう言われると二人はビシっと姿勢を正し返事をする。

「「はい!」」



「ユキチカ様、はいどうぞ」
「ありがとー」
 ウルルはユキチカの溶接に使う道具だ。

「よーしそれじゃあ」
「ま、待って下さい!ちゃんと防護しないと火傷します」

「ああそっか、もう機械じゃないんだった」
 ユキチカはウルルに作業着を着せてもらい、ヘルメットを被る。

「気をつけてくださいね。その体はもうパーツ交換で治ったりはしないのですから」

「うん、ありがとうウルル!」


「それでその、【さいきょうアーマー】は具体的にどのような物になるのですか?」

「みんなに合わせたもの!オートクチュール!まずウルルからね、これに腕通してみてー」
 ユキチカはそう言ってウルルの腕にアーマーの腕を装着させる。

「このような感じでしょうか?」
「そうそう!あのまと狙ってー、それで手をギュッてして」

「はい、手をギュッと」

 ウルルが手を握る腕の装甲がスライドし一気に大量の針が射出された。

 それから一瞬間をおいて電撃が放たれる。

 電撃は針に目掛けとんでいき的を消し飛ばした。
 的だけでなく少しだけ周囲を巻き込む。

「おー」

「おーじゃあねぇ!コラ、ユキチカ!ウチらの工房壊すんじゃねぇ!」

 その破壊音に驚いたデスバリー社の社員が注意した。

「相手はアンドロイドが多いだろうから、こういうのが強いと思うんだ」

「アンドロイドでなくてもあの電圧はOUTだと思いますが」

「他にも色々と考えてたんだ~」
 ユキチカは他にも様々な機械を組み立てはじめる。

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